JP2537271C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、主に燃焼機器の点火に用いるためのセラミック発熱体の発熱部の構
造に関する。 [従来の技術] セラミック発熱体は、電気絶縁性のセラミック焼結体製基体内に、電気抵抗体
を埋設した構成を有しており、これにリード線を接続するとともに、機器への装
着手段を兼ねるハウジングに保持させてセラミックヒータとして使用される。 基体は、アルミナ、窒化珪素などの耐熱性、耐熱衝撃性に優れた電気絶縁性セ
ラミック焼結体で形成され、平板状、角棒状、あるいは丸棒状など所定の形状を
有する。 電気抵抗体は、高融点金属または導電性セラミックからなる導電路を、その両
端部は前記基体の後部に並行して配し、中間部は前記基体の先端部に蛇行などの
所望のパターンで配して形成される。前記導電路は、前記両端部は断面積が大き く形成されて電気抵抗の小さい導電部とされ、前記中間部は断面積が小さく形成
されて電気抵抗の大きい発熱部となっている。 このセラミック発熱体を用いたセラミックヒータは、従来よりディーゼル機関
のグロープラグとして実用されている。また近年、電波雑音を生じない利点から
、電子制御装置を備えたガス燃焼機器などの燃焼機器の点火装置としての使用が
検討されている。 またグロープラグでは、発熱体は900℃程度の使用温度に5秒間前後で昇温
すれば性能的に十分であるのに対し、点火装置用セラミックヒータでは、発熱体
は1000℃以上の温度に1秒間以内に到達できる性能が要求される。 [発明が解決しようとする課題] しかるに従来のセラミック発熱体は、電気抵抗体の発熱部の導電路は、基体の
側面に近接し、基体の先端面からは離れて埋設されていた。たとえば発熱部の側
端と基体の側面との距離は0.5mm程度であるのに対し、発熱部の先端と基体
の先端面との距離は3mm以上となっていた。 このため、セラミック発熱体が通電されて昇温するとき、発熱部の埋設されて
いる部分と、その先端の発熱部の埋設されていない部分との温度差が大きくなり
、境界部分で熱膨張差による熱応力が生じる。よって長期間使用していると、こ
の熱反応の繰返し作用により、基体の前記境界部分にクラックが発生しやすい欠
点があった。 この発明の目的は、上記熱応力が小さくでき、これにより長期間使用しても上
記基体の境界部分にクラックが発生することを防止でき、耐久性に優れるセラミ
ック発熱体の提供にある。 [課題を解決するための手段] 上記目的達成のため、本発明は、電気絶縁性セラミック焼結体からなり、丸棒
又は薄板状を呈する基体と、該基体内に埋設された導電路からなるセラミック発
熱体において、前記導電路の両端部は前記基体の後部に並行して配され導電部と
なっており、前記導電路の中間部は前記基体の先端部に所定のパターンで配され
発熱部となっており、前記発熱部は、前記発熱部の先端と前記基体の先端面との
間の距離Yが、前記発熱部の側端と前記基体の側面との距離Xに対し、0.7X ≦Y≦1.5Xの範囲内となるよう前記基体の先端部に埋設されており、さらに
、前記距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲に設定した構成を採用した
。 [作用および発明の効果] 本発明のセラミック発熱体は、板状を呈する電気抵抗体の発熱部を、該発熱部
の先端と基体の先端面との間の距離Yが、発熱部の側端と基体の側面との間の距
離Xに対し、0.7X≦Y≦1.5Xの範囲及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1
.0mmの範囲となるよう形成している。すなわち発熱部の埋設されていない基
体の先端部分は小さく設定され、発熱部での発熱は基体の先端面に迅速に伝達さ
れる。 これにより、通電されて昇温するとき、セラミック発熱体における電気抵抗体
の発熱部が埋設されている部分と、その先端の電気抵抗体の埋設されていない部
分との温度差が小さくできる。その結果、境界部分での熱膨張差が微小にできる
。よってこの境界部分で生ずる熱応力は小さく、常温から1000℃に1秒以内
に昇温させても基体にクラックが発生することが防止でき、セラミックヒータと
して使用したとき優れた耐久性を有する。 [実施例] 次に本発明を第1図および第2図に示す実施例に基づき説明する。 本発明にかかるセラミック発熱体1は、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの電
気絶縁性で耐熱性および耐熱衝撃性に優れたセラミック焼結体からなる基体2に
、炭化タングステンに窒化珪素を混合してなる導電路30を所定のパターンで埋
設し、電気抵抗体3とした構成を有する。 このセラミック発熱体1は、第2図に示す如く、セラミックグリーンシート1
Aの表面に導電体ペースト3Aを所定のパターンで被着し、これに同形のセラミ
ックグリーンシート1Bを積層して焼成一体化して製造される。 本実施例では、基体2は、幅5.0mm、長さ50mm、板厚1.5mmの細
長い矩形板状を呈する。 電気抵抗体3を構成する導電路30は、その両端部31、32が基体2の後端
部21に並行して配され導電部となっている。また該両端部31、32は、その 先端311、321の外側面が基体2の側面2a、2bに露出した露出面33、
34となり、リード線(図示せず)が接続される。導電路30の中間部35は、
前記基体2の先端部22に所定のパターンで配され発熱部4となっている。導電
部の導電路断面積は、発熱部4の導電路断面積の5倍に設定されている。 発熱部4は、本実施例では略W字状に形成されており、両側41、42から基
体2の側面2a、2bの距離Xは、それぞれ0.5mmとなっている。また発熱
部4の先端43、44から先端面2cまでの距離Yも0.5mmとなっている。 これにより、セラミック発熱体1は、通電されて昇温するとき、発熱部4が埋
設されている部分と、その先端の発熱部4が埋設されていない部分とに温度差が
生じにくく、発生する熱応力も小さい。 第3図に通電して1秒経過後のセラミック発熱体1の表面温度分布を示す。図
中Iは本発明にかかるセラミック発熱体1、IIはY=5.0mmである以外はセ
ラミック発熱体1と同一仕様の従来のセラミック発熱体である。これにより本発
明のセラミック発熱体1は先端部での温度分布が均一であるのに対し、従来のセ
ラミック発熱体では先端面から3mm前後の境界部分で大きな温度勾配が生じる
ことが判明する。 前記距離Yは距離Xとほぼ同等であることが望ましいが、0.7X≦Y≦1.
5Xの範囲及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲にあれば、セラミ
ック発熱体1が、常温から1000℃の温度に1秒以内に到達する程度の急激な
昇温に対しても基体にクラックが生じなく、実用上十分な耐久性が得られる。 第4図は第2実施例にかかるセラミック発熱体5を示す。 この実施例では、基体6として直径3.5mmの丸棒を用いている。これによ
り基体6は第1実施例の平板形状に比較し応力集中が生じにくく、且つ外力に対
しても大きい機械的強度を有するので、より優れた耐久性を有する。 第5図は第3実施例にかかるセラミック発熱体7を示す。 この実施例では、基体8として幅4.0mm、厚さ2.5mmの矩形断面を呈
する角棒を用いている。このセラミック発熱体7は、3枚のセラミックグリーン
シート間に同一パターンの導電路90を2層に配して焼成一体化され、各導電路
90、90は電気的に並列接続されている。これにより基体8は第1実施例の平 板形状に比較し、熱応力や外力に対して大きい機械的強度を有するので、より優
れた耐久性を有する。 セラミック発熱体に供給する電流を増減させて、発熱体先端部の基体表面温度
か20℃から1000℃に到達する時間Tを変化させ、上記電気抵抗体の発熱部
と基体の側面との距離Xと、発熱部の先端と基体の先端面との距離Yをパラメー
タとし、前記境界部分にひびわれの発生する昇温時間を測定(昇温速度を測定す
ることと同一)した結果を表1に示す。表1から0.7X≦Y≦1.5Xの範囲
及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲にあるテスト品N1〜N5は
1秒以内の昇温に耐えるが、Y=10Xのテスト品N6は1.2秒の昇温時間で
ひびわれが発生している。
造に関する。 [従来の技術] セラミック発熱体は、電気絶縁性のセラミック焼結体製基体内に、電気抵抗体
を埋設した構成を有しており、これにリード線を接続するとともに、機器への装
着手段を兼ねるハウジングに保持させてセラミックヒータとして使用される。 基体は、アルミナ、窒化珪素などの耐熱性、耐熱衝撃性に優れた電気絶縁性セ
ラミック焼結体で形成され、平板状、角棒状、あるいは丸棒状など所定の形状を
有する。 電気抵抗体は、高融点金属または導電性セラミックからなる導電路を、その両
端部は前記基体の後部に並行して配し、中間部は前記基体の先端部に蛇行などの
所望のパターンで配して形成される。前記導電路は、前記両端部は断面積が大き く形成されて電気抵抗の小さい導電部とされ、前記中間部は断面積が小さく形成
されて電気抵抗の大きい発熱部となっている。 このセラミック発熱体を用いたセラミックヒータは、従来よりディーゼル機関
のグロープラグとして実用されている。また近年、電波雑音を生じない利点から
、電子制御装置を備えたガス燃焼機器などの燃焼機器の点火装置としての使用が
検討されている。 またグロープラグでは、発熱体は900℃程度の使用温度に5秒間前後で昇温
すれば性能的に十分であるのに対し、点火装置用セラミックヒータでは、発熱体
は1000℃以上の温度に1秒間以内に到達できる性能が要求される。 [発明が解決しようとする課題] しかるに従来のセラミック発熱体は、電気抵抗体の発熱部の導電路は、基体の
側面に近接し、基体の先端面からは離れて埋設されていた。たとえば発熱部の側
端と基体の側面との距離は0.5mm程度であるのに対し、発熱部の先端と基体
の先端面との距離は3mm以上となっていた。 このため、セラミック発熱体が通電されて昇温するとき、発熱部の埋設されて
いる部分と、その先端の発熱部の埋設されていない部分との温度差が大きくなり
、境界部分で熱膨張差による熱応力が生じる。よって長期間使用していると、こ
の熱反応の繰返し作用により、基体の前記境界部分にクラックが発生しやすい欠
点があった。 この発明の目的は、上記熱応力が小さくでき、これにより長期間使用しても上
記基体の境界部分にクラックが発生することを防止でき、耐久性に優れるセラミ
ック発熱体の提供にある。 [課題を解決するための手段] 上記目的達成のため、本発明は、電気絶縁性セラミック焼結体からなり、丸棒
又は薄板状を呈する基体と、該基体内に埋設された導電路からなるセラミック発
熱体において、前記導電路の両端部は前記基体の後部に並行して配され導電部と
なっており、前記導電路の中間部は前記基体の先端部に所定のパターンで配され
発熱部となっており、前記発熱部は、前記発熱部の先端と前記基体の先端面との
間の距離Yが、前記発熱部の側端と前記基体の側面との距離Xに対し、0.7X ≦Y≦1.5Xの範囲内となるよう前記基体の先端部に埋設されており、さらに
、前記距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲に設定した構成を採用した
。 [作用および発明の効果] 本発明のセラミック発熱体は、板状を呈する電気抵抗体の発熱部を、該発熱部
の先端と基体の先端面との間の距離Yが、発熱部の側端と基体の側面との間の距
離Xに対し、0.7X≦Y≦1.5Xの範囲及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1
.0mmの範囲となるよう形成している。すなわち発熱部の埋設されていない基
体の先端部分は小さく設定され、発熱部での発熱は基体の先端面に迅速に伝達さ
れる。 これにより、通電されて昇温するとき、セラミック発熱体における電気抵抗体
の発熱部が埋設されている部分と、その先端の電気抵抗体の埋設されていない部
分との温度差が小さくできる。その結果、境界部分での熱膨張差が微小にできる
。よってこの境界部分で生ずる熱応力は小さく、常温から1000℃に1秒以内
に昇温させても基体にクラックが発生することが防止でき、セラミックヒータと
して使用したとき優れた耐久性を有する。 [実施例] 次に本発明を第1図および第2図に示す実施例に基づき説明する。 本発明にかかるセラミック発熱体1は、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの電
気絶縁性で耐熱性および耐熱衝撃性に優れたセラミック焼結体からなる基体2に
、炭化タングステンに窒化珪素を混合してなる導電路30を所定のパターンで埋
設し、電気抵抗体3とした構成を有する。 このセラミック発熱体1は、第2図に示す如く、セラミックグリーンシート1
Aの表面に導電体ペースト3Aを所定のパターンで被着し、これに同形のセラミ
ックグリーンシート1Bを積層して焼成一体化して製造される。 本実施例では、基体2は、幅5.0mm、長さ50mm、板厚1.5mmの細
長い矩形板状を呈する。 電気抵抗体3を構成する導電路30は、その両端部31、32が基体2の後端
部21に並行して配され導電部となっている。また該両端部31、32は、その 先端311、321の外側面が基体2の側面2a、2bに露出した露出面33、
34となり、リード線(図示せず)が接続される。導電路30の中間部35は、
前記基体2の先端部22に所定のパターンで配され発熱部4となっている。導電
部の導電路断面積は、発熱部4の導電路断面積の5倍に設定されている。 発熱部4は、本実施例では略W字状に形成されており、両側41、42から基
体2の側面2a、2bの距離Xは、それぞれ0.5mmとなっている。また発熱
部4の先端43、44から先端面2cまでの距離Yも0.5mmとなっている。 これにより、セラミック発熱体1は、通電されて昇温するとき、発熱部4が埋
設されている部分と、その先端の発熱部4が埋設されていない部分とに温度差が
生じにくく、発生する熱応力も小さい。 第3図に通電して1秒経過後のセラミック発熱体1の表面温度分布を示す。図
中Iは本発明にかかるセラミック発熱体1、IIはY=5.0mmである以外はセ
ラミック発熱体1と同一仕様の従来のセラミック発熱体である。これにより本発
明のセラミック発熱体1は先端部での温度分布が均一であるのに対し、従来のセ
ラミック発熱体では先端面から3mm前後の境界部分で大きな温度勾配が生じる
ことが判明する。 前記距離Yは距離Xとほぼ同等であることが望ましいが、0.7X≦Y≦1.
5Xの範囲及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲にあれば、セラミ
ック発熱体1が、常温から1000℃の温度に1秒以内に到達する程度の急激な
昇温に対しても基体にクラックが生じなく、実用上十分な耐久性が得られる。 第4図は第2実施例にかかるセラミック発熱体5を示す。 この実施例では、基体6として直径3.5mmの丸棒を用いている。これによ
り基体6は第1実施例の平板形状に比較し応力集中が生じにくく、且つ外力に対
しても大きい機械的強度を有するので、より優れた耐久性を有する。 第5図は第3実施例にかかるセラミック発熱体7を示す。 この実施例では、基体8として幅4.0mm、厚さ2.5mmの矩形断面を呈
する角棒を用いている。このセラミック発熱体7は、3枚のセラミックグリーン
シート間に同一パターンの導電路90を2層に配して焼成一体化され、各導電路
90、90は電気的に並列接続されている。これにより基体8は第1実施例の平 板形状に比較し、熱応力や外力に対して大きい機械的強度を有するので、より優
れた耐久性を有する。 セラミック発熱体に供給する電流を増減させて、発熱体先端部の基体表面温度
か20℃から1000℃に到達する時間Tを変化させ、上記電気抵抗体の発熱部
と基体の側面との距離Xと、発熱部の先端と基体の先端面との距離Yをパラメー
タとし、前記境界部分にひびわれの発生する昇温時間を測定(昇温速度を測定す
ることと同一)した結果を表1に示す。表1から0.7X≦Y≦1.5Xの範囲
及び距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲にあるテスト品N1〜N5は
1秒以内の昇温に耐えるが、Y=10Xのテスト品N6は1.2秒の昇温時間で
ひびわれが発生している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例にかかるセラミック発熱体の斜視図、第2図はそ
の組み付け図、第3図は該発熱体と従来のセラミック発熱体の温度分布を示すグ
ラフである。第4図は本発明の第2実施例にかかるセラミック発熱体の組み付け
図、第5図は本発明の第3実施例にかかるセラミック発熱体の斜視図である。 図中、1、5、7…セラミック発熱体 2、6、8…セラミック製基体 3…
電気抵抗体 4…発熱部 30、90…導電路
の組み付け図、第3図は該発熱体と従来のセラミック発熱体の温度分布を示すグ
ラフである。第4図は本発明の第2実施例にかかるセラミック発熱体の組み付け
図、第5図は本発明の第3実施例にかかるセラミック発熱体の斜視図である。 図中、1、5、7…セラミック発熱体 2、6、8…セラミック製基体 3…
電気抵抗体 4…発熱部 30、90…導電路
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1)電気絶縁性セラミック焼結体からなり、丸棒又は薄板状を呈する基体と、
該基体内に埋設された導電路からなるセラミック発熱体において、 前記導電路の両端部は前記基体の後部に並行して配され導電部となっており、
前記導電路の中間部は前記基体の先端部に所定のパターンで配され発熱部となっ
ており、 前記発熱部は、前記発熱部の先端と前記基体の先端面との間の距離Yが、前記
発熱部の側端と前記基体の側面との距離Xに対し、0.7X≦Y≦1.5Xの範
囲内となるよう前記基体の先端部に埋設されており、 さらに、前記距離Yを、0.3mm≦Y≦1.0mmの範囲に設定したことを
特徴とするセラミック発熱体。
Family
ID=
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