JP2533390B2 - 塗料タンクの液面自動調節装置 - Google Patents

塗料タンクの液面自動調節装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塗料の安定供給のために塗料タンクに配備
され塗料の液面を所定の高さに維持すべく機能する塗料
液面の自動調節装置に関する。
本発明は、自動車またはその部品の塗装工場などに配
備される塗料循環系においてとりわけ有用なものであ
る。
(従来の技術) 一般に、塗料を塗料ブースの塗料機と塗料タンクとの
間で循環しながら、塗料機により塗装加工を行なう設備
においては、塗料の安定供給のために常に所要量の塗料
を塗料タンク中に満たしておく必要があり、そのため
に、普通、塗料の液面を所定の高さに維持すべく液面の
調節、制御機構が塗料タンクに付帯して備えられる。
従来、塗料液面の調節のために、フロートを塗料タン
ク内の塗料液面上に浮べ、その高さに応じて塗料を塗料
タンク中へ補給またはそれより回収するいわゆるフロー
ト式の制御機構が汎用されてきた。
しかし、フロート式の液面制御装置は、水道水のよう
な固形不純物の少ない溶液系においては有効であるが、
塗料のように固形含有量の多い分散系においては、次の
ような問題が生じる。
第一に、フロート表面上の塗料は空気と接触して乾燥
固化しやすく、固化した塗料によってフロートの動きが
少なからず制限され、やがて液面調節が不具合となるこ
とが頻繁に起きる。深刻な場合には、フロートの動きが
完全に拘束されて、タンク中の塗料が完全に枯渇したり
あるいは塗料がタンクより溢れ出たりする事態に至る。
また、フロート表面上で乾燥固化した塗料固形分が塗
料液面の上下変動に伴い再びタンク内の塗料中に混入
し、それがそのまま塗装機へと送られることにより、ブ
ツ等の塗料不良を引き起こす場合があった。
そこで、近年では、かかる問題の起きない装置とし
て、細長い検知管を塗料タンクの中に差し入れ、管下端
より塗料液面までの高さと均衡する検知管内部のエア圧
力を圧力センサにより計測し、そして検知されたエア圧
力値に基づいて必要量の塗料をタンク中に補給する液面
制御装置が採用されている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、この装置は、塗料液面の高さと均衡させるべ
く、通常大気圧よりいくらか高めのエア圧力を検知管の
内部に加えるが、タンク中の塗料の撹拌等に伴いエアが
検知管よりタンク内部に漏出し、気泡となってそのまま
塗料中に残り、よって塗料中の混在気泡が塗料の劣化だ
けでなく、ヌケ等の塗料欠陥を引き起こすという問題が
あった。
かかるエア漏出を抑えるべくエア圧力を低減し可能な
限り塗料液面の高さとの均衡圧力に近づけようとする
と、逆に、検知管下部におけるエアと塗料液の境界面は
塗料液面の変化に伴い上下に激しく変動するようにな
り、このため、検知管内部に侵入した塗料が管内壁に固
化し、次第に蓄積していき、やがて検知管の詰りが発生
し液面制御の機能を失う場合があるという問題があっ
た。
また、塗料が検知管中に侵入し、固化して管詰りを起
こすという事態は、加えるべきエア圧力値を塗料液面の
高さとの均衡圧力より高めに設定した場合にもみられ
た。
本発明は、これらの問題を解決して上記の液面制御装
置をさらに改良するべくなされたもので、エアの塗料中
への混入(気泡の混在)が生じず、また固化塗料による
検知管の詰りも発生しない塗料タンクの液面自動調節装
置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は、液面検知用の検知管中のエアを、タンク中
の塗料バルクへ拡散させずに、管内部よりそのまま外気
に放出することができるように検知管の構造を改良した
ものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは、 塗料タンク中の塗料の液位を検知する装置であって、
塗料タンク内に差し込まれた検知管と、該検知管と接続
されたエア管を通じてエア圧を同検知管の内部に加える
加圧手段と、該エア管と連通しエア圧を電気信号に変換
して出力する圧力センサからなる液位検知装置と、 該装置からの検知信号に基づいて前記塗料タンク中の
塗料が所定の液位にあるか否かを判断して必要な制御信
号を出力する液位制御装置と、 そして、該装置からの制御信号に基づいて塗料を前記
塗料タンクに供給する塗料補給装置を備えてなり、 前記液位検知装置の検知管は、前記エア管と連通する
内管を外管の中に挿入した二重管構造をなし、かつ該内
管の最下端は該外管の最下端より上方に位置するととも
に、該外管の上部にエア抜き孔を形成したことを特徴と
する塗料タンクの液面自動調節装置にある。
本発明に用いる液位検知装置は、塗料タンク(主に塗
料循環用のもの)中の塗料の液位を検知する装置であっ
て、検知管、加圧手段および圧力センサからなる。
本発明における検知管は、従来のような一重の管では
なく、内管(例えば直径10〜20mmの管)をそれより径の
大きい外管(例えば直径20〜30mmの管)の中に挿入した
二重管構造をもつことを特徴とするもので、塗料タンク
内に差し込まれ、通常垂直に保持される。
さらに特徴的なことには、本発明の検知管は、内管の
最下端が外管の最下端より普通数cm程度上方に位置す
る。言い換えれば、内管が外管の中に完全に収納される
ように、両管の位置関係は設定されている。
また、外管は少なくとも一個のエア抜き孔を形成して
なり、よってこの孔を通じて外管と内管の隙間は外部
(大気)と連通している。エア抜き孔は、検知管の上部
に、すなわちそれを塗料タンク内に差し込み保持したと
き、塗料液面より上方に位置する部位に形成される。一
方、内管は前記加圧手段とエア管を介して接続してな
り、すなわち内管の内部はエア管と連通している。
加圧手段は、塗料液面の高さに均衡する圧力よりやや
高めのエア圧力を、前記エア管を通じて検知管の内管の
内部に加えるもので、例えば約8kg/cm2圧のエア源、圧
力調節弁、定流量弁等よりなる。
さらに、圧力センサは、前記エア管と連通して設けら
れ、管内部の圧力に感応して検知管の内管中のエア圧力
を電気信号に変換して出力する。
また、本発明に用いる液位制御装置は、液位検知装置
の圧力センサからの検知電気信号に基づいて塗料タンク
中の塗料が所定の液位にあるか否かを判断して必要な制
御信号を出力する装置で、例えば変換器(増幅器)、設
定器およびシーケンス制御器などより構成される。
普通次のような制御方法が採用される。塗料タンク中
の塗料の液位が下限に達した場合には塗料をタンクに補
給すべき信号を出力し、またタンク中の塗料の液位が上
限に達した場合には塗料のタンクへの補給を中止すべき
信号を出力する。そして、タンク中の塗料の液位が異常
上限または異常下限に達した場合には塗料循環系の設備
の運転を緊急停止すべき信号を出力し、次いで必要によ
り塗料の高速回収あるいは高速補給を指示する信号を発
する。
さらに、本発明に用いる塗料補給装置は、液位制御装
置例えばシーケンス制御器からの制御信号に基づいて塗
料を前記塗料タンクに供給する装置で、例えば補給にも
用いうる塗料調製タンクと、該タンクより循環用塗料タ
ンクに配管された塗料管に介装されたエアポンプと、制
御信号を受けて該エアポンプを作動させるエア作動弁な
どより構成される。
(作用) 本発明による検知管も、使用時塗料タンク内の塗料に
浸漬して保持され、加圧手段によって塗料液面との均衡
圧力より高いエア圧力が二重管の最内側である内管の内
部に加えられる。従って、内管の内部はエアで満たさ
れ、内管と外管の隙間は塗料が侵入しそれで満たされる
こととなる。本発明では、検知管の内管の最下端は外管
の最下端より上方に位置するので、加圧エアの勢いや塗
料の撹拌等により内管中のエアがその最下端より漏れ出
ても、その漏出エアは、内管と外管の隙間を通って徐々
に上昇していき、そして塗料液面より上方に位置すると
ころの外管のエア抜き孔より外気に排出される。従っ
て、検知管からの漏出エアは従来のようにタンク中の塗
料バルクへと拡散しないので、使用のうちに気泡が塗装
中に混在するようになるという事態は起きない。
同時に、検知管内部に加えるエア圧力値に関して何ら
制限が不必要となり、内管中のエア圧力値を塗料液面の
高さと均衡する圧力よりもいくらか高い値に設定するこ
とにより、たとえ塗料液面が大きく変化しようとも、塗
料が内管の中へ侵入するのを防止することができ、よっ
て固化塗料の発生を完全に抑えることができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により説明する。
実施例の装置は自動車部品の塗装ブースと連絡する循
環用塗料タンクの中の塗料の液面を自動的に調節する装
置に関する。この装置は、第1図に示すように、特徴的
な検知管1と圧力センサ2を含む液位検知装置3、液位
制御装置4および塗料補給装置5より構成される。
液位検知装置3は、検知管1を循環用塗料タンク10内
に差し入れて垂直に保持し、加圧エア源15と連絡するエ
ア管11を検知管1に接続し、そして圧力センサ2をエア
管11に連通してなる。
検知管1は、第2図に示すように、内管6を外管7の
中に挿入した二重管構造をなし、そして両管は内管6の
最下端36が外管7の最下端37より高さlだけ上方に位置
する関係にある。内管6は接続具13を用いてエア管11と
連結され、管内部34はエア管11そしてエア源15と連通し
ている。一方、外管7は塗料上限液面hより上方のとこ
ろにエア抜き孔8を形成し、よって孔8を通じて内管と
外管の隙間35は外気と連通している。
エア源25は8kg/cm2圧の除湿エア源で、そのエアはエ
ア管11を通じて、介装された圧力調節弁17により所定の
エア圧に調節されまた定流量弁16により一定のエア流量
に調節された後、検知管1の内管6に供給される。内管
6の最下端36より塗料液面hまでの高さに均衡する圧力
値よりいくらか高い値のエア圧力が内管内部34に加わる
ように設定されている。したがって、内管内部34はエア
で満たされ、内管と外管の隙間35は塗料9で満たされ
る。
圧力センサ2は、エア管11の中、即ち内管6の内部34
のエア圧を検知し、電気信号として出力する。
液位制御装置4は、圧力センサ2と接続され、制御信
号fに応じて他の制御系との切換えを行なう切換器18
と、切換え器18と接属され、切換え時センサ2からの検
知信号aを受けそして増幅または変調させて出力する変
換器19と、タンク10中の塗料9の液面の上限、下限そし
て異常時とみなすべき上下限などを任意に設定できるデ
バイスで、変換器19からの変換信号bに基づいて実際の
塗料液面がどの高さにあるかを判断して出力する設定器
20と、および設定器20と接続され、それから送られてき
た信号の種類例えば上限もしくは下限信号c、または異
常時信号eに応じて制御信号dを出力するシーケンス制
御器21等からなり、圧力センサ2からの検知電気信号a
に基づいて、上記で述べたような制御方法をシーケンス
制御に従って実行することにより、塗料液面の自動制御
を行なう。
一方、塗料補給装置5の構成として、エアポンポ28が
配備され、塗料管29が塗料調製用タンク30よりエアポン
プ28に配管され、かつ塗料管31がポンプ28より循環用塗
料タンク10に配管されている。そして、エアポンプ28に
はエア管26が接続され、ポンプ28はエア圧作動弁24、圧
力調節弁27を介して圧力5kg/cm2の作動エア源25と連絡
してなる。作動弁24は、エア源15からのエア管22を通じ
て電気/エア変換弁23と接続されている。なお、33は圧
力調節弁である。
したがって、例えばシーケンス制御器21において塗料
を補給すべしと判断された場合、それからの制御信号d
はまず変換弁23に入力されてエア信号に変換され、次い
でその補給エア信号qはエア圧作動弁24に入力され、そ
して作動弁24は信号rをエアポンプ28へ出力し、ポンプ
28を運転せしめることにより、必要量の塗料が調製用タ
ンク30より矢印p方向に流れて循環用塗料タンク10に補
給されるようになっている。
なお、両タンク10、30とも、撹拌装置12として、プロ
ペラ型撹拌機14、32が備えられている。
実施例の装置では、使用時、検知管1の内管の下端36
より漏れ出たエアは気泡となって内管と外管の隙間35を
徐々に上昇していき、やがてエア抜き孔8より外部に放
出された。したがって、気泡が塗料バルクへ拡散し、プ
ロペラ撹拌機14の回転によりタンク1内全体に混入する
事態は起きなかった。また、内管内部34へのエア圧力を
高くすることにより、塗料の侵入を抑え、もって検知管
内における固化塗料の発生を防止することができた。従
って、ブツ等の塗装欠陥の発生が低減した。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明により、すなわち検知管中
のエアを、塗料タンク中の塗料バルクへ拡散させずに、
管内部よりそのまま外気に放出しうるように液位検知装
置の構造を改良したことにより、使用のうちに気泡がタ
ンク内の塗料中に混入する事態は起きず、従ってエア酸
化による塗料の劣化が弱まり塗料の品質が安定に維持さ
れ、また塗装品においてヌケ等の塗装欠陥は発生せず良
好な製品が得られる。
その上、本発明により、検知管中への塗料の侵入を塗
料液面の変化に影響されることなく防止することがで
き、従って検知管内における固化塗料の発生、ひいては
検知管の詰りを完全に抑えることができ、よって常に安
定した塗料液面制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は塗料タンクに装備された本発明の実施例の液位
自動調節装置を示す概要構成図、 第2図は第1図の装置のうち塗料液位の検知のために使
用される検知管の内部を示す拡大断面図である。 図中、 1……検知管 2……圧力センサ 3……液位検知装置 4……液位制御装置 5……塗料補給装置 6……内管 7……外管 8……エア抜き孔 9……塗料 10……循環用塗料タンク 11……エア管 15……加圧エア源 16……定流量弁 18……切換器 19……変換器 20……設定器 21……シーケンサ 23……電気/エア圧変換弁 24……エア圧作動弁 25……作動エア源 28……エアポンプ 29、31……塗料補給管 30……調製用塗料タンク 34……内管内部 35……内管と外管の隙間 36……内管の最下端 37……外管の最下端 h……塗料の液面 a……検知電気信号 b……変換信号 c、e……判断信号 d……制御信号 f……切換信号 p……塗料の流れ q、r……補給エア信号

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗料タンク中の塗料の液位を検知する装置
    であって、塗料タンク内に差し込まれた検知管と、該検
    知管と接続されたエア管を通じてエア圧を同検知管の内
    部に加える加圧手段と、該エア管と連通しエア圧を電気
    信号に変換して出力する圧力センサからなる液位検知装
    置と、 該装置からの検知信号に基づいて前記塗料タンク中の塗
    料が所定の液位にあるか否かを判断して必要な制御信号
    を出力する液位制御装置と、 そして、該装置からの制御信号に基づいて塗料を前記塗
    料タンクに供給する塗料補給装置を備えてなり、 前記液位検知装置の検知管は、前記エア管と連通する内
    管を外管の中に挿入した二重管構造をなし、かつ該内管
    の最下端は該外管の最下端より上方に位置するととも
    に、該外管の上部にエア抜き孔を形成したことを特徴と
    する塗料タンクの液面自動調節装置。
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