JP2531179Y2 - 液垂れ防止のチャッキ弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、下端に液垂れ防止用のメッシュを有する充
填ノズルに設置した吐出側チャッキ弁に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来のチャッキ弁としては、液漏れを防ぐために弁頭
にラバーを被着したものはあった。

（考案が解決しようとする課題） 上記のようなチャッキ弁にあっては、これを仮に本考
案におけるように液体の充填装置を充填ノズル側に設置
したとしても、弁頭と弁座との密閉、すなわちこの部分
における液漏れを防止するにすぎないものである。

本考案はこのような点に鑑みて案出されたもので、そ
の目的とするところは、液体の充填装置の充填ノズル側
にチャッキ弁を設置することにより、ノズルの下端のメ
ッシュからの液垂れをより有効に防止するにある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案にあっては、下
端に液垂れ防止用のメッシュを有する充填ノズル内を減
圧することによって、メッシュの下面に表面張力にて溜
まっている液体を、メッシュ内に吸戻すことによりその
課題の解決を図っている。

具体的には、下端に液垂れ防止用のメッシュを有する
充填ノズルに設置した吐出側チャッキ弁は、互いに当接
する弁頭と弁座とがいずれも弾性のあるラバーで被覆さ
れており、弁座側のラバーは、その弾力が弁頭を弁座に
押接するスプリングの弾力よりも小であるように構成し
ている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面について説明する。

本考案は、第１図に示すように吐出側チャッキ弁
（V₁）と吸込側チャッキ弁（V₂）とよりなる弁装置
（Ｖ）と、これを作動させるピストン（ｐ）、シリンダ
（ｃ）とよりなるピストン装置（Ｐ）とから構成される
ものである。

吐出側チャッキ弁（V₁）は、下端に液垂れ防止用メッ
シュ（１）を有する充填ノズル（２）の上方に設置さ
れ、また吸込側チャッキ弁（V₂）は、タンクより導入パ
イプ（３）の下端に設置されており、これらのチャッキ
弁（V₁）と（V₂）との間にピストン装置（Ｐ）のシリン
ダ（ｃ）側が開口（４）している。

吐出側チャッキ弁（V₁）と吸込側チャッキ弁（V₂）と
は同じ構造のものであるから、吐出側チャッキ弁（V₁）
について説明する。

弁座（ａ）を支える座板（ｂ）には中央に軸筒（ｄ）
があり、弁頭（ｅ）には弁軸（ｆ）があって、これは軸
筒（ｄ）に挿通され、弁軸（ｆ）の支持板（ｇ）と座板
（ｂ）との間にはスプリング（ｈ）が弾設されている。

この吐出側チャッキ弁（V₁）は、第２図において示さ
れているように、弁座（ａ）には弁頭（ｅ）の方向に環
状の突条部（ｉ）が設けられており、この突条部（ｉ）
を含み弁座（ａ）の先端部は、弾性のあるラバー（ｊ）
が焼付けられて被着されている。

吸込側チャッキ弁（V₂）にあっては、吐出側チャッキ
弁（V₁）のように弁座（ａ）に対してまで、弾性のある
ラバーを被着する必要はないものである。

第３図に示すものは、従来のチャッキ弁（Ｖ′）であ
って、基本的には本考案のものと同様であるが、弁頭
（ｅ′）のみにラバー（ｋ′）が被着されている。

なお、符号（５）、（５′）は液体の通孔である。

次に、作用について説明する。

第１図に示す液体充填装置において、 ピストン（ｐ）が下降すると、ピストン（ｐ）の上部
のシリンダ（ｃ）内は減圧されて負圧となる。

この負圧により吸込側チャッキ弁（V₂）のスプリング
（ｈ′）に抗して弁頭（ｅ′）が弁座（ａ′）より開
き、吐出側チャッキ弁（V₁）は、そのままで閉じてい
る。

この吸込側チャッキ弁（V₂）の弁頭（ｅ′）の弁座
（ａ′）よりの開きでは液体はタンクより導入パイプ
（３）を通ってシリンダ（ｃ）内に吸込まれる。

ピストン（ｐ）は上昇するとシリンダ（ｃ）内は陽圧
となって、吸込側チャッキ弁（V₂）の弁頭（ｅ′）は閉
じ、吐出側チャッキ弁（V₁）の弁頭（ｅ）はスプリング
（ｈ）に抗して弁座（ａ）より開き、液体はシリンダ
（ｃ）内から充填ノズル（２）を通りメッシュ（１）よ
り流出して容器等に充填される。

再びピストン（ｐ）が下降し始めると、吐出側チャッ
キ弁（V₁）が閉じ、充填ノズル（２）に充満されている
液体は表面張力によってメッシュ（１）にて保たれる。
一方の吸込側チャッキ弁（V₂）は開いて液体は再びシリ
ンダ（ｃ）に内に吸込まれる。

以上のようにピストン（ｐ）の１サイクルで一定量の
液体が容器等に充填される。

このとき、充填ノズル（２）の下端のメッシュ（１）
の外側に付着して残った液体、もしくは表面張力の小さ
い液体等は、上記の１サイクルの充填終了後垂れようと
する。

第２図について説明すると、再度のピストン（ｐ）の
下降は、その始めにおいて、吐出側チャッキ弁（V₁）
は、（イ）に示すように、弁頭（ｅ）が弁座（ａ）に密
着して閉じるのであるが、ここにおいて、弁座（ａ）に
被着してあるラバーの弾力は、座板（ｂ）と弁軸（ｆ）
の支持板（ｇ）との間に弾設されているスプリング
（ｈ）の弾力よりも若干小であるから、（ロ）に示すよ
うに、このスプリング（ｈ）の作用により、弁座（ａ）
に被着されている環状突条部（ｉ）のラバー（ｊ）は押
し潰され、その分△ｘだけ弁頭（ｅ）は上昇する。

この上昇は、弁頭（ｅ）が弁座（ａ）に密着後のこと
であるから、弁座（ａ）の断面積×△ｘの量の液体をメ
ッシュ（１）側から吸戻すことになり、その分だけの量
の液体の垂れようとするのを防ぐことになる。

この△ｘは、スプリング（ｈ）の強さ、ラバー（ｊ）
の弾性、充填液の性質等によって変化するものである。

ラバー（ｊ）としては、シリコンゴム、軟質バイトン
等で、ゴム硬度50度以下のものであり、弁座（ａ）の環
状突条部（ｉ）の先端の被着されたラバー（ｊ）の厚さ
は約4mm、スプリング（ｈ）による圧縮量△ｘは約1mmで
ある。充填ノズル（２）の内径が通常30mm位であって、
△ｘが約1mmだとすると、上昇分の容積は0.7cc位、１滴
の量が1cc以下であるから、メッシュより垂れようとす
る液はメッシュ内に十分吸戻される。

（考案の効果） 本考案は、下端に液垂れ防止用のメッシュを有する充
填ノズルに設置した吐出側チャッキ弁は、互いに当接す
る弁頭と弁座とがいずれも弾性のあるラバーで被覆され
ており、しかも弁座のラバーの弾力は、弁頭を弁座に当
接するスプリングの弾力よりも小さくしてあるから、ピ
ストンの下降によるシリンダ内の減圧にて弁頭が弁座に
密着した後に、さらにスプリングの弾力にて弁座側のラ
バー部が圧縮され、この圧縮による弁頭の上昇分だけ、
充填ノズル内の下端メッシュまでの容積が減り、これに
よりメッシュの外側に表面張力により付着して溜まって
いた液体、もしくは表面張力の小さい液体等は吸戻され
ることになり、１サイクルの充填終了後の液垂れを防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係わるもので、第１図は充填装置の概略
の断面図、第２図（イ）、（ロ）は本考案の吐出側チャ
ッキ弁の作動状態の断面図、第３図は従来のチャッキ弁
の断面図である。 符号Ｐ……ピストン装置 Ｖ……弁装置 V₁……吐出側チャッキ弁 V₂……吸込側チャッキ弁 ａ……弁座 ｂ……座板 ｃ……シリンダ ｄ……軸筒 ｅ……弁頭 ｆ……弁軸 ｇ……支持板 ｈ……スプリング ｉ……突条部 ｊ、ｋ……ラバー部 ｐ……ピストン １……メッシュ ２……充填ノズル ３……導入パイプ ４……開口部 ５……通孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下端に液垂れ防止用のメッシュを有する充
   填ノズルに設置した吐出側のチャッキ弁は、互いに当接
   する弁頭と弁座とがいずれも弾性のあるラバーで被覆さ
   れており、弁座側のラバーは、その弾力が弁頭を弁座に
   押接するスプリングの弾力よりも小であるように構成し
   た液垂れ防止のチャッキ弁。