JP3005328B2 - 封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物

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JP3005328B2
JP3005328B2 JP3184874A JP18487491A JP3005328B2 JP 3005328 B2 JP3005328 B2 JP 3005328B2 JP 3184874 A JP3184874 A JP 3184874A JP 18487491 A JP18487491 A JP 18487491A JP 3005328 B2 JP3005328 B2 JP 3005328B2
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正明 大津
正志 中村
善彦 中村
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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、クラックが発生しに
くく耐湿性と耐熱性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体等の電子部品を熱硬化性樹脂組成
物を用いて封止する方法が一般に行われている。この場
合、熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂組成物
が最も一般的に用いられている。このエポキシ樹脂組成
物は、たとえば、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポ
キシ樹脂などのエポキシ樹脂;フェノールノボラックな
どの硬化剤;三級アミンやイミダゾールなどの硬化促進
剤;シリカやアルミナなどの無機微粉末からなる無機質
充填材;シランカップリング剤などのカップリング剤;
カルナウバワックスやステアリン酸などの離型剤;カー
ボンブラックなどの着色剤などから構成されている。
【0003】最近では、電子部品の小型化、薄型化のた
め、半導体の実装方式が、従来のピン挿入方式(DI
P:デュアル・インライン・パッケージ等)から表面実
装方式(SOP:スモール・アウトライン・パッケー
ジ、QFP:クォッド・フラット・パッケージ等)へと
移行しつつある。表面実装方式の場合、半導体パッケー
ジは、実装の際に半田浴に浸漬されるなど高温(たとえ
ば210〜270°C)で処理され、その際パッケージ
全体に高温の熱が加わる。上述の従来の封止用樹脂組成
物を用いて封止したパッケージは、この工程で、封止樹
脂部分にクラックが発生したり、大幅に耐湿性が低下し
たりするなどの問題を生じ、製品として使用できないこ
とがある。
【0004】半田付け工程におけるクラックの発生は、
後硬化してから実装工程の間までに吸湿された水分が半
田付け加熱時に爆発的に水蒸気化し膨張することに起因
するといわれている。そこで、その対策として、後硬化
したパッケージを完全に乾燥し、密封した容器に収納し
て出荷する方法が用いられている。
【0005】また、封止用樹脂組成物自体の改良も種々
検討されている。たとえば、特開昭64−87616号
公報、特開平1−108256号公報などには、エポキ
シ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂を用い、硬化剤
としては一般の硬化剤を用いた封止樹脂組成物が提案さ
れている。また、特開昭62−184020号公報、特
開昭62−104830号公報などには、硬化剤として
ジシクロペンタジエン・フェノール重合体を用い、エポ
キシ樹脂としては一般のエポキシ樹脂を用いた封止樹脂
組成物が提案されている。しかし、これらの公報で提案
されている封止樹脂組成物では未だ充分な効果が得られ
ておらず、改良の余地があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の、乾燥パッケー
ジを容器に封入する方法は、製造工程および製品の取扱
作業が煩雑になるという欠点がある。そのため、現在、
表面実装化技術の進展に対応した封止用樹脂組成物の開
発が強く望まれている。この発明は、このような事情に
鑑みて、上述の半田付け工程などで高温にさらされたと
きにクラックが発生しにくく、耐湿信頼性にさらに優れ
ていて、表面実装に充分に耐えうる樹脂封止型半導体装
置等の樹脂封止型電子部品を可能にする封止用エポキシ
樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明にかかる封止用エポキシ樹脂組成物は、下
記一般式で表されるビフェニル型エポキシ樹脂
(A)、下記一般式で表されるジシクロペンタジエン
・フェノール重合体(B)および下記一般式で表され
るナフトール・フェノール重合体(C)を必須成分とす
ることを特徴とする。
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】この発明の封止用エポキシ樹脂組成物の必
須成分の1つである上記エポキシ樹脂(A)は、剛直な
ビフェニル骨格を持つため、低弾性率であって、熱時強
度に優れている。さらに、フェニル骨格に疎水性のメチ
ル基を有するために、吸湿性が小さくなるという特徴を
も持つ。このエポキシ樹脂(A)は、一般式(構造式)
中の繰り返し単位数aが0〜1.0の範囲内で有効な
耐熱性を示す。この繰り返し単位数aは0であることが
望ましい。aが大きくなると、耐熱性の指標であるTg
(ガラス転移温度)が低下し、高温時強度も低下する。
【0012】第2の必須成分である上記ジシクロペンタ
ジエン・フェノール重合体(ジシクロペンタジエンとフ
ェノールの重合体)(B)は硬化剤である。このような
硬化剤を必須成分とすることにより、硬化物の吸湿性が
小さくなり、その上、一般のフェノールノボラック硬化
剤を用いた場合と同等の耐熱性を持つようになる。一般
式中の繰り返し単位数bは、0以上であればよいが、
有効な耐熱性および/または吸湿性を示すと言う点から
は15以下が好ましく、5以下がより好ましい。
【0013】第3の必須成分である上記ナフトール・フ
ェノール重合体(ナフトールとフェノールの重合体)
(C)も硬化剤である。このような硬化剤を併用するこ
とにより、硬化物の吸湿性が極めて小さくなり、封止樹
脂の耐湿信頼性を大幅に向上させることができるように
なる。一般式中の繰り返し単位数cは、1以上であれ
ば良いが、有効な耐熱性および/または吸湿性を示すと
いう点からは10以下が好ましく、5以下がより好まし
い。
【0014】上記2種のフェノール系硬化剤(B)およ
び(C)の混合比は、特に限定されないが、たとえば、
水酸基当量比で、(C)/〔(B)+(C)〕=0.1
以上、0.9以下が望ましく、0.3以上、0.7以下
がさらに望ましい。上記当量比は、小さ過ぎると耐湿信
頼性が悪化し、大きすぎると半田付け工程などにおける
耐クラック性が低下する傾向がある。
【0015】この発明にかかる封止用エポキシ樹脂組成
物は、上述の、ビフェニル型エポキシ樹脂(A)、ジシ
クロペンタジエン・フェノール重合体(B)およびナフ
トール・フェノール重合体(C)を必須成分とするもの
であり、これら(A)、(B)および(C)のうちのい
ずれを欠いた場合でも、半田付け時の耐クラック性およ
び耐湿信頼性の大幅な向上が期待できない。
【0016】この発明の封止用エポキシ樹脂組成物に
は、上記必須成分以外にも、必要に応じて、適当な硬化
促進剤、無機充填材、離型剤、着色剤、低応力化剤など
を加えることができる。硬化促進剤としては、たとえ
ば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセ
ン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミ
ン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノー
ル、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三
級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4
−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2
−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシ
ルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフ
ィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホス
フィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等
の有機ホスフィン類(リン系硬化促進剤);テトラフェ
ニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニ
ルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4
−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メ
チルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェ
ニルボロン塩等がある。無機充填材としては、たとえ
ば、シリカやアルミナなどの一般に樹脂封止材に用いら
れるものが挙げられる。なお、無機充填材は、封止樹脂
との密着性を向上させるなどの目的でカップリング剤で
表面処理されてもよい。このような無機充填材の表面処
理に用いるカップリッグ剤として、たとえば、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランなどのシランカップリッグ剤が
挙げられる。離型剤としては、たとえば、カルナウバワ
ックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含
有ポリオレフィンなどがあり、着色剤としては、たとえ
ば、カーボンブラックなどがある。低応力化剤として
は、たとえば、シリコーンゲル、ゴム、オイル等があ
る。なお、この発明の封止用エポキシ樹脂組成物に用い
られる硬化促進剤、無機充填材、離型剤、着色剤、低応
力化剤などは、ここに例示したものに限定されるわけで
はない。
【0017】この発明の封止用エポキシ樹脂組成物にお
いては、上記フェニル型エポキシ樹脂(A)を含んで
おりさえすれば、これ以外のエポキシ樹脂を併用するこ
とは構わない。たとえば、一般に使用されているフェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を、この発明
の効果を損なわない範囲内で、適宜かつ何種類でも、上
フェニル型エポキシ樹脂(A)と併用することがで
きる。硬化剤についても、上記ジシクロペンタジエン・
フェノール重合体(B)およびナフトール・フェノール
重合体(C)を必須成分として含んでおりさえすれば、
上記(B)および(C)以外の硬化剤を併用しても構わ
ない。このような(B)および(C)以外の硬化剤とし
ては、たとえば、一般に使用されているフェノールノボ
ラック、クレゾールノボラック等がある。
【0018】なお、ビフェニル型エポキシ樹脂(A)
と、ジシクロペンタジエン・フェノール重合体(B)お
よびナフトール・フェノール重合体(C)との当量比
は、特に限定はないが、〔(B)および(C)の水酸基
数の合計〕/〔(A)のエポキシ基数〕=0.7〜1.
3が望ましく、0.9〜1.1がより望ましい。なお、
他のエポキシ樹脂および/または硬化剤を併用する時に
は、(硬化剤全体の水酸基数合計)/(エポキシ樹脂全
体のエポキシ基数合計)=0.7〜1.3が望ましく、
0.9〜1.1がより望ましい。
【0019】
【作用】この発明によれば、ビフェニル型エポキシ樹脂
(A)とジシクロペンタジエン・フェノール重合体
(B)とナフトール・フェノール重合体(C)とを合わ
せて用いるので、耐リフロー性(半田付け時の耐クラッ
ク性)の良好な耐湿性・耐熱性・金型離型性(成形作業
性)の優れた封止樹脂を得させることができる。その理
由は以下のように推察される。ビフェニル型エポキシ樹
脂(A)は、疎水性のメチル基を有する剛直なビフェニ
ル骨格により、低吸湿、高耐熱さらに低弾性率の特徴を
発揮する。そして、併用する硬化剤の一方たるジシクロ
ペンタジエン・フェノール重合体(B)は、その構造中
にジシクロペンタジエン骨格を有するため、極めて低吸
湿の特徴を発揮するとともにリードフレームや半導体装
置等との密着性を高め、もう一方のナフトール・フェノ
ール重合体(C)は、構造中にナフタレン骨格を有する
ため、低吸湿で耐熱性(Tgが高い)に優れる特徴を発
揮して耐湿信頼性も高める。
【0020】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記の実施例に限定されな
い。 −実施例1− 表1に示す原材料を同表に示す割合で配合し、加熱ロー
ルを使用して温度70〜120°Cで約8分間の条件で
混練した。その後、約5mmφに粉砕し、実施例1の封
止用エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂成形材料)を作
製した。
【0021】−実施例2〜5および比較例1〜2− 表1に示す原材料を同表に示す割合で用い、実施例1と
同様にして、実施例2〜5および比較例1〜2の封止用
エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂成形材料)を作製し
た。表1に示すビフェニル型エポキシ樹脂(A)として
は、下記の構造式;
【0022】
【化7】
【0023】で示される、エポキシ当量190、融点1
05°Cのエポキシ樹脂「YX4000H」(油化シェ
ルエポキシ株式会社の商品名)を用いた。表1に示すジ
シクロペンタジエン・フェノール重合体(B)として
は、下記の構造式;
【0024】
【化8】
【0025】で示される、平均分子量550、OH当量
177、融点110°Cのフェノール系硬化剤「DC1
00LL」(山陽国策パルプ株式会社の商品名)を用い
た。表1に示すナフトール・フェノール重合体(C)と
しては、下記の構造式;
【0026】
【化9】
【0027】で示される、OH当量140、融点120
°Cのフェノール系硬化剤「OCN−7000」(日本
化薬株式会社の商品名)を用いた。この場合、(A)以
外のエポキシ樹脂としては、エポキシ当量195、融点
70°Cのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「ES
CN195XL」(住友化学工業株式会社の商品名)を
用いた。(B)および(C)以外の硬化剤としては、O
H当量104、融点82°Cのフェノールノボラック
「タマノール752」(荒川化学工業株式会社の商品
名)を用いた。
【0028】また、溶融シリカ微粉末は、表1に示した
重量部の溶融シリカに対しγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン2.5重量部およびγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン2.5重量部の割合で、噴霧法に
より、溶融シリカの微粉末を表面処理して得られたもの
である。
【0029】
【表1】
【0030】上記実施例および比較例で得られた成形材
料を、トランスファー成形機を用いて、170〜175
°Cで90秒間成形し、175°Cで6時間後硬化し
て、下記の吸湿率、耐半田クラック性、および、耐湿信
頼性の各評価用サンプルを得た。各種特性は、次に示す
方法により測定、評価し、結果を表2に示した。
【0031】(1) 吸湿率 60mmφ、2.0mm厚の円板を成形し、85°C、
85%RHで72時間吸湿させ、重量変化より吸湿率を
求めた。 (2) 耐半田クラック性 7.6mm×7.6mm×0.4mm厚の半導体素子を
ダイパッド寸法8.2mm×8.2mmの42アロイリ
ードフレームに銀ペーストで実装し、外形寸法19mm
×15mm×厚み1.8mmの60ピンフラットパッケ
ージ型IC金型で成形し、その後、85°C、85%R
Hで72時間吸湿した後、240°Cの半田槽に浸漬し
た。このとき、20秒浸漬してクラックの発生しなかっ
たサンプル個数(クラックなしサンプル数)/(20秒
間浸漬したサンプル数)を調べた。
【0032】(2) 耐湿信頼性(USPCBT) 上記(2) で述べた評価用半導体素子(TEG:Test Ele
ment Group. 0.5μmのクシ形アルミニウム配線回路
が加工された、ガラス系保護膜付きのもの)を使用し
て、85°C、85%RHで72時間吸湿した後、26
0°Cの半田槽に10秒間浸漬した後、138.5°
C、85%RH、20Vの条件下で耐湿信頼性を測定し
た。300時間経過後の不良率を求めた。
【0033】
【表2】
【0034】表2にみるように、実施例のものは、比較
例のものに比べて、吸湿率が低いため、吸湿後の耐半田
クラック性が格段に優れ、しかも、耐湿信頼性が非常に
良い。
【0035】
【発明の効果】この発明にかかる封止用エポキシ樹脂組
成物は、以上に述べたように、得られた封止樹脂の吸湿
率を大幅に低減することができて、封止樹脂に対し実装
時の高温度でも高強度を維持させることができ、さら
に、封止樹脂の耐湿信頼性を大幅に向上させることがで
きるため、工業的価値が大きい。さらに、得られた封止
樹脂の半導体装置(たとえば、半導体チップなど)やリ
ードフレーム等との密着強度も向上させることができ
る。このため、この発明にかかる封止用エポキシ樹脂組
成物を使用すれば、実装時の半田付け工程などにおける
耐クラック性を大幅に向上させることが可能になる。す
なわち、この発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止し
たパッケージは、第1に、半田付け時に発生するパッケ
ージクラック等の原因の1つである水分の侵入が少な
く、クラックが発生しにくい。一方、パッケージの封止
樹脂部分が低弾性率かつ高密着性であるため、リードフ
レームや半導体装置等と封止樹脂の界面剥離が抑えられ
るとともに、高温時の強度が高いため、実装時の水蒸気
にも耐えるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 辰佳 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−87616(JP,A) 特開 平1−108256(JP,A) 特開 昭62−184020(JP,A) 特開 昭62−104830(JP,A) 特開 平5−1210(JP,A) 特開 平4−236215(JP,A) 特開 平4−164917(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/24 C08G 59/62 H01L 23/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表されるビフェニル型エ
    ポキシ樹脂(A)、下記一般式で表されるジシクロペ
    ンタジエン・フェノール重合体(B)および下記一般式
    で表されるナフトール・フェノール重合体(C)を必
    須成分とする封止用エポキシ樹脂組成物。 【化1】 【化2】 【化3】
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