JP2538257Y2 - 自動変速機の潤滑油加熱装置 - Google Patents
自動変速機の潤滑油加熱装置Info
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- JP2538257Y2 JP2538257Y2 JP3711091U JP3711091U JP2538257Y2 JP 2538257 Y2 JP2538257 Y2 JP 2538257Y2 JP 3711091 U JP3711091 U JP 3711091U JP 3711091 U JP3711091 U JP 3711091U JP 2538257 Y2 JP2538257 Y2 JP 2538257Y2
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- oil
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- Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、自動車用エンジン等の
内燃機関の始動時に潤滑油を急速加熱することで主に燃
費向上を目標とした加熱装置に係り、特に自動変速機に
好適な潤滑油加熱装置に関する。
内燃機関の始動時に潤滑油を急速加熱することで主に燃
費向上を目標とした加熱装置に係り、特に自動変速機に
好適な潤滑油加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、エンジン始動直後の潤滑油は油
温が低く粘性が高いために、自動変速機各部の摺動部の
摩擦損失が大きく、燃費が悪化する要因となっており、
特に冬期の寒冷地において顕著である。こうした問題解
決に向けて、従来よりエンジン始動時に潤滑油を急速加
熱する種々の装置が提案されており、例えば本願出願人
により提案された特開昭58−74817号公報の内燃
機関の流体加熱装置もその1つである。この流体加熱装
置は、ヒートパイプ内の作動流体を蓄熱材で加熱して気
化させ、気化した作動流体を液化させることにより、液
化時の放熱作用を利用して潤滑油を加熱する構造であ
る。蓄熱材として酢酸ナトリウム塩及びチオ硫酸ナトリ
ウム塩などの溶融塩が用いられる。これらは潤滑油の油
温で溶解して蓄熱し、潤滑油を加熱する際の凝固潜熱を
利用するものである。
温が低く粘性が高いために、自動変速機各部の摺動部の
摩擦損失が大きく、燃費が悪化する要因となっており、
特に冬期の寒冷地において顕著である。こうした問題解
決に向けて、従来よりエンジン始動時に潤滑油を急速加
熱する種々の装置が提案されており、例えば本願出願人
により提案された特開昭58−74817号公報の内燃
機関の流体加熱装置もその1つである。この流体加熱装
置は、ヒートパイプ内の作動流体を蓄熱材で加熱して気
化させ、気化した作動流体を液化させることにより、液
化時の放熱作用を利用して潤滑油を加熱する構造であ
る。蓄熱材として酢酸ナトリウム塩及びチオ硫酸ナトリ
ウム塩などの溶融塩が用いられる。これらは潤滑油の油
温で溶解して蓄熱し、潤滑油を加熱する際の凝固潜熱を
利用するものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところで、この特開昭
58−74817号公報の流体加熱装置にあっては、以
下のような解決すべき問題がある。装置がオイルパンの
ごとき容器体の内部に設けられ、この単一の装置により
加熱機能及び吸熱機能の両方を兼ねて作用させる構造で
ある。そのため、潤滑油の温度上昇速度が蓄熱材の発熱
領域と吸熱領域との変更点(溶解点)を境界にして遅く
なる現象が見られる。即ち、エンジン始動から潤滑油が
所定の油温に達するまでにかなり長い時間を要し、エン
ジン始動時に潤滑油を急速加熱して短時間で暖気すると
いう目標の達成が困難である。加えて、エンジン作動
中、潤滑油の温度を例えば80℃以上で、100℃程度
まで上昇を望むような場合、蓄熱材による吸熱機能がそ
のまま潤滑油に作用して熱を奪ってしまうのでは、油温
の急速上昇が期待できない。このような不都合は、オイ
ルパン内部に配置された単一の装置によって、加熱機能
及び吸熱機能の両方を兼ねて作用させることに起因して
いる。更に、以上のようなシステムを自動変速機に装備
する場合は、容器深さの浅いオイルパン内部に装置を組
み込むことは内容積の面で困難が伴う。
58−74817号公報の流体加熱装置にあっては、以
下のような解決すべき問題がある。装置がオイルパンの
ごとき容器体の内部に設けられ、この単一の装置により
加熱機能及び吸熱機能の両方を兼ねて作用させる構造で
ある。そのため、潤滑油の温度上昇速度が蓄熱材の発熱
領域と吸熱領域との変更点(溶解点)を境界にして遅く
なる現象が見られる。即ち、エンジン始動から潤滑油が
所定の油温に達するまでにかなり長い時間を要し、エン
ジン始動時に潤滑油を急速加熱して短時間で暖気すると
いう目標の達成が困難である。加えて、エンジン作動
中、潤滑油の温度を例えば80℃以上で、100℃程度
まで上昇を望むような場合、蓄熱材による吸熱機能がそ
のまま潤滑油に作用して熱を奪ってしまうのでは、油温
の急速上昇が期待できない。このような不都合は、オイ
ルパン内部に配置された単一の装置によって、加熱機能
及び吸熱機能の両方を兼ねて作用させることに起因して
いる。更に、以上のようなシステムを自動変速機に装備
する場合は、容器深さの浅いオイルパン内部に装置を組
み込むことは内容積の面で困難が伴う。
【0004】従って、本考案の目的は、蓄熱材の吸熱反
応のみをオイルパンとは断熱された部位で行う構造と
し、加熱機能と吸熱機能との切換制御を行うことで、蓄
熱材の吸熱機能を潤滑油に作用させず、エンジン始動後
の急速加熱を短時間で可能にして燃費向上を図った、特
に自動変速機に好適な潤滑油加熱装置を提供することで
ある。
応のみをオイルパンとは断熱された部位で行う構造と
し、加熱機能と吸熱機能との切換制御を行うことで、蓄
熱材の吸熱機能を潤滑油に作用させず、エンジン始動後
の急速加熱を短時間で可能にして燃費向上を図った、特
に自動変速機に好適な潤滑油加熱装置を提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案による自動変速機
の潤滑油加熱装置は、オイルパン内部の潤滑油を加熱す
る装置であり、オイルパンの下部に取り付けられたハウ
ジングと、ハウジングの内部をオイルパンに近い上側と
下側の室に仕切りかつ上下側室を連通させる連通口が設
けられた隔壁断熱材と、下側室に充填されて水素吸蔵時
に発熱反応しかつ水素放出時に吸熱反応する第1蓄熱材
と、上側室に充填されて第1蓄熱材からの放出水素を吸
蔵して発熱反応することにより潤滑油を機関始動時に加
熱する第2蓄熱材と、隔壁断熱材の連通口を開閉する電
磁弁と、を含み、第2蓄熱材に接触する潤滑油の温度を
検出することにより、この油温検出信号に基づいた制御
により電磁弁に作動信号を送って開閉させ、第1蓄熱材
と第2蓄熱材との間を連通又は遮断する構成である。
の潤滑油加熱装置は、オイルパン内部の潤滑油を加熱す
る装置であり、オイルパンの下部に取り付けられたハウ
ジングと、ハウジングの内部をオイルパンに近い上側と
下側の室に仕切りかつ上下側室を連通させる連通口が設
けられた隔壁断熱材と、下側室に充填されて水素吸蔵時
に発熱反応しかつ水素放出時に吸熱反応する第1蓄熱材
と、上側室に充填されて第1蓄熱材からの放出水素を吸
蔵して発熱反応することにより潤滑油を機関始動時に加
熱する第2蓄熱材と、隔壁断熱材の連通口を開閉する電
磁弁と、を含み、第2蓄熱材に接触する潤滑油の温度を
検出することにより、この油温検出信号に基づいた制御
により電磁弁に作動信号を送って開閉させ、第1蓄熱材
と第2蓄熱材との間を連通又は遮断する構成である。
【0006】
【作用】エンジン始動により、スイッチをオンに投入す
ると電磁弁が作動して開く。連通口の開通により、第1
蓄熱材に吸蔵されていた水素が放出され、この放出水素
が連通口を通して第2蓄熱材に吸蔵される。水素吸蔵に
よって、第2蓄熱材が加熱されて温度上昇し、これに接
するハウジングの加熱によりオイルパン内部の潤滑油の
温度が上昇する。このように、エンジン始動直後に潤滑
油が所定温度まで加熱されるため、その後の自動変速機
内部の発生熱などにより助成されて潤滑油が急速上昇す
る。この間に要する時間は非常に短い。潤滑油が所定温
度まで急速加熱されることにより、潤滑油の粘性が低く
なって、自動変速機各部の摺動部の摩擦損失が軽減され
るなど有効に作用する。こうした作用により燃費アップ
する。第2蓄熱材による発熱でハウジングが加熱され
る、ハウジング内の水素平衡圧力が高まる。ハウジング
の加熱で例えば潤滑油の油温が80℃に達すると、この
潤滑油の油温が検出され、油温信号に基づいた制御信号
で開閉部材が閉じ、連通口を遮断する。即ち、このこと
は第2蓄熱材が発熱により水素平衡圧力が上昇し、第1
蓄熱材から水素を放出し終えると、開閉部材を閉じる方
向に制御することを意味する。潤滑油が前述の所定温度
を越えて目標の最高温度に達すると、このときの油温検
出信号に基づいた制御信号が開閉部材に送られる。開閉
部材が開弁する方向に作動して再び連通口が開放され
る。今度は、第2蓄熱材がそれまで吸蔵していた水素を
放出し、潤滑油の温度を吸熱して最高油温を越えないよ
うにする。即ち、第2蓄熱材から放出された水素は連通
口を通って第1蓄熱材に戻されて再び吸蔵される。以
下、次回のエンシン始動に備える。
ると電磁弁が作動して開く。連通口の開通により、第1
蓄熱材に吸蔵されていた水素が放出され、この放出水素
が連通口を通して第2蓄熱材に吸蔵される。水素吸蔵に
よって、第2蓄熱材が加熱されて温度上昇し、これに接
するハウジングの加熱によりオイルパン内部の潤滑油の
温度が上昇する。このように、エンジン始動直後に潤滑
油が所定温度まで加熱されるため、その後の自動変速機
内部の発生熱などにより助成されて潤滑油が急速上昇す
る。この間に要する時間は非常に短い。潤滑油が所定温
度まで急速加熱されることにより、潤滑油の粘性が低く
なって、自動変速機各部の摺動部の摩擦損失が軽減され
るなど有効に作用する。こうした作用により燃費アップ
する。第2蓄熱材による発熱でハウジングが加熱され
る、ハウジング内の水素平衡圧力が高まる。ハウジング
の加熱で例えば潤滑油の油温が80℃に達すると、この
潤滑油の油温が検出され、油温信号に基づいた制御信号
で開閉部材が閉じ、連通口を遮断する。即ち、このこと
は第2蓄熱材が発熱により水素平衡圧力が上昇し、第1
蓄熱材から水素を放出し終えると、開閉部材を閉じる方
向に制御することを意味する。潤滑油が前述の所定温度
を越えて目標の最高温度に達すると、このときの油温検
出信号に基づいた制御信号が開閉部材に送られる。開閉
部材が開弁する方向に作動して再び連通口が開放され
る。今度は、第2蓄熱材がそれまで吸蔵していた水素を
放出し、潤滑油の温度を吸熱して最高油温を越えないよ
うにする。即ち、第2蓄熱材から放出された水素は連通
口を通って第1蓄熱材に戻されて再び吸蔵される。以
下、次回のエンシン始動に備える。
【0007】
【実施例】以下、本考案による自動変速機の潤滑油加熱
装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本考
案による潤滑油加熱装置の実施例が適用された自動車用
の自動変速機を示す。この自動変速機10は、トルクコ
ンバータ11による型式で潤滑油回路が装備されてい
る。潤滑油はオイルパン12に貯蔵され、ここから油回
路に供給される。このオイルパン12の下底面に実施例
の潤滑油加熱装置20が取り付けられている。
装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本考
案による潤滑油加熱装置の実施例が適用された自動車用
の自動変速機を示す。この自動変速機10は、トルクコ
ンバータ11による型式で潤滑油回路が装備されてい
る。潤滑油はオイルパン12に貯蔵され、ここから油回
路に供給される。このオイルパン12の下底面に実施例
の潤滑油加熱装置20が取り付けられている。
【0008】加熱装置20の詳しくは、オイルパン12
の下底部に沿ってボルト結合などされて全体の形状が扁
平なハウジング21を有し、ハウジング21の内部は図
でいう上下方向で2つの室に隔壁断熱材22で仕切られ
ている。隔壁断熱材としては通常の石綿等が用いられ
る。下側の隔室には第1蓄熱材23が充填され、上側の
隔室には第2蓄熱材24が充填されている。第1蓄熱材
23と第2蓄熱材24とを隔成する隔壁断熱材22には
この一方端側に連通口25が設けてあり、この連通口2
5は電磁弁26で開閉されるようになっている。つま
り、電磁弁26の作動による連通口25の開閉で、下側
の第1蓄熱材23と上側の第2蓄熱材24とが連通又は
遮断されるようになっている。第2蓄熱材24は第1蓄
熱材23と同一特性又は特性が異なるもので、共に粒状
の水素吸蔵合金が用いられている。
の下底部に沿ってボルト結合などされて全体の形状が扁
平なハウジング21を有し、ハウジング21の内部は図
でいう上下方向で2つの室に隔壁断熱材22で仕切られ
ている。隔壁断熱材としては通常の石綿等が用いられ
る。下側の隔室には第1蓄熱材23が充填され、上側の
隔室には第2蓄熱材24が充填されている。第1蓄熱材
23と第2蓄熱材24とを隔成する隔壁断熱材22には
この一方端側に連通口25が設けてあり、この連通口2
5は電磁弁26で開閉されるようになっている。つま
り、電磁弁26の作動による連通口25の開閉で、下側
の第1蓄熱材23と上側の第2蓄熱材24とが連通又は
遮断されるようになっている。第2蓄熱材24は第1蓄
熱材23と同一特性又は特性が異なるもので、共に粒状
の水素吸蔵合金が用いられている。
【0009】ここで、一般に知られるように、水素吸蔵
合金(以下、符号Mで表す)は水素Hの吸蔵特性及び放
出特性を有する。即ち、水素吸蔵は、水素平衡圧力より
も高い水素圧力にするか、或いは雰囲気温度を低くする
ことにより水素が吸蔵され、これを「発熱反応」といっ
ている。これに対して、水素放出は、水素平衡圧力より
も低い水素圧力にするか、或いは雰囲気温度を高くする
ことによって水素が放出され、これを「吸熱反応」とい
っている。
合金(以下、符号Mで表す)は水素Hの吸蔵特性及び放
出特性を有する。即ち、水素吸蔵は、水素平衡圧力より
も高い水素圧力にするか、或いは雰囲気温度を低くする
ことにより水素が吸蔵され、これを「発熱反応」といっ
ている。これに対して、水素放出は、水素平衡圧力より
も低い水素圧力にするか、或いは雰囲気温度を高くする
ことによって水素が放出され、これを「吸熱反応」とい
っている。
【0010】吸蔵、放出の原理は次式のように表され
る。 M+H2 MHx+ΔH 即ち、MHxは金属水素化物、ΔHは熱を表す。この反
応で水素吸蔵合金Mが水素H2を吸蔵するときに発生す
る反応熱を利用する。金属水素化物MHxとしては、実
施例の場合、第1蓄熱材23をMH1で表し、第2蓄熱
材24はMH2で表されている。第1蓄熱材23(MH
1)は例えばMmNi45Al05(Mmはミッシュメタルを表
す)が用いられ、水素を貯蔵する機能に優れたものが選
定される。また、第2蓄熱材24(MH2)としては、
例えばLaNi45Al05が用いられ、特に水素吸蔵時の発
熱反応で潤滑油を加熱する機能に優れたものが選定され
る。第1蓄熱材23の水素圧力P1及び第2蓄熱材24
の水素圧力P2間の関係は、P1>P2である。
る。 M+H2 MHx+ΔH 即ち、MHxは金属水素化物、ΔHは熱を表す。この反
応で水素吸蔵合金Mが水素H2を吸蔵するときに発生す
る反応熱を利用する。金属水素化物MHxとしては、実
施例の場合、第1蓄熱材23をMH1で表し、第2蓄熱
材24はMH2で表されている。第1蓄熱材23(MH
1)は例えばMmNi45Al05(Mmはミッシュメタルを表
す)が用いられ、水素を貯蔵する機能に優れたものが選
定される。また、第2蓄熱材24(MH2)としては、
例えばLaNi45Al05が用いられ、特に水素吸蔵時の発
熱反応で潤滑油を加熱する機能に優れたものが選定され
る。第1蓄熱材23の水素圧力P1及び第2蓄熱材24
の水素圧力P2間の関係は、P1>P2である。
【0011】なお、上側の第2蓄熱材24はハウジング
21の上壁等を介してオイルパン12内の潤滑油に接触
しているが、この潤滑油に浸漬させた状態でオイルパン
12の内部には油温センサ(図示せず)が取り付けてあ
る。この油温センサによって検出された油温信号は、マ
イクロコンピュータによる車載の中央制御装置(CP
U)に向けて送られ、この油温信号に基づいて例えば電
磁弁26に作動信号を送るなど各種の制御が行われる。
21の上壁等を介してオイルパン12内の潤滑油に接触
しているが、この潤滑油に浸漬させた状態でオイルパン
12の内部には油温センサ(図示せず)が取り付けてあ
る。この油温センサによって検出された油温信号は、マ
イクロコンピュータによる車載の中央制御装置(CP
U)に向けて送られ、この油温信号に基づいて例えば電
磁弁26に作動信号を送るなど各種の制御が行われる。
【0012】次に、以上の構成による潤滑油加熱装置の
実施例の動作態様及び作用を説明する。エンジン始動に
より、スイッチをオンに投入すると電磁弁26が作動し
て開く。連通口25の開弁により、第1蓄熱材23(M
H1)に吸蔵されていた水素が放出され(水素圧力:P1
>P2)、この放出水素が連通口25から第2蓄熱材2
4(MH2)に吸蔵される。水素吸蔵によって、第2蓄
熱材24が加熱されて温度上昇し、これに接する潤滑油
の温度が上昇する。このように、エンジン始動直後で潤
滑油の例えば50℃〜60℃まで加熱されるため、その
後の自動変速機内部の発生熱などにより助成されて潤滑
油が80℃〜100℃まで急速上昇する。この間に要す
る時間は非常に短い。
実施例の動作態様及び作用を説明する。エンジン始動に
より、スイッチをオンに投入すると電磁弁26が作動し
て開く。連通口25の開弁により、第1蓄熱材23(M
H1)に吸蔵されていた水素が放出され(水素圧力:P1
>P2)、この放出水素が連通口25から第2蓄熱材2
4(MH2)に吸蔵される。水素吸蔵によって、第2蓄
熱材24が加熱されて温度上昇し、これに接する潤滑油
の温度が上昇する。このように、エンジン始動直後で潤
滑油の例えば50℃〜60℃まで加熱されるため、その
後の自動変速機内部の発生熱などにより助成されて潤滑
油が80℃〜100℃まで急速上昇する。この間に要す
る時間は非常に短い。
【0013】潤滑油が80℃〜100℃まで急速加熱さ
れることにより、潤滑油の粘性が低くなり、自動変速機
各部の摺動部の摩擦損失が軽減されるなど有効に作用す
る。こうした作用により燃費の向上も期待できる。第2
蓄熱材24の発熱によりハウジング21が加熱され、例
えば潤滑油の油温が80℃に達すると、油温センサは8
0℃の潤滑油の油温を検出して信号をCPUに送る。こ
のときの油温信号に基づいて制御されたCPUからの出
力信号で電磁弁26が閉じ、連通口25を遮断する。即
ち、第1蓄熱材23からの水素供給が断たれる。
れることにより、潤滑油の粘性が低くなり、自動変速機
各部の摺動部の摩擦損失が軽減されるなど有効に作用す
る。こうした作用により燃費の向上も期待できる。第2
蓄熱材24の発熱によりハウジング21が加熱され、例
えば潤滑油の油温が80℃に達すると、油温センサは8
0℃の潤滑油の油温を検出して信号をCPUに送る。こ
のときの油温信号に基づいて制御されたCPUからの出
力信号で電磁弁26が閉じ、連通口25を遮断する。即
ち、第1蓄熱材23からの水素供給が断たれる。
【0014】潤滑油が目標の最高温度100℃〜120
℃に達すると、これを油温センサが検出する。この検出
信号に基づいた制御がCPUで行われ、ここからの出力
信号が電磁弁26に送られる。電磁弁26が開弁する方
向に作動して再び連通口25が開放される。今度は、第
2蓄熱材24がそれまで吸蔵していた水素を放出し、潤
滑油の温度を吸熱して最高油温を越えないようにする。
即ち、第2蓄熱材24から放出された水素は連通口25
を通って第1蓄熱材23に戻されて再び吸蔵される。
℃に達すると、これを油温センサが検出する。この検出
信号に基づいた制御がCPUで行われ、ここからの出力
信号が電磁弁26に送られる。電磁弁26が開弁する方
向に作動して再び連通口25が開放される。今度は、第
2蓄熱材24がそれまで吸蔵していた水素を放出し、潤
滑油の温度を吸熱して最高油温を越えないようにする。
即ち、第2蓄熱材24から放出された水素は連通口25
を通って第1蓄熱材23に戻されて再び吸蔵される。
【0015】
【考案の効果】以上説明したように、本考案による自動
変速機の潤滑油加熱装置は、オイルパンに沿って取り付
けられた構造であり、潤滑油をエンジン始動後に短時間
で急速加熱すべく、蓄熱材を第1及び第2のものに分離
し、第1蓄熱材による吸熱反応はオイルパンと断熱され
た部位で行い、第2蓄熱材による発熱反応はオイルパン
に接触した部位で行うことで、発熱反応及び吸熱反応の
切り換えを自動制御できる。その結果、エンジン始動直
後に潤滑油が加熱され、エンジン発生熱に助成されて短
時間の急速加熱され、潤滑油の粘性が下げられるので、
自動変速機摺動部の摩擦損失を軽減できることなどを含
め燃費向上が図られる。特に、自動変速機に採用された
場合、オイルパンの外部構造とすることにより取り付け
が容易となる他、冬期寒冷地のように低温環境下でも潤
滑油の急速加熱が可能で、始動性(ミッション駆動性)
が著しく向上する利点がある。
変速機の潤滑油加熱装置は、オイルパンに沿って取り付
けられた構造であり、潤滑油をエンジン始動後に短時間
で急速加熱すべく、蓄熱材を第1及び第2のものに分離
し、第1蓄熱材による吸熱反応はオイルパンと断熱され
た部位で行い、第2蓄熱材による発熱反応はオイルパン
に接触した部位で行うことで、発熱反応及び吸熱反応の
切り換えを自動制御できる。その結果、エンジン始動直
後に潤滑油が加熱され、エンジン発生熱に助成されて短
時間の急速加熱され、潤滑油の粘性が下げられるので、
自動変速機摺動部の摩擦損失を軽減できることなどを含
め燃費向上が図られる。特に、自動変速機に採用された
場合、オイルパンの外部構造とすることにより取り付け
が容易となる他、冬期寒冷地のように低温環境下でも潤
滑油の急速加熱が可能で、始動性(ミッション駆動性)
が著しく向上する利点がある。
【図1】 本考案による潤滑油加熱装置の実施例が組み
込まれた自動変速機の一部断面側面図である。
込まれた自動変速機の一部断面側面図である。
10..自動変速機、11..トルクコンバータ、1
2..オイルパン、20..加熱装置、 21..ハウ
ジング、22..隔壁断熱材、23..第1蓄熱材(M
H1)、 24..第2蓄熱材(MH2)、25..連通
口、26..電磁弁
2..オイルパン、20..加熱装置、 21..ハウ
ジング、22..隔壁断熱材、23..第1蓄熱材(M
H1)、 24..第2蓄熱材(MH2)、25..連通
口、26..電磁弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−251566(JP,A) 特開 昭63−198714(JP,A) 特開 昭63−100271(JP,A) 特開 昭62−131175(JP,A) 実開 昭63−115668(JP,U) 実開 昭62−146048(JP,U) 実開 昭62−108507(JP,U) 特公 昭60−37395(JP,B2)
Claims (1)
- 【請求項1】 自動変速機に備わるオイルパン内部の潤
滑油を加熱する装置であり、オイルパンの下部に取り付
けられたハウジングと、ハウジングの内部をオイルパン
に近い上側と下側の室に仕切りかつ上下側室を連通させ
る連通口が設けられた隔壁断熱材と、下側室に充填され
て水素吸蔵時に発熱反応しかつ水素放出時に吸熱反応す
る第1蓄熱材と、上側室に充填されて第1蓄熱材からの
放出水素を吸蔵して発熱反応することにより潤滑油を機
関始動時に加熱する第2蓄熱材と、隔壁断熱材の連通口
を開閉する電磁弁と、を含み、第2蓄熱材に接触する潤
滑油の温度を検出することにより、この油温検出信号に
基づいた制御により電磁弁に作動信号を送って開閉さ
せ、第1蓄熱材と第2蓄熱材との間を連通又は遮断する
ことを特徴とする自動変速機の潤滑油加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3711091U JP2538257Y2 (ja) | 1991-03-30 | 1991-03-30 | 自動変速機の潤滑油加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3711091U JP2538257Y2 (ja) | 1991-03-30 | 1991-03-30 | 自動変速機の潤滑油加熱装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04117252U JPH04117252U (ja) | 1992-10-20 |
JP2538257Y2 true JP2538257Y2 (ja) | 1997-06-11 |
Family
ID=31918946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3711091U Expired - Lifetime JP2538257Y2 (ja) | 1991-03-30 | 1991-03-30 | 自動変速機の潤滑油加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2538257Y2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6990082B2 (ja) * | 2017-09-28 | 2022-01-12 | 株式会社Subaru | オイルパン加熱装置 |
-
1991
- 1991-03-30 JP JP3711091U patent/JP2538257Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04117252U (ja) | 1992-10-20 |
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