JP2542209Y2 - スピ―ドスプレ―ヤ用等の乾式多板クラッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、スピードスプレーヤの薬液ポンプ駆動用等
に使用される乾式多板クラッチに関し、断続時、あるい
は回転変動時等の騒音を簡単かつ安価な構成で有効に防
止すること及び各部材の耐久性を高めることを目的とす
るものである。

【従来の技術】

従来提供されている乾式多板クラッチは、例えば、従
動軸に固定された固定フランジにその円周方向に適当間
隔をあけてレリーズロッドを挿通し、該レリーズロッド
に構成した頭部と前記固定フランジ間に複数枚のプレッ
シャプレートを嵌装し、隣接する該プレート同志、及び
前記固定フランジとの間には、外周にクラッチケースの
内周面に設けた係合部に係合する外周部を有するクラッ
チライニングプレートをそれぞれ介在させ、さらに、前
記従動軸に嵌装したレリーズ板に前記各レリーズロッド
の基端を固着し、前記レリーズ板と前記固定フランジ間
に適数の弾発スプリングを介在させた構成とされてい
る。この様に構成された乾式多板クラッチは、通常の状
態においては、弾発スプリングの力でレリーズロッドが
前記固定フランジ側に移動させられ、該固定フランジを
レリーズロッド頭部間で、前記プレート及びクラッチラ
イニングプレートを強く挟持した状態となっている。 この状態で駆動軸が回転させらると、従動軸に固定さ
れた固定フランジ、該固定フランジに適当間隔をあけて
挿通したレリーズロッド、該レリーズロッドの頭部と前
記フランジ間に嵌装された複数枚のプレート、前記駆動
軸に固着されたクラッチケースの内周面に係合したクラ
ッチライニングプレート、さらにはレリーズ板が一体と
なり、従動軸が回転させられる。

【考案が解決しようとする課題】

前記構成の従来の乾式多板クラッチにおいては、特に
1,000rpm以下等での使用時、クラッチの断続時、あるい
は回転変動時等に耳ざわりな騒音が発生することがあっ
た。その原因は、前記クラッチケース内周面の係合部
と、該係合部に係合するクラッチライニングプレートの
外周部との間に間隙があるため、断続操作時、あるいは
回転変動時等に両者が衝突し合うためである。 本考案は前記騒音の発生を簡単かつ安価な構成で効果
的に防止するとともに、前記衝突部材の耐久性を高める
ことを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

本考案は前記目的を達成するため、クラッチケースの
内周面に構成された係合部と、該係合部に係合する複数
枚のクラッチライニングプレートの外周に構成された突
部10の両側部との間に、前記クラッチライニングプレー
トのすべてにまたがる長さの板状の合成ゴム等の弾性部
材を介在させた構成としたものである。

【作用】

本考案によれば、クラッチケースの内周面に構成され
た係合部と、そこに係合された複数枚のクラッチライニ
ングプレートの外周部との間にクラッチライニングプレ
ートのすべてにまたがる長さの板状の合成ゴム等の弾性
部材が介在させられている。 したがって、クラッチの断続時、あるいは回転変動時
等にもクラッチケースの内周面の係合部と複数枚のクラ
ッチライニングプレートの外周に構成された突部の両側
部との全ての衝突が弾性部材によって緩衝されるため、
衝突に伴う騒音の発生及び衝突部材間の損傷を効果的に
防止することができ、さらに弾性部材が前記複数枚のク
ラッチライニングプレートの全てにまたがる長さの板状
に構成されているため、その取付け等、組立作業が容易
である。

【実施例】

以下に、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。 図中、１は従動軸、２はスピードスプレーヤ等の機体
20に軸受21を介して回転自在に支持された駆動軸、３は
該駆動軸２に設けられたプーリであり、図示しない原動
機出力軸からＶベルトを介して動力が伝達される。本考
案は前記従動軸１と駆動軸２間の動力伝達を断続する乾
式多板クラッチである。 前記従動軸１には固定フランジ４が固定され、該固定
フランジ４には、その円周方向に適当間隔、図面実施例
では前記従動軸１を中心に120°の角度でレリーズロッ
ド５が遊嵌されて挿通される。その際、該レリーズロッ
ド５の先端部に割ピン5b等を用いて固着されたナット等
で形成された抜け止め頭部5aと前記固定フランジ４間に
複数枚のプレッシャプレート６が前記レリーズロッド５
に沿って摺動自在に嵌装され、同時に、前記プレッシャ
プレート６同志、及び前記固定フランジ４との間にそれ
ぞれ複数枚のクラッチライニングプレート７が介在させ
られる。 該複数枚のクラッチライニングプレート７は前記レリ
ーズロッド５及びプレッシャプレート６とは分離された
状態とされ、その外周部には、前記駆動軸２に固着され
たクラッチケース８の内周面8bに係合部として設けられ
た適数の前記従動軸１と同方向の係合部９に係合する適
数の突部10が構成されている。 すなわち、前記複数枚のクラッチライニングプレート
７とクラッチケース８が回転時には一体となって回転す
る構成となっている。 さらに、前記従動軸１の固定フランジ４より後方にレ
リーズ板11が遊嵌され、該レリーズ板11に前記固定フラ
ンジ４に挿通された各レリーズロッド５の後端が固着さ
れる。 さらに、前記レリーズ板11と前記固定フランジ４間に
適数の弾発スプリング12が介在させられる。図面実施例
では、前記スプリング12の十分な弾発力と、コンパクト
化を図るため、前記固定フランジ４側にカップ状のスプ
リング受13を設け、その内部に前記スプリング12を挿入
状態とし、他端を前記レリーズ板11で押えた形態とし、
前記プレッシャプレート6,6,6及び前記固定フランジ４
とで前記複数枚のクラッチライニングプレート7,7,7を
強固に挟持出来る様に配慮している。 なお、前記レリーズ板11は、クラッチベアリング17を
介してレバー操作、その他適宜の方法で、外部から前記
従動軸１に沿って往復動自在なシフタ15によって前記固
定フランジ４側にスライドさせることによって、クラッ
チを切ることができる構成となっている。 本考案では、前記クラッチケース８の内周面8bに構成
された係合部９と、該係合部９に係合する前記複数枚の
クラッチライニングプレート７の外周に構成された突部
10の両側部10a,10bとの間に、前記クラッチライニング
プレート７のすべてにまたがる長さの板状の合成ゴム等
の板状の弾性部材14を、使用中に抜け落ちたりせぬ様、
適宜に介在させるものである。 なお、該弾性部材14としては強靱であること、及び適
度の硬度が要求されるが、伝達馬力３〜10PS程度の場合
ゴム硬度85〜95のウレタンゴム片が最適である。 前記構成の本考案は、クラッチケース８の内周面8bに
構成された係合部９と、そこに係合された複数枚のクラ
ッチライニングプレート７の外周に構成された突部10の
両側部10a,10bに、前記クラッチライニングプレート７
のすべてにまたがる長さの板状の合成ゴム等の弾性部材
が介在させられている。 したがって、クラッチの断続時、あるいは回転変動時
等には、クラッチケース８の内周面8bの係合部９と、複
数枚のクラッチライニングプレート７の外周に構成され
た突部10の両側部10a,10bの全てが直接衝突し合うこと
がないため、衝突に伴う騒音の発生及び衝突部材間の損
傷が効果的に防止され、さらに弾性部材14が複数枚のク
ラッチライニングプレート７の全てにまたがる長さの板
状に構成されているため、その取付け等、組立作業等が
容易である。 なお、第１図中、8aは前記クラッチケース８のカバー
である。23は前記機体20側に固着されたスリーブ部材22
と前記シフタ15との間に設けた端面カムであり、レバー
操作等によりシフタ15を回動せしめると、このカムの作
用により、シフタ15が従動軸１に沿って左右に移動す
る。18及び19はリップシールである。

【考案の効果】

本考案によれば、クラッチケース内周面の係合部と、
クラッチライニングプレートの外周に構成された突部の
両側部との間に、前記クラッチライニングプレートのす
べてにまたがる長さの板状の弾性部材を介在させるだけ
であり、構成が簡単かつ安価であるとともに、クラッチ
断続時、あるいは回転変動時等における騒音の発生及び
衝突部材間の損傷を効果的に防止でき、衝突部材の耐久
性を高めることができ、さらに弾性部材の取付け等、組
立作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は要部縦
断面図、第２図は第１図II−II線断面図である。 ７……クラッチライニングプレート、８……クラッチケ
ース、９……係合部、10……突部、14……弾性部材。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クラッチケース８の内周面8bに構成された
   係合部９と、該係合部９に係合する複数枚のクラッチラ
   イニングプレート７の外周に構成された突部10の両側部
   10a、10bとの間に、前記クラッチライニングプレート７
   のすべてにまたがる長さの板状の合成ゴム等の弾性部材
   14を介在させたことを特徴とするスピードスプレーヤ用
   等の乾式多板クラッチ。