JP2539633B2 - 重量センサ−装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、荷重を発振周波数の変化として測定する重
量センサー装置に関する。

〔従来の技術〕

特公昭61−8377号公報や特開昭55−33607号公報など
は、磁性材料のワイヤーに荷重による張力を作用させ、
そのワイヤーに巻き付けたコイルのインダクタンス変化
から、荷重を測定することを開示している。

しかし、上記技術によると、２層構造の特殊なワイヤ
ーが必要であったり、またトロイダル磁心など特別な仕
様の磁心が不可欠であるため、構造が複雑であって、し
かも構成も一般的なものでなく、実用化が困難である。

〔発明の目的〕

したがって、本発明の目的は、ワイヤーとコイルとの
磁気的構成部分を単純化することである。

〔発明の解決手段〕 そこで、本発明は、アモルファス金属材料の張力に対
する透磁率の変化に着目し、測定対象の重量をアモルフ
ァス金属材に張力として与え、このときのアモルファス
金属材の透磁率の変化をコイルのインダクタンスの変化
として取り出し、このインダクタンスの変化を発振回路
の発振周波数の変化として検出し、これら測定対象の重
量を間接的に測定するようにしている。

このような解決手段によると、ワイヤーに直接荷重が
掛けられ、しかもワイヤーの構造もきわめて簡単化でき
る。

〔実施例〕

まず、第１図は、重量センサー装置１の機械的な構造
を示している。

この重量センサー装置１は、測定対象の重量を軸２に
対するスラスト方向の荷重として受け、この軸２の荷重
を電気量に変換するために、アモルファス金属材３およ
び検出用のコイル４を備えている。このアモルファス金
属材３は、アモルファス金属を材料とする線状体つまり
ワイヤー状であり、荷重の方向に対してコイル４の配置
方向に自由度をもたせるために、フレーム８の定位置で
回転自在に支持されたプーリ５に巻き掛けられ、一端で
フレーム８上の固定部６に固定され、また他端でフレー
ム８の収納部９の内部で荷重受け部７に固定されてい
る。

なお、上記プーリ５は、フレーム８上で、プーリ取り
付け台10およびプーリ軸11によって回転自在に支持され
ている。また、荷重受け部７は、例えば板状であり、軸
２の下端面に接していて、荷重を受けたときに、案内体
12により収納部９の内部を滑りながら移動するように支
持されている。

そして、上記コイル４は、アモルファス金属材３の適
当な位置に、それを中心として巻回された状態で、ホル
ダー13などによって支持されている。

次に、第２図は、発振回路14の一例を示している。こ
の発振回路14は、Ｌ−Ｃ反結合型であり、反転増幅器15
の入出力端側とアース16との間に、コンデンサ17、18を
接続し、またこの反転増幅器15に対し、前記コイル４を
並列に接続し、反転増幅器15の出力側の出力端子19から
出力を取り出すようになっている。

軸２に重量が作用してないとき、アモルファス金属材
３は、無負荷状態であり、外部からほとんど張力を受け
ていない。しかし、この状態で、軸２に測定対象の重量
が作用すると、この軸２の荷重は、荷重受け部７に与え
られ、アモルファス金属材３に延び方向の張力として加
えられる。

アモルファス金属材３に張力が加えられて、緊張する
と、そのアモルファス金属材３の透磁率は、その張力の
大きさに応じて変化する。このようにして、コイル４の
中心位置で、アモルファス金属材３の透磁率が変化する
と、コイル４のインダクタンスは、その透磁率に応じて
変化するため、発振回路14の出力の発振周波数は、透磁
率の変化、すなわち測定対象の荷重の変化に応じて変動
することになる。

第３図および第４図は、それぞれコバルト合金系アモ
ルファスおよび鉄合金系アモルファスの荷重−発振周波
数の特性を示している。アモルファス金属材３がコバル
ト合金系アモルファスによって構成されているとき、そ
の荷重−発振周波数特性は、ほとんど比例直線として現
れており、また鉄合金系アモルファスのときには、荷重
−発振周波数の特性は、Ｓカーブに近い状態となって現
れる。

このように、測定対象の荷重がアモルファス金属材３
に張力として作用し、その透磁率が変化するとき、発振
回路14の発振周波数は、荷重の大きさに応じて変化する
ことになる。したがって、測定対象の重量は、この発振
周波数を識別することによって間接的に測定できること
になる。

なお、鉄合金系アモルファスのＳカーブ状の周波数特
性は、発振回路14または別の補正回路の逆特性によっ
て、電気的に相殺できるほか、プーリ５をフュージュの
ような偏心プーリの輪郭曲線の設定によって機械的に直
線的な特性に変換できる。

〔他の実施例〕

前記実施例は、プーリ５を用いることにより、荷重の
作用方向と、アモルファス金属材３の検出位置での張力
の作用方向を異なる方向に設定している。しかし、この
張力の方向は、第５図に示すように、アモルファス金属
材３の方向を軸２の方向に対して平行とし、その一端を
固定部６に固定し、また他端を直接軸２に固定すること
によっても実現できる。この場合、軸２は、フレーム８
に対し、軸線方向に滑り移動可能な状態で支持されてい
る。

ちなみに、この重量センサー装置１は、電子レンジの
ターンテーブルの部分に組み込み、食品の重量を検出す
るほか、秤や圧力計などに応用できる。

〔発明の効果〕

本発明では、次の特有の効果が得られる。

測定対象の重量が直接アモルファス金属材の張力に変
換され、この張力による透磁率の変化から検出用のコイ
ルのインダクタンスの変化が発振周波数の変化として取
り出せるため、荷重の変換過程で、機械的な誤差が最小
限度に抑えられる。

測定対象の重量すなわち荷重がワイヤー状のアモルフ
ァス金属材の張力に変換される過程で、その材料の弾性
特性が重要な要素となっておらず、透磁率の変化が長時
間の使用後でも安定しているため、長時間に渡って高い
測定精度が確保できる。

特に、アモルファス金属材が単純なつまり均質な線状
体であるから、多層構造や環状コアなどのものに比較し
て、構成が簡単で製作が容易であり、しかも線状体に対
して荷重が直接に掛けられないので、力（荷重）の伝達
経路が簡略化できる。

また、アモルファス金属材の磁気的変化がコイルのイ
ンダクタンスの変化、さらにそれを含む発振回路の発振
周波数の変化として検出されるので、インダクタンスそ
のものやコイルの出力信号の波高値の測定などに比較し
て、検出対象の測定手段が簡単な構成でよく、測定値の
処理も容易となる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の重量センサー装置の側面図、第２図は
発振回路の回路図、第３図および第４図は荷重−発振周
波数の特性のグラフ、第５図は他の実施例の側面図であ
る。 １……重量センサー装置、２……軸、３……アモルファ
ス金属材、４……コイル、５……プーリ、６……固定
部、７……荷重受け部、８……フレーム、14……発振回
路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】張力により透磁率が変化するワイヤー状の
   アモルファス金属材と、このアモルファス金属材の一端
   を固定する固定部と、上記アモルファス金属材の他端側
   に連結され外部からの荷重を受けて移動する荷重受け部
   と、上記アモルファス金属材を中心として巻回した検出
   用のコイルと、このコイルを含み当該コイルのインダク
   タンスの変化により発振周波数を変える発振回路と、か
   らなり、上記アモルファス金属材を荷重により緊張さ
   せ、上記コイルのインダクタンスの変化にもとづく、上
   記発振回路の発振周波数の変化を検出することにより、
   上記荷重を測定することを特徴とする重量センサー装
   置。