JP2534636C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子楽器の内で、演奏時に楽器と同様の自然な響きを与える効果を
有する楽音合成装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年、楽音合成装置はデジタル技術の進歩により、飛躍的にその合成楽音の品
質が向上している。中でも演奏効果に優れた方式として、遅延手段を用いた演算
回路により楽音を合成する楽音合成装置が提案されている。従来の楽音合成装置
としては、例えば特開昭63−40199号公報、特開昭59−187398号
公報、特開昭63−40199号公報、特開昭62−109093号公報、特開
平2−304491号公報などに示されている。 【0003】 以下に、従来の楽音合成装置について説明する。図5はこの従来の楽音合成装
置のブロック図を示すものである。図5において、まず出力させたい楽音の音高
と発音のタイミングを入力部200へ指示する。入力部200は、例えば鍵盤,
管楽器形状のもの、あるいはギター形状のもの等の入力形態が採られるものとす
る。入力部200は、音高指示の入力形態が鍵盤の場合にはその押鍵された鍵の
位置によって、管楽器形状の場合には押さえられたキーの組合せパターンによっ
て、又ギター形状の場合には弦の押さえられた位置(フレット)によって、出力
する楽音の音高(いわゆる音名)を決定し、発音制御部201へ音高データを出
力する。ここでは入力形態が88鍵からなる鍵盤である場合とし、低域の鍵盤か
ら順次に音高データ1,2,・・・,87,88というようにして7Bitから なる音高データを出力する。各発音チャンネル301〜388は、それぞれ、音
高データ1,2,・・・,87,88に対応しているものとする。 【0004】 又入力部200は、発音指示の入力形態が鍵盤の場合はその押鍵,離鍵に対し
て、管楽器形状の場合には呼気の開始,停止に対して、又ギター形状の場合には
弦の振動の開始,停止に対して、出力すべき楽音のオン,オフ情報、即ち、楽音
発生の開始,停止に関する情報として、発音オンの時には「1」、オフの時には
「0」を発音制御部201へ出力する。 【0005】 各発音チャンネル301〜388は、例えば図6のように構成される。図6に
おいて、101は駆動波形発生部であって、駆動波形データを加算器102を介
して可変遅延部103に出力する。可変遅延部103は信号を所定時間遅延させ
フィルタ104,乗算器105を介して加算器102に帰還するよう構成され、
加算器102の出力が出力端子106より出力される。駆動波形発生部101は
駆動波形データをあらかじめ記憶したメモリ107、及びそのデータの読出しを
行うカウンタ108から構成されている。カウンタ108は入力端子109より
発音情報、クロック発生器205よりクロック信号が与えられる。発音チャンネ
ル301は最も低音の発音チャンネルであり、302,303・・・388まで
順次高音となる発音チャンネルとする。 【0006】 図6において、発音制御部201からの発音情報konが値「1」(発音オン
)になるときには、カウンタ108はリセットされ、カウント値(メモリ107
内のアドレス)を値「0」にする。その後、クロック発生器205から出力され
るクロックCKの発生タイミングでカウンタ108はカウントアップし、メモリ
107からはカウンタ108のカウント値に対応したアドレスに記憶された駆動
波形データが出力されることとなる。ここでカウンタ108は値「0」からメモ
リ107の全アドレス領域を一通りアドレスした後に、メモリ107の最終アド
レスに至った時点でカウント値をホールド、即ちカウント動作を停止するものと
する。このようなカウンタ108のカウント動作は、ピアノやギターのような過 渡的な楽音の合成に適しており、バイオリンや管楽器のような準定常的な楽音を
合成するためには、駆動波形データを繰り返し出力するようにする。メモリ10
7にはギター弦の弾きの為に弦に与えられる加速度に相当するデータや、ピアノ
弦にピアノハンマから与えられる駆動波形が記憶されているものとする。 【0007】 メモリ107から出力される駆動波形データは、加算器102で乗算器105
から出力される波形データと加算された後に、可変遅延部103に入力される。
可変遅延部103は入力される波形データを、出力すべき楽音の音高に対応した
遅延時間だけ遅延させてフィルタ104へ出力する。フィルタ104は入力され
た波形データの周波数スペクトルを変化させてその出力を乗算器105に出力す
る。乗算器105は乗数Gを乗じて加算器102へ出力して、新たに入力される
駆動波形データと加算する。即ち、加算器102,可変遅延部103,フィルタ
104及び乗算器105から構成されるループ内を、波形データが循環しながら
合成楽音が形成される。このようにして合成された波形データは、出力端子10
6から発音チャンネル出力として出力され、各発音チャンネルの出力は累算器2
02で加算されることとなる。 【0008】 上述したループ内では、音高Hに対応した遅延時間を有する可変遅延部103
によって、音高Hに対応した基本周期を有する波形データが形成される。クロッ
クCKが40〔kHz〕の時に音高Hが500〔Hz〕ならば、対応する遅延量
は80個の単位遅延に相当することになる。出力する音高HとクロックCKとか
ら決定される遅延量が整数でない場合には、直線補間あるいはフィルタ処理によ
って小数遅延量を実現することができる。又ループ内を波形データが巡回する毎
にフィルタ104を通過するので、フィルタ104を低域通過フィルタとしてお
くことにより、時間経過とともに波形データに含まれるに高い周波数成分ほど急
速に減衰することになり、ピアノやギターのように時間経過とともに高い周波数
成分音から順次に無くなっていくような楽音が形成される。更にループ内を波形
データが巡回する毎に乗算器105を通過するので、乗数Gを1未満の正小数と
しておくことにより、ループによる発振を防ぐとともに、ピアノやギターに適し た減衰系のエンベロープを実現することができる。 【0009】 以上のように構成される発音チャンネル301〜388に対して、発音制御部
201は音高データiが「40」の時には発音チャンネル340を選択し、発音
チャンネル340に対して発音情報kon(1値)を送るので、発音チャンネル
340から出力される波形データが累算器202により、他の発音チャンネルの
出力と加算された後に、サウンドシステム203へ出力される。サウンドシステ
ム203に入力された波形データはデジタル・アナログ変換された後に、フィル
タ,アンプ,スピーカ等から構成される公知の音響装置によって合成楽音として
放音されることとなる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら上記の従来の構成では、発音チャンネル301〜388から出力
される波形データに対して、ピアノ等の楽器と同様な響きを与えるには、累算器
202の出力に対して、公知の残響装置(リバーブ)をつける方法が考えられる
が、これでは発音チャンネル同志の相互干渉に起因する響きを実現できないとい
う問題点を有していた。 【0011】 本発明は上記従来の問題点を解決するもので、楽器と同様に発音チャンネル相
互の干渉を有する自然な楽音の響きを実現できる楽音合成装置を提供することを
目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】 本願の請求項1の発明は、楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆動
波形発生手段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延時
間長の遅延手段、及び遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力さ
れる波形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含み
、波形データを出力する複数の発音チャンネルと、各発音チャンネルから出力さ
れる波形データを累算する累算手段と、累算手段の波形データ出力をフィルタ演 算し楽音波形データを出力するデジタルフィルタ手段と、デジタルフィルタ手段
の出力楽音波形データとあらかじめ定めた乗数とを乗じて複数の発音チャンネル
の加算手段へ出力する乗算手段と、デジタルフィルタ手段の出力をD/A変換し
て楽音信号として出力するサウンドシステム手段と、を具備することを特徴とす
るものである。 【0013】 又本願の請求項2の発明は、楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆
動波形発生手段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延
時間長の遅延手段、及び遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力
される波形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含
み、波形データを出力する複数の発音チャンネルと、各発音チャンネルから出力
される波形データを累算する累算手段と、累算手段の波形データ出力をフィルタ
演算し楽音波形データを出力するデジタルフィルタ手段と、デジタルフィルタ手
段のフィルタ演算途中の波形データにあらかじめ定めた定数を乗じて複数の発音
チャンネルの加算手段へ出力する複数の乗算手段と、デジタルフィルタ手段の出
力をD/A変換して楽音信号として出力するサウンドシステム手段と、を具備す
ることを特徴とするものである。 【0014】 【作用】 本発明は上記した第1の構成により、各発音チャンネルは、それぞれ指示され
た出力音高に対応した遅延時間長を有する遅延手段と加算手段を含んで形成され
るループ内を巡回する波形データを各発音チャンネルの出力として出力する。各
発音チャンネルの出力波形データは累算手段により累算される。累算された波形
データはデジタルフィルタ手段により楽器固有の音響(共鳴特性)を付加されて
楽音波形データとして出力される。他方において、楽音波形データは乗算手段に
よりあらかじめ定めた乗数を乗じられた後に、各発音チャンネルの加算手段によ
り各発音チャンネル内を巡回する波形データへ加算されるので、各発音チャンネ
ルの波形データ出力を他の発音チャンネルから出力される波形データによって変
化させて、音色を変化させることとなる。 【0015】 又上記した第2の構成により、各発音チャンネルは、それぞれ指示された出力
音高に対応した遅延時間長を有する遅延手段と加算手段とから形成されるループ
内を巡回する波形データを各発音チャンネルの出力として出力する。各発音チャ
ンネルの出力波形データは累算手段により累算される。累算された波形データは
デジタルフィルタ手段により楽器固有の音響(共鳴特性)を付加されて楽音波形
データとして出力される。他方において、各乗算手段はそれぞれデジタルフィル
タ手段の演算途中における異なる波形データに対して各乗算手段毎にあらかじめ
定めた乗数を乗じた後に対応する発音チャンネルを構成する加算手段により各発
音チャンネル内を巡回する波形データへ加算されるので、各発音チャンネル波形
データ出力における、他の発音チャンネルから出力される波形データによる変化
の度合いが発音チャンネル毎に異なる楽音波形データが得られることとなる。 【0016】 【実施例】 以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。 図1は本発明の第1の実施例における楽音合成装置の構成を示すブロック図で
ある。図1において、入力部200,発音制御部201,累算器202,サウン
ドシステム203,出力端子204,クロック発生器205は従来例の構成と同
一であるので、詳細な説明を省略する。さて本実施例ではサステイン量を入力す
るサステイン指示部12を有している。サステイン指示部12は電源に接続され
た可変抵抗器とその出力をA/D変換するA/D変換器から成り立っており、サ
ステインペダルと弱音ペダルに対応した数値、例えば「0.0」〜「2.0」を
乗算器13に出力する。乗算部13は波形データを発音チャンネル401〜48
8に与えるものである。各発音チャンネル401〜488は後述するように発音
制御部201からの信号に応じた信号を発音するものであり、その出力は累算器
202を介してデジタルフィルタ500に与えられる。デジタルフィルタ500
は出力波形データに楽音固有の音響を付加するものであって、その出力はサウン
ドシステム203及び乗算器14に与えられる。乗算器14はデジタルフィルタ
500の出力と楽器毎にあらかじめ定めた乗数とを乗ずる乗算器である。 【0017】 次にこのように構成された本実施例の楽音合成装置の動作について説明する。
まずサステイン指示部12に対してサステイン量を指示入力すると、サステイン
量に対応した乗数を出力する。ここでサステイン指示部12から出力される乗数
は通常「0.0」〜「2.0」までの小数が望ましく、ここでは「0.1」刻み
の21段階とする。なお、乗数「0」はサステインオフに対応している。サステ
イン指示部12への指示入力が乗数「1.0」に対応するとき、乗数「1.0」
が出力される。ここで乗数「1.0」はいわゆるサステインペダルを操作してい
ない状態に対応しており、乗数「2.0」はサステインペダルを踏み込んだ状態
、乗数「0.0」〜「1.0」はサステインペダルを操作せずに弱音ペダルを操
作している状態に対応し、「0.0」は弱音ペダルを踏み込んだ状態に対応して
いるものとする。 【0018】 発音チャンネル401〜488は、図2のように構成される。図2において1
1は加算器、10は入力端子である。駆動波形発生部101,加算器102,可
変遅延部103,フィルタ104,乗算器105,出力端子106,入力端子1
09は従来例の構成と同じである。乗算器13より入力端子10を介して入力さ
れた波形データは、加算器11において加算器102から出力される波形データ
と加算された後に可変遅延部103へ出力される。 【0019】 従来例と同様にして、駆動波形発生部101から出力される駆動波形データは
、加算器102と可変遅延部103とフィルタ104と乗算器105とから構成
されるループを巡回しながら波形データを形成する。すなわち、加算器11にお
いて入力端子10から入力される波形データがすべて「0」のときには、発音チ
ャンネル401〜488は従来例の発音チャンネル301〜388と全く同様の
動作をする。他方において、入力端子10から入力される波形データにより形成
される波形データは、駆動波形発生部101から出力される駆動波形データがす
べて「0」のときには、加算器11と可変遅延部103とフィルタ104と乗算
器105と加算器102とから構成されるループを巡回しながら形成される波形 データである。駆動波形発生部101から出力される駆動波形データと入力端子
10に入力される波形データとの各々により形成される波形データは互いに独立
であり、両者を単純に加算することにより、発音チャンネル401〜488の出
力は決定される。 【0020】 駆動波形データは、発音チャンネル401〜488に対して本来の合成動作を
促すデータであるが、入力端子10から入力される波形データは、ギターやピア
ノ等の楽器における胴や響板などの構造に起因して、それらを伝搬する振動に対
応するものである。 【0021】 発音制御部201は、従来例と同様の動作によって、発音チャンネル401〜
488へ発音チャンネルの選択と発音情報の送出を行うものとする。各発音チャ
ンネル401〜488から出力された波形データは従来例と同様にして、累算器
202において、全ての発音チャンネル出力が加算され、出力される。 【0022】 デジタルフィルタ500は、図3のように構成される。図3において、累算器
202の出力端に接続される入力端子570には単位時間遅延器510〜528
が接続され、夫々の入力が乗算器530〜549に同時に与えられる。乗算器5
30〜549はこれらの入力とフィルタ係数A0 〜A19とを乗算するものであっ
て、その出力は累算器550に与えられる。累算器550はこれらの累算出力を
出力端子579を介してサウンドシステム203へ出力する。又出力端子580
〜599は単位時間遅延器510〜527の遅延信号を出力するものである。 【0023】 累算器202から出力される波形データはデジタルフィルタ500の入力端子
570に入力されると、クロック発生器205から出力されるクロックCKのタ
イミングで単位時間遅延器510〜528を順次に伝搬していくこととなる。入
力端子570及び単位時間遅延器510〜528を通過する波形データはそれぞ
れ乗算器530〜549により、楽器毎にあらかじめ定めたフィルタ係数A0 〜
A19が乗じられた後に、累算器550において累算される。即ち、乗算器530 〜548の出力はすべて加算された後に出力端子579から出力される。以上の
ようにして得られるデジタルフィルタ500の出力は、サウンドシステム203
を経て出力端子204から放音されることとなる。 【0024】 ここで、楽器毎にあらかじめ定めたフィルタ係数A0 〜A19は、次のようにし
て得られる。即ちピアノ、ギターあるいはバイオリンのような楽器のいわゆる響
板あるいは胴などの共鳴器のインパルス応答を収音する事によって得られる。例
えば、ピアノ弦の振動が響板に伝搬するコマの部分をハンマーでたたく、あるい
は、バイオリン弦の振動が胴に伝えられる駒の部分をハンマーでたたくことによ
り発生する音を、クロックCKをサンプリング周波数(標本化周波数)としたア
ナログ・デジタル変換を実施し、得られたデジタルのインパルス応答波形値を正
規化することにより得られる。正規化されたインパルス応答波形値を時刻「0」
から順次にA0 〜A19として使用するものとする。フィルタ係数A0 〜A19は、
ここでは簡単のために20個としたが、実際のインパルス応答の時間長が大きな
楽器(ピアノなど)では、数秒間にわたるインパルス応答を実現するために単位
時間遅延器510〜528及び乗算器530〜549の個数を増加させる必要が
ある。 【0025】 他方において、デジタルフィルタ500の出力は乗算器14によって楽器毎に
あらかじめ定められた乗数が乗じられる。ピアノの場合には通常「0.1」程度
が望ましい。乗算器14の出力は、乗算器13により指定されたサステインに対
応する乗数、ここでは乗数「1.0」を乗じられた後に、各発音チャンネル40
1〜488へ出力される。従って各発音チャンネルの出力の総和に対して、デジ
タルフィルタ500により音響を付加された波形データに比例した波形データが
各発音チャンネル401〜488へ入力され、各発音チャンネル401〜488
は上述した発音チャンネルの動作を各々の発音チャンネルの音高に対応した遅延
時間長を有する可変遅延部103を含むループにより波形データを形成すること
となる。 従って、サステインに対応する乗数が「1.0」よりも小さな時は、帰還量が 少なくなるために響きが小さくなる。又サステインに対応する乗数が「1.0」
よりも大きな時は、帰還量が大きくなるために響きが大きくなる。 【0026】 尚、上述の説明では、デジタルフィルタ500の構成を非巡回型フィルタとし
てインパルス応答波形との畳み込み演算によって、各発音チャンネル401〜4
88の出力の総和の波形データに対して楽器固有の音響を付加するようにしたが
、非巡回型フィルタにより響板あるいは胴の共鳴特性を近似するようにしても良
い。 又本実施例によればデジタルフィルタ500の出力端子579から乗算器14
へ入力信号を与えるようにしているが、遅延時間長の適正化を図るために、デジ
タルフィルタ500内の他の出力端子580〜599から乗算器14へ出力する
ようにしてもよい。 【0027】 以上のように本実施例によれば、デジタルフィルタ500により得られるピア
ノ響板の振動を乗算器14を介してピアノ弦のそれぞれに対応する発音チャンネ
ル401〜488に帰還させ、各発音チャンネルから発音出力される波形データ
を変調するようにしたので、ピアノ弦の自然な響きを実現することが出来る。 【0028】 又乗算器14の出力を乗算器13を介して発音チャンネル401〜488に帰
還させるようにしたので、乗算器13における乗数を所望のサステイン量に対応
させることによって、ピアノ弦の響きを演奏者の所望のレベルに変化させること
が可能となる。 【0029】 図4は本発明の第2の実施例の楽音合成装置の構成ブロック図である。図4に
おいて、15はセレクタ、21〜28は乗算器である。又発音チャンネル401
〜488と累算器202及びその出力波形データに楽器固有の音響を付加するデ
ジタルフィルタ500は、第1の実施例と同一であるので、詳細な説明を省略す
る。入力部200,発音制御部201,累算器202,サウンドシステム203
出力端子204,クロック発生器205は、従来例の構成と同じものである。 【0030】 次にこのように構成された楽音合成装置の動作について説明する。 第1の実施例と同様の動作により各発音チャンネル401〜488の出力波形
データは累算器202で累算されたのちに、デジタルフィルタ500において楽
器固有の音響が付加され、サウンドシステム203において放音される。デジタ
ルフィルタ500は、第1の実施例と同様に図3のように構成されるものとする
。 【0031】 さてデジタルフィルタ500の出力端子580〜599からの20個の出力は
夫々例えば16ビットの並列出力であるが、セレクタ15を介して乗算器21〜2
8に出力される。セレクタ15は、楽器毎にあらかじめ定めた組合せに従って、
出力端子580〜599の20個の出力の中から8個の出力を選択し、選択した
8個の出力を対応する乗算器21〜28へ出力する。この選択は響板の共振の立
ち上がりの遅い低音域に対しては、遅延時間の大きな出力端子599に近いとこ
ろを、又響板の共振の立ち上がりの早い高音域になるほど遅延時間の小さな出力
端子580に近いところを選択し、遅延時間の大きな順に乗算器21から順に、
乗算器28までに出力する。このような出力端子の選択は、ピアノの場合におい
て、例えば、各音域毎に選択した特定の音高に対応するピアノの弦の振動が響板
に伝搬する所をハンマーでたたいたときのインパルス応答の波形振幅最大値まで
の時間を計測し、その時間に最も近い遅延時間を有する出力端子580〜599
を選択することにより決定することが出来る。又このようにして得られる波形振
幅最大値によって、後述するような乗算器21〜28における乗数も決定するこ
とが出来る。 【0032】 ピアノの響板は低音域から高音域まで一様な形状ではなく、又ピアノの弦の振
動を響板に伝搬する位置も、音域によって異なっている。しかしながら、本実施
例においては、デジタルフィルタ手段の増加を防ぐためにピアノの弦に対応する
各発音チャンネル401〜488の出力は累算器202によってそれぞれ加算さ
れた後に1つのインパルス応答を有するデジタルフィルタ500によって楽器固 有の音響を付加するようにしており、このような音域により異なるピアノの響き
を実現するために、各発音チャンネル401〜488を発音チャンネル401〜
404、405〜416、417〜428、429〜440、441〜452、
453〜464、465〜476、477〜488の8音域に分割し、各音域各
々に対応する乗算器28〜21の乗算器出力がその音域内の各発音チャンネルに
対して出力される。 【0033】 各乗算器21〜28において乗算される値は、楽器により異なるが、ピアノの
場合通常「0.1」程度が望ましく、本実施例の場合、乗算器21から乗算器2
8の各々において、順に、「0.15」、「0.13」、「0.11」、「0.
10」、「0.09」、「0.08」、「0.07」、「0.06」程度とする
ことが望ましい。 【0034】 以上のようにして、各乗算器21〜28の出力は、それぞれ対応する発音チャ
ンネル401〜488へ出力されるので、各発音チャンネルの出力は音域毎に異
なる変調を受けて新たな波形データを発生することとなる。 なお、本実施例においても第1の実施例と同様にして、サステイン指示部及び
サステイン乗数と各乗算器21〜28の出力を乗算して夫々のグループの発音チ
ャンネルに出力する複数(この場合は8個)の乗算器とによってサステイン効果
を実現することができる。 【0035】 以上のように本実施例によれば、デジタルフィルタ500の単位時間遅延器5
10〜528の出力の中から音域に対応した遅延時間を有する波形データをセレ
クタ15によって選択的に乗算器21〜28へ出力し、乗算器21〜28はそれ
ぞれ対応する発音チャンネル401〜488へ音域毎に異なる遅延時間及び波形
振幅値を有する波形データを帰還することにより各発音チャンネルを変調するよ
うにしたので、ピアノ弦の自然な響きの広がり感を実現することが出来る。 尚、第1及び2の実施例においては発音チャンネルの個数を88としたが、6
本弦のギターあるいは4本弦のバイオリンの音色を合成するには6個あるいは4 個の発音チャンネルとするなど、出力する楽音の楽器の種類に合わせて変更する
ものとする。 【0036】 【発明の効果】 以上のように本願の請求項1の発明は、各発音チャンネルの波形データ出力に
楽器固有の音響(共鳴特性)を付加するデジタルフィルタ手段の出力を、各発音
チャンネルへフィードバックして各発音チャンネルの波形データ出力を変化させ
るようにしたので、各発音チャンネル間における相互の影響を算出するために複
雑な演算手段を設けること無く、デジタルフィルタ手段における遅延を共用し、
乗算手段と各発音チャンネルの加算手段だけで簡単に発音チャンネル間の相互干
渉による音色が変化する楽音合成装置を実現できるという効果が得られる。 【0037】 又本願の請求項2および3の発明によれば、デジタルフィルタ手段における演
算途中の波形データに対して、あらかじめ定めた乗数を乗算し、対応する発音チ
ャンネルを構成する加算手段へフィードバックして各発音チャンネルの波形デー
タを変化させるようにしたので、楽器固有の共振特性に起因する発音チャンネル
相互間の干渉度合いを調節できる楽音合成装置を実現することができるという効
果が得られる。
有する楽音合成装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年、楽音合成装置はデジタル技術の進歩により、飛躍的にその合成楽音の品
質が向上している。中でも演奏効果に優れた方式として、遅延手段を用いた演算
回路により楽音を合成する楽音合成装置が提案されている。従来の楽音合成装置
としては、例えば特開昭63−40199号公報、特開昭59−187398号
公報、特開昭63−40199号公報、特開昭62−109093号公報、特開
平2−304491号公報などに示されている。 【0003】 以下に、従来の楽音合成装置について説明する。図5はこの従来の楽音合成装
置のブロック図を示すものである。図5において、まず出力させたい楽音の音高
と発音のタイミングを入力部200へ指示する。入力部200は、例えば鍵盤,
管楽器形状のもの、あるいはギター形状のもの等の入力形態が採られるものとす
る。入力部200は、音高指示の入力形態が鍵盤の場合にはその押鍵された鍵の
位置によって、管楽器形状の場合には押さえられたキーの組合せパターンによっ
て、又ギター形状の場合には弦の押さえられた位置(フレット)によって、出力
する楽音の音高(いわゆる音名)を決定し、発音制御部201へ音高データを出
力する。ここでは入力形態が88鍵からなる鍵盤である場合とし、低域の鍵盤か
ら順次に音高データ1,2,・・・,87,88というようにして7Bitから なる音高データを出力する。各発音チャンネル301〜388は、それぞれ、音
高データ1,2,・・・,87,88に対応しているものとする。 【0004】 又入力部200は、発音指示の入力形態が鍵盤の場合はその押鍵,離鍵に対し
て、管楽器形状の場合には呼気の開始,停止に対して、又ギター形状の場合には
弦の振動の開始,停止に対して、出力すべき楽音のオン,オフ情報、即ち、楽音
発生の開始,停止に関する情報として、発音オンの時には「1」、オフの時には
「0」を発音制御部201へ出力する。 【0005】 各発音チャンネル301〜388は、例えば図6のように構成される。図6に
おいて、101は駆動波形発生部であって、駆動波形データを加算器102を介
して可変遅延部103に出力する。可変遅延部103は信号を所定時間遅延させ
フィルタ104,乗算器105を介して加算器102に帰還するよう構成され、
加算器102の出力が出力端子106より出力される。駆動波形発生部101は
駆動波形データをあらかじめ記憶したメモリ107、及びそのデータの読出しを
行うカウンタ108から構成されている。カウンタ108は入力端子109より
発音情報、クロック発生器205よりクロック信号が与えられる。発音チャンネ
ル301は最も低音の発音チャンネルであり、302,303・・・388まで
順次高音となる発音チャンネルとする。 【0006】 図6において、発音制御部201からの発音情報konが値「1」(発音オン
)になるときには、カウンタ108はリセットされ、カウント値(メモリ107
内のアドレス)を値「0」にする。その後、クロック発生器205から出力され
るクロックCKの発生タイミングでカウンタ108はカウントアップし、メモリ
107からはカウンタ108のカウント値に対応したアドレスに記憶された駆動
波形データが出力されることとなる。ここでカウンタ108は値「0」からメモ
リ107の全アドレス領域を一通りアドレスした後に、メモリ107の最終アド
レスに至った時点でカウント値をホールド、即ちカウント動作を停止するものと
する。このようなカウンタ108のカウント動作は、ピアノやギターのような過 渡的な楽音の合成に適しており、バイオリンや管楽器のような準定常的な楽音を
合成するためには、駆動波形データを繰り返し出力するようにする。メモリ10
7にはギター弦の弾きの為に弦に与えられる加速度に相当するデータや、ピアノ
弦にピアノハンマから与えられる駆動波形が記憶されているものとする。 【0007】 メモリ107から出力される駆動波形データは、加算器102で乗算器105
から出力される波形データと加算された後に、可変遅延部103に入力される。
可変遅延部103は入力される波形データを、出力すべき楽音の音高に対応した
遅延時間だけ遅延させてフィルタ104へ出力する。フィルタ104は入力され
た波形データの周波数スペクトルを変化させてその出力を乗算器105に出力す
る。乗算器105は乗数Gを乗じて加算器102へ出力して、新たに入力される
駆動波形データと加算する。即ち、加算器102,可変遅延部103,フィルタ
104及び乗算器105から構成されるループ内を、波形データが循環しながら
合成楽音が形成される。このようにして合成された波形データは、出力端子10
6から発音チャンネル出力として出力され、各発音チャンネルの出力は累算器2
02で加算されることとなる。 【0008】 上述したループ内では、音高Hに対応した遅延時間を有する可変遅延部103
によって、音高Hに対応した基本周期を有する波形データが形成される。クロッ
クCKが40〔kHz〕の時に音高Hが500〔Hz〕ならば、対応する遅延量
は80個の単位遅延に相当することになる。出力する音高HとクロックCKとか
ら決定される遅延量が整数でない場合には、直線補間あるいはフィルタ処理によ
って小数遅延量を実現することができる。又ループ内を波形データが巡回する毎
にフィルタ104を通過するので、フィルタ104を低域通過フィルタとしてお
くことにより、時間経過とともに波形データに含まれるに高い周波数成分ほど急
速に減衰することになり、ピアノやギターのように時間経過とともに高い周波数
成分音から順次に無くなっていくような楽音が形成される。更にループ内を波形
データが巡回する毎に乗算器105を通過するので、乗数Gを1未満の正小数と
しておくことにより、ループによる発振を防ぐとともに、ピアノやギターに適し た減衰系のエンベロープを実現することができる。 【0009】 以上のように構成される発音チャンネル301〜388に対して、発音制御部
201は音高データiが「40」の時には発音チャンネル340を選択し、発音
チャンネル340に対して発音情報kon(1値)を送るので、発音チャンネル
340から出力される波形データが累算器202により、他の発音チャンネルの
出力と加算された後に、サウンドシステム203へ出力される。サウンドシステ
ム203に入力された波形データはデジタル・アナログ変換された後に、フィル
タ,アンプ,スピーカ等から構成される公知の音響装置によって合成楽音として
放音されることとなる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら上記の従来の構成では、発音チャンネル301〜388から出力
される波形データに対して、ピアノ等の楽器と同様な響きを与えるには、累算器
202の出力に対して、公知の残響装置(リバーブ)をつける方法が考えられる
が、これでは発音チャンネル同志の相互干渉に起因する響きを実現できないとい
う問題点を有していた。 【0011】 本発明は上記従来の問題点を解決するもので、楽器と同様に発音チャンネル相
互の干渉を有する自然な楽音の響きを実現できる楽音合成装置を提供することを
目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】 本願の請求項1の発明は、楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆動
波形発生手段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延時
間長の遅延手段、及び遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力さ
れる波形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含み
、波形データを出力する複数の発音チャンネルと、各発音チャンネルから出力さ
れる波形データを累算する累算手段と、累算手段の波形データ出力をフィルタ演 算し楽音波形データを出力するデジタルフィルタ手段と、デジタルフィルタ手段
の出力楽音波形データとあらかじめ定めた乗数とを乗じて複数の発音チャンネル
の加算手段へ出力する乗算手段と、デジタルフィルタ手段の出力をD/A変換し
て楽音信号として出力するサウンドシステム手段と、を具備することを特徴とす
るものである。 【0013】 又本願の請求項2の発明は、楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆
動波形発生手段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延
時間長の遅延手段、及び遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力
される波形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含
み、波形データを出力する複数の発音チャンネルと、各発音チャンネルから出力
される波形データを累算する累算手段と、累算手段の波形データ出力をフィルタ
演算し楽音波形データを出力するデジタルフィルタ手段と、デジタルフィルタ手
段のフィルタ演算途中の波形データにあらかじめ定めた定数を乗じて複数の発音
チャンネルの加算手段へ出力する複数の乗算手段と、デジタルフィルタ手段の出
力をD/A変換して楽音信号として出力するサウンドシステム手段と、を具備す
ることを特徴とするものである。 【0014】 【作用】 本発明は上記した第1の構成により、各発音チャンネルは、それぞれ指示され
た出力音高に対応した遅延時間長を有する遅延手段と加算手段を含んで形成され
るループ内を巡回する波形データを各発音チャンネルの出力として出力する。各
発音チャンネルの出力波形データは累算手段により累算される。累算された波形
データはデジタルフィルタ手段により楽器固有の音響(共鳴特性)を付加されて
楽音波形データとして出力される。他方において、楽音波形データは乗算手段に
よりあらかじめ定めた乗数を乗じられた後に、各発音チャンネルの加算手段によ
り各発音チャンネル内を巡回する波形データへ加算されるので、各発音チャンネ
ルの波形データ出力を他の発音チャンネルから出力される波形データによって変
化させて、音色を変化させることとなる。 【0015】 又上記した第2の構成により、各発音チャンネルは、それぞれ指示された出力
音高に対応した遅延時間長を有する遅延手段と加算手段とから形成されるループ
内を巡回する波形データを各発音チャンネルの出力として出力する。各発音チャ
ンネルの出力波形データは累算手段により累算される。累算された波形データは
デジタルフィルタ手段により楽器固有の音響(共鳴特性)を付加されて楽音波形
データとして出力される。他方において、各乗算手段はそれぞれデジタルフィル
タ手段の演算途中における異なる波形データに対して各乗算手段毎にあらかじめ
定めた乗数を乗じた後に対応する発音チャンネルを構成する加算手段により各発
音チャンネル内を巡回する波形データへ加算されるので、各発音チャンネル波形
データ出力における、他の発音チャンネルから出力される波形データによる変化
の度合いが発音チャンネル毎に異なる楽音波形データが得られることとなる。 【0016】 【実施例】 以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。 図1は本発明の第1の実施例における楽音合成装置の構成を示すブロック図で
ある。図1において、入力部200,発音制御部201,累算器202,サウン
ドシステム203,出力端子204,クロック発生器205は従来例の構成と同
一であるので、詳細な説明を省略する。さて本実施例ではサステイン量を入力す
るサステイン指示部12を有している。サステイン指示部12は電源に接続され
た可変抵抗器とその出力をA/D変換するA/D変換器から成り立っており、サ
ステインペダルと弱音ペダルに対応した数値、例えば「0.0」〜「2.0」を
乗算器13に出力する。乗算部13は波形データを発音チャンネル401〜48
8に与えるものである。各発音チャンネル401〜488は後述するように発音
制御部201からの信号に応じた信号を発音するものであり、その出力は累算器
202を介してデジタルフィルタ500に与えられる。デジタルフィルタ500
は出力波形データに楽音固有の音響を付加するものであって、その出力はサウン
ドシステム203及び乗算器14に与えられる。乗算器14はデジタルフィルタ
500の出力と楽器毎にあらかじめ定めた乗数とを乗ずる乗算器である。 【0017】 次にこのように構成された本実施例の楽音合成装置の動作について説明する。
まずサステイン指示部12に対してサステイン量を指示入力すると、サステイン
量に対応した乗数を出力する。ここでサステイン指示部12から出力される乗数
は通常「0.0」〜「2.0」までの小数が望ましく、ここでは「0.1」刻み
の21段階とする。なお、乗数「0」はサステインオフに対応している。サステ
イン指示部12への指示入力が乗数「1.0」に対応するとき、乗数「1.0」
が出力される。ここで乗数「1.0」はいわゆるサステインペダルを操作してい
ない状態に対応しており、乗数「2.0」はサステインペダルを踏み込んだ状態
、乗数「0.0」〜「1.0」はサステインペダルを操作せずに弱音ペダルを操
作している状態に対応し、「0.0」は弱音ペダルを踏み込んだ状態に対応して
いるものとする。 【0018】 発音チャンネル401〜488は、図2のように構成される。図2において1
1は加算器、10は入力端子である。駆動波形発生部101,加算器102,可
変遅延部103,フィルタ104,乗算器105,出力端子106,入力端子1
09は従来例の構成と同じである。乗算器13より入力端子10を介して入力さ
れた波形データは、加算器11において加算器102から出力される波形データ
と加算された後に可変遅延部103へ出力される。 【0019】 従来例と同様にして、駆動波形発生部101から出力される駆動波形データは
、加算器102と可変遅延部103とフィルタ104と乗算器105とから構成
されるループを巡回しながら波形データを形成する。すなわち、加算器11にお
いて入力端子10から入力される波形データがすべて「0」のときには、発音チ
ャンネル401〜488は従来例の発音チャンネル301〜388と全く同様の
動作をする。他方において、入力端子10から入力される波形データにより形成
される波形データは、駆動波形発生部101から出力される駆動波形データがす
べて「0」のときには、加算器11と可変遅延部103とフィルタ104と乗算
器105と加算器102とから構成されるループを巡回しながら形成される波形 データである。駆動波形発生部101から出力される駆動波形データと入力端子
10に入力される波形データとの各々により形成される波形データは互いに独立
であり、両者を単純に加算することにより、発音チャンネル401〜488の出
力は決定される。 【0020】 駆動波形データは、発音チャンネル401〜488に対して本来の合成動作を
促すデータであるが、入力端子10から入力される波形データは、ギターやピア
ノ等の楽器における胴や響板などの構造に起因して、それらを伝搬する振動に対
応するものである。 【0021】 発音制御部201は、従来例と同様の動作によって、発音チャンネル401〜
488へ発音チャンネルの選択と発音情報の送出を行うものとする。各発音チャ
ンネル401〜488から出力された波形データは従来例と同様にして、累算器
202において、全ての発音チャンネル出力が加算され、出力される。 【0022】 デジタルフィルタ500は、図3のように構成される。図3において、累算器
202の出力端に接続される入力端子570には単位時間遅延器510〜528
が接続され、夫々の入力が乗算器530〜549に同時に与えられる。乗算器5
30〜549はこれらの入力とフィルタ係数A0 〜A19とを乗算するものであっ
て、その出力は累算器550に与えられる。累算器550はこれらの累算出力を
出力端子579を介してサウンドシステム203へ出力する。又出力端子580
〜599は単位時間遅延器510〜527の遅延信号を出力するものである。 【0023】 累算器202から出力される波形データはデジタルフィルタ500の入力端子
570に入力されると、クロック発生器205から出力されるクロックCKのタ
イミングで単位時間遅延器510〜528を順次に伝搬していくこととなる。入
力端子570及び単位時間遅延器510〜528を通過する波形データはそれぞ
れ乗算器530〜549により、楽器毎にあらかじめ定めたフィルタ係数A0 〜
A19が乗じられた後に、累算器550において累算される。即ち、乗算器530 〜548の出力はすべて加算された後に出力端子579から出力される。以上の
ようにして得られるデジタルフィルタ500の出力は、サウンドシステム203
を経て出力端子204から放音されることとなる。 【0024】 ここで、楽器毎にあらかじめ定めたフィルタ係数A0 〜A19は、次のようにし
て得られる。即ちピアノ、ギターあるいはバイオリンのような楽器のいわゆる響
板あるいは胴などの共鳴器のインパルス応答を収音する事によって得られる。例
えば、ピアノ弦の振動が響板に伝搬するコマの部分をハンマーでたたく、あるい
は、バイオリン弦の振動が胴に伝えられる駒の部分をハンマーでたたくことによ
り発生する音を、クロックCKをサンプリング周波数(標本化周波数)としたア
ナログ・デジタル変換を実施し、得られたデジタルのインパルス応答波形値を正
規化することにより得られる。正規化されたインパルス応答波形値を時刻「0」
から順次にA0 〜A19として使用するものとする。フィルタ係数A0 〜A19は、
ここでは簡単のために20個としたが、実際のインパルス応答の時間長が大きな
楽器(ピアノなど)では、数秒間にわたるインパルス応答を実現するために単位
時間遅延器510〜528及び乗算器530〜549の個数を増加させる必要が
ある。 【0025】 他方において、デジタルフィルタ500の出力は乗算器14によって楽器毎に
あらかじめ定められた乗数が乗じられる。ピアノの場合には通常「0.1」程度
が望ましい。乗算器14の出力は、乗算器13により指定されたサステインに対
応する乗数、ここでは乗数「1.0」を乗じられた後に、各発音チャンネル40
1〜488へ出力される。従って各発音チャンネルの出力の総和に対して、デジ
タルフィルタ500により音響を付加された波形データに比例した波形データが
各発音チャンネル401〜488へ入力され、各発音チャンネル401〜488
は上述した発音チャンネルの動作を各々の発音チャンネルの音高に対応した遅延
時間長を有する可変遅延部103を含むループにより波形データを形成すること
となる。 従って、サステインに対応する乗数が「1.0」よりも小さな時は、帰還量が 少なくなるために響きが小さくなる。又サステインに対応する乗数が「1.0」
よりも大きな時は、帰還量が大きくなるために響きが大きくなる。 【0026】 尚、上述の説明では、デジタルフィルタ500の構成を非巡回型フィルタとし
てインパルス応答波形との畳み込み演算によって、各発音チャンネル401〜4
88の出力の総和の波形データに対して楽器固有の音響を付加するようにしたが
、非巡回型フィルタにより響板あるいは胴の共鳴特性を近似するようにしても良
い。 又本実施例によればデジタルフィルタ500の出力端子579から乗算器14
へ入力信号を与えるようにしているが、遅延時間長の適正化を図るために、デジ
タルフィルタ500内の他の出力端子580〜599から乗算器14へ出力する
ようにしてもよい。 【0027】 以上のように本実施例によれば、デジタルフィルタ500により得られるピア
ノ響板の振動を乗算器14を介してピアノ弦のそれぞれに対応する発音チャンネ
ル401〜488に帰還させ、各発音チャンネルから発音出力される波形データ
を変調するようにしたので、ピアノ弦の自然な響きを実現することが出来る。 【0028】 又乗算器14の出力を乗算器13を介して発音チャンネル401〜488に帰
還させるようにしたので、乗算器13における乗数を所望のサステイン量に対応
させることによって、ピアノ弦の響きを演奏者の所望のレベルに変化させること
が可能となる。 【0029】 図4は本発明の第2の実施例の楽音合成装置の構成ブロック図である。図4に
おいて、15はセレクタ、21〜28は乗算器である。又発音チャンネル401
〜488と累算器202及びその出力波形データに楽器固有の音響を付加するデ
ジタルフィルタ500は、第1の実施例と同一であるので、詳細な説明を省略す
る。入力部200,発音制御部201,累算器202,サウンドシステム203
出力端子204,クロック発生器205は、従来例の構成と同じものである。 【0030】 次にこのように構成された楽音合成装置の動作について説明する。 第1の実施例と同様の動作により各発音チャンネル401〜488の出力波形
データは累算器202で累算されたのちに、デジタルフィルタ500において楽
器固有の音響が付加され、サウンドシステム203において放音される。デジタ
ルフィルタ500は、第1の実施例と同様に図3のように構成されるものとする
。 【0031】 さてデジタルフィルタ500の出力端子580〜599からの20個の出力は
夫々例えば16ビットの並列出力であるが、セレクタ15を介して乗算器21〜2
8に出力される。セレクタ15は、楽器毎にあらかじめ定めた組合せに従って、
出力端子580〜599の20個の出力の中から8個の出力を選択し、選択した
8個の出力を対応する乗算器21〜28へ出力する。この選択は響板の共振の立
ち上がりの遅い低音域に対しては、遅延時間の大きな出力端子599に近いとこ
ろを、又響板の共振の立ち上がりの早い高音域になるほど遅延時間の小さな出力
端子580に近いところを選択し、遅延時間の大きな順に乗算器21から順に、
乗算器28までに出力する。このような出力端子の選択は、ピアノの場合におい
て、例えば、各音域毎に選択した特定の音高に対応するピアノの弦の振動が響板
に伝搬する所をハンマーでたたいたときのインパルス応答の波形振幅最大値まで
の時間を計測し、その時間に最も近い遅延時間を有する出力端子580〜599
を選択することにより決定することが出来る。又このようにして得られる波形振
幅最大値によって、後述するような乗算器21〜28における乗数も決定するこ
とが出来る。 【0032】 ピアノの響板は低音域から高音域まで一様な形状ではなく、又ピアノの弦の振
動を響板に伝搬する位置も、音域によって異なっている。しかしながら、本実施
例においては、デジタルフィルタ手段の増加を防ぐためにピアノの弦に対応する
各発音チャンネル401〜488の出力は累算器202によってそれぞれ加算さ
れた後に1つのインパルス応答を有するデジタルフィルタ500によって楽器固 有の音響を付加するようにしており、このような音域により異なるピアノの響き
を実現するために、各発音チャンネル401〜488を発音チャンネル401〜
404、405〜416、417〜428、429〜440、441〜452、
453〜464、465〜476、477〜488の8音域に分割し、各音域各
々に対応する乗算器28〜21の乗算器出力がその音域内の各発音チャンネルに
対して出力される。 【0033】 各乗算器21〜28において乗算される値は、楽器により異なるが、ピアノの
場合通常「0.1」程度が望ましく、本実施例の場合、乗算器21から乗算器2
8の各々において、順に、「0.15」、「0.13」、「0.11」、「0.
10」、「0.09」、「0.08」、「0.07」、「0.06」程度とする
ことが望ましい。 【0034】 以上のようにして、各乗算器21〜28の出力は、それぞれ対応する発音チャ
ンネル401〜488へ出力されるので、各発音チャンネルの出力は音域毎に異
なる変調を受けて新たな波形データを発生することとなる。 なお、本実施例においても第1の実施例と同様にして、サステイン指示部及び
サステイン乗数と各乗算器21〜28の出力を乗算して夫々のグループの発音チ
ャンネルに出力する複数(この場合は8個)の乗算器とによってサステイン効果
を実現することができる。 【0035】 以上のように本実施例によれば、デジタルフィルタ500の単位時間遅延器5
10〜528の出力の中から音域に対応した遅延時間を有する波形データをセレ
クタ15によって選択的に乗算器21〜28へ出力し、乗算器21〜28はそれ
ぞれ対応する発音チャンネル401〜488へ音域毎に異なる遅延時間及び波形
振幅値を有する波形データを帰還することにより各発音チャンネルを変調するよ
うにしたので、ピアノ弦の自然な響きの広がり感を実現することが出来る。 尚、第1及び2の実施例においては発音チャンネルの個数を88としたが、6
本弦のギターあるいは4本弦のバイオリンの音色を合成するには6個あるいは4 個の発音チャンネルとするなど、出力する楽音の楽器の種類に合わせて変更する
ものとする。 【0036】 【発明の効果】 以上のように本願の請求項1の発明は、各発音チャンネルの波形データ出力に
楽器固有の音響(共鳴特性)を付加するデジタルフィルタ手段の出力を、各発音
チャンネルへフィードバックして各発音チャンネルの波形データ出力を変化させ
るようにしたので、各発音チャンネル間における相互の影響を算出するために複
雑な演算手段を設けること無く、デジタルフィルタ手段における遅延を共用し、
乗算手段と各発音チャンネルの加算手段だけで簡単に発音チャンネル間の相互干
渉による音色が変化する楽音合成装置を実現できるという効果が得られる。 【0037】 又本願の請求項2および3の発明によれば、デジタルフィルタ手段における演
算途中の波形データに対して、あらかじめ定めた乗数を乗算し、対応する発音チ
ャンネルを構成する加算手段へフィードバックして各発音チャンネルの波形デー
タを変化させるようにしたので、楽器固有の共振特性に起因する発音チャンネル
相互間の干渉度合いを調節できる楽音合成装置を実現することができるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施例における楽音合成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】
図1,図4における発音チャンネルの内部構成を示すブロック図である。
【図3】
図1,図4におけるデジタルフィルタの内部構成を示すブロック図である。
【図4】
本発明の第2の実施例における楽音合成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】
従来の楽音合成装置の構成を示すブロック図である。
【図6】
図5における発音チャンネルの内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 加算器
12 サステイン指示部
13〜14 乗算器
15 セレクタ
21〜28 乗算器
103 可変遅延部
104 フィルタ
105,530〜549 乗算器
200 入力部
201 発音制御部
202,550 累算器
203 サウンドシステム
205 クロック発生器
401〜488 発音チャンネル
500 デジタルフィルタ
510〜528 単位時間遅延器
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆動波形発生手
段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延時間長の遅延
手段、及び前記遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力される波
形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含み、波形
データを出力する複数の発音チャンネルと、 前記各発音チャンネルから出力される波形データを累算する累算手段と、 前記累算手段の波形データ出力をフィルタ演算し楽音波形データを出力するデ
ジタルフィルタ手段と、 前記デジタルフィルタ手段の出力楽音波形データとあらかじめ定めた乗数とを
乗じて前記複数の発音チャンネルの加算手段へ出力する乗算手段と、 前記デジタルフィルタ手段の出力をD/A変換して楽音信号として出力するサ
ウンドシステム手段と、を具備することを特徴とする楽音合成装置。 【請求項2】 楽音データを保持しそのデータを順次出力する駆動波形発生手
段、出力する楽音の音高に対応して設けられ、音高に対応する遅延時間長の遅延
手段、及び前記遅延手段を繰り返し巡回する波形データと外部から入力される波
形データとを加算し新たに巡回する波形データを出力する加算手段を含み、波形
データを出力する複数の発音チャンネルと、 前記各発音チャンネルから出力される波形データを累算する累算手段と、 前記累算手段の波形データ出力をフィルタ演算し楽音波形データを出力するデ
ジタルフィルタ手段と、 前記デジタルフィルタ手段のフィルタ演算途中の波形データにあらかじめ定め
た定数を乗じて前記複数の発音チャンネルの加算手段へ出力する複数の乗算手段
と、 前記デジタルフィルタ手段の出力をD/A変換して楽音信号として出力するサ
ウンドシステム手段と、を具備することを特徴とする楽音合成装置。 【請求項3】 前記乗算手段は指示されたサステインに対応した乗数を前記デ
ジタルフィルタ手段の出力に乗じることを特徴とする請求項1又は2記載の楽音
合成装置。 【請求項4】 前記複数の乗算手段は前記複数の発音チャンネルよりも少ない
ことを特徴とする請求項2記載の楽音合成装置。
Family
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