JP2539517Y2 - 天井吊架装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ルーバー天井、化粧天
井その他の吊架天井材を吊架設置するための天井吊架装
置にかかり、特にハット型ランナーの吊架設置に適した
天井吊架装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、天井スラブに埋設されたインサー
トなどから垂下した吊りボルトに掛止具や挟着具等の吊
架具を螺着し、この吊架具によって長尺状支持材（ラン
ナー）の途中を複数個所掛止乃至挟着して、支持材を所
定間隔をもって縦横若しくは一列状に配設し、これら支
持材に天井材を掛止し、複数枚並設して天井面を形成す
る吊架天井が施工されている。上記支持材は、交差方向
においては、両支持材の中間部を互いに係合させるか、
又は一方の支持材端面を他方の支持材中間部に掛止させ
る構成であり、長尺方向においては、両支持材間に一つ
のコネクターを介装させるものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記のよう
な従来の構成とは異なり、支持材中間部を吊架する方式
ではなく、吊りボルトに吊架した吊架具に、支持材の端
部を掛止させ、従って、支持材同士を交差させたり直接
連結したりすることなく、支持材をすべて吊架具に掛止
させることによって、縦横その他任意の方向に支持材を
連結可能とし、支持材への施工作業を省略化し、天井施
工作業をより一層効率化し、同時に目地が連続する良好
な外観の天井面を形成し得る天井吊架装置を提供せんと
するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本考案は、下方に関放した目地溝の長手方向沿いの両
側に掛止鍔部を有すると共に上側に上方開口の溝状部を
有するハット型の長尺支持材を架設し、上記支持材の掛
止鍔部に天井材の縁部を掛止して天井面を形成する天井
吊架装置において、 上記支持材の目地溝の底面と同一面
の溝面を形成して支持材端部に当接する当接部の一側
に、上記支持材の溝状部に嵌合可能な支持材固定部を設
け、且つ他側に吊架具の掛止縁に上方から掛止可能な鉤
状の掛止部を設けた連結部材と、 天井スラブに埋設した
インサートなどから垂下した吊りボルトの端部に螺着す
るねじ部を有すると共に、上記ねじ部の外周部には連結
部材の掛止部を受ける掛止縁を設け、且つ底面を上記支
持材の目地溝の底面と合致する同一の平坦な底面として
なる吊架具とを少なくとも有し、 上記支持材の溝状部に
支持材固定部を嵌合して連結部材を支持材端部に取付
け、当該連結部材の掛止部を吊りボルトに螺着された吊
架具の掛止縁に掛止して上記支持材を、上記支持材の目
地溝の底面と連結部材の溝面と吊架具の底面とを同一面
として吊架するように構成したことを特徴としている。

【０００５】上記構成において、掛止鍔部を除き目地溝
を閉塞する支持材端面と同形状の壁面からなる当接部の
上部に、吊架具の掛止縁に上方から掛止可能な下向き鉤
状の掛止部を突設し、下端に支持材の掛止鍔部と同じ張
出状の縁辺を形成してなる閉塞部材を具備し、この閉塞
部材を連結部材を掛止しない吊架具の掛止縁に掛止して
支持材吊架端面を収めるように構成してもよい。

【０００６】

【作用】吊りボルト下部に好ましくは固定プレートを遊
嵌してから、端部に吊架具を螺着し、一方、支持材の端
部に連結部材を嵌合固定し、この連結部材の掛止部を吊
架具の掛止縁に掛止して支持材を所定方向に配設し、該
所定方向以外の面において必要に応じて閉塞部材を吊架
具に掛止し、好ましくは吊架具に掛止した各連結部材と
閉塞部材の上面部に固定プレートを圧接させ、上記支持
材の掛止鍔部に天井材の縁部を掛止して天井面を形成す
る。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面によって説明
する。本考案の天井吊架装置は、支持材１、連結部材
２、吊架具３、必要に応じて閉塞部材４と固定プレート
６、及び吊架具３を固定する吊りボルト５の各部材の組
合せにより構成されている。

【０００８】支持材１は、図１，４に示す如く、天井材
Ａを掛止するために天井面全体に亘って縦横乃至任意方
向に配設される長尺体であり、その下部は、下方に開放
した目地溝１１の長手方向沿い両側下端に掛止鍔部１２
を外側に張出してハット型に形成され、この掛止鍔部１
２の上面でルーバー等の天井単位体としての天井材Ａの
縁辺部を掛止可能としてある。掛止鍔部１２の付根部上
面には補強のためのストッパー１５が略垂直に上向きに
突設させてある。 また、支持材１の上部は、略Ｌ字状に
屈曲形成した上枠部１４を長手方向沿い両側上面に設け
てリップ溝状部１３を有するリップ溝型に形成されてい
る。上枠部１４の上面は、一端側をリップ溝状部側に適
宜幅張出させ、他端側を支持材１の外方に張出させると
共に、先端部１６を上記ストッパー１５と向かい合わせ
となるように下向きに折り曲げて補強してある。

【０００９】連結部材２は、図１，５に示す如く、支持
材１の端面全体に当接する当接面２１ａを有する当接部
２１と、支持材１のリップ状溝部１３に嵌合し得るよう
に適宜長さ突設させて形成された支持材固定部２４と、
吊架具３の掛止縁３３に上方から掛止し得るように下向
き鉤状に形成された掛止部２６とからなっている。 当接
部２１は、支持材１の掛止鍔部１２，１２と下面が同面
となるように縁片２２，２２を設けると共に、支持材１
の目地溝１１の底面と同面となる溝面２３を設けて略々
門形状となるように形成し、支持材固定部２４を支持材
１のリップ溝状部１３に嵌合した状態で、当接面２１ａ
が支持材１の端面全体に当接するように設けてある。 支
持材固定部２４の中間部には、上下に貫通したねじ孔２
５が形成してあり、このねじ孔２５に適宜長さの雄ねじ
部を有する締付ねじ１７が螺挿されるようになってい
る。 掛止部２６の上面には、固定プレート６を受けるた
めに当該固定プレートの略厚み分だけ凹ませた凹面２８
が設けてあり、また、掛止部２６の鉤状先端部から当接
部２１に亘る連結部材２の両側面部はテーパ面２７とし
てある。

【００１０】吊架具３は、図１，６に示す如く、インサ
ートなどに固定されて垂下した長さ調整可能な吊りボル
ト５（符号８は長さ調整具であるが吊りボルトの構成は
任意である）の端部に螺着する上向きねじ穴を有したね
じ部３１と、ねじ部３１の周囲に形成された上記連結部
材２の掛止部２６が挿入可能な間隙３２と、この間隙３
２の外側に上記掛止部２６が掛止可能に立壁状に形成さ
れた掛止縁３３とを有して設けてある。吊架具３の底面
３４は、支持材１の目地溝１１の目地底面と合致する平
坦面とし、且つ底面３４の縦横幅を目地溝１１の目地幅
と合致するように、略同寸で形成してある。なお、ねじ
部３１の高さと掛止縁３３に掛止した連結部材２の掛止
部２６及び閉塞部材４の掛止部４３の凹面とは同高とな
るように設定するのが好ましい。

【００１１】閉塞部材４は、図１，７に示す如く、上記
連結部材２の溝面２３を塞いだ状態の閉塞面からなる当
接部４１と、吊架具３の掛止縁３３に上方から掛止し得
るように下向き鉤状に形成された掛止部４３とからなっ
ている。 上記当接部４１は、連結部材２の当接部２１に
形成されたテーパ面部分の肉厚相当の厚みを以て形成
し、かつその両側面部を連結部材２と同様にテーパ面と
して形成すると共に、当接部４１の、掛止部４３が設け
られた面の他方側の面の下端には、連結部材２の縁片２
２の突出幅と同幅で水平状に張出形成した縁片４２が形
成してある。また、上記掛止部４３の上面部から当接部
４１の上面部に亘って上記連結部材２の凹面２８と同様
の凹面４４が形成してある。

【００１２】吊りボルト５は、図１に示す如く、天井ス
ラブに埋設されたインサートなどから任意構成により長
さ調整具８を介して垂下し、固定プレート６を締め付け
るナット７が螺着してある。

【００１３】固定プレート６は、図１，２に示す如く、
上記吊架具３の周囲に掛止した連結部材２及び閉塞部材
４の上面部に接合可能な面形状（大きさ）を有する平面
板であり、その中央部から周縁部にわたって吊りボルト
挿通孔６１が穿設してある。

【００１４】上記各構成部材は以下の手順で装着する。
吊架する支持材１の両端のリップ状 溝部１３に支持材固
定部２４を嵌合し、当該支持材固定部２４のねじ孔２５
に螺着した締付ねじ１７を締め付けて、連結部材２を支
持材１の両端部に固着する。 吊りボルト５にはナット７
及び固定プレート６を装着しておき、この吊りボルト５
の端部にねじ部３１を螺着して吊架具３を固着する。吊
架具３は、支持材１で支持する天井材Ａのコーナー部の
配設位置に対応させて設けておき、また、吊架具３の高
さは調整具８で適宜調整しておく。 次に、吊架具３の掛
止縁３３に、支持材１の端部に取付けられた連結部材２
の掛止部２６を掛止して支持材１の一端部を吊架具３で
吊架し、他端部側も同様に吊架して、支持材１を吊架具
３間に吊架固定する。 閉塞部材４は、連結部材２を掛止
しない吊架具３の掛止縁３３に、掛止部４３を掛止して
取り付ける。 吊架具３に連結部材２及び閉塞部材４を掛
止した後、固定プレート６を各部材上面に接合すると共
に、この固定プレート６をナット７で締めつけて固定
し、各構成部材の装着が完了する。 構成部材装着完了状
態において、図２に示すように、支持材１の目地溝１１
の底面，連結部材２の溝面２３及び吊架具３の底面３４
が同一平面となるので、天井面の目地部を、外観の良好
な連続したものとすることができる。 閉塞部材４を連結
部材２を掛止しない吊架具３の掛止縁３３に掛止するこ
とにより、吊架具３に吊架する支持材１の端部を閉塞部
材４の当接部４１によりきれいに収めることができる。
また、連結部材２及び閉塞部材４の両側面部にテーパ面
が形成されていることにより、吊架具３に連結部材２又
は閉塞部材４を掛止したときに、これら部材の先端部
と、これらに隣接して吊架具３に掛止された連結部材２
又は閉塞部材４の先端部とが、テーパ面同士を接合して
吊架具３の周囲に配設され、各部材間で隙間を生じさせ
ることがなく、収まりがよい。 さらに、各部材の上面に
固定プレート６が固定されているので、各部材の浮き上
がりが防止され、掛止状態を安定させることができる。
また、同時に、ナット７の締め付けにより吊架具３と吊
りボルト５との螺着状態も一層安定したものとなる。

【００１５】図８は支持材１の連結方向を例示した略図
であり、例えば、４本の支持材１を四方向に連結した所
謂クロス型連結は、図内の上方図の如く、吊架具３の周
縁四辺から連結部材２が掛止し、室内側から見て、各支
持材１の目地溝１１は吊架具３の底面３４によって連続
するが、上記の通り支持材１の目地溝１１と吊架具３の
底面３４とが同一平面で連続し、従来のように連結部に
よって目地溝が断続的になることがない。

【００１６】３本の支持材１を三方向に連結した所謂テ
ィーズ型連結は、同図内の右下図の如く、吊架具３の周
縁三辺に連結部材２が掛止し、他の一辺には閉塞部材４
が掛止することにより、室内側から見て、各支持材１の
目地溝１１はＴ字状に同一平面で連続形成されることに
なる。Ｔ字の突き当たり面は閉塞部材４によって、直線
方向（図示左右方向）に連結した支持材１，１の外側面
（図示下側面）が連続状となり、外観がすっきり統一さ
れる。

【００１７】２本の支持材１を直角方向に連結した所謂
エルボ型連結は、同図内の左下図の如く、吊架具３の隣
接二辺に連結部材２が掛止し、他の二辺には閉塞部材
４，４が掛止することになり、室内側から見て、目地溝
１１が直角に、且つ同一平面で連続し、支持材１，１の
外側面も連続し、統一された外観となる。

【００１８】図示はしていないが、二本の支持材１，１
を直線状に連結する場合には、吊架具３の対向二辺に連
結部材２，２を掛止し、他の二辺に閉塞部材４，４を掛
止させればよい。一本の支持材１の一端のみを吊架具３
に掛止して収める場合には、他の三辺に閉塞部材４，
４，４を掛止させればよい。

【００１９】吊設した各支持材１には、図３に示す如
く、その掛止鍔部１２に天井材Ａの縁辺部を載置させれ
ばよい。並設された天井材Ａは自重によって安定して定
置されるが、接着剤を併用し、或いは支持材１に係止用
突起爪を形成しておいて係止させる等の補助手段を併用
するのは任意である。

【００２０】図示例においては、吊架具３を底面視正方
形の外形が方形体として形成し、その周壁の各縁辺に連
結部材２又は閉塞部材４との掛止縁３３を設けた例を示
してあり、これによれば最大四方向に支持材１を連結
し、各支持材１同士の接合も直交状、直線状など任意で
ある。

【００２１】図示しないが、吊架具３の周面を底面視円
形状とし、掛止縁３３を円環状に形成することができ
る。この場合、連結部材２の掛止部２６の両側面及び当
接部２１の掛止部側面は該円環状に沿う曲面として形成
し、閉塞部材４の掛止部４３の両側面及び当接部４１の
掛止部側面も同様曲面として形成される。さらにまた、
上記二例の変形として、交差する支持材１，１を直交方
向以外の斜め方向に連結することも可能である。この場
合には吊架具３が底面視方形の場合には直角四角形以外
の例えば菱形その他の形状として形成すればよく、吊架
具が方形の場合であっても、円形であっても、斜め方向
に連結可能な連結部材及び閉塞部材の掛止形態とすれば
よく、本考案はこれらの変形を含むものである。

【００２２】

【考案の効果】以上のように、本考案によれば、ハット
型支持材の両端部に連結部材を嵌合固定し、この連結部
材を吊架具に掛止して支持材を吊架するように構成して
あるので、この吊架具の周囲の任意方向に支持材を簡単
に連結することができ、支持材設置の作業性を向上さ
せ、天井面の施工作業を省力化することができる。

【００２３】この場合、室内側から天井面を見ると、支
持材の目地溝の底面，連結部材の溝面及び吊架具の底面
が連続した同一面となり、天井面の目地をきれいな外観
とすることができる。

【００２４】また、吊架具の連結部材が掛止されない掛
止縁に閉塞部材を掛止することにより、吊架具の周縁に
三方向の支持材を連結するティーズ型連結、直角方向に
支持材を連結するエルボ型連結などのあるゆる連結構成
において、支持材の連結端部 を当該支持材の両側面と連
続したきれいな面に収めることができる。

【００２５】さらに、吊架具に連結部材と閉塞部材を掛
止した後、これら部材の上面部に固定プレートを圧接す
ることにより、掛止している各部材の浮き上がりを防止
して当初の掛止状態を安定的に保持し、天井面のずれな
どを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る天井吊架装置の分解斜視図であ
る。

【図２】支持材を吊架具に吊架した状態の断面図であ
る。

【図３】支持材に天井材を載置した状態の断面図であ
る。

【図４】支持材の斜視図である。

【図５】連結部材の斜視図である。

【図６】吊架具の斜視図である。

【図７】閉塞部材の斜視図である。

【図８】本考案に係る吊架天井面の一部を示した室内側
部分図である。

【符号の説明】

１ 支持材 ２ 連結部材 ３ 吊架具 ４ 閉塞部材 ５ 吊りボルト ６ 固定プレート １１ 目地溝 １３ リップ溝状部 ２１ 当接部 ２４ 支持材固定部 ２６ 掛止部 ３３ 掛止縁 ４１ 当接部 ４３ 掛止部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下方に開放した目地溝の長手方向沿いの
   両側に掛止鍔部を有すると共に上側に上方開口の溝状部
   を有するハット型の長尺支持材を架設し、上記支持材の
   掛止鍔部に天井材の縁部を掛止して天井面を形成する天
   井吊架装置において、 上記支持材の目地溝の底面と同一面の溝面を形成して支
   持材端部に当接する当接部の一側に、上記支持材の溝状
   部に嵌合可能な支持材固定部を設け、且つ他側に吊架具
   の掛止縁に上方から掛止可能な鉤状の掛止部を設けた連
   結部材と、 天井スラブに埋設したインサートなどから垂下した吊り
   ボルトの端部に螺着するねじ部を有すると共に、上記ね
   じ部の外周部には連結部材の掛止部を受ける掛止縁を設
   け、且つ底面を上記支持材の目地溝の底面と合致する同
   一の平坦な底面としてなる吊架具とを少なくとも有し、 上記支持材の溝伏部に支持材固定部を嵌合して連結部材
   を支持材端部に取付け、当該連結部材の掛止部を吊りボ
   ルトに螺着された吊架具の掛止縁に掛止して上記支持材
   を、上記支持材の目地溝の底面と連結部材の溝面と吊架
   具の底面とを同一面として吊架するように構成した天井
   吊架装置。
2. 【請求項２】 掛止鍔部を除き目地溝を閉塞する支持材
   端面と同形状の壁面からなる当接部の上部に、吊架具の
   掛止縁に上方から掛止可能な下向き鉤状の掛止部を突設
   し、下端に支持材の掛止鍔部と同じ張出状の縁辺を形成
   してなる閉塞部材を具備し、この閉塞部材を連結部材を
   掛止しない吊架具の掛止縁に掛止して支持材吊架端面を
   収めるように構成した請求項１に記載の天井吊架装置。