JP2541210Y2 - 塊状物排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、セメントクリンカーや
石灰石等をホッパーから排出する塊状物排出装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】ロータリーキルンで焼成されたセメント
クリンカーの冷却、あるいは製鉄用副原料の生石灰を得
る設備の予熱や冷却に、充填層式熱交換器が利用されて
いる。このような設備においては、充填層を形成してい
るセメントクリンカーや生石灰等の塊状物は自重で熱交
換器のホッパー内を落下し、ホッパーの下端から外部に
排出されている。

【０００３】このような設備において従来から使用され
ている塊状物排出装置の一例を図５によって説明する
と、ａはロータリーキルンであって耐火レンガで内張り
されており、バーナーｂから噴出する火炎ｃによってセ
メントクリンカー等を焼成するものである。ロータリー
キルンａの開口側には充填層式クーラｄが設けてあっ
て、充填層式クーラｄには冷却空気押込ダクトｅ、拡散
壁ｆが取付けられている。

【０００４】充填層式クーラｄの下部はホッパーｇにな
っていて、ホッパーｇの下端には隙間をあけて回転テー
ブルｈが設けられており、回転テーブルｈの上面側の１
箇所にはスクレーパーｉが配置され、スクレーパーｉの
配置箇所付近を除いた回転テーブルｈの周囲には、ケー
シングｊが配置されている。

【０００５】ロータリーキルンａで焼成されたセメント
クリンカー等の塊状物は自重で充填層式クーラｄの内部
に落下して充填層となり、冷却空気押込ダクトｅから押
し込まれる冷却空気によって冷却されながら充填層式ク
ーラｄ、ホッパーｇの内部を自重で落下し、回転テーブ
ルｈの上面に達する。回転テーブルｈの上面に落下した
塊状物は回転テーブルｈの回転に従って回転しながらホ
ッパーｇの下端と回転テーブルｈとの間を通って回転テ
ーブルｈの外周側に出た後、スクレーパーｉによって掻
き落とされて回転テーブルｈの下方に排出され、図示し
ないベルトコンベヤ等によって搬出される。

【０００６】従来から使用されている塊状物排出装置の
他の例として、図５の回転テーブルｈに代えて傾斜した
トレイを設け、傾斜したトレイを振動器で振動させて塊
状物を排出するようにしたものも使用されている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】塊状物が充填層式クー
ラｄ、ホッパーｇの内部を自重で落下する際には、水平
断面のいずれの箇所においても同一速度で落下するのが
熱交換上望ましいが、従来の回転テーブルｈや振動する
傾斜したトレイを設けた装置では平均の落下速度しか調
節できず、偏流で生ずる落下しやすい区域と落下しにく
い区域との平準化をすることができなかった。

【０００８】本考案はこのような従来の欠点を改善し、
ホッパー内で塊状物が偏流するのを防ぎ、水平断面のい
ずれの箇所においても塊状物が均一な速度で落下するよ
うにした塊状物排出装置を提供することを目的とするも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、ホッパーの下
端に隙間をあけて水平に設けた回転テーブルと、前記ホ
ッパーの下部内面に放射方向に向けて取付けられ前記ホ
ッパーの内部を周方向の複数の区画に区分した仕切板
と、前記複数の区画ごとに前記ホッパーの外側に接して
設けられ前記回転テーブルに対し接近離反し得る排出量
調節ゲートとを備えたことを特徴とする塊状物排出装
置、及びホッパーの中心部において該ホッパーと同一軸
芯に設けられ下端が該ホッパーの下端よりも下方へ延び
た内筒と、前記ホッパーの下端に隙間をあけて水平に設
けられ前記内筒の外側で回転する上部回転テーブルと、
前記ホッパーの下部内面と前記内筒の外面との間に放射
方向に向けて取付けられ前記ホッパーの下部内面と内筒
の外面との間を周方向の複数の区画に区分した仕切板
と、前記複数の区画ごとに前記ホッパーの外側に接して
設けられ前記上部回転テーブルに対し接近離反し得る排
出量調節ゲートと、前記内筒の下端に隙間をあけて水平
に設けた下部回転テーブルとを備えたことを特徴とする
塊状物排出装置、に係るものである。

【００１０】

【作用】請求項１及び２の考案では、仕切板による周方
向の区画に対応して設けた排出量調節ゲートを回転テー
ブルに対し接近離反させて排出量調節ゲート下端と回転
テーブルとの間の間隔を変えることにより、区画ごとの
塊状物排出量を調節し、塊状物の偏流を防いで均一な速
度で落下させることにより、周方向での塊状物の均一な
冷却或いは予熱を行うことができる。

【００１１】又、請求項２の考案では、周方向の区画ご
との塊状物排出量の他に、内筒の内部と外部における半
径方向の塊状物排出量も調節できる。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の実施例を図に基づいて説明す
る。

【００１３】図１は請求項１の考案の一実施例の縦断面
図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ断面図であって、ホッパー
１の下端には、従来よりも大きな隙間をあけて回転テー
ブル２が水平に設けられており、回転テーブル２の上面
側の１箇所にはスクレーパー３が配置され、スクレーパ
ー３の配置箇所付近を除いた回転テーブル２の周囲に
は、ケーシング４が配置されている。ホッパー１の内部
は、中心から放射方向に取付けた鉛直の複数の仕切板５
によって、周方向の複数の区画６に区分されている。そ
して各区画６ごとに区分した弧状の排出量調節ゲート７
がホッパー１の外側に接して設けられていて、排出量調
節ゲート７は個別に昇降して回転テーブル２に接近した
り、あるいは回転テーブル２から離れたりすることがで
きるようになっている。

【００１４】次に、図１、図２に示した装置の作用を説
明する。

【００１５】ホッパー１の上方から自重で落下して来た
セメントクリンカー等の塊状物は複数の区画６に入り、
各区画６内をさらに自重で落下する。そして回転テーブ
ル２の上面に達した塊状物は回転テーブル２の回転に従
って回転しながら排出量調節ゲート７の下端と回転テー
ブル２との間を通って回転テーブル２の外周側に出た
後、スクレーパー３によって掻き落とされて回転テーブ
ル２の下方に排出され、図示しないベルトコンベヤ等に
よって搬出される。

【００１６】排出量調節ゲート７を個別に昇降して排出
量調節ゲート７の下端と回転テーブル２との間の間隔を
変えることにより、排出量調節ゲート７の下端と回転テ
ーブル２との間を通って回転テーブル２の外周側に出る
塊状物の量を変え、区画６ごとに塊状物の落下速度を調
節することができる。また全排出量はテーブルの回転数
を加減して増減する。

【００１７】例えば区画６によってセメントクリンカー
等の塊状物の温度が異なる場合には、温度の高い区画６
の外側に接している排出量調節ゲート７を下降し、その
排出量調節ゲート７下端と回転テーブル２との間の間隔
を小さくする。これによって、その排出量調節ゲート７
下端と回転テーブル２との間を通って回転テーブル２の
外周側に出る塊状物の量が少なくなり、温度の高い区画
６内の塊状物の落下速度は遅くなって冷却時間が長くな
り、他の区画６から排出される塊状物の温度に近づけら
れる。このような温度の相違によって排出量調節ゲート
７を昇降する操作を容易にするため、区画６ごとに図１
に示すような温度センサー８を取付けておくとよい。

【００１８】次に、請求項２の考案の実施例を説明す
る。

【００１９】図３は請求項２の考案の一実施例の縦断面
図、図４は図３のＩＶ−ＩＶ断面図であって、ホッパー
９の中心部には、ホッパー９と同一軸芯に内筒１０が設
けてあって、内筒１０の下端はホッパー９の下端よりも
下方へ延びている。ホッパー９の下端には隙間をあけて
上部回転テーブル１１が水平に設けられていて、上部回
転テーブル１１は内筒１０の外側で回転するようになっ
ている。上部回転テーブル１１の上面側の１箇所にはス
クレーパー１２が配置され、スクレーパー１２の配置箇
所付近を除いた上部回転テーブル１１の周囲には、ケー
シング１３が配置されている。

【００２０】ホッパー９の内面と内筒１０の間には、放
射方向の鉛直の複数の仕切板１４が設けてあって、ホッ
パー９の内面と内筒１０の間は、周方向に複数の区画１
５に区分されている。そして各区画１５ごとに区分した
弧状の排出量調節ゲート１６がホッパー９の外側に接し
て設けられていて、排出量調節ゲート１６は個別に昇降
して上部回転テーブル１１に接近したり、あるいは上部
回転テーブル１１から離れたりすることができるように
なっている。

【００２１】図３に示すように内筒１０の下端には隙間
をあけて下部回転テーブル１７が水平に設けられてい
て、下部回転テーブル１７の上面側の１箇所にはスクレ
ーパー１８が配置され、スクレーパー１８の配置箇所付
近を除いた下部回転テーブル１７の周囲には、ケーシン
グ１９が配置されている。

【００２２】次に、図３、図４に示した装置の作用を説
明する。

【００２３】ホッパー９の上方から自重で落下して来た
セメントクリンカー等の塊状物は複数の区画１５及び内
筒１０の中に入り、各区画１５及び内筒１０内をさらに
自重で落下する。

【００２４】各区画１５を落下した塊状物は上部回転テ
ーブル１１の上面に達し、上部回転テーブル１１の回転
に従って回転しながら排出量調節ゲート１６の下端と上
部回転テーブル１１との間を通って上部回転テーブル１
１の外周側に出た後、スクレーパー１２によって掻き落
とされて上部回転テーブル１１の下方に排出され、図示
しないベルトコンベヤ等によって搬出される。この時排
出量調節ゲート１６を個別に昇降して排出量調節ゲート
１６の下端と上部回転テーブル１１との間の間隔を変え
ることにより、区画１５ごとに塊状物の落下速度を調節
することができる。

【００２５】内筒１０の内部を落下した塊状物は下部回
転テーブル１７の上面に達し、下部回転テーブル１７の
回転に従って回転しながら内筒１０の下端と下部回転テ
ーブル１７との間を通って下部回転テーブル１７の外周
側に出た後、スクレーパー１８によって掻き落とされて
下部回転テーブル１７の下方に排出され、図示しないベ
ルトコンベヤ等によって搬出される。この時下部回転テ
ーブル１７の回転速度を変えることにより、単位時間に
下部回転テーブル１７から排出される塊状物の量を変
え、内筒１０内の塊状物落下速度を調節することができ
る。

【００２６】尚、図２及び図４においては区画数を３個
及び４個とした場合を例示したが、２個に区画したり、
排出量が多量になれば更に区画数を増加するようにして
も良いこと、図３及び図４の内筒内を区画して内筒の下
端に調節ゲートを設けるようにしても良いことは勿論で
ある。

【００２７】

【考案の効果】請求項１及び２の考案では、ホッパー内
での区画ごとの塊状物の排出量を調節して、水平断面の
周方向のいずれの箇所においても塊状物が均一な速度で
落下するようにして、温度むら等をなくすことができる
効果がある。

【００２８】又、請求項２の考案では、周方向の落下速
度の均一化に加えて、内筒の内部と外部における半径方
向の落下速度の均一化も図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の考案の一実施例の縦断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ断面図である。

【図３】請求項２の考案の一実施例の縦断面図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ断面図である。

【図５】従来装置の一例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ ホッパー ２ 回転テーブル ５ 仕切板 ６ 区画 ７ 排出量調節ゲート ９ ホッパー １０ 内筒 １１ 上部回転テーブル １４ 仕切板 １５ 区画 １６ 排出量調節ゲート １７ 下部回転テーブル

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホッパーの下端に隙間をあけて水平に設
   けた回転テーブルと、前記ホッパーの下部内面に放射方
   向に向けて取付けられ前記ホッパーの内部を周方向の複
   数の区画に区分した仕切板と、前記複数の区画ごとに前
   記ホッパーの外側に接して設けられ前記回転テーブルに
   対し接近離反し得る排出量調節ゲートとを備えたことを
   特徴とする塊状物排出装置。
2. 【請求項２】 ホッパーの中心部において該ホッパーと
   同一軸芯に設けられ下端が該ホッパーの下端よりも下方
   へ延びた内筒と、前記ホッパーの下端に隙間をあけて水
   平に設けられ前記内筒の外側で回転する上部回転テーブ
   ルと、前記ホッパーの下部内面と前記内筒の外面との間
   に放射方向に向けて取付けられ前記ホッパーの下部内面
   と内筒の外面との間を周方向の複数の区画に区分した仕
   切板と、前記複数の区画ごとに前記ホッパーの外側に接
   して設けられ前記上部回転テーブルに対し接近離反し得
   る排出量調節ゲートと、前記内筒の下端に隙間をあけて
   水平に設けた下部回転テーブルとを備えたことを特徴と
   する塊状物排出装置。