JP2539220B2 - エンジンの始動充電装置 - Google Patents

エンジンの始動充電装置

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JP2539220B2 JP14574787A JP14574787A JP2539220B2 JP 2539220 B2 JP2539220 B2 JP 2539220B2 JP 14574787 A JP14574787 A JP 14574787A JP 14574787 A JP14574787 A JP 14574787A JP 2539220 B2 JP2539220 B2 JP 2539220B2
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和彦 上田
浩康 内田
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Matsuda KK
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Matsuda KK
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、始動電動機(セルモータ)としての機能と
充電発電機(オルタネータ)としての機能を併わせ持っ
たエンジンの始動充電装置に関するものである。
(従来の技術) 従来、例えば特公昭61−54949号公報に記載されてい
るように、フライホイールの外周に回転界磁極を形成
し、その内側に励磁用のフィールドコイルを、また、外
側には回転磁界をつくるステータコイルを設けた始動充
電装置が知られている。このような始動充電装置は、セ
ルモータとしての機能とオルタネータとしての機能を併
わせ持ち、さらに、回転界磁極を有するフライホイール
をクランク軸と変速機駆動軸を断続するクラッチの担体
として兼用してエンジン動力伝達系にコンパクトに組み
込むことができるだけでなく、ステータコイルへの通電
制御によってフライホイールを加速・減速することで、
トルク変動をなめらかにするような制御ができるという
点でも、高く位置付けることができる。
ところで、このような始動充電装置においては、エン
ジン本体側に取り付けられるフィールドコアおよびステ
ータコアに対して、回転界磁極およびこれと一体のフラ
イホイールが回転するので、ステータコアと界磁極の
間,回転界磁極とフィールドコアの間およびフィールド
コアとフライホイールの間に間隙すなわちエアギャップ
を設ける必要があるが、フィールドコイル周りあるいは
ステータコイル周りに磁束通路を確保して強い磁界をつ
くるためには、言うまでもなくこれらエアギャップはで
きるだけ小さい方がいい。エアギャップが大きいと磁束
通路が遮断されて始動充電装置が作動不能となったり十
分な出力が得られなくなったりする。ところが、これら
の間隙をあまり小さくすると、組み付け上のばらつきか
ら、金属接触が生じて駆動抵抗が大きくなり、最悪の場
合には焼き付きを起こしてしまう。とくに、クランク軸
に平行な方向のエアギャップは、もともと真円加工の制
度が出しにくい上に、エンジン本体側に取り付けられる
部材(フィールドコア,ステータコア)に対して、クラ
ンク軸側に取り付けられる回転界磁極およびフライホイ
ールの心合わせの精度も出にくく、しかも介在する部品
が多いということで、必要な磁界の強さが確保できるよ
う狭く設定することは困難である。それに対して、軸方
向に対して直交するエアギャップというのは、クランク
軸が、スラストメタルによってシリンダブロックに対し
軸方向に位置規制されており、また平面加工なので、比
較的エアギャップの精度が出やすいということはある。
しかし、始動充電装置の径方向寸法を抑えてエンジンを
コンパクトに形成するためには、ステータコアと回転界
磁極の間以外に最低もう一箇所はどうしてもクランク軸
方向のエアギャップとならざるを得ない。すなわち、エ
アギャップ形成面を半径方向ではなく軸方向に延長させ
ることで径方向寸法を抑える。また、クランク軸方向の
エアギャップにしろ、クランク軸に直交するエアギャッ
プにしろ、いずれにしても、これらエアギャップを、必
要な強さの磁界を得るため例えば0.4mm程度に抑えたの
では、上記組み付け精度や加工精度が十分に出なかった
場合、金属接触により駆動抵抗が大きくなるのを避ける
ことができない。
(発明の目的) 本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、
磁束通路に形成されるエアギャップを縮小して強い磁界
を確保することができ、しかも摺動抵抗の増大を抑える
ことのできるエンジンの始動充電装置を得ることを目的
とする。
(発明の構成) 本発明は、エアギャップを縮小して磁界の強度を確保
しなければならないと同時に、とくに精度の出にくいク
ランク軸方向のエアギャップに発生する摺動抵抗を抑制
しなければならないというエンジンの始動充電装置に特
有な課題が、自己潤滑性物質の利用によって解決し得る
ことを見い出したものであって、その構成はつぎのとお
りである。すなわち、本発明に係るエンジンの始動充電
装置は、エンジンのクランク軸に取り付けられた回転界
磁極と、該回転界磁極および該回転界磁極と一体の回転
部材に近接してエンジン本体側に取り付けられたフィー
ルドコアと、該フィールドコアに取り付けられたフィー
ルドコイルと、前記回転界磁極に近接してエンジン本体
側に取り付けられたステータコアと、該ステータコアに
巻かれたステータコイルを備え、前記ステータコアと前
記回転界磁極の間,前記回転界磁極と前記フィールドコ
アの間および前記フィールドコアと前記回転部材の間に
微小なエアギャップが設けられたエンジンの始動充電装
置において、少なくともクランク軸に平行なエアギャッ
プに自己潤滑性のある物質を介在させたことを特徴とし
ている。
(作用) 回転界磁極,回転界磁極と一体の回転部材およびフィ
ールドコアは、フィールドコイル周りに磁束通路を形成
し、また、ステータコアおよびこれと同心的に対峙する
回転界磁極によってステータコイル周りの磁束通路が形
成される。クランク軸と直交する方向のエアギャップは
もとより、さらに精度の出にくいクランク軸に平行なエ
アギャップについても、ギャップ寸法は磁界の強度が確
保できるよう微小なものとされているが、少なくともク
ランク軸に平行なエアギャップには自己潤滑性物質が介
在しているので、これらの部分での摺動抵抗は小さく抑
えられる。
したがって、フィールドコイルに電流が流れることに
よって回転界磁極が強力に励磁されるとともに回転界磁
極およびフィールドコイルの相互が強力に作用し合い、
始動電動機あるいは充電発電機としての機能を十分に発
揮する。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、手動変速機付きのV型エンジンに適用され
た本発明の一実施例を示す全体図である。
同図に示すように、エンジンのクランク軸1の軸端に
は、磁界を遮断するためのステンレス製のディスク2を
介してフライホイール3(回転部材)が固定されてお
り、フライホイール3の外周縁部に、等間隔の爪部を有
するポールコア4が形成されている。そして、このポー
ルコア4には、同数の爪部を有するもう一方のポールコ
ア5が非磁性体のリング6によって結合されていて、そ
れぞれの爪部が円周方向に交互に間隔をあけて位置し、
回転界磁極を構成している。そして、ポールコア4,5の
径方向内側には、これを励磁するためフィールドコイル
7が設けられ、また、ポールコア4,5の径方向外側に僅
かな間隙を狭んで設けられたステータコア8には三相の
分布巻にしたステータコイル9が取り付けられている。
フィールドコイル7が巻かれたフィールドコア10は、磁
界を遮断するためのアルミ製のプレート11を介してシリ
ンダブロック12に固定されており、フライホイール3と
は軸方向に僅かな間隙をもって対向し、また、ポールコ
ア5とは径方向に僅かな間隙をもって対向している。ス
テータコア8は、リング状の珪素鋼板の積層体であっ
て、支持枠13に嵌着されシリンダブロック12に固定され
ている。そして、ポールコア4,5とステータコア8との
上記間隙,ポールコアの一方5とフィールドコア10との
上記間隙およびフィールドコア10とフライホイール3と
の上記間隙は、第2図に示すようないずれも0.4mm程度
のエアギャップ14,15,16を構成し、また、これらのエア
ギャップ14,15,16には、同図に示すような形で自己潤滑
性物質17,18,19が設けられている。
すなわち、ポールコア4,5とステータコア8の間のエ
アギャップ14上はテフロンあるいはカーボン等の自己潤
滑性物質17の層が設けられ、この自己潤滑性物質17の層
を介する接触によって位置決めが行われている。これら
の層は、ポールコア4,5の外面あるいはステータコア8
の内面に固着されている。また、ポールコアの一方5と
フィールドコア10の間のエアギャップ15の対向面にはそ
の一方に同様の自己潤滑性物質18のコーティング層が形
成されている。さらに、エアギャップ16を形成するフィ
ールドコア10のフライホイール3との対向面は、カーボ
ン軸受などの自己潤滑性メタル19が埋め込まれることで
スラスト方向の位置決めが行われている。したがって、
これらのエアギャップ14,15,16はいずれも0.4mm程度と
小さいにもかかわらず、駆動抵抗の増大や焼き付きなど
を起こすことがない。また、0.4mm程度の小さいエアギ
ャップであるので、始動充電装置の出力も十分に得られ
る。
ところで、この実施例では、上記のようにフィールド
コア10がフライホイール3に対し軸方向に間隙をもって
対向している。つまり、フィールドコア10とフライホイ
ール3の間には、クランク軸に直交するエアギャップ16
が形成されるような構成となっている。この部分は、ポ
ールコア5とフィールドコア10の間のエアギャップ15と
同じように、クランク軸に平行なエアギャップとする方
が構造的にはむしろ簡単になるが、フライホイール3の
この部分は、軸方向の寸法を短くしてフィールドコア10
と軸方向に対向するような構造にすることができるし、
またそのようにクランク軸に直交するエアギャップとし
た方が組み付け上の精度も得やすく、また対向面の加工
精度も出しやすい。したがって、この部分をクランク軸
に直交するエアギャップ16とすること自体、摺動抵抗や
焼き付きを防止する有効な手段となっている。自己潤滑
性のメタル19を設けることでその効果はさらに助長され
ている。
さらに、この実施例ではつぎのような冷却手段が採用
されている。
つまり、ステータコア8に取り付けられたステータコ
イル9の周囲つまり径方向外方に、多数の連通路によっ
て連通された左右一対の環状で断面略矩形の冷却水パイ
プ20a,20bが設けられている。この冷却水パイプ20a,20b
には、シリンダブロック12のウォータジャケット21から
導かれた冷却水が流れる。また、フィールドコイル7の
中にも冷却水を流すパイプ22が設けられている。このパ
イプ22は、フィールドコア10に導体とともに巻きつけら
れたものであって、やはり、シリンダブロック12のウォ
ータジャケット21に連通している。さらにまた、フライ
ホイール3には、クラッチ側の内側凹陥部から外側のフ
ィールドコイル7側に向けて、フライホイールの反回転
方向に傾いた多数のエア通路23が穿設され、遠心力によ
ってエアがフィールドコイル7に吹きつけられるよう構
成されている。
ステータコイル9は、電流の流れる方向が変わるので
発熱量が多い。また、フィールドコイル7は、発熱量そ
のものは比較的少ないが、フライホイール3とフィール
ドコア10に囲まれているので熱の発散が悪い。しかし、
ステータコイル9とフィールドコイル7は、上記のよう
にして冷却水とエアによって効率よく冷却されるので、
いずれも所定温度(80℃程度)以下に抑えることができ
る。
このような始動充電装置において、フィールドコイル
7に電流が流れると、ポールコア4,5が励磁されて、S
極とN極が交互に並ぶ。そこで、始動時にはステータコ
イル9に通電することによってポールコア4,5にトルク
を発生させ、フライホイール3を介してクランク軸1を
回転させる。その際、ステータコイル9に流れる電流の
方向は、大きなトルクが得られるようクランク角に対応
して切り換えられ、始動充電装置はスタータとして機能
する。また、始動後は、ステータコイル9への通電を切
ってオルタネータとして機能させる。
始動充電装置のポールコアを兼ねるフライホイール3
の側面はクラッチ接触面を構成している。ここに用いら
れているクラッチは、つぎのような通常一般のダイヤフ
ラムスプリング式の単板クラッチであって、とくに特徴
はない。
シリンダブロック12に固定された支持枠13にクラッチ
ハウジング24が取り付けられ、該クラッチハウジング24
に変速機駆動軸25が軸支されている。この変速機駆動軸
25の一端はフライホイール3に嵌着されたベアリング26
に支持されている。変速機駆動軸25には、摩擦板27を備
えるクラッチディスク28が一体回転式に取り付けられ、
また、フライホイール3に固定されたクラッチカバー29
にはダイヤフラムスプリング30が支持されていて、常時
は、ダイヤフラムスプリング30がプレッシャープレート
31を介し摩擦板27をフライホイール3の側面に圧着して
いる。この圧着によって、クランク軸1と変速機駆動軸
25との間に動力伝達が行われる。また、その際の角速度
変動がダンパースプリング32によって吸収される。なお
クラッチペダルが踏み込まれると、レリーズフォーク
(図示せず)が、スリーブ33を介してダイヤフラムスプ
リング30の中央部を第1図で左方向に押すので、ダイヤ
フラムスプリング30はワイヤリング34,35を支点として
反転する。それによって、摩擦板27の圧着が解かれ、変
速機駆動軸25がクランク軸1から切り離される。
なお、上記実施例では、ポールコアとステータコアの
間は自己潤滑性物質の層により一部分接触させて位置決
めを行い、ポールコアとフィールドコアの対向面には自
己潤滑性物質をコーティングし、また、フィールドコア
のフライホイールとの対向面にはメタルを埋め込むとい
うように、各部位のエアギャップによって自己潤滑性物
質を設ける手段を変えているが、どのエアギャップに対
しどの手段を用いるかは適宜変更することができる。ま
た、自己潤滑性物質の種類あるいはそれらを介在させる
ための手段は上記のものに限定されない。さらに、軸方
向に直交するエアギャップについては、自己潤滑性物質
の介在を省略することもできる。
また、上記実施例は手動変速機付のエンジンに適用し
たものであるが、本発明は自動変速機付エンジンに対し
て適用することもできる。
本発明はその他いろいろな態様で実施することができ
る。
(発明の効果) 本発明は以上のように構成されているので、磁束通路
に形成されるエアギャップ、とくに、精度を出しにくい
クランク軸方向のエアギャップを、摺動抵抗を増大させ
ることなく縮小して始動充電装置の出力性能を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体概略図、第2図は
同実施例の要部詳細図である。 1:クランク軸、3:フライホイール、4,5:ポールコア、7:
フィールドコイル、8:ステータコア、9:ステータコイ
ル、10:フィールドコア、14,15,16:エアギャップ、17,1
8:自己潤滑性物質、19:自己潤滑性メタル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田 博之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特公 昭61−54949(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランク軸に取り付けられた回
    転界磁極と、該回転界磁極および該回転界磁極と一体の
    回転部材に近接してエンジン本体側に取り付けられたフ
    ィールドコアと、該フィールドコアに取り付けられたフ
    ィールドコイルと、前記回転界磁極に近接してエンジン
    本体側に取り付けられたステータコアと、該ステータコ
    アに巻かれたステータコイルを備え、前記ステータコア
    と前記回転界磁極の間,前記回転界磁極と前記フィール
    ドコアの間および前記フィールドコアと前記回転部材の
    間に微小なエアギャップが設けられたエンジンの始動充
    電装置において、少なくともクランク軸に平行なエアギ
    ャップに自己潤滑性のある物質を介在させたことを特徴
    とするエンジンの始動充電装置。
JP14574787A 1987-06-10 1987-06-10 エンジンの始動充電装置 Expired - Fee Related JP2539220B2 (ja)

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