JP2535551B2 - 精製油の製造方法 - Google Patents

精製油の製造方法

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JP2535551B2 JP62223832A JP22383287A JP2535551B2 JP 2535551 B2 JP2535551 B2 JP 2535551B2 JP 62223832 A JP62223832 A JP 62223832A JP 22383287 A JP22383287 A JP 22383287A JP 2535551 B2 JP2535551 B2 JP 2535551B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はニツケルの除去を含む精製油の製造方法に関
する。
未精製および部分精製油は除去が困難なニツケルを含
む。特にニッケル含有触媒で水素添加した油脂し、触媒
を除去するために濾過した後も相当量のニッケルを含ん
でいるのが通常である。濾過処理後の水素添加油脂のニ
ッケル含量は50ppm乃至100ppmのレベルである。これら
の残留痕跡量のニツケルは石鹸形、および/又はコロイ
ド金属して存在する。種々の理由で、例えば酸化を防止
するために、例えば1ppm以下の低いニツケル含量の油が
望ましい。これは特に食用製品に使用する油に対する場
合であり、この油のニッケル含量は好ましくは0.1ppmを
超えるべきではない。
水素添加油の後−精製処理として、特に濾過水素添加
油から残留ニツケルを除去し、又はこれらの好ましくな
い量の油中の存在を防止するために種々の方法が提案さ
れた。
米国特許第2,365,045号明細書では水素添加前、中又
は後に、しかし好ましくは水素添加前に油に活性炭を添
加することを推奨している。こうして処理される油の遊
離脂肪酸含量は好ましくは0.05%より多くてはならな
い。従つて、水素添加する油としてアルカリ−精製油を
使用することが望ましいと考えられる。油と触媒と活性
炭を含む混合物は水素添加油を回収するために濾過され
る。収集物質の添加はコロイド状に懸濁したニツケル粒
子の除去を有利にし、石鹸を吸着するために供される。
米国特許第2,602,807号明細書によれば、油に漂白粘
土を添加し、得た混合物を濾過することによる水素添加
油からのニツケル触媒の除去は酸−活性化粘土を使用す
ることにより改良できる。粘土は油/触媒スラリーに添
加し、又は大部分の触媒を濾過により既に除去した油に
添加してもよい。例えば、この方法は濾過前に通常の漂
白粘土に少量の濃リン酸又は硫酸を最初に添加し次にこ
うして酸性化した粘土を油に添加することにより、又は
酸および漂白粘土の双方を油に添加することにより行な
うことができる。
米国特許第2,650,931号明細書は濾過水素添加油から
残留金属汚染物を除去するために油と金属塩を溶解する
酸の水性溶液を緊密混合し、生成混合物を遠心分離操作
にかけて酸水性溶液を清浄油から遠心分離することを推
奨する。例えばクエン酸、リン酸又は酒石酸の稀水溶液
を油量の約10%量で使用するのがよい。
米国特許第2,654,766号明細書には適当な水素添加結
果を得るために多数の処理が提案される: 水素添加はリグニンの存在で行なう。これはニツケル
触媒を使用する水素添加の過程で通例形成されるといわ
れるニツケル石鹸を不活性化することにより濾過硬化脂
肪中の痕跡ニツケルの分離が一層よく行なわれるためと
いわれる。
明細書によれば、ニツケル石鹸の形成は水素圧下で少
量の消費金属触媒、例えば消費ニツケル触媒の存在で油
を100℃以上に加熱する前処理を行なうことにより実質
的に減少できる。改良された結果はこの熱前処理を少量
の活性化漂白土、好ましくは活性炭素およびフイルター
セルの存在で行なうことにより得ることができるといわ
れる。
このように前処理し、濾過した油は続いて水素添加前
に金属石鹸を分離するためにリン酸および/又はリン酸
ソーダによる処理を行なう。この処理は油と稀酸水性溶
液を加熱し、混合物を沈降させ、水性石鹸含有スラツジ
を除去することにより行なう。その後、油は少量のフイ
ルターセルにより濾過し、又は別法では遊離酸度を除去
するために、油に苛性ソーダ溶液を噴霧し、次いで熱水
により反復洗滌し痕跡の石鹸を除去することができる。
稀リン酸およびリン酸ソーダ溶液による同様の処理は
水素添加後に例えばニツケル石鹸を除去するために適用
できる。この処理は次に約0.01〜0.02%の有機酸、例え
ば蓚酸、クエン酸、又は醋酸により処理して痕跡の鉄を
除去することができる。その後、例えば活性化粘土を添
加して油の漂白を行なうことができ、および/又は油を
脱臭して精製処理を完結できる。
米国特許第2,783,260号明細書には、脂肪油から水素
添加臭およびフレーバを除去する方法が記載される。こ
の方法は約0.5〜4%の濃リン酸を水素添加油に添加
し、そこに空気を噴射しながら約60〜95℃で混合物の攪
拌を保持し、続いて中性漂白土を添加し、生成混合物を
約130〜140℃に保持し、次に混合物を冷却し、濾過する
ことを含む。このように処理した油は0.1%より高い遊
離脂肪酸含量を有してはならない。0.1%以上の遊離脂
肪酸含量を有する油はリン酸、空気および漂白土処理の
適用前に先づアルカリ精製にかけなければならない。
Avi Publishing会社刊の、M.E.Stansby編輯、「Fish
Oils」,403頁,1967には、油を0.1N苛性ソーダ溶液によ
り処理し、熱水で3回洗滌し、次に95℃で真空乾燥する
ことを含む後−精製処理に、濾過、水素添加魚油をかけ
る方法が記載される。次に油は活性化土により漂白し、
減圧下に過熱蒸気の噴射により脱臭する。
同様に、「Olagineux」,28N゜7,(1933),356〜35
9頁には粗硬化油の濾過後、稀アルカリ洗滌、次いで熱
水洗滌し、次に油を乾燥し、土を添加し、濾過し、脱臭
する粗硬化油の処理が記載される。連続遠心装置を使用
する場合、熱水洗滌工程は省略できる。別法では、特に
硬化植物油の場合アルカリ中和は省略でき、油は第2回
の濾過前に少量の活性化土を単に添加し、次に油をスト
リツプして脱臭および遊離脂肪酸を除去することにより
後−精製できるといわれる。酸化に対し油を保護するた
めに、濾過後の任意の時点で、好ましくは脱臭の初期に
クエン酸のような金属封鎖剤の添加が示唆される。
英国特許第1,531,203号明細書には、濾過、水素添加
有機液体、例えば油は通例「後−漂白」と称される次の
工程で除去しなければならない金属水素添加触媒の残留
量を含有することが記載される。「後−漂白」では残留
痕跡量の金属触媒が金属成分と不活性複合体を形成でき
る中性掃去化合物の使用により除去される。これらの金
属はリン酸のようなある酸および、クエン酸および酒石
酸のような有機酸を含む。後−漂白処理は例えばFilter
aid(商標)の添加による付加的濾過を必要とする。後
−精製水素添加油の別法として、英国特許第1,531,203
号明細書は酸素を存在させないで水素添加油を微粉砕分
散固体吸着剤と混合し、電気濾過することを教示する。
別法では、吸着剤は水素添加反応前に混合できる。
DOS第2,854,949号明細書は油を磁場に通すことにより
水素添加油からニツケル粒子を除去することを提案す
る。
Baileyの「Industrial Oil and Fat Products」(2
巻,第4版,John Wiley & Sons,37頁,1982)によれ
ば、石鹸又はコロイド金属形で濾過、水素添加油に存在
する残留ニツケルの除去は、濾過油を約180゜F(82.2
℃)で0.1〜0.2%の漂白土により処理し、濾過するいわ
ゆる後−漂白工程により通例達成される。非常に少量の
リン酸又は他の金属掃去剤は時々漂白工程で添加され
る。別法では活性炭素を使用することができ、これは水
素添加前に触媒と共に油に添加することを記載する。触
媒のニツケル量の10〜20倍に等しい量の炭素により金属
を含まない濾過油を収得することを報告する。
このように、非常に多種多様の方法が水素添加油の許
容しうる低残留ニツケル含量を達成するために提案され
ている。しかし、これらの方法には種々の不利が付随す
る。この問題の解決に尽されたあらゆる配慮に拘らず、
完全に満足できる解決法は見出されていない。
第一に、すべての提案方法は残留ニツケル含量を実質
的に減少させ、又は好ましくない高ニツケル含量の存在
を防止する所望効果を有しない。例えば濾過水素添加油
のニツケル含量に対し油を稀水溶液により洗滌する効果
は限定される。
水素添加前、中又は後で、濾過前に添加される吸着剤
を油/触媒スラリーと混合する方法は濾過により回収す
る触媒が消費吸着剤により稀釈される不利を有する。こ
れは次の水素添加に触媒を再使用する可能性に影響す
る。さらに、混合物を反復再使用する場合、触媒−吸着
剤混合物の必要使用量の増加は濾過に際し相当する油損
失の増加を生ずる。
上記方法のいくつかは稀水性溶液、特に稀酸水性溶液
を使用する。これらの方法では油はいわゆる洗滌処理を
行なう。すなわち、比較的大量の水性溶液、例えば油に
対し計算して約10重量%を油と混合する。次に混合物に
例えば滞留時間を与え又は加熱することができる。次に
汚染物含有水性相を分離し、精製油は重力、例えば遠心
分離又は容器の底部から汚染物含有水性相を排出するこ
とにより回収する。これらの処理はしばしば熱水による
1回以上の洗滌工程を次に行なう。
これらの方法はしばしばニツケル含量を適当に減少す
る事実とは別に、これらの処理は大量の流出液を生成す
る大きな不利がある。
先行技術と区別できるそれ以外のグループの方法は油
を吸着剤以外の他の化学薬剤で処理するが、大量の水性
溶液は使用しない方法から成る。これらの方法は大容量
の水性流出液を生ずる不利を有しない。上記のように、
これらの方法では濃厚酸、例えばリン酸、クエン酸又は
硫酸を使用し油に添加する化学物質はごく小割合の水を
含むか又は実際には全く水を含まない。このような物質
を使用する場合腐蝕の実質的危険がある。従つて耐蝕性
装置、例えばステンレス鋼装置はこれらの物質の取扱い
に対し使用しなければならない。さらにこのような攻撃
的化学薬剤を使用する場合、望まない副反応、例えば油
の加水分解、の発生の危険が実在する。
上記方法のうちいくつかのものは非常に費用がかか
る。例えば、工場規模の能力を有する磁石又は電気フイ
ルターを設置するのに必要な投資額は非常に高い。
これらの問題には打ち勝つことができること、油のニ
ツケル含量は簡単かつ有利な方法で実質的に減少でき、
化学薬剤を使用する必要もなく、大量の流出液を生ずる
こともないことがわかつた。
従つて、本発明は粗油に有効量の水性物質を添加し、
水、ニツケルおよび油を含む分散体を形成し、その後
水、ニツケルおよび油を含む分散体を濾過することによ
りニツケルの除去を含む精製油の製造方法を供する。
「粗油」とは、水性物質を添加する油を示すために使
用する。「粗」とは生成されていない油を意味するもの
ではない。事実上、粗油は完全な精製油、例えば人の消
費に適するが、尚さらに処理する、例えば水素添加する
トリグリセリド油であつてもよい。水性物質を添加する
時点で粗油はニツケルを含有し、又は含有しなくてもよ
い。例えば、さらに以下に説明するように、中和し、漂
白し、脱臭し、しかしニツケル含有触媒により水素添加
するが、水素添加反応の出発前の油に水性物質を添加す
ることは有利である。次に水性物質は触媒の添加前又は
同時に油に添加する。別法では粗油は例えば、ニツケル
含有触媒の大部分は油/触媒スラリーの濾過により既に
除去したが、残留ニツケル含量は水素添加油の意図的使
用のために非常に高い水素添加油であることができる。
攻撃的化学薬剤を使用せずに実施できることは本方法
の利点である。従つて発生する腐蝕の危険は防止でき、
軟鋼を使用できる。方法は脂肪油からニツケルを除去す
るために好結果で適用でき、油がかなりの量、例えば1
%又はそれより多い量の遊離脂肪酸を含む場合でも、次
の蒸気−ストリツピング処理で遊離脂肪酸を除去でき
る。複雑な装置は本方法の実施に必要でなく、方法は対
比的に安価である。
本方法は許容しうる方法で微細分散ニツケルを除去す
る方法を供するので、非常に粒子の小さい触媒を使用で
きる。これはこのような触媒により比較的高選択性およ
び活性を達成できるので有利である。
物理的現象に依存することは本方法の別の利点であ
る。化学薬剤を使用する必要がないので、予測できない
化学化合物の形成を生ずる望ましくない副反応発生の危
険を回避できる。理論により拘束されたくないが、本発
明の方法によるニッケルの除去は、水性液の作用によっ
て、コロイド状ニッケルを濾過によって除去できる程度
の大きさの集合体に形成すること(すなわち、水性液に
よるニッケル凝集作用)によって為されると考えられ
る。水性液は純水から成ることを必要としない。そこに
溶解又は分散した他物質を含有することができる。但
し、これらの物質はコロイド状ニツケル粒子を湿らせ、
これらを集合させる液の能力に反対に作用しないことが
条件である。コロイド状ニツケル粒子の大きさは濾過に
より油から除去するには小さすぎるが、本質的に水性液
およびニツケル粒子から成る集合体は濾過により油から
分離できる十分の大きさである。ごく少量の水性液がニ
ツケルを集合させるのに必要であり、有用な結果は例え
ば油の重量で0.1%又はそれより少い量の添加により得
ることができる。しかし有用な結果は集合の第一段階と
して水性液が実際にニツケル粒子と接触し、これらを湿
らせる場合のみ得ることができる。従つてこのような少
量の水性液は完全に十分に分散し、水性液とコロイド状
ニツケル粒子間にこのような接触をもたらす場合のみ有
効である。コロイド状ニツケル粒子と水性液間の適当な
接触は一層大量の水性液を使用する場合、従つて、分散
操作の質に払う注意が少なくてよい場合一層容易に得る
ことができる。原則としてニツケル集合体を形成するた
めに使用できる水性液量に上限はないが、実際には通例
油重量で計算して約2〜4%より多い水性液を使用する
ことは有用ではない。このような比較的多量の水性液を
使用する場合、その系において3種類の水を区別できる
と考えられる。すなわち、水に溶解した水、ニッケ
ル集合体に含まれる水、並びにいわゆる自由水(すな
わち、油中に存在する水滴に含まれる水)である。ま
た、後述の通り、本発明の方法においては吸着剤を使用
してもよいが、この場合には4種類目の水、すなわち、
吸着剤の吸着された水が確認できるであろう。油中に溶
解する水の量は、使用した油と水性物質の組成、温度並
びに圧力に依存する。系が自由水を含んでいると、濾過
に際して次のような問題が生ずる。自由水が存在しても
悪影響を受けないような特殊なフィルターを存在する
が、最も一般的に使用されているフィルターで上記のよ
うな自由水を含む油を濾過しようとすると目詰まりを起
こしてしまう。したがって、大量の水性物質を使用して
分散体中に自由水が存在するようになった場合、これを
通常のフィルターで手間をかけずに濾過しようとする
と、分散体を乾燥して自由水を除去する必要がある。大
量の水性物質を使用したり、遠心分離などの重力を利用
した分離法のように濾過以外の分離法を用いたりして
も、この問題を適切に解決することはできないことが判
明した。このような洗滌方法の使用は満足できるニツケ
ル除去をなし得ないことがわかる。
通常の濾過により適当に除去できない油の残留ニツケ
ル問題は主として水素添加油で起こる。従つて本方法は
水素添加油からニツケルを除去するために適用すること
が好ましい。このような除去困難なニツケルは通常未水
素添加油では生じないが、何らかの理由でこのような油
がニツケルにより汚染を生ずる場合、本方法は精製に使
用するに適する。
本明細書を通して「油および脂肪」とは、相互に交換
して使用する。これらは主としてトリグリセリド油から
成るグリセリド油のような脂肪油、および他の脂肪油、
例えばホホバ油、および合成油、例えばモノ−およびジ
−サツカライドのポリ脂肪酸エステルなどを示すことを
意味する。本方法は精製食用油、特に精製食用グリセリ
ド油の製造に使用することが好ましい。
ニツケル触媒の使用により適当に水素添加でき、本方
法をニツケル除去に有利に使用できる油の例は大豆油、
ナタネ油、パーム油、パーム核油およびヒマワリ油およ
びこれらの油から成る混合油を含む。
本方法は特に水素添加魚油に適用できる。大量の魚油
を水素添加することのみでなく、ニツケル触媒の有効除
去は周知の問題である。この問題を解決する1つの既知
アプローチは水素添加前に油を広汎な精製処理にかける
ことにより濾過水素添加油に高残留ニツケル含量の存在
を防止し、防止を試みることである。現在まで広く使用
される別のアプローチは濾過油/触媒混合物のアルカリ
処理、次いで漂白および脱臭であつた。アルカリ処理は
存在する遊離脂肪酸を中和する効果をも有する。本方法
の使用により広汎な前−処理も適用する必要がないし、
又アルカリ処理を適用する必要もない。魚油の遊離脂肪
酸は蒸気−ストリツピングにより除去でき、こうして特
に石鹸類を除去する必要が回避できる。
本方法で使用する水性物質は本質的に水から成ること
が好ましい。水性物質に反対の作用なく含むことができ
る他の物質量は含まれる物質の性質による。例えば比較
的大量の低級アルコールは水性物質に許容できる。しか
し実際上水性物質は好ましくは少なくとも80重量%の
水、さらに好ましくは少なくとも90重量%を含み、少な
くとも95重量%の水分含量は水性物質に特に好ましい。
いくらか酸を含有する水性物質を使用することは有利
である。好ましくは水および酸、好ましくは食用酸から
成り、実際に他の成分を含まない水性物質を使用する。
例えば、5又は10重量%強度のクエン酸溶液は使用で
きる。食用油に関する使用に対しては非毒性酸を使用す
べきである。20重量%まで、好ましくは10重量%までの
酸溶液は使用できる。酸の作用は、集合を妨害するニツ
ケル粒子に粘着する石鹸を恐らく除去することによりコ
ロイド状ニツケルの集合を助けるだけと思われる。
処理する粗油がニツケル触媒により水素添加された油
である場合濾過により触媒を除去する前に水素添加油お
よび触媒から成るスラリーに水性物質を添加し、分散す
ることができる。別法では、大部分のニツケル触媒を既
に除去した濾過水素添加油に水性物質は分散できる。
別の好ましい態様によれば、本発明はニツケル含有触
媒を使用して油を水素添加し、水素添加を中止し、水素
添加前又は水素添加中粗油に水性物質を添加した水素添
加油および触媒を含むスラリーを濾過して精製油を回収
することを含む方法を含む。水素添加する油が非常に乾
燥している場合、例えば油の水分含量が約0.05重量%よ
り少ない場合この方法は特に有利であることがわかつ
た。これは特に、水素添加する油を蒸気ストリツプ又は
脱臭する場合、すなわち高温、低圧で蒸気処理する場合
である。このような乾燥油では油に存在する触媒が溶解
する実質的危険がある。水性物質は水素添加中添加でき
るが、水素添加反応の出発前に添加することが一層有利
である。好ましくはニツケル含有触媒の添加前又は実質
的に同時に水性物質を添加する。本発明のこの態様は特
に、反応が終結した後の空の装置で水素添加を行なう場
合有利に使用できる。反応が終結しているため例えば、
水素添加後であるが油/触媒スラリーの濾過前の蒸気の
添加は有利である。このような場合反応の中止後、油、
ニツケル触媒および水性物質を含有する分散体は真空下
に保持する事実にも拘らず、例えば触媒と一緒に水性物
質の添加は最後に得た濾過水素添加油のニツケル含量に
有利な効果を有する。
水素添却反応に関連して、本発明による粗油に水性物
質の添加は水素添加反応の開始前、例えば油に水素添加
触媒の添加前又は本質的に添加と同時に、水素添加中、
水素添加反応の停止後であるが油/触媒スラリーの濾過
前、又は濾過後に行なうことができる。水性物質の添加
は水素添加油および触媒スラリーの濾過前に行なう場
合、この濾過工程は本方法で必要な水、ニツケルおよび
油を含有する分散体の濾過として働く。水性物質を濾過
水素添加油に添加する場合、さらに濾過工程が必要であ
る。通例、濾過水素添加油は次に吸着剤、例えば漂白土
により処理する。以下にさらに説明するように水、ニツ
ケルおよび油を含有する分散体の濾過は油から吸着剤の
分離を兼ねるのがよい。水性物質を油/触媒スラリー濾
過前に添加する本発明の態様の利点は濾過水素添加油の
ニツケル含量が非常に低いことである。その結果、水素
添加油の漂白に使用し、廃棄しなければならない、例え
ば漂白土のニツケル含量は低い。これは高ニツケル含量
を有する消費漂白土の廃棄は環境問題を起こすので有利
である。
本発明の好ましい態様では、粗油と接触する水性物質
は蒸気である。蒸気の使用により、油中への水性物質の
完全分散は有利に得ることができ、ニツケルの実質的除
去は油の僅か約0.1〜0.2重量%の量で蒸気を使用する場
合既に達成できる。
粗油として水素添加油/触媒スラリーをそこから濾過
により触媒を除去する前に使用する場合添加する水性物
質として蒸気を使用することが特に好ましい。蒸気を使
用する場合、水性物質の適当な分散は烈しい攪拌を伴な
わずに達成できる。油/触媒スラリーに水性物質を分散
させるために烈しい攪拌を行なうことは、特に通例の支
持触媒を使用する場合、大量の極微細分散触媒粒子を形
成させる。これはその後の濾過を一層困難にし、濾過に
より除去できないニツケル含量を増加させる触媒粒子の
機械的損傷に基づくこのような微細物の形成は烈しい機
械的攪拌を行なわずに適当に分散できる蒸気を水性物質
として使用する場合避けることができる。好ましくは、
油、触媒および水性物質を含むスラリーに対し例えば普
通の水素添加装置にしばしば含まれる、例えば適当な混
合装置の使用により比較的温和な攪拌のみを行なう。
本発明の別な好ましい態様では、水性液は油と接触さ
せ、生成組成物は混合する。機械ミキサーおよび/又は
攪拌機の使用により、水性液は適当に油に分散できる。
本方法のこの態様は濾過水素添加油の精製に特に適す
る。
本方法は反復適用に適する。例えば、残留ニツケル低
含量を有する水素添加魚油を得るために、本方法は油/
触媒スラリーを約0.1〜0.2重量%の蒸気により処理し、
生成分散体を濾過し、次にもう一度適当量の水性液を本
方法に適用することにより適用できる。
本方法により、油/触媒スラリーおよび水素添加油、
および油の重量で表わして200ppmの高さ又は0.1ppmの低
いニツケル含量を有する他の油に適用する場合、やりが
いのあるニツケル除去を達成できる。後者の場合、本方
法により精製する粗油は好ましくは0.2〜100ppm、さら
に好ましくは0.3〜50ppmのニツケルを含有する。
実際に、本方法で使用する水性物質量は油の0.01〜4
重量%である。水性物質の使用量は好ましくは油の0.05
〜2%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
水性物質を水素添加する油に、又は水素添加しながら
添加する場合、水性物質添加量は油の総水分含量が0.2
重量%、好ましくは0.15重量%を超えないようにするこ
とが好ましい。そうでなければ触媒との反対の相互作用
が起こるからである。乾燥油を水素添加する場合、水素
添加前又は水素添加中約0.05〜1重量%の蒸気を添加す
ることにより通例有利な効果を特に達成できる。乾燥油
を水素添加する場合、水素添加前又は水素添加中水性物
質をいくらか添加し、水素添加反応の停止後に油/触媒
スラリーを濾過して触媒を除去し、精製油を回収する前
にさらに水性物質を添加することはさらに有利である。
例えば、0.1重量%の液体の水を触媒の添加と同時に乾
燥油に添加し、さらに0.2重量%の蒸気をスラリーの濾
過前に添加する。
油中の分散水量が油中の水の溶解度に近接し、特に一
般的環境下で僅かに溶解度を超える場合、最適結果を得
ることができる(上記のように水素添加し、又はしてい
ない粗油に水性物質を添加する場合を除く)。従つて、
油中の分散水量は少なくとも油中の水の溶解度に略略等
しいが、溶解度を超える量は油の0.5重量%より少ない
ことが好ましい。これを達成するために油に添加する水
性物質量は特に、使用する水性物質の組成、処理する粗
油に既に含まれる水量および温度による。
本方法を行なう温度は臨界的ではない。本方法を行な
う好ましい温度は60〜100℃であるが、それより高温も
使用できる。水性物質として通常の水を使用する場合、
60〜100℃の油中の溶解度は約0.2〜約0.4重量%の範囲
である。例えば、普通の濾過水素添加グリセリド油中の
水の溶解度は約0.37重量%である。
一般に、本方法実施に好ましい温度は60〜100℃であ
るが、処理する粗油が水素添加油/触媒スラリーである
場合より高温を使用することが有利である。本方法を適
用して油−および触媒含有スラリーの濾過で、水素添加
後水性物質を油/触媒スラリーに添加することにより触
媒の除去を改良する場合、水性物質は好ましくは約120
〜220℃で、さらに好ましくは約150〜190℃でスラリー
に導入する。これは油/触媒スラリーに水性物質、好ま
しくは蒸気を分散することにより行なうことが好まし
く、一方スラリーは水素添加反応の完結後冷却する。有
利には、油/触媒スラリーが尚水素添加容器にある間、
又はドロツプタンクを使用する場合にはドロツプタンク
にある間に蒸気を粗油に導入する。
水と油の接触時間は全く臨界的ではない。実際に、油
中に水性物質の導入後で濾過前に、分散体は1秒〜1時
間、又はそれより長い時間攪拌を維持することが有利で
ある。(水素添加前又は水素添加中水性物質を粗油に添
加する場合、所望度の水素添加の達成に必要な時間から
みて、実質的により長い接触時間を適用できる。) 望ましい維持時間は特に分散体が形成する方法により
決定される。完全分散体が急速に達成される方法で行な
う場合、維持時間は非常に短かい。例えば、水性物質と
して蒸気を使用する場合、油に蒸気を導入する実質的直
後に分散体を濾過工程に移し、こうしてほんの数秒であ
る輸送時間に略略等しい滞留時間を供することができ
る。別法では、水性液を油に添加し、ごく温和な攪拌、
例えば比較的緩徐な攪拌を適用する場合、水性液および
ニツケルを十分に接触させて適当な集合体を形成する前
にかなりの時間を要する。従つて、30分又はそれより長
い時間分散体の攪拌を維持することが望ましい。一層烈
しく攪拌しながら、液体水性物質を使用する場合、相応
してより短かい維持時間を使用することが適当である。
しかし、好ましくは粗油および水性物質の接触時間は少
なくとも約15分で、水性物質として蒸気を適用する場合
も同様である。
本方法、特に粗油が濾過水素添加油である場合、吸着
剤を濾過前に分散体と混合することが好ましい。好まし
い態様では、吸着剤は活性炭素である。別の好ましい態
様では、吸着剤は漂白土、好ましくは酸−活性化漂白土
である。吸着剤は活性炭素および漂白土の双方を含むこ
ともできる。
吸着剤量は好ましくは油の約0.01〜2重量%、さらに
好ましくは油の0.05〜1重量%である。
実際使用量は添加水量およびニツケル除去量により選
択できる。上記のように濾過する分散体中の自由水の存
在は問題を起こしうる。漂白土のような吸着剤は通常そ
の自己重量まで水を結合できる。油に溶解した水および
ニツケル集合体に含まれる水の他に、ほんの少量の自由
水が存在する場合、分散体に漂白土をいくらか添加する
ことにより自由水を系から効果的に除去し、濾過問題を
予防することができる。
吸着剤の適当な使用量は所望する漂白土による。比較
的暗色を有する油に対しては、一層大量の漂白粘土又は
他の吸着剤が淡色を有する油より適切である。
分散体中の吸着剤の存在はその後の濾過をさらに有利
にする。
適当な漂白および水の吸着を達成するために、水、ニ
ツケル、油および吸着剤を含む分散体は5〜30分攪拌を
維持することが好ましい。しかし、それより長い、又は
短かい接触時間はある環境では適する。
吸着剤を使用しても、しなくても、油、ニツケルおよ
び水を含む、濾過する分散体は自由水を含有しないこと
が好ましい。分散体の総水分含量は一般的環境下で油中
の水の溶解度よりたとえ低いとしても、自由水は分散体
に存在できる。この場合、自由水が油に溶解できる十分
な長さの時間分散体を維持することにより自由水は消失
できるが、実際に他の方法、例えば吸着剤により自由水
を除去することは一層有利である。
自由水を除去する好ましい方法は分散体を乾燥するこ
とにより含有水の部分を除去することである。分散体を
乾燥する場合、先づ自由水を蒸発させ、次に油から溶解
水を蒸発させることであると思う。集合体中の水はもつ
とも安定で、従つて実際上、乾燥によりそこから水が除
去されるために集合体が再び分離する危険は無視でき
る。分散体の乾燥は吸着剤を使用する場合も適する。そ
の場合乾燥は吸着剤の添加後行なうのがよい。実際に、
漂白は高温で部分真空下に通常行なう。これらの条件下
では、分散体の乾燥は取らねばならない特別の処置をせ
ずに起こる。
任意の適当な濾過要素は使用できる。適当なフイルタ
ーの例は適用圧下に適当に操作される濾紙、濾過篩を含
む。水、ニツケルおよび油を含む分散体を濾過する好ま
しい方法はミクロ濾過、好ましくは交差流(cross flo
w)ミクロ濾過による方法である。濾過を行なう別の好
ましい方法はプレート・フレーム(plate and frame)
フイルターによるものである。特に、吸着剤を適用しな
い場合、濾過する分散体に濾過助剤をいくらか添加し、
濾過を促進することは有利である。
本方法は好ましくは、例えば12〜2ミリバールの減圧
下で油を蒸気ストリツピング処理する工程をさらに含
む。このような工程は脱臭効果および適切な場合、油を
脱色する効果を有するのみでなく、油から遊離脂肪酸を
除去するために使用することもできる。
本発明の態様は次例を引用して例のみにより記載す
る。
次例において、特記しない限り重量値は油についての
重量%値である。
例1 魚油を37℃のスリツプ融点まで水素添加するために使
用したニツケル触媒はプレート・フレームフイルターに
油を通して実質的に除去した。しかし、生成油は4mgNi/
kg油を含有した。ニツケル含量は原子吸光分光分析によ
り測定した。
この油は真空で90℃に加熱した。次に真空は窒素を入
れてこわした。油について1重量%の蒸溜水を油に添加
し、生成混合物は窒素下に30分攪拌した。入力は6KW/t
であつた。1重量%のTonsil標準FF(商標)(温和に酸
−活性化漂白土)を混合物に添加し、窒素下に油と接触
させて30分攪拌を維持した。次に混合物は90℃で10分0.
1バール圧で乾燥し、次に濾過媒体としてSeitz(商標)
紙フイルタープレート(シユープラ 1500コード4915)
を含有するOrion(商標)プレート・フレームフイルタ
ー上で4バールの窒素圧下に90℃で濾過した。油の生成
ニツケル含量は0.02mgNi/kg油であることがわかつた。
次に漂白油は1時間につき2.5%のストリツピング蒸
気および約4ミリバールのヘツドスペース圧で200℃で
約4時間脱臭処理した。
同じ方法を使用し、25ppm(重量)のニツケルを含有
する出発物質を同様に処理し、漂白し、脱臭した。漂白
油は0.05ppm Niを含有した。
例2 それぞれ4および25mgNi/kg油を含有する、例1で使
用したものと同じバツチからの魚油を例1記載と同じ処
理を行なつたが、1重量%の水の代りに10重量%クエン
酸水溶液の1重量%を使用したことが異つた。漂白油の
生成ニツケル含量はそれぞれ<0.01および<0.02mg/kg
であつた。
例1および例2記載方法に対する比較試験として、水
又はクエン酸溶液を使用しない、すなわち魚油は脱臭前
に漂白土による処理のみを行なつたことを除いて、同じ
油を上記のように処理した。漂白油はそれぞれ約0.4お
よび0.6mgNi/kg油を含有した。
例1記載の試験および比較試験2の結果は下記表Iに
表示する。
例3 例1記載の方法を使用して、通例の濾過後6mgNi/kg油
を含有するスリツプ融点37℃に水素添加した魚油を水に
より処理し、漂白し、脱臭した。次に精製油は20℃で数
週間暗所に貯蔵し、時々味見試験を行なつた。
比較として、水性苛性ソーダ、炭酸ソーダおよび珪酸
ソーダを添加して油を中和し、混合物を105℃で40分沸
騰し、95℃に冷却し、油を2回石鹸含量<0.1%まで10
%熱水により洗滌し、乾燥し、0.5重量%のTonsil標準F
Fにより90℃で20分漂白し、濾過することを含む通例処
理を同一出発油について行なつた。次に油は例1記載と
同じ条件下で脱臭した。生成油は同じ貯蔵および味見試
験を行なつた。
結果は下表IIに示す。
例4 上記例2記載の方法を使用して、濾過後それぞれ0.
4、1.0および7mgNi/kg油を含有する、スリツプ融点37℃
まで水素添加した魚油を稀クエン酸溶液で処理し、漂白
し、脱臭し、次に20℃で暗所に貯蔵し、味見試験を行な
つた。
比較として、それぞれの場合例3記載の中和/漂白/
脱臭処理を行なつた。生成油はクエン酸溶液による処理
油に適用したものと同じ貯蔵および味見試験を行なつ
た。
結果は下表IIに示す。
例5 スリツプ融点37℃まで水素添加し、プレート・フレー
ムフイルターを通してニツケル含量を25mgNi/kg油まで
減少した水素添加魚油のバツチについて一連の試験を行
なつた。
各試験では、魚油は真空下に90℃に加熱した。真空は
窒素により解放し、各種量の水を各試験で添加した。水
は攪拌速度7秒-1を使用して30分油と攪拌した(消費力
6KW/t)。尚90℃で、油は1重量%の酸−活性化漂白土
〔Tonsil標準FF(商標)〕と30分接触した。その後、各
油混合物は0.1バールで10分乾燥した。次に生成スラリ
ーを4バールの一定圧で支持体織物上の木綿布地タイプ
0027-2/2TWILL(商標)(適当な濾過に対し予備−被覆
を必要とする粗い布地、予備−被覆は漂白土により形成
する)により被覆した0.01m2試験フイルターを通して濾
過した。
各種使用水量は油について0,0.3,0.5,1および1.37重
量%であつた。油の最終ニツケル含量に関する結果は下
表IIIに示す。
表III %添加水 Ni(mg/kg) 1.37 0.05 1.0 0.05 0.5 0.01 0.3 0.5 0.0 0.6 例6 例5で使用した水素添加魚油の同じバツチについてさ
らに試験を行なつた。
例5と同じ処理を行なつたが、それぞれの場合1重量
%の水を油に添加し、水と油の接触時間は5分で、油、
水および漂白土の接触時間は1,5,15および30分の各種時
間を使用したことが異つた。濾過油のニツケル含量に関
する結果は下表IVに示す。
表IV 漂白土との接触時間(分) Ni(mg/kg) 30 0.02 15 <0.05 5 0.02 1 0.07 例7 例5で使用したものと同じバツチからの魚油試料を使
用して、さらに試験を行なつた。
例5記載と同じ方法を行なつたが、添加水量は1重量
%で一定で、水と油の接触時間は1,5,15,30および60分
の各種時間を使用したことが異つた。濾過油のニツケル
含量に関する結果は下表Vに示す。
表V 水との接触時間(分) Ni(mg/kg) 60 <0.01 30 <0.05 15 <0.01 5 <0.01 1 <0.01 例8 例5で使用したものと同じバツチからの魚油試料を使
用してさらに試験を行なつた。例5の方法に従つたが、
添加水量および漂白土量を変えたことが異つた。漂白土
および水の使用量および濾過油の生成ニツケル含量は下
表VIに示す。最後の2試験では比較的高残留ニツケル含
量が少量の使用漂白土により生じたが、これは予備−被
覆の形成が遅すぎるため、ニツケル集合体が濾過布地を
通過したためである。
表VI %添加水 %添加漂白土 Ni(mg/kg) 1.37 1.0 0.05 1.00 1.0 0.05 1.00 0.5 0.05 0.87 0.5 0.4 0.50 0.5 0.3 0.57 0.2 4 0.47 0.1 5 例9 例5で使用したものと同じバツチからの魚油試料を使
用して、存在する水の効果および弱酸性である場合の効
果を例示するためにさらに試験を行なつた。第1試料に
対しては例5で使用した方法に従つた。第2試料に対し
ては例5の方法に従つたが、1重量%の水を10重量%ク
エン酸水溶液の1重量%で置換したことが異つた。第3
の、比較試料に対しては水又は他の水性溶液を添加しな
かつた。濾過油の残留ニツケル含量に関する結果は下表
VIIに示す。
表VII 添加溶液 Ni(mg/kg) 1重量%の水 0.05 10重量%クエン酸の1重量% <0.02 無添加 0.6 例10 例9記載の方法を僅か4mg/kgのニツケル含量を有する
魚油について行なつた。結果は下表VIIIに示す。
表VIII 添加溶液 Ni(mg/kg) 1重量%の水 0.02 10重量%クエン酸の1重量% <0.01 無添加 0.5 例11 ナタネ油について一連の試験を行なつた。ナタネ油は
ニツケル触媒を使用してスリツプ融点32℃まで水素添加
した。油/触媒スラリーはプレート・フレームフイルタ
ーを通して濾過した。濾過油は2ppmのNiを含有した。
濾過油はさらに本方法により、又は例1、2および3
に記載のように通例方法で精製した。但し0.5重量%のT
onsil ACC FF(商標)漂白土を使用し、脱臭は240℃で
行なつた。各精製処理は2回行なつた。平均結果は表IX
に示す。
脱臭を240℃の代りに200℃で行なつた場合同様の結果
を得た。
試験シリーズは0.8および2ppm残留ニツケルを含有す
る濾過水素添加ナタネ油の他の2バツチにより反復し
た。同様の結果を得た。
例12 スリツプ融点37℃まで水素添加した3バツチの魚油を
濾過し、水性物質として蒸気を使用してさらに精製し
た。
方法は工場規模で40t容器で行なつた。水分含量2重
量%又は0.2重量%まで120kg/時間の割合で90℃の粗濾
過油に蒸気を通した。次に0.25重量%のTonsil標準FF
(商標)漂白土を0.6KW/tの入力を使用して油と混合
し、油は漂白し、同時に減圧下に90℃で30分乾燥した。
その後油はプレート・フレームプレスで濾過した。十分
な厚さの予備−被覆が形成する前にフイルターを通過す
る油は容器に再循環し、再度濾過した。結果は表Xに示
す。
例13 5バツチの魚油を35又は41℃のスリツプ融点までニツ
ケル触媒により水素添加した。油/触媒スラリーはパイ
プを通してプレート・フレームフイルターにポンプ輸送
した。油/触媒スラリーのバツチ全体の濾過に約3.5時
間を要した。各試験は予備−被覆を含まない空のフイル
ターで出発した。濾過の出発でポンプとフイルター間の
パイプ内のスラリーに蒸気を導入した。蒸気導入開始後
3,10および30分の濾過油試料を採取し、ニツケルおよび
水分含量を分析した。これらの試料を採取する場合、蒸
気のスイツチを切り、別の30分後さらに試料を採取し
た。結果は表XIに示す。
濾過前に油/触媒スラリーに蒸気の導入開始後、濾過
油の水分含量は徐々に増加し、一方その残留ニツケル含
量は減少することをこれらの試験は示す。蒸気のスイツ
チを切つた後、水分含量は低下し、残留ニツケル含量は
再び上昇する。
例14 3ppmのNiおよび0.01%の水分を含有する7kgの濾過水
素添加魚油を90℃に加熱した。1%の水を混合し、分散
体は20分、550rpmの攪拌速度で攪拌した。分散体は真空
下に0.01%の水分含量まで乾燥した。次に分散体は0.2
μの孔径を有するフイルターを使用して60℃で交差−流
ミクロ濾過した。フイルター前および後の圧はそれぞれ
2.2および1.6バールで1kg/時間の濾過速度となつた。濾
液のニツケル含量は0.7ppmであつたが、保留液のニツケ
ル含量は6ppmであつた。
試験は他の3バツチの濾過水素添加魚油について反復
したが、油は0.1%の水分含量に乾燥し、出発油を処理
した水性物質の量および組成は変えたことが異つた。比
較のため、水性物質を添加しないことを除いて試験はも
う2回行なつた。
結果は表XIIに示す。
例15 0.05重量%の水分含量を有する中和、漂白、および脱
臭したナタネ油の20tバツチを攪拌する水素添加オート
クレーブで通例方法で水素添加した。再循環したシリカ
上のニツケル触媒は0.3重量%量で使用した(油に対す
るNi−含量として表わす)。水素添加は油のスリツプ融
点が41℃に上昇した時に停止した。触媒はプレート・フ
レームフイルターを使用して油/触媒スラリーを濾過す
ることにより油から除去した。濾過水素添加油の生成バ
ツチから試料を採取し、ニツケルおよび水分含量を分析
した。それぞれ20tの同じナタネ油のさらに2バツチを
同じ方法で処理したが触媒の添加と同時に、油の1つの
バツチでは0.05重量%の水を添加し、他のバツチは0.1
重量%の水を添加したことが異つた。水素添加反応の過
程で3バツチ間に差は認められなかつた。これらの試験
は3回反復した。水およびニツケル含量に関する結果は
表XIIIに示す。
例16 20tの中和魚油は攪拌する水素添加オートクレーブで3
7℃のスリツプ融点まで油重量に対し計算して0.3%量
(Niとして表わす)を適用した再循環シリカ上のニツケ
ル触媒により水素添加した。水素添加を停止後、油は水
素添加オートクレーブに保持しながら冷却した。冷却中
約30分孔を有するプレートを通して油/触媒スラリーに
20kgの蒸気を導入した。冷却操作中スラリーの攪拌を継
続した。スラリーを約45分冷却後、温度は約120℃に低
減した。次にスラリーはプレート・フレームフイルター
プレスを使用して濾過し、触媒を除去し、精製油を回収
した。得た精製油から試料を採取し、水および残留ニツ
ケル含量を分析した。比較のため、冷却中蒸気を導入せ
ずに試験を反復した。試験は3回反復した。平均結果は
表XIVに示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヤコブ アレクサンダー バン デル ウオルク オランダ国 ドルドレヒト,リイラ 33 (72)発明者 ウイリブロルダス セオドルス マリア デ グロート オランダ国 ミュンシェーレンランド, リエトゴルス 27 (56)参考文献 特開 昭54−3806(JP,A) 特開 昭54−62207(JP,A) 米国特許2650931(US,A)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】精製油の製造方法にして、ニッケル触媒に
    よる水素添加後に粗油に対して水蒸気又は水分量80重量
    %以上の水溶液から選択される水性物質を0.01〜4重量
    %(粗油の重量を基準)の量で添加するか、或いはニッ
    ケル触媒による水素添加前又は水素添加中に粗油に対し
    て水蒸気又は水分量80重量%以上の水溶液から選択され
    る水性物質を0.2重量%(粗油の重量を基準)以下の量
    で添加して、水とニッケルと油とを含有する分散体を生
    じさせ、ニッケルと水との接触によりニッケルを凝集さ
    せた後、水とニッケル凝集体と油とを含有する分散体を
    濾過することによって、ニッケルを除去することを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の方法におい
    て、前記水溶液の水分量が90重量%以上であることを特
    徴とする方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方
    法において、前記水溶液が、クエン酸、シュウ酸、酢
    酸、酒石酸及びリン酸からなる群から選択される食用酸
    と水からなることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれ
    か1項記載の方法において、粗油に対する前記水性物質
    の添加量が油重量を基準にして0.05〜2重量%の量であ
    ることを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項乃至第4項のいずれ
    か1項記載の方法において、油に分散した水の量は、水
    中における油の溶解度に少なくともほぼ等しい(ただ
    し、溶解度以上においては油の重量0.5重量%未満であ
    ることを条件とする)ことを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれ
    か1項記載の方法において、前記粗油が水素添加油を含
    んでなるものであることを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第6項記載の方法におい
    て、前記粗油が水素添加魚油を含んでなるものであるこ
    とを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第6項又は第7項記載の方
    法において、前記粗油が、水素添加油とニッケル触媒と
    を含んでなるスラリーを濾過して得た濾液であることを
    特徴とする方法。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第6項又は第7項記載の方
    法において、前記粗油が水素添加油とニッケル触媒とを
    含んでなるスラリーであることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第1項乃至第4項のいず
    れか1項記載の方法において、前記粗油に対する水性物
    質の添加を、水素添加前又は水素添加中に行うことを特
    徴とする方法。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第1項乃至第8項のいず
    れか1項記載の方法において、前記粗油が0.2〜100ppm
    のニッケルを含有することを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第1項乃至第11項のいず
    れか1項記載の方法において、前記粗油と接触させる水
    性物質が蒸気であることを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第1項乃至第12項のいず
    れか1項記載の方法において、前記分散体の濾過を、吸
    着剤を分散体に添加した状態で行うことを特徴とする方
    法。
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第13項記載の方法におい
    て、前記吸着剤が活性炭を含んでなることを特徴とする
    方法。
  15. 【請求項15】特許請求の範囲第13項又は第14項記載の
    方法において、前記吸着剤が漂白土を含んでなることを
    特徴とする方法。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第1項乃至第15項のいず
    れか1項記載の方法において、前記分散体の濾過を、当
    該分散体に含まれる水の一部を除去した状態で行うこと
    を特徴とする方法。
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第1項乃至第16項のいず
    れか1項記載の方法において、前記分散体の濾過を、当
    該分散体が自由水を含有していない状態で行うことを特
    徴とする方法。
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