JP2538574Y2

JP2538574Y2 - ダストカバー

Info

Publication number: JP2538574Y2
Application number: JP1991003488U
Authority: JP
Inventors: 下照雄松
Original assignee: Nok Corp
Current assignee: Nok Corp
Priority date: 1991-01-10
Filing date: 1991-01-10
Publication date: 1997-06-18
Anticipated expiration: 2006-01-10
Also published as: JPH0495311U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、例えば自動車，農業
機械等の操舵装置のボールジョイント部のシールに用い
られるダストカバーに関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来のボールジョイント部を示し
ている。ソケット（一方の部材）１００には受部１０１
を設けてあり、この受部１０１にはスタッド（他方の部
材）１０２のボール１０３が摺動自在に組込まれてい
る。また、スタッド１０２の軸部１０４はナックルアー
ム１０５へと挿入され、ナット１０６により締付け固定
してある。

【０００３】１０７はボールジョイント用のダストカバ
ーを示している。ダストカバー１０７は中央部分が外方
へ向けて湾曲した可撓性を有する筒状のカバー本体１０
８を有する。このカバー本体１０８はゴム状弾性体より
なり、その一端側、即ち、下端側をソケット１００の外
周の固定溝１０９へと嵌め込んである。そして、バンド
１１０で締付けている。ここで、カバー本体１０８の内
周面は固定溝１０９の形状に合せて内方に突出してお
り、固定溝１０９に面接触した状態で密着している。ま
た、カバー本体１０８の中央部は外方へと湾曲している
ため、内側に（スタッド１０４までの間）大きな間隙が
あるが、ソケット１００の上端外周のつば１１２とカバ
ー本体１０８下方の内周面とは接近しており、余り隙間
はない。

【０００４】また、カバー本体１０８の他端側、即ち、
上端側はスタッド１０２の軸部１０４へと固定されてお
り、内部にグリース１１１が封入されている。

【０００５】上記構成において、スタッド１０２は
（Ｂ）の矢印θ２のように回転したり、或いは矢印θ１
のように揺動してスタッド１０２とソケット１００とが
相対運動する。そして、ボール１０３と受部１０１との
摺動面はグリース１１１により潤滑されることとなる。
ここで、スタッド１０２が揺動した際には、カバー本体
１０８の揺動方向の部位は更に屈曲し、反対側は伸びる
こととなる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記ダ
ストカバー１０７はスタッド１０４及びソケット１００
へと組み込まれた状態で運搬・実機使用に至るまでの間
において、常に外的な物体がその外周面に接触（組込
み，搬送中に床への落下、周辺部品への接触、実機での
飛石等）する可能性がある。

【０００７】このように、ダストカバー１０７の外周面
１０８に物体が接触して内方向に弾性変形した場合、カ
バー本体１０８の中央部はともかくとして、下方はつば
１１２と物体とに挾まれて圧縮されて内周面が面接触
し、挾圧力で摺動して摩耗，亀裂，破損が発生してシー
ル性が損なわれる。その結果、ダストカバー１０７内か
らのグリース１１１の流出，外部から水，ダストがダス
トカバー１０７内へ侵入するという不具合を招き、受部
１０１とボール１０３との摺動面にガタが生じ、重大事
故につながることがある。

【０００８】また、実機使用時にスタッド１０２が矢印
θ１のように揺動すると、カバー本体１０８の反揺動側
は（Ｂ）のように伸びるため、（Ｃ）のようにカバー本
体１０８の内周面へとつば１１２の角部１１３が食い込
み易いとともに、前述と同様につば１１２の外周面とカ
バー本体１０８の内周面とが面接触する。その結果、前
述と同様にダストカバー１０７の耐久性，シール性が低
下することとなっていた。

【０００９】この考案は上記課題を解決するためのもの
で、カバー本体の内周面と、カバー本体の一端側を固定
した一方の部材との外周面とを、常時非面接触の状態に
保持することのできるダストカバーを提供することを目
的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案にあっては、互いに相対運動自在に連結され
た二部材間の連結部を取り囲むダストカバーであって、
前記二部材のうちの一方の部材外周に形成された係止用
つば部に係合する第１固定部と、他方の部材に嵌合固定
される第２固定部と、前記第１固定部と第２固定部間を
連結する変形自在な膜部とを備え、前記第１固定部の前
記つば部端面と対向する面および前記膜部内周面の前記
つば部外周面と対向する面に、突起を設けたことを特徴
とする。

【００１１】

【作用】本考案にあっては、カバー本体に外的な物体が
接触すると、カバー本体は内周側へ向けて弾性変形する
が、カバー本体の第１固定部端面に設けられた突起と膜
部内周面に設けられた突起によって、つば部周辺と第１
固定部端面および膜部内周面との間に隙間を確保するこ
とができ、突起によって衝撃が緩衝されて摩耗や亀裂の
発生が防止される。

【００１２】また、二部材の相対運動に追随してカバー
本体が大きく変形した場合にも、第１固定部と膜部に設
けた突起によって、第１固定部と膜部との隅角部がつば
部の角に食い込むことが防止され、カバー本体の亀裂の
発生を防止することができる。

【００１３】

【実施例】次に、本考案を自動車，農業機械の操舵装置
のボールジョイント部のシールに用いた図１の実施例に
基づいて説明する。ソケット（一方の部材）には受部２
を設けてあり、この受部２にはスタッド（他方の部材）
３のボール４が摺動自在に組込まれている。また、スタ
ッド３の軸部５はナックルアーム６の孔７内へと挿入さ
れ、ナット８により締付け固定してある。

【００１４】９はボールジョイント用のダストカバーを
示している。ダストカバー９は中央部分が外方へ向けて
湾曲した可撓性を有する筒状のカバー本体１０と、カバ
ー本体１０の上端側に埋め込んだ金属環１１とを有す
る。このカバー本対０はゴム状弾性体よりなり、その一
端側、即ち、下端側の第１固定部としての固定部１４を
ソケットの外周の固定溝１２へとはめ込むとともに、バ
ンド１３で締付けている。また、第２固定部としての上
端側の金属環１１が埋め込まれた部分はスタッド５に嵌
合固定されている。

【００１５】図１（Ｃ）はカバー本体１０の下端側の拡
大断面図である。ソケット１の上端には固定溝１２の内
径よりも径大な外径のつば１５を設けてある。そして、
カバー本体１０の内周面であってつば１５と対向する位
置、即ち、膜部１６の内周面及び固定部１４の上端面に
は、円周方向に沿って突起としての半月状のリブ１７，
１８を連続して設けてある。また、カバー本体１０の他
端側、即ち、上端側はスタッド３の軸部５へと固定され
ており、内部にグリース１７が封入されている。

【００１６】上記構成において、スタッド３は図１
（Ｂ）の矢印θ３のようにソケット１に対して回転運動
したり、或いは矢印θ４のようにソケット１に対して揺
動運動したりする。そして、ボール４と受部２との摺動
面はグリース１７により潤滑されることとなる。

【００１７】ところで、実機への装着前ダストカバー９
に対して何の外力も加わらない状態においては、膜部１
６は外方向へ向けて湾曲しており、カバー本体１０の下
端側とつば１５との間には図１（Ａ）と同様に所定の隙
間がある。ダストカバー９を装着したソケット１及びス
タッド３のユニットを運搬中や、実機への使用までの間
に、ユニットを落下したり周辺部品へと接触したりして
カバー本体１０の下端側の外周面に外的な物体による外
力（押圧力）が加わると、カバー本体１０の膜部１６が
内方向へ弾性変形するが、内周面のリブ１７がつば１５
の外周面に線接触してそれ以上カバー本体１０の下端側
は内方向へ移動せず、物体により加えられた荷重はリブ
１７によって吸収，緩和されることとなり、カバー本体
１０の内周面とつば１５の外周面とが接触することはな
い。従って、従来のようにカバー本体が摩耗，破損，亀
裂することを未然に防止することができ、耐久性及びシ
ール性を向上させることができる。

【００１８】また、実機への装着状態でスタッド３が
（Ａ）のように中立位置にあると、カバー本体１０のリ
ブ１８はつば１５の端面に線接触している一方、膜部１
６の下端側はつば１５から所定量離れた位置にある。

【００１９】そして、（Ｂ）のようにスタッド３が矢印
θ４の方向へ揺動すると、カバー本体１０は撓む。即
ち、揺動側は更に外方向へ屈曲する一方、反揺動側は内
方向へと弾性変形し、膜部１６の下端側は伸びた状態と
なる。すると、カバー本体１０の下端側は内方向へ向け
て押圧される恰好となるが、前述と同様にリブ１７が
（Ｃ）のようにつば１５の外周面に線接触するため、カ
バー本体１０の内周面がつば１５の外周面に接触しない
ことは勿論、つば１５の角部１９がカバー本体１０へと
食い込むこともなく、カバー本体１０の摩耗，亀裂，破
損を防止でき、耐久性，シール性の低下を防止できる。

【００２０】このように本考案のダストカバー９におい
ては、耐久性，シール性を維持できるため、グリース１
７がダストカバー９の外部に流出したり、或いは外部の
ダストや水等が内部に侵入したりすることもなく、ボー
ル４と受部２との摺動面を安定して潤滑でき、ボール４
と受部２の潤滑不良による異常摩耗のガタ、及びガタに
起因する事故を未然に防止できる。

【００２１】なお、上記実施例においては、リブ１７，
１８は円周方向に沿って連続して形成されているが、間
隔をあけて点在させてもよい。また、リブ１８は一個所
にしてもよい。また、リブ１７，１８の大きさは任意に
設定してもよい。

【００２２】

【考案の効果】本考案によれば、カバー本体に外的な物
体が接触すると、カバー本体は内周側へ向けて弾性変形
するが、カバー本体の第１固定部端面に設けられた突起
と膜部内周面に設けられた突起によって、つば部周辺と
第１固定部端面および膜部内周面との間に隙間を確保す
ることができ、突起によって衝撃が緩衝されて摩耗や亀
裂の発生が防止される。また、二部材の相対運動に追随
してカバー本体が大きく変形した場合にも、第１固定部
と膜部に設けた突起によって、第１固定部と膜部との隅
角部がつば部の角に食い込むことが防止され、カバー本
体の亀裂の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案をボールジョイントのシール部
に用いた実施例を示し、スタッドが中立位置にある縦断
面図、（Ｂ）は（Ａ）のスタッドが揺動した場合のダス
トカバーの変形状態を示す縦断面図、（Ｃ）は（Ｂ）に
おけるカバー本体の下端側を示す拡大断面図である。

【図２】（Ａ）は従来のダストカバーをボールジョイン
トのシール部に用いた例を示し、スタッドが中立位置に
ある縦断面図、（Ｂ）は（Ａ）のスタッドが揺動した場
合のダストカバーの変形状態を示す縦断面図、（Ｃ）は
（Ｂ）におけるカバー本体の下端側を示す拡大断面図で
ある。

【符号の説明】

１ソケット（一方の部材）２受部３スタッド（他方の部材）４ボール５軸部６ナックルアーム７孔８ナット９ダストカバー１０カバー本体１１金属環１２固定溝１３バンド１４固定部１５つば１６膜部１７，１８リブ（突起）１９角部Ｇグリース

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】互いに相対運動自在に連結された二部材間
の連結部を取り囲むダストカバーであって、前記二部材のうちの一方の部材外周に形成された係止用
つば部に係合する第１固定部と、他方の部材に嵌合固定
される第２固定部と、前記第１固定部と第２固定部間を
連結する変形自在な膜部とを備え、前記第１固定部の前記つば部端面と対向する面および前
記膜部内周面の前記つば部外周面と対向する面に、突起
を設けたことを特徴とするダストカバー。