JP2529760Y2 - 温水ボイラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】比較的小型の立て型温水ボイラで
あって、一般家庭並びに事業用に利用できるものであり
一般の燃料は勿論のこと、特に廃油を効率よく燃焼し得
るように構成したものである。

【０００２】

【従来の技術】温水ボイラとしては各種のものが提案さ
れかつ市販されている。そして燃料を利用するものとし
ては薪や廃材或は石炭等の固形材を燃焼させるものと、
灯油，重油，タール油等の油材を燃焼させるものに大別
され、必要によってはこれらを共用できるものが知られ
ている。ところで油材を燃料とするるボイラでは燃焼手
段として灯芯を必要としたり或はオイルバーナーを利用
して噴霧したり、または油を加熱して引火温度にしなけ
ればならず取り扱い操作が容易でない。またこれらの設
備は高騰して一般家庭の温水ボイラには適用が困難であ
る。

【０００３】一方家庭等で発生する食用油の廃油、自動
車等エンジン扱い業者間で発生する廃油は環境を害しそ
の再利用について各種対策が検討されているが十分でな
い。これらから通常の燃料は勿論のこと前記したような
廃油を燃料として簡単に利用できれば一挙両得であり、
かつ世に大いに貢献することができる。

【考案が解決しようとする課題】

【０００４】そこで本考案はこれらの廃油を主として燃
料として利用でき、しかも構造が簡単で維持管理の容易
な小型の温水ボイラを提供しようとするもである。

【０００５】即ちボイラ胴を外筒の内側に、水室を形成
した内筒とで形成し、該内筒には内側にそれぞれ水室に
連通した複数の水管を設けかつ内筒のほぼ中央部には、
水室を貫通させた送気管に噴気孔を設けた空気送入管を
ほぼ垂直に設けると共にその底辺側には表面に多数の通
気孔を形成した灼熱板を配置し、外筒の下部側には水室
を横切って内筒に連通した焚口および給油口を設け、内
筒の上部側には外筒に連通した排煙部を設けて構成した
ものである。

【実施例】

【０００６】以下図面に基づいて本考案を詳細に説明す
るが、図は本考案の具体的な実施の一例を示すもので本
考案は図示例に限定されず前後記の趣旨に沿って一部の
設計を変更したり或は一部の構成を変更しても同様に実
施することができる。図１は本考案を適用した温水ボイ
ラの一部破断側面図、図２は図１の一部破断平面図、図
３は図１の一部破断正面図、図４は図２における切断線
ＩＶ−ＩＶに沿う矢印方向側断面図、図５は要部の構成
を示す一部破断見取図、図６は図２の作動並びに本考案
の他の実施例を示す一部破断平面図である。これらの図
において１はボイラ胴を構成するための外筒で、その内
周側に水室となる空所を形成成して内筒７で構成する。
そしてこのボイラ胴としては図では上部を開放し、この
開口部に蓋板５，５を開閉自在に設けたものを示してお
り、この蓋板５，５はそれぞれ後側の軸芯５ａ，５ａで
枢支され、前側に設けた把手５ｂ，５ｂをもって個々に
開閉できるようになっている。

【０００７】一方内筒７はその底辺を中心側に漸次低く
した凹面とし直接若しくは台座を介して外筒１の底辺に
固設されている。またこの内筒７の内周面には複数の水
管７ａが上部及び下部にわたって放射状に配設され、こ
れらの水管７ａはそれぞれ上下端側が前記水室に開口７
ｂ，７ｃとして連設されており、その上部側は一平面を
形成するように配設されている。

【０００８】他方外筒１の側面下部側には水室に連通す
る水導入管２が上部側には温水導出管３がそれぞれ配設
されており、これらの導入管２，導出管３は図示しない
温水貯留タンクに直接若しくはポンプ装置を介して接続
されている。また外筒１の下部正面側には焚口６が設け
られ、この焚口６は水室を横切って内筒７の底辺部に連
通して開口しており、その前側入口部には開閉扉６ａを
設けている。またこの開閉扉６ａには導入空気量を調節
できるような空気取り入れ孔を設けた調整板を設けたも
のであることが推奨される。なお内筒７における焚口６
開口部の水管７ａは図５に示すように、その下部開口７
ｃを他の開口部より高くして構成している。 また外筒
１の後側上部には排煙の煙室部８を内筒７に連通して設
け、これに煙突８ａを設けている。

【０００９】一方内筒７のほぼ中心部には空気送入管４
ａが配設され、該空気送入管４ａはＬ型に形成してその
垂直部分の周辺部に噴気孔４ｂ，４ｂ，４ｂ（一個は図
示せず）を設けている（図５参照）。なおこの噴気孔４
ｂとしては適当数とし取り入れ管４ａの周辺に下向の旋
回気流を形成するように設けるものである。またこの空
気送入管４ａの下端部底辺には噴気孔４ｃを設けてい
る。そしてこの空気送入管４ａは外筒１の上部側面から
水室を貫通して内筒７内に連通させた送気管４の先端側
に着脱自在に設けるものであることが好ましい。またこ
の送気管４は図示していない送風機に接続されて空気を
積極的に送り込むようになっている。

【００１０】他方内筒７の底面部には、図５に示すよう
な灼熱板１３が配置され、該灼熱板１３としては前記焚
口６から出し入れできるように分割して構成したものが
好適で図は二分割で形成したものを示している。そして
この灼熱板１３は笠型に形成してその頂面には空気送入
管４ａに対向して大径の通気孔を、周表面には多数の通
気孔１３ａを設けている。そしてこの灼熱板１３はその
裏側に設けた複数の脚片１３ｂによって内筒７の底辺と
間隔を維持するようになっている。なお燃料、廃油の種
別によつては、この灼熱板１３の上に間隔を保持して更
に同じような灼熱板を配設して二段灼熱板で構成するこ
ともできる。

【００１１】一方外筒１の側面片側には図２，３に示す
ような給油装置１０が設けられ、図は漏斗状の給油口１
０ａが外筒１に取り付けられ、その給油管１０ｂが水室
を貫通して内筒７内に連通し前記灼熱板１３の端縁近傍
に開口させて構成したものを示している。そしてこの給
油口１０ａには２組みの給油管１１，１２がそれぞれ調
節弁を介して配設され、一方の給油管例えば１１は灯油
の給油管とし他方の給油管１２は廃油の供給管とする。
なお図は給油口１０ａに２組の給油カランを配置したも
のを示したが、１個の給油カランとしそれ以前に灯油と
廃油の混合バルブを介して混合給油するように構成して
もよい。９はボイラ配置台盤を示し、好ましくは水を入
れてその中に外筒１の底辺部に取り付けた脚部材１ａ，
１ａ，１ａを介してボイラを支持しているが、このボイ
ラ配置台盤９は必要によって省略してもよい。

【００１２】この様に構成する本考案ボイラでは、先ず
ボイラ胴の水室に送水管から水を導入し、充満させて導
水管３から図示しない温水タンクに連通して満水とす
る。次いで給油管１１から灯油を若干内筒７の底辺に流
出して積留させた後、火種として紙又はボロ布等に着火
させたものを開閉蓋板５を開いて灼熱板１３上に投下
し、送風管４から空気を送ることによってこの火種は勢
いよく燃焼するが空気送入管４ａの下方孔４ｃから噴出
する空気は灼熱板１３の中央の孔を通過して内筒７の底
辺に積留した灯油に引火した炎は、灼熱板１３に設けた
多数の孔を通過して上昇し、上昇する炎は灼熱板１３上
の下向き旋回気流に混合して、水管７ａ及び内筒７の全
体を炎で加熱することで伝導面積が大きく効率的な温水
を早期に作りだすことができる。また本考案のボイラで
は食用油のような高温でないと気化しないものを効率よ
く燃焼させるため、最初灯油で内筒７の底辺及び灼熱板
１３を加熱して食用油が容易に気化するに必要な温度に
達するまで燃焼させた後、灯油と食用油とを切り替えれ
ば、この内筒７の底辺を灼熱板１３は灼熱状態を維持し
て連続した燃焼ができる。即ち空気送入管４ａを内筒７
の中央で垂れ下げ、周辺に多数の孔を設けて旋回気流を
作り、その最下部に孔４ｃを設けて直下に空気を噴出し
て燃焼させて灼熱板１３の下面と上面の両面から加熱さ
せ燃料を急速に気化させて効率よく燃焼させることがで
き、無煙燃焼を達成できる効果がある。

【００１３】尚図示しないが、内筒７の一部或は灼熱板
１３の近辺に温度センサーを設け、このセンサーによっ
て灯油及び廃油の供給量を自動的に調節したり、或は灯
油の供給を中断して廃油のみを供給する等の制御装置を
併設することが好ましい。また水管７ａはそれぞれほぼ
垂直に配設したものを図示したが、上端側は一面で揃え
て他を内筒軸に傾斜して設けたり或はこれらを混在させ
て適当な配置としてもよい。また、外筒１，内筒７はい
ずれも円筒型のものを示したが円筒型に限定される理由
はなく、四角や多角型或はこれらを組み合わせた形状と
することができる。

【００１４】図６は図２における開閉蓋板５を開いた状
態を示すと共に本考案の他の構成例を示したもので、特
に燃焼効率をよくするために水管７ａ群の頂部側に炎案
内板１４，１４を配置したものを示している。そしてこ
の炎案内板１４としては二分割で構成して水管７ａの頂
部に載置するものを示しており、上昇する火炎を水管７
ａ部によく滞留するように案内すると共に内筒７の前側
（焚口６側）は大きい空所を形成して炎道としている。
なおこの空所面積は煙突８ａの断面積より大きく形成し
ている。また図６に示した１ｂはボイラの水室に連通し
た空気抜きを示しており、この空気抜き装置は上部に突
出して設けられ、開閉蓋板５にそれぞれ形成した凹部５
ｃによって蓋板を閉塞できるようになっている。

【考案の効果】本考案温水ボイラはこのように構成した
から、極めて簡単な装置で廃油を燃料として有効に利用
でき、しかも維持管理が容易な温水ボイラを提供でき
る。また廃油以外の一般固形燃料もそのまま利用するこ
とができ、空気送入管４ａを取り外して燃料を、蓋板５
を開くか或は焚口６から投入すれば一般の温水ボイラと
して利用できる。また燃料として加熱によって液化する
ような合成樹脂廃材も利用でき、特に灼熱板１３を２段
として使用すればこのような廃材を有効に燃焼させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図 １】本考案を適用した温水ボイラの一部破断側面
図、

【図 ２】図１の一部破断平面図、

【図 ３】図１の左側一部破断正面図、

【図 ４】図２における切断線ＩＶ−ＩＶに沿う矢印方
向側断面図、

【図 ５】要部の構成を示す一部破断見取図、

【図 ６】図２の作動並びに他の実施例を示す一部破断
平面図、

【符号の説明】

１ 外筒 ２ 導入管 ３ 導出管 ４ 空気送入管 ５ 開閉蓋板 ６ 焚口 ７ 内筒 ８ 煙室部 ９ ボイラ配置台盤 １０ 燃料供給装置 １１ 灯油給油管 １２ 廃油給油管 １３ 灼熱板 １４ 炎案内板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ボイラ胴を外筒と該外筒の内側に水室を形
   成して配置した内筒とで形成し、該内筒の内側にはそれ
   ぞれ上下両端が水室に連通し、内筒内面に添うように突
   出させた複数の水管を放射状に設け、かつこの内筒のほ
   ぼ中央部には、水室の上部を貫通させた送気管に、下向
   き旋回気流を形成する噴気孔を形成した空気導入管をほ
   ぼ垂直に配設し、該内筒の底辺側には、面に多数の通気
   孔を形成した灼熱板を、中央側を高くし周辺に向かって
   順次低くした笠状に配置し、外筒の下部側には水室を横
   切って内筒の底辺部に連通した焚口と、水室を横切って
   灼熱板上に燃焼用油を供給する給油口を設け、外筒の上
   部側には水室を貫いて内筒に連通した排煙部を設け、こ
   の排煙部に煙突を取り付けて構成したことを特徴とする
   温水ボイラ。