JP2529076B2 - 短ニップルの製作方法及び製作具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水道工事等の配管工事
現場で管長を微調整するために用いる比較的短いニップ
ル(本発明では短ニップルと称す)を簡易に製作するため
の方法とそれに用いる短ニップル製作具に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】建築物における給水、給ガス等の配管工
事においては、寸法的に極めて限定された環境下での作
業を余儀なくされ、そのため随所に微調整用の短ニップ
ルを使用しつつ工事を完成しているのが現状である。こ
の短ニップルは業界で統一規格化されていて管径によっ
てその長さが定まったものが配管用部品として市販され
ている。

【０００３】配管においては、管の折り曲げ箇所での施
工は外観と効率化に最も努力を必要とするところであ
り、熟達にはかなりの年月を必要とする。また、たとえ
熟練者であっても往々にして既存の短ニップルでの配管
に寸法的な不都合が生じる。その都度の処理は管継手の
エルボの余分使用による多折り工(エルボ返しともいう)
等によって処置しているのが実状である。

【０００４】配管工事に使用しているねじ切り機械で
は、ねじを切る管径によっても異なるが、管の締付部
(チャック)とねじ切り部(ダイヘッド)の構造的な制約が
あって、余り短いニップルは切れない。いま少し長いか
或いは短いニップルがあったならば、よりスムーズに工
事の進行が望めるといったケースが多いことに配慮し
て、本発明者は既に、従来より現場での製作は不可能視
された微調整用の短ニップルを廃管等から容易に製作可
能とした、管継ぎソケットと、この管継ぎソケットに螺
合する少なくとも片面にねじ込み係止部を有するねじ込
みブロックと、先端にそのねじ込み係止部に嵌合する先
端嵌合部と、前記ねじ込みブロックの位置決め調節手段
を備えたねじ込みハンドルとからなる短ニップルの製作
具を開発して、特開平4-312289号で提案している。

【０００５】先に開発して特開平4-312289号で提案した
前記短ニップルの製作具は、廃材として棄てられている
管を再生、活用できるので、画期的なものである。しか
し、ねじ込みブロックをハンドルで螺入する構造であ
り、しかもその螺入深さをハンドルロッドの調節ピン穴
へ差し込む構造であったから、この短ニップルの製作具
は構造的にはこれらの部材を個々に製作しなければなら
ないし、調節ピンを鎖や紐で無くならないようにするな
どの工夫も伴い、複雑でコストのかかるものであった。

【０００６】そこで、同様に短ニップルの製造が可能で
あるが、短ニップル製作具自体簡単に製造でき、低コス
トで、持ち運びも容易なものの提供を目的として、特開
平6-206130号では、図10に示したような、ねじ切機チャ
ックによる掴部20と、フランジ21及び、めねじソケット
24に螺合するおねじ部23とからなり、おねじ部23が規格
化された短ニップルに見合う所定の長さと径を有する短
ニップル製作具を提案している。

【０００７】このような短ニップル製作具であると、掴
部20をチャック装置で掴んだ状態でめねじソケット24を
回して嵌めていくと、フランジ21まで進んだ所で螺入が
停止され、これによりめねじソケット24内へ短ニップル
製作具のおねじ部23が所定の長さだけ螺入(位置決め)さ
れたことになり、他方から短ニップルとなる管材の片方
を予め通常のねじ切り状態としたものを螺入すれば、前
記短ニップル製作具のおねじ部23の先端へ当接して停止
し、所定の長さだけ螺入されたことになる。次いで、短
ニップルとなる管材22を所定長に切断し、突出部にねじ
を切ることにより短ニップルができあがるようになって
いる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】この先行技術である短
ニップル製作具においては、各種規格化された短ニップ
ルの製造のためにフランジ21がめねじソケット24内でめ
くら位置決め作用をしている。しかし、めねじソケット
24内へ他方から螺入された短ニップルとなる管材22は、
所定長に切断された後、突出部にねじ切りがされると、
螺入状態から外される。この作業はチャック等の工具で
掴んで回すことによるが、そのためにレンチ等の掴んで
回すことのできる工具を必要とすることや、工具によっ
て掴んだ部分が変形したり、掴み傷が付くなどの問題が
あった。更に、各種管径の短ニップルを作成する必要性
から短ニップル製作具も多数個のセットとして作業現場
で持ち運ばれる関係から、高重量とならざるを得ないも
のであった。このような難点は例えば実開昭52-168394
号にみられる他の工具でも同様である。本発明はこのよ
うな難点を解消すべく更に検討した結果なされたもので
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、配管工事にお
ける管長を調整するために用いる短ニップルの製作方法
であって、内部が全長にわたって同じ径で連続するめね
じ構造のめねじソケット４内へ一方から一部テーパーね
じ切りされた短ニップルとなる管材11を螺入し、他方か
ら先部がおねじ構造かつ後部に掴部を有する短ニップル
製作具１のおねじ部３を螺入して両者を当接状態とし、
次に管材11を少し緩めた状態にして短ニップル製作具１
のおねじ部３を更に螺入して両者を当接状態とし、管材
11の外周へねじ切りし、短ニップル製作具１を緩めた
後、めねじソケット４から製品の短ニップルを外すこと
を特徴とする短ニップルの製作方法である。

【００１０】また、短ニップル製作具を改良して、内部
中空の筒体で一端がねじ切機チャックによる掴部２と他
端が内部が全長にわたって同じ径で連続するめねじ構造
のめねじソケット４に螺合するおねじ部３とからなる短
ニップル製作具とした。

【００１１】

【作用】本発明の短ニップルの製作方法であると、内部
が全長にわたって同じ径で連続するめねじ構造のめねじ
ソケット４内へ螺入されたテーパーねじの短ニップルと
なる管材11と短ニップル製作具１の当接状態が、管材11
を少し緩めた状態にした後も短ニップル製作具１のおね
じ部３を更に螺入することによって両者が再び当接状態
となって、管材11の外周へのねじ切りの際の強固な固定
状態を保持する。このねじ切りを終えると製品の短ニッ
プルを外すこととなるが、その場合に短ニップル製作具
１を緩めるだけで管材11は既に少し緩めた状態にあるか
ら、レンチ等の工具を使用することなく手作業で外せる
こととなる。

【００１２】本発明の短ニップル製作具１は、めねじソ
ケット４に螺合するおねじ部３と掴部２との間にフラン
ジ等の螺入を規制するものが無いので、管材11と短ニッ
プル製作具１の当接位置を任意に設定でき、そこで、テ
ーパーねじの短ニップルとなる管材11の螺入位置に合わ
せて当接状態を保つために短ニップル製作具１を自由に
螺入でき、必要な位置での固定状態を保つことができ
る。更に、内部を中空としたことにより、軽量化と強度
を高めることが可能となった。

【００１３】

【実施例】図１は短ニップル製作具１、めねじソケット
４、短ニップルとなる管材11の組付け前の斜視図であ
る。短ニップル製作具１は内部中空でねじ切機チャック
25による掴部２とめねじソケット４に螺合するおねじ部
３とからなる。めねじソケット４は筒状体で全長にわた
って同じ径のめねじ構造である。管材11には端部から一
部分テーパねじが切られている。テーパねじであるので
螺入によってきつくなっていくが、逆に回すと緩くな
る。

【００１４】図２はめねじ構造のめねじソケット４内へ
一方から一部テーパねじ切りされた短ニップルとなる管
材11を螺入した状態の断面図である。この状態から次
に、図３にみられるように、他方から先部がおねじ構造
かつ後部に掴部を有する短ニップル製作具１のおねじ部
３を螺入して両者を当接状態にさせる。このめねじソケ
ット４内への管材11又は短ニップル製作具１の螺入順序
は逆にしても構わない。

【００１５】次に、図４のように、管材11を少し緩めた
状態にする。その後図５のように、短ニップル製作具１
のおねじ部３を更に螺入して両者を当接状態とする。こ
の状態で、図６のように管材11の外周へねじ切りをす
る。ねじ切りを終えると図７のように短ニップル製作具
１を緩めた後、図８のように製品の短ニップル12をめね
じソケット４から外して使用する。この捩じ込まれた状
態のものは、既に緩んだ状態にあるので、手回しで楽に
めねじソケット４から外すことできる。出来上がった短
ニップル12は概ね図９のようである。

【００１６】

【発明の効果】本発明によって短ニップルを廃管等から
手軽に作ることができる。作られた短ニップルは手で回
して容易にめねじソケットから外すことができるので作
業が楽で、作業能率も向上する。また、作られた短ニッ
プルはチャック等による掴み傷や薄肉の管で生じ易い変
形がない。加えて、短ニップル製作具の軽量化により各
種サイズのもののセットが全体として軽量化し、作業者
の運搬も楽である。

【図面の簡単な説明】

【図１】短ニップル製作具、めねじソケット、管材の組
付け前の斜視図である。

【図２】めねじソケット内へ管材を螺入した状態の断面
図である。

【図３】短ニップル製作具のおねじ部を螺入して両者を
当接状態にした断面図である。

【図４】管材を少し緩めた状態の断面図である。

【図５】短ニップル製作具のおねじ部を更に螺入して両
者を当接状態とした断面図である。

【図６】管材の外周へねじ切りしている状態の断面図で
ある。

【図７】短ニップル製作具を緩めた状態の断面図であ
る。

【図８】短ニップルを手回しでめねじソケットから外し
ている状態の断面図である。

【図９】管材から出来上がった短ニップルの斜視図であ
る。

【図１０】従来の短ニップル製作具、めねじソケット、
管材の組付け前の斜視図である。

【符号の説明】

１ 短ニップル製作具 ２ 掴部 ３ おねじ部 ４ めねじソケット 11 管材 12 短ニップル

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配管工事における管長を調整するために
   用いる短ニップルの製作方法であって、内部が全長にわ
   たって同じ径で連続するめねじ構造のめねじソケット４
   内へ一方から一部テーパーねじ切りされた短ニップルと
   なる管材11を螺入し、他方から先部がおねじ構造かつ後
   部に掴部を有する短ニップル製作具１のおねじ部３を螺
   入して両者を当接状態とし、次に管材11を少し緩めた状
   態にして短ニップル製作具のおねじ部３を更に螺入して
   両者を当接状態とし、管材11の外周へねじ切りし、短ニ
   ップル製作具１を緩めた後、めねじソケット４から製品
   の短ニップルを外すことを特徴とする短ニップルの製作
   方法。
2. 【請求項２】 内部中空の筒体で一端がねじ切機チャッ
   クによる掴部２と他端が内部が全長にわたって同じ径で
   連続するめねじ構造のめねじソケット４に螺合するおね
   じ部３とからなる短ニップル製作具。