JP2532051Y2 - 断熱性容器の製造装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、主として即席食品の容器に用いられる断熱
性容器を製造するための装置に関するものでる。

［従来の技術］ 従来、インスタントラーメンの如き熱湯を注ぐのみで
食用に供せられる即席食品の断熱性容器として、製作が
簡単で且つ安価であることからプラスチック製のものが
広く用いられている。例えば、代表的なものとしては、
発泡性のプラスチック素材としたものやプラスチック製
の二重容器などがある。しかしながら、最近ではプラス
チック製品の不燃ゴミ公害が大きな社会問題となってお
り、プラスチック製の断熱性容器はその使用を控える傾
向にある。

以上のような観点から、紙製の断熱性容器が見直され
ているところであるが、その代表的なものとしては、縦
方向の凹部及び凸部を有するようにその周囲を波形状と
した紙製の外筒を用いてこれを紙カップ本体に被せ、紙
カップ本体の外周に沿うように押圧して接着剤により取
り付けたものが従来から用いられている。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の技術で述べた紙製の断熱性容器は、その外筒の
凹凸により形成される空間により断熱効果を発揮するも
のであるが、紙製の外筒に波形状の凹凸を形成し、この
凹凸が略等間隔となるようにして外筒を紙カップ本体の
外周に沿わせて接着するという製造工程を経るので、製
造装置が複雑となりコストが高くなるという問題点もあ
った。

そこで、本出願人は、簡単に製造できる紙製の断熱性
容器として、片面段ボールを扇形状に切断し、これを紙
カップ本体の外周側面に貼合してなる構成のものを実願
平２−86150号及び実願平２−86151号として既に提案し
ており、本考案は、このような構成の断熱性容器を製造
する装置を提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案における製造装置
は、扇形状に切断された片面段ボールからなる断熱シー
トをカール状態として一枚ずつ供給する断熱シート供給
部と、紙カップ本体をその周囲に糊付けを施した状態と
して一つずつ供給する紙カップ本体供給部、カップ状の
雌型を複数個有してなり前記断熱シート及び前記紙カッ
プ本体を順次受入れて該断熱シートを該紙カップ本体の
外周側面に貼合する貼合部と、前記紙カップ本体と前記
断熱シートとが一体となった断熱性容器を前記貼合部か
ら取り出す排出部とからなる断熱性容器の製造装置であ
って、前記断熱シート供給部は先端にサッカーを有する
揺動腕と一端が平らで他端が丸くなった搬送カール台と
を備えており、マガジンに集積されている断熱シートを
揺動腕で一枚ずつ取り出して搬送カール台における平ら
な一端に載置し、この載置した断熱シートをその端部を
搬送爪により押圧した状態で搬送カール台の丸くなった
他端に向けて移動させることにより当該断熱シートをカ
ール状態にし、カール状態とした断熱シートを搬送カー
ル台の他端から搬送爪によりそのまま押し出して前記貼
合部の雌型内に挿入するように構成されていることを特
徴とするものである。

［作用］ 上記のように構成された製造装置においては、断熱シ
ート供給部及び紙カップ本体供給部からそれぞれ断熱シ
ート及び紙カップ本体が貼合部における各雌型内に順次
挿入されて両者が一体とされ、完成品である断熱性容器
が排出部から取り出される。そして、断熱シート供給部
は、マガジンから断熱シートを一枚ずつ取り出した後、
この断熱シートを搬送爪で移動させながらカールさせる
と共にその貼合部の雌型内に挿入するように作動する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、断熱性容器の製造装置１は、断
熱シート供給部と、紙カップ本体供給部３と、貼合部４
と、排出部５とを有して構成されている。

本実施例の製造装置１により作成される断熱性容器Ｄ
は第２図に示すものであり、紙カップ本体Ｃの胴部外周
に断熱シートＳを巻き付けた状態で接着された形態とな
っている。この内、紙カップ本体Ｃは、第３図に示すよ
うに普通の紙カップと同様のものであり、内面若しくは
内外両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングし
た紙からなるブランク板を巻回しその両端を接着部分６
で貼り合わせて胴部７を構成した後、該胴部７の下方に
同じ紙からなる底板８を巻き締めると共に、上方開口縁
に外向きのカール部９が形成されたものである。一方、
断熱シートＳは、第５図の断面図に示すように、波形に
段成形した中芯10の片面にライナー11を貼合してなる片
面段ボールからなるもので、この片面段ボールを、第４
図に示すような扇形状に切断して作成されたものであ
る。そして、本実施例では、この扇形状の大きさが、紙
カップ本体Ｃの胴部７外周を丁度覆うようにされてい
る。ここで、断熱シートＳは片面段ボールの原反から切
断する場合、中芯10における凹部又は凸部の方向が扇の
横方向中心部において扇の要に向かう方向となるように
その向きが決められている。そして、本実施例の製造装
置１においては、断熱シートＳのライナー11側を紙カッ
プ本体Ｃの外周に巻き付けて接着する場合を示してい
る。したがって、作成された断熱性容器Ｄの側壁は、第
６図にその断面を示すように、紙カップ本体Ｃの胴部７
と断熱シートＳのライナー11からなる二重の紙層の外側
に凹凸状の中芯10が加わった構成をしており、断熱性容
器Ｄは、二重の紙層及び中芯10自体の熱伝導率が低いこ
とと、中芯10の凹凸によって形成される空隙12による断
熱作用により、カップ本体Ｃの中に注がれた熱湯が中芯
10の外周面にまで伝わるのが防止されるものである。

以下、第１図に示す製造装置１における断熱シート供
給部２、紙カップ本体供給部３、貼合部４及び排出部５
の構成について詳述する。

断熱シート供給部２は、マガジン21に集積されている
前記断熱シートＳを一枚ずつ取り出してこれをカール状
態で供給可能とするものであり、その供給手順は第７図
に示すようである。すなわち、断熱シートＳは、まず、
先端にサッカー22を有する一対の揺動腕23により一枚ず
つマガジン21から取り出され、第７図（ａ）に示すよう
に、搬送カール台24における平らな一端にライナー11側
を上にして載置される。次いで、一対の搬送爪25が断熱
シートＳの端部を押圧した状態で、搬送カール台24の丸
くなった他端に向け溝26を通って移動することにより、
断熱シートＳは第７図（ｂ）に示すように全体がカール
状態とされ、そのまま貼合部４に向けて搬送される。な
お、この場合、断熱シートＳの中芯10における凹部又は
凸部の方向が上記のように扇の横方向中心部において扇
の要に向かう方向、すなわち縦方向となっているので、
断熱シートＳは全体に横方向にカールし易い状態となっ
ている。したがって、断熱シートＳは搬送カール台24の
上を移動させることにより、第７図（ｂ）に示すように
簡単にカールさせることができる。

紙カップ本体供給部３は、紙カップ本体Ｃをその周囲
に糊付けを施した状態として一つずつ供給可能とするも
のである。すなわち、まず、集積された紙カップ本体Ｃ
が一つずつ取り出されの位置で雄型31にバキューム保
持される。次いで、雄型31が間歇回転されの位置でロ
ーラーにより糊トレー32から紙カップ本体Ｃの外周側面
に対して糊付けが行われた後、さらに間歇回転されの
位置で紙カップ本体Ｃの位置決めが行われる。この位置
決めを行うに当たっては、紙カップ本体Ｃを回転させな
がら予め紙カップ本体Ｃに印刷されたマークを光電管方
式で検知することにより行われる。そして、さらに雄型
31が間歇回転されの位置でエアーにより貼合部４に転
移される。

貼合部４は、カップ状の雌型41を複数個有しており、
この各雌型41を間歇的に回転させて所定の位置に周期的
にセットしながら、前記断熱シートＳ及び前記紙カップ
本体Ｃを順次受入れて断熱シートＳを紙カップ本体Ｃの
外周側面に貼合するようになっている。すなわち、ま
ず、の位置で前記断熱シート供給部２における搬送カ
ール台24の他端からカール状態とされた断熱シートＳが
搬送爪25により雌型41内に挿入される。次いで、の位
置で雄型形状をした押圧部材42により断熱シートＳが前
後に位置合わせされる。そして、の位置で前記紙カッ
プ供給部３から位置合わせされた紙カップ本体Ｃが雌型
41内に転移されて挿入された後、の位置で雄型形状を
した押圧部材43により紙カップ本体Ｃが押し込まれて断
熱シートＳと当接した定位置とされる。続いて、及び
の位置で乾燥されて糊が固まることにより紙カップ本
体Ｃの外周側壁に断熱シートＳが接着されてから、の
位置でエアーにより続く排出部５に転移される。

排出部５は、紙カップ本体Ｃと断熱シートＳとが一体
となった断熱性容器Ｄを前記貼合部４から順次取り出す
操作を行うようになっている。すなわち、まず、の位
置で前記貼合部４から転移されてきた断熱性容器Ｄがバ
キュームにより雄型51に吸着される。次いで、雄型51が
間歇回転されの位置でストリッパー方式により断熱性
容器Ｄが掻き取られてスタックされる。なお、スタック
時には員数管理が行われると共にその押し込み動作と乾
燥により紙カップ本体Ｃと断熱シートＳの接着が確実な
ものとされる。

以上に説明した断熱シート供給部２、紙カップ本体供
給部３、貼合部４及び排出部５が上記のように組み合わ
され、各部が連携して作動することにより断熱性容器Ｄ
が連続的に製造される。

なお、上記実施例では、断熱シートＳのライナー11側
を紙カップ本体Ｃの外周に巻き付けて接着してなる断熱
性容器Ｄを製造する場合について説明したが、本考案の
製造装置１は、断熱シートＳの中芯10側を紙カップ本体
Ｃの外周に巻き付けて接着してなる第８図に示すような
断熱性容器Ｄ′を製造する場合にも適用できるものであ
る。そして、この場合には、上記の断熱シート供給部２
において、断熱シートＳをその中芯10側を上にして搬送
カール台24における平らな一端に載置するようにすれば
よい。

このようにして製造される断熱性容器Ｄ′における側
壁は、第９図にその断面を示すように、紙カップ本体Ｃ
の胴部７と断熱シートＳのライナー11の間の凹凸状の中
芯10が加わった構成となる。したがって、断熱性容器
Ｄ′は、紙カップ本体Ｃの胴部７、断熱シートＳの中芯
10及びライナー11がそれぞれ紙でできておりそれら自体
の熱伝導率が低いことと、中芯10の凹凸によって形成さ
れる空隙12,13による断熱作用により、カップ本体Ｃの
中に注がれた熱湯の熱がライナー11の外側面にまで伝わ
るのが防止されるものである。

［考案の効果］ 以上のように本考案によれば、紙カップ本体に片面段
ボールからなる断熱シートを巻き付けて接着してなる断
熱性容器を連続的に製造することができる。

そして、断熱シート供給部では、マガジンから取り出
した断熱シートをカールさせると同時に貼合部の雌型内
に挿入するようにしたので、装置構成が簡単になること
から、装置全体をコンパクトにすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る断熱性容器の製造装置の概略図、
第２図は断熱性容器を示す斜視図、第３図は紙カップ本
体の斜視図、第４図は断熱シートの展開図、第５図は第
４図に示す断熱シートの横方向一部断面図、第６図第２
図に示す断熱性容器における水平方向の一部断面図、第
７図（ａ），（ｂ）は断熱シート供給部における断熱シ
ートの供給手順を示す概略図、第８図は別の形態の断熱
性容器を示す斜視図、第９図は第８図に示す断熱性容器
における水平方向の一部断面図である。 １…製造装置、２…断熱シート供給部、21…マガジン、
22…サッカー、23…揺動腕、24…搬送カール台、25…搬
送爪、26…溝、３…紙カップ本体供給部、31…雄型、32
…糊トレー、４…貼合部、41…雌型、42,43…押圧部
材、５…排出部、51…雄型、６…接着部分、７…胴部、
８…底板、９…カール部、10…中芯、11…ライナー、1
2,13…空隙、Ｃ…紙カップ本体、D,D′…断熱性容器、
Ｓ…断熱シート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扇形状に切断された片面段ボールからなる
   断熱シートをカール状態として一枚ずつ供給する断熱シ
   ート供給部と、紙カップ本体をその周囲に糊付けを施し
   た状態として一つずつ供給する紙カップ本体供給部と、
   カップ状の雌型を複数個有してなり前記断熱シート及び
   前記紙カップ本体を順次受入れて該断熱シートを該紙カ
   ップ本体の外周側面に貼合する貼合部と、前記紙カップ
   本体と前記断熱シートとが一体となった断熱性容器を前
   記貼合部から取り出す排出部とからなる断熱性容器の製
   造装置であって、前記断熱シート供給部は先端にサッカ
   ーを有する揺動腕と一端が平らで他端が丸くなった搬送
   カール台とを備えており、マガジンに集積されている断
   熱シートを揺動腕で一枚ずつ取り出して搬送カール台に
   おける平らな一端に載置し、この載置した断熱シートを
   その端部を搬送爪により押圧した状態で搬送カール台の
   丸くなった他端に向けて移動させることにより当該断熱
   シートをカール状態にし、カール状態とした断熱シート
   を搬送カール台の他端から搬送爪によりそのまま押し出
   して前記貼合部の雌型内に挿入するように構成されてい
   ることを特徴とする断熱性容器の製造装置。