JP2537867B2 - 樹脂封止半導体装置 - Google Patents

樹脂封止半導体装置

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JP2537867B2 JP62124694A JP12469487A JP2537867B2 JP 2537867 B2 JP2537867 B2 JP 2537867B2 JP 62124694 A JP62124694 A JP 62124694A JP 12469487 A JP12469487 A JP 12469487A JP 2537867 B2 JP2537867 B2 JP 2537867B2
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秀人 鈴木
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、半田浸漬後の信頼性に優れた樹脂封止半
導体装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来から、トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子をプ
ラスチツクパツケージで保護した樹脂封止半導体装置と
して、プリント基板等にピンを挿入して実装するデユア
ル・インライン・パツケージ(DIP)タイプのものが賞
用されている。
しかしながら、近年、腕時計や電卓,VTRカメラ等の小
形高機能製品の開発の流れに伴い、半導体装置の高密度
実装化,薄形化が要求され、いわゆるフラツトパツケー
ジタイプの表面実装型半導体装置が多用されるようにな
つてきている。
上記表面実装型半導体装置は、従来のDIPタイプのも
ののようにリードピンだけを部分的に半田浸漬するもの
ではなく、通常、半導体装置全体を、200℃以上の半田
槽に浸漬したり、赤外線照射による加熱(IR加熱)もし
くは蒸気による加熱(ベーパーフエイズ法)を行つたの
ち、プリント基板に接続,固定することにより実装を行
うものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記のように半導体装置全体を半田槽
に浸漬したり、IR加熱もしくはベーパーフエイズ法によ
つて加熱した場合、半導体装置が、室温から200℃以上
というような急激な温度変化を受けるため、熱衝撃によ
つて半導体素子およびリードフレームと封止樹脂間に隙
間を生じ、基板への実装が好適に行われず、パツケージ
の耐湿性が損なわれてしまう。
そこで、半導体装置の薄形化,高密度実装化の要求に
対応できるよう、上記パツケージの耐湿性の改善が強く
望まれていた。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、
半田浸漬等を行つたあとの耐湿性に優れた樹脂封止半導
体装置の提供をその目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の樹脂封止半導
体装置は、半導体素子が樹脂組成物によつて封止されて
いる樹脂封止半導体装置であつて、上記半導体素子の表
面が下記の式(I)で示されるシランカツプリング剤お
よび下記の式(II)で示されるシランカツプリング剤の
少なくとも一方で処理されているという構成をとる。
なお、上記「半導体素子の表面」とは、文字通りの表
面のみならず、裏面,側面等外表面全てを含む趣旨であ
る。
すなわち、本発明者らは、樹脂封止半導体装置の半田
浸漬,IR加熱およびベーパーフエイズ法等を行つたあと
の耐湿性を向上させる目的で、まず、パツケージの耐湿
性を低下させる因子を解明すべく研究を重ねた。その結
果、半導体装置製造過程あるいは製品化後の保管過程に
おいて半導体装置内に吸収された水分が、主として半導
体素子と、封止用樹脂との界面に滞留しており、この水
分が、半田浸漬,IR加熱およびベーパーフエイズ法を行
つたとき等の高温(200℃以上)により急激に蒸発して
高圧蒸気となり、半導体素子と、封止用樹脂との界面に
隙間を生じさせたり、パツケージにクラツクを生じさせ
たりし、それによつて半田浸漬後等におけるパツケージ
の耐湿性を低下させることを突き止めた。
そこで、本発明者らは、上記半導体装置内に滞留する
水分を除去する方法、あるいは予め吸湿を防止する方法
について研究を重ねた結果、半導体素子表面のみを特定
のシランカツプリング剤で処理すると、半導体素子表面
が上記シランカツプリング剤と封止用樹脂との反応によ
り封止用樹脂に対して著しい接着性の向上効果を奏し、
それによつて半導体素子と封止用樹脂の界面に水分が浸
入せず、半田浸漬,IR加熱およびベーパーフエイズ法を
行つたあとの耐湿性が大幅に改善されることを見いだし
この発明に到達した。
この発明の樹脂封止半導体装置は、その表面が特定の
シランカツプリング剤で処理されている半導体素子と、
半導体素子を封止する樹脂組成物を用いて得られる。
上記シランカツプリング剤としては、下記の式(I)
および式(II)で示されるものが用いられる。
このようなシランカツプリング剤の代表例としては、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルメチ
ルジエトキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン等があげられる。上記化合物
,,,およびは、エポキシ樹脂と反応し、半
導体素子との接着力を増す作用を有し、上記化合物,
,,,,およびは、フエノール樹脂と反応
し、半導体素子との接着力を増す作用を有する。なお、
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、この発明に用いる樹脂組成物は、熱硬化性樹
脂,硬化剤,充填剤,顔料等を用いて得られるものであ
つて、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレツト
状になつている。
上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好適に用
いられるが、フエノール樹脂,尿素樹脂,メラミン樹
脂,ポリエステル樹脂,ジアリルフタレート樹脂,ポリ
フエニレンサルフアイド等を上記エポキシ樹脂の一部に
代えて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフエノールA型,フエノ
ールノボラツク型,クレゾールノボラツク型のようなグ
リシジルエーテル型エポキシ樹脂,脂環式エポキシ樹
脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等公知のいずれのものを用
いてもよいが、特にフエノールノボラツクあるいはクレ
ゾールノボラツク型エポキシ樹脂の使用が好適である。
さらに、これらのエポキシ樹脂の中でも塩素イオンの含
有量が10ppm以下で、かつ加水分解性塩素の含有量が0.1
重量%(以下「%」と略す)以下のものが適している。
上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、ノボラツク型フ
エノール樹脂(フエノールノボラツク,クレゾールノボ
ラツク等)、酸無水物系硬化剤(テトラハイドロ無水フ
タル酸,無水トリメリツト酸,無水ベンゾフエノンテト
ラカルボン酸等)、アミン(ジアミンジフエニルメタ
ン,メタフエニレンジアミン,ジアミノジフエニルエー
テル等)等が用いられる。特に、フエノール樹脂であつ
て、フエノール,クレゾール,キシノール,レゾルシノ
ール,フエイルフエノール,ビスフエノールA等の1種
または2種以上と、ホルムアルデヒド,パラホルムアル
デヒド等とを酸触媒の存在下に反応させて得られるもの
が好適である。これらの硬化剤は、前記熱硬化性樹脂の
1当量に対して0.5〜1.0当量の範囲で配合することが好
ましい。
さらに、上記硬化剤とともに、2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール,2−ヘプタデシルイミダゾール,2−メチ
ルイミダゾールのような異環型イミダゾール化合物や、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7および
その塩、トリフエニルホスフイン化合物等の硬化促進剤
を配合することもできる。
なお、上記組成物には、必要に応じて従来から用いら
れる難燃剤,離型剤等を含有させてもよい。
この発明に用いる樹脂組成物は、上記のような原料を
用い、例えばつぎのようにして製造することができる。
すなわち、上記に例示した樹脂と硬化剤,顔料その他の
添加剤を適宜配合し、この配合物をミキシングロール機
等の混練機に掛けて加熱状態で混練して半硬化の樹脂組
成物とし、これを室温に冷却したのち、公知の手段によ
つて粉砕し、そのままもしくは必要に応じて打錠するこ
とにより製造される。
この発明の樹脂封止半導体装置は、上記のような樹脂
組成物と前記シランカツプリング剤とを用い、例えばつ
ぎのようにして製造することができる。すなわち、まず
封止すべき半導体素子の表面に対して、前記シランカツ
プリング剤を吹き付け,噴霧し、あるいはシランカツプ
リング剤中に半導体素子を浸漬することにより処理した
のち、この半導体素子を搭載したリードフレームを、上
記樹脂組成物によつて封止することにより製造すること
ができる。上記半導体素子を搭載したリードフレームの
封止方法は特に制限されるものではなく、通常の方法、
例えばトランスフアー成形等の公知のモールド方法によ
り行うことができる。
このようにして得られる樹脂封止半導体装置は、樹脂
封止前のシラン処理によつて、半導体素子表面と封止用
樹脂との接着力がより優れたものになつているため、半
導体素子表面と封止樹脂との界面からの水分浸入が抑制
される。したがつて、半導体装置の半田浸漬時,IR加熱
時およびベーパーフエイズ法による加熱時に、半導体素
子表面と封止樹脂との界面で高圧蒸気が発生せず、上記
界面に隙間が生じたりパツケージにクラツクが生じたり
することがない。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の樹脂封止半導体装置は、そ
の表面がシランカツプリング剤で処理されて半導体素子
表面と封止樹脂との接着力が、より優れたものになつて
いる特殊な半導体素子を用いるため、半導体素子表面と
封止樹脂との界面からの水分浸入が抑制され、その結
果、半田浸漬後,IR加熱後およびベーパーフエイズ法を
行つたあとも耐湿性が低下せず極めて信頼性の高いもの
である。
なお、この発明は、いずれの種類の半導体装置に適用
しても一定の耐湿性向上の効果を奏することができるも
のであるが、特に、表面実装型の半導体装置に適用する
ことが、従来より問題となつていた半田浸漬後,IR加熱
後およびベーパーフエイズ法を行つたあとの耐湿性低下
を解消するため好適であるといえる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例〕
半導体素子としてリニアICを用意し、この半導体素子
表面のみを後記の第2表に示すシランカツプリング剤で
吹付処理することにより表面処理を行った。
この半導体素子を、下記の第1表に示す原料を用い、
通常の方法で製造されたエポキシ樹脂組成物で樹脂封止
して、80ピンクワツドフラツト(QFP−80)型の樹脂封
止半導体装置とした。
〔比較例〕 上記実施例と同様にしてQFP−80型の樹脂封止半導体
を得たが、半導体素子について、シランカツプリング剤
による表面処理を行わなかつた。
このようにして得られた実施例品と比較例品を、121
℃,100%RH,2atmの雰囲気中に20時間入れて吸湿させた
のち、260℃の半田浴に10秒間浸漬した。そして、半田
浸漬後のクラツクの有無を調べるとともに、プレツシヤ
ー釜による信頼性テスト(121℃,100%RHでのPCTテス
ト)を行つた。その結果は下記の第3表に示すとおりで
ある。
第3表の結果から、実施例品はPCTテストの成績が比
較例品に比べて著しく優れていることがわかる。すなわ
ち、実施例品は、比較例品とは異なり、半導体素子表面
をシランカツプリング剤で表面処理しているため、半田
浸漬後も信頼性に富んでいることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 孝利 茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電気 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−124254(JP,A) 特開 昭60−210855(JP,A) 垣内弘、「新エポキシ樹脂」、初版1 刷,昭和60年5月10日、株式会社昭晃 堂,P.284−290

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体素子が樹脂組成物によつて封止され
    ている樹脂封止半導体装置であつて、上記半導体素子の
    表面が下記の式(I)で示されるシランカツプリング剤
    および下記の式(II)で示されるシランカツプリング剤
    の少なくとも一方で処理されていることを特徴とする樹
    脂封止半導体装置。
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JP2625654B2 (ja) * 1995-04-28 1997-07-02 日本電気株式会社 半導体装置およびその製造方法

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垣内弘、「新エポキシ樹脂」、初版1刷,昭和60年5月10日、株式会社昭晃堂,P.284−290

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