JP2530614B2 - 溶融紡糸用スピンブロツク - Google Patents

溶融紡糸用スピンブロツク

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JP2530614B2
JP2530614B2 JP61112779A JP11277986A JP2530614B2 JP 2530614 B2 JP2530614 B2 JP 2530614B2 JP 61112779 A JP61112779 A JP 61112779A JP 11277986 A JP11277986 A JP 11277986A JP 2530614 B2 JP2530614 B2 JP 2530614B2
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敏雄 元木
尚 岸田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は合成繊維の紡糸装置に関するものであり、さ
らに詳しくは溶融紡糸するためのスピンブロックに装着
された口金下方の雰囲気の温度を紡出糸条の長手方向に
積極的に可変としうる新規な溶融紡糸用スピンブロック
に関する。
(従来技術) 一般に合成繊維を溶融紡糸するスピンブロックは液体
状熱媒の加熱液、あるいは加熱された熱媒の蒸気あるい
は電気ヒーターにより直接あるいは間接的に加熱され、
該スピンブロック内に紡糸パックが取付けられスピンブ
ロックからの伝熱により紡糸パックの温度は消極的では
あるが一定に保たれている。紡糸パックの下部には口金
が装着されておりこの口金より溶融ポリマーが所定量吐
出され細化,冷却の工程を経て所定の速度で引取られ合
成繊維となる。
口金より吐出された溶融糸条が細化する領域は主とし
て一般的にスピンブロック下面に取付けられた断熱材で
囲繞された領域であり、該領域の温度は溶融糸条,パッ
ク,キャップ及び断熱材の放出熱量と、溶融糸条の随伴
流を保障するため下方から該領域に流入する空気の温度
上昇に要する熱量が均衡した結果の温度であり、一般的
に言って該領域の糸条方向の長さを変えるとか、領域内
の空間堆積を変えるとかの消極的手段により温度を変化
させ望ましい糸物性を得ている。
一方口金直下に加熱域を設けて積極的に上記領域の温
度を制御して紡出糸条の配向を制御する方法が種々提案
されているが(例えば特公昭35−13156号公報、特開昭5
7−133215号公報参照)、口金面へ付着する異物による
紡糸安定性、溶融ポリマー温度と上記領域の温度との関
係あるいは前記領域での糸条方向の温度分布については
何ら言及されていない。
上記領域の温度を上げることにより紡出糸条の配向に
伴なう結晶化が抑制され高速紡糸性が向上することはよ
く知られているが、溶融糸条の冷却を緩慢にする、即ち
徐冷することは巻取られた糸条のデニールに斑を生じや
すく、徐冷に限度があるとともに徐冷する長さも制限が
ある。衣料用フィラメントでは特にデニール斑の要求基
準が厳しく有効な徐冷手段が見い出されていないのが現
状である。
又口金面へ付着する異物は口金面の温度が高い方が生
成速度が遅く吐出孔での吐出斑,断糸等が少なく紡糸安
定性に優れている。又紡出糸条の曵糸性及び物性を左右
するのは主として紡出される糸条及び口金の温度であ
り、吐出される迄の輸送経路での温度は、溶融ポリマー
の熱劣化,熱分解防止の見地より、低い程好ましい。
(発明の目的) 本発明は、上述の従来技術の欠点を解消すると同時に
紡糸技術上最も重要な細化工程を含む口金下の雰囲気温
度を積極的に制御し、従来技術では実現出来なかった紡
糸安定性を得ること及び最適糸条物性を得ることを目的
とし、又同一のスピンブロックで種々の物性の糸条を得
て少量多品種化への要望に応えることにある。
(発明の構成) 本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討の結果
本発明に到達したもので、本発明は合成繊維を溶融紡糸
するスピンブロックに於て、該スピンブロックに装着さ
れた口金の下面より10mmから200mmの範囲で紡出糸条を
囲繞する如く筒状の加熱ヒータを設けるとともに、該加
熱ヒータに熱伝導率の異なる2種以上の内筒を装着した
ことを特徴とする溶融紡糸用スピンブロックである。
(発明の実施例) 以下本発明を図面を用いて更に詳しく説明するが、本
発明が以下の実施態様に限定されるものでないことは言
うまでもない。
第1図は、本発明にかかる溶融紡糸用スピンブロック
の断面を示し、スピンブロック本体1の内部空間2には
加熱された熱媒の蒸気が充満し、加熱手段(図示せず)
により一定温度に保持されている。紡糸パック3はその
外面がスピンブロック1内に囲繞されるように取付けら
れ上部には紡糸用ポンプ(図示せず)から計量吐出され
たポリマーの取入れ部材4が設けられ、紡糸パック3に
導入されたポリマーは過層5,均一分散板6,口金7を経
て口金孔8より吐出され糸条9へと形成される。
一方紡糸パック3の下面には断熱材10を介して紡出糸
条9を囲繞する如く加熱ヒーター11が取付けられ、該加
熱ヒーター11の外側及びスピンブロック1の下面には断
熱材12が設置され、加熱ヒーター11の内側には熱伝導率
の異なる内筒13a,13b,13cが装着されている。
加熱ヒーター11は紡出糸条の長手方向に口金7の下面
より10mmから200mmの範囲に設けられ、端子14より電力
が供給され温度検出端15で所定の温度が得られるよう制
御されている。温度検出端15の検出位置は加熱ヒーター
11の内部あるいは内筒外側表面,あるいは内筒内部更に
は紡出糸条9に当らない範囲で内筒13よりわずかに突出
して口金下の空間16の一部にあってもよい。
所定温度に制御された加熱ヒーター11に密着するよう
に装着された内筒13a,13b及び13cに加熱ヒーター11より
熱が伝えられ、内筒13a,13b,13cの内部では熱伝導によ
り熱が移動し内筒13a,13b及び13cの内側では空間16へ対
流及び熱伝導で熱が放出される。
ところが内筒13a,13b及び13cは夫々熱伝導率が異なっ
ているため、内筒内の熱流束が異なり、その結果各内筒
13a,13b及び13cの内側表面温度は異なったものとなり、
空間16の内筒近傍の温度は紡出長手方向に異なった水準
にしうる。
口金7より紡出される糸条9の物性は口金7の温度,
口金下の空間16の温度分布で大きく左右されるが、本発
明によれば加熱ヒーターの温度を一定水準に保っていて
も紡出糸条の長手方向に内筒の表面温度分布を可変とし
うるため、スピンブロック1の温度に関係なく上述の空
間16の温度を変化させる事が出来、紡出糸条の物性制御
あるいは溶融ポリマーの熱劣化防止等が実現しうる。
紡出糸条の物性制御について更に詳しく説明する。一
般に紡出糸条の引取り速度が3000m/分以上となると、ポ
リマーの配向により結晶化が促進され引取られた後の延
伸処理が困難となり、糸条の最終物性(強度,伸度等)
の向上が難しくなってくるが、この配向結晶化の現象は
口金下約10mm近辺以降での温度状態に大きく左右される
事が判明し、その後の温度下降状態を糸条長手方向のあ
る範囲で緩慢にすることにより更に好結果の得られる事
も判明した。その範囲は口金下10mmから200mmの範囲で
あり、200mm以上とすると紡出糸条の温度降下速度が小
さくなりすぎ、糸条のデニール斑等が顕著になり衣料用
フィラメントとしては品位が落ちてくる。
一方溶融ポリマーの熱劣化防止の観点より、スピンブ
ロック1の温度を下げてポリマーを低温輸送しようとし
ても従来のスピンブロックに於ては口金7の温度が低下
し曳糸性,糸条の強度で問題があったが本発明によれ
ば、上部に良熱伝導性の内筒を装着すれば口金下の空間
16の上部を優先的に高温状態となし、口金7の温度を高
める事も出来、又口金下の雰囲気温度も同時に制御しう
るため上述の問題が解決される利点も有する。
又口金7への異物付着の問題に於ても、口金温度の高
い方が好ましいが、口金下の雰囲気の置換が実施出来れ
は更に望ましい。ところが従来のスピンブロックに於て
は紡糸パック下面からの放熱及びポリマーの冷却による
放熱のみで口金下の雰囲気温度を維持しているためむや
みに口金下の雰囲気の置換性の向上は企れなかった。本
発明の構成をとれば加熱ヒーターの温度を高め間接的に
内筒の温度を上昇させる事が出来置換ガスの温度上昇に
必要な熱量に相当する分だけ高める事及び温度上昇に必
要な部位の内筒を熱の良導体とする事により容易に実施
出来る。
本発明に用いる内筒の材料としては金属,断熱材の組
合せが好適である。又熱伝導量の制御の面から各内筒の
厚みを変えて用いてもよい。更には空間16との熱交換量
を制御する点において内筒の一部をフィン付にして熱交
換面積を増加させたものを用いて良い事は勿論この場合
には材質を同じくすることも出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す溶融紡糸用スピンブロッ
クの断面図である。 1……スピンブロック,3……紡糸用パック 7……口金,11……加熱ヒータ 13……内筒

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維を溶融紡糸するスピンブロックに
    おいて、該スピンブロックに装着された口金の下面より
    10mmから200mmの範囲で紡出糸条を囲繞する如く筒状の
    加熱ヒータを設けるとともに、該加熱ヒータに熱伝導率
    の異なる2種以上の内筒を装着したことを特徴とする溶
    融紡糸用スピンブロック。
JP61112779A 1986-05-19 1986-05-19 溶融紡糸用スピンブロツク Expired - Lifetime JP2530614B2 (ja)

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JPS62268807A JPS62268807A (ja) 1987-11-21
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