JP2539790Y2 - モールド変圧器用高圧端子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案はモールド変圧器の高圧端子に係り、特にケー
ブル接続用高圧端子に関するものである。

B.考案の概要 モールドコイル表面に接地層が施されているモールド
変圧器の高圧端子において、コイルと一体に形成したモ
ールドにテーパ孔を設け、このテーパ孔内にスリップオ
ンコンタクトを設けてケーブルの着脱を容易ならしめる
とともに、弾性圧接体と圧接金具を介して保護管により
前記ケーブルを前記テーパ孔に気密を保って圧接保持す
ることによって、腐食性ガスや水分，塵埃等が接触部に
侵入することを防止し、且つ、端子部の外表面が接地層
で覆われるようにしてモールド変圧器設置面積の縮小化
をはかったものである。

C.従来の技術 従来此の種のモールド変圧器は、第４図，第５図に示
す構成となっている。即ち、第４図は、従来例の正面
図、第５図はその側面図を示し、これらの図において、
１は鉄心、２はモールドコイル,3は末端処理をして接続
されているケーブル４の接続用高圧端子,5は橋絡用高圧
端子で橋絡導体６により各相の高圧コイルを接続して星
形接続における中性点を形成している。７は低圧端子で
ある。そして、以上に述べたモールド変圧器は、接地金
属ケースに収納して設置するか、充分な絶縁空間を保っ
て柵を設け立ち入り禁止の立て札を立てるなどして設置
するため、モールド変圧器の床面積に比し、広い設置面
積を必要としていた。

D.考案が解決しようとする課題 ビル火災が社会問題化されている昨今においては、絶
縁の信頼性，防災性，保守性に優れたモールド変圧器が
多く使用されるようになってきており、特に地価が高騰
し、建設費が嵩むビル用変電設備においては、新設，更
新にかかわらず設置面積の最小化が求められている。

このような要請に対応するためにモールドコイルの表
面を導電処理して接地し、モールド変圧器全体を接地層
で覆うことにより、他の構造物との間の絶縁距離を短縮
して設置面積の縮小化をはかるが、その際に端子部分等
高圧露出導電部の処理が問題となる。本考案はこの露出
導電部を無くして上記問題の解決を図ったものである。

E.課題を解決するための手段 （１）モールドしたコイル表面に接地層が施されている
モールド変圧器の高圧端子において、前記モールドと一
体にテーパ孔を設け、該テーパ孔内に高圧側コイル接続
されたスリップオンコンタクトを設け、該スリップオン
コンタクトにケーブルの端末を挿入するとともに、該ケ
ーブルを弾性圧接体，圧接金具，および保護管で圧接保
持する。

F.作用 ケーブルの端末の絶縁被覆を除去し、このケーブルに
弾性圧接体，圧接金具および保護管を嵌装してテーパ孔
に挿入し、ケーブルをスリップオンコンタクトに接続し
て締め付け手段により締め付ける。

また、モールド全体は接地層で覆われ、また、高圧端
子の外表面も接地層で完全に被覆され、且つ弾性圧接体
により接触部は気密に保持されるので安全性が確保され
る。

G.実施例 第１図，第２図は本考案の一実施例を示す図で、第１
図はモールド変圧器の正面図を、第２図はケーブルを接
続する高圧端子部の断面図である。

第１図，第２図において１は鉄心、８はモールドコイ
ルで、81は高圧側コイル、82はモールド樹脂、83はモー
ルド樹脂82の表面を導電処理して接地した接地層、9,91
はケーブル接続用高圧端子部とその接地層、10はテーパ
孔11の奥に設けられて高圧側コイル81の一端が接続され
たスリップオンコンタクト、12は合成ゴム等からなる絶
縁性の弾性圧接体、13は圧接金具、14は金属製の保護
管、15は締め付け用ボルト，ナット、16はケーブルであ
る。

スリップオンコンタクト10により容易に接続すること
ができるケーブル16の端末に、弾性圧接体12,圧接金具1
3,保護管14を嵌装してテーパ孔11に挿入し、ケーブル16
をスリップオンコンタクト10に接続して締め付けナット
15を締め付ける。締付力は保護管14,圧接金具13を押し
て弾性圧接体12によりケーブル16をテーパ孔11に気密に
圧接する。テーパ孔の深さ，テーパ，圧接荷重を適切に
選ぶことにより各種電圧階級に対応することができる。

第３図は本考案の他の実施例を示す図であって、圧接
金具13を保護管14内に設けた圧接ばね17により圧接する
ようにしたものである。このようにすることより弾性圧
接体12の劣化等により弾力が減少した場合に圧接ばね17
の圧接力により弾性圧接体12を押し付けてケーブル16の
テーパ孔11への圧接を確実なものとするとともに、保護
管14の締め付け部における隙間を無くして塵埃の付着を
防止したものである。

H.考案の効果 本考案に係るモールド変圧器用高圧端子は、ケーブル
との接触部を包囲する外表面、すなわち端子部モールド
表面に設けた導電処理層，圧接金具，保護管が接地され
て接地層で完全に覆われているから、安全柵を設けた
り、接地金属ケース等に収納することなく、他の構造物
に接近させて直接モールド変圧器を設置することができ
て、その設置面積を最小にすることができる。また、ケ
ーブルは気密を保つ圧接保持させるから腐食性ガスや水
分，塵埃等が接触部に侵入することを防止する。このよ
うに優れた安全性や耐環境性を有して、且つ設置面積を
最小にするという実用的な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図は本考案の一実施例を示す図で、第１図
は正面図、第２図は第１図の要部断面図である。第３図
は本考案の他の実施例を示す要部断面図である。また、
第４図，第５図は従来例を示すモールド変圧器の正面図
と側面図である。 ８…モールドコイル、９…高圧端子、10…スリップオン
コンタクト、11…テーパ孔、12…弾性圧接体、13…圧接
金具、14…保護管、16…ケーブル、83,91…接地層。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モールドしたコイル表面に接地層が施され
   ているモールド変圧器の高圧端子において、前記モール
   ドと一体にケーブル接続用高圧端子部を設け、該高圧端
   子部にテーパ孔を設け、該テーパ孔内の奥に高圧側コイ
   ルと接続されたスリップオンコンタクトを設け、該スリ
   ップオンコンタクトにケーブルの端末を挿入して接続す
   るとともに、該ケーブルに、その端末から弾性圧接体，
   圧接金具および金属製の保護管の順に嵌装し、弾性圧接
   体の外周を前記テーパ孔に嵌合するテーパ状となし、保
   護管の締め付けにより圧接金具を介して弾性圧接体をテ
   ーパ孔に押圧してケーブルをテーパ孔に圧接保持すると
   ともに、ケーブル接続用高圧端子部のモールド表面に接
   地層を設け、且つこの接地層と前記圧接金具および保護
   管とを接地してケーブル接続用高圧端子部を接地層で覆
   ったことを特徴とするモールド変圧器用高圧端子。