JP2528705B2 - 厚さのプロフィ―ル制御方法 - Google Patents

厚さのプロフィ―ル制御方法

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JP2528705B2 JP1026960A JP2696089A JP2528705B2 JP 2528705 B2 JP2528705 B2 JP 2528705B2 JP 1026960 A JP1026960 A JP 1026960A JP 2696089 A JP2696089 A JP 2696089A JP 2528705 B2 JP2528705 B2 JP 2528705B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明はシートの厚さのプロフィールを制御する制
御方法に関し、特に抄紙機の幅方向の坪量のプロフィー
ルを制御するのに用いて好適な厚さのプロフィール制御
方法に関するものである。
<従来技術> 第2図に抄紙機の概要を示す。この図において、原料
であるパルプはスライスリップ1の間隙を通ってワイヤ
パート2に吐出されてシート状にされる。シート状にさ
れた紙の絶乾坪量のプロフィールは絶乾坪量センサ3で
検出される。この検出された絶縁坪量x1〜xNは制御部4
に入力されてスライスリップ1の開度u1〜uNが演算さ
れ、その開度u1〜uNになるようにスライスボルト5が制
御されてスライスリップ1の間隙のプロフィールが調整
される。このようにして紙の厚さのプロフィールが所定
の値に制御される。
この様な制御方法では制御部5が出力する開度ベクト
と絶乾坪量センサ3が検出する絶乾坪量ベクトル との間に次の関係がある。
Aは干渉行列であり、制御部4の伝達関数に関連す
る。スライスボルト5を動かすとその直下の坪量だけで
なくその周辺の坪量も変化するので、干渉行列Aは次に
示すように、対角要素とその周辺の要素のみゼロでな
く、かつ対角要素に対して対称なバンド対角(band dia
gonal)行列になる。
このようなプロセスに対し、スライスボルト5の干渉
を防止するため、すなわち非干渉化するために分配係数
行列Mを用いる。すなわち、開度の変動分を 絶乾坪量センサ3の出力の目標値からの差を とすると、 GC(s):制御部4の伝達関数になるようにする。理想
的には M=A-1 ……(2) になるようにすればよい。
前記分配係数行列Mを求めるためには、干渉行列Aと
分配係数行列Mの積行列が単位行列になるようにすれば
よい。すなわち、評価関数Jとし、 J=‖A・M−I‖(Iは単位行列) ……(3) が最小になるようなMを求めればよい。実際のプロセス
においては、例えばスライリップの開度に限界がある等
の制約条件が存在する。この様な制約条件は、i番目の
スライスリップの開度をuiとすると、 umim≦ui≦umax ……(4) と記述できる。この条件の下で前記(3)式を評価し
て、分配係数行列Mを求めればよい。
<発明が解決すべき課題> しかしながら、この様な厚さのプロフィール制御方法
では、前記(4)式等の制約条件で前記(3)式を評価
しようとすると高次になりすぎ、解を求めることが困難
であるという課題があった。その為、制約条件のない場
合のアルゴリズムで前記(3)式を評価して分配係数行
列Mを求め、それによって操作量を演算した後に、前記
(4)式の制約条件を課すようにすることも考えられる
が、最適な操作量でなくなってしまうという課題もあっ
た。
<発明の目的> この発明の目的は、スライスリップの開度に制約があ
る場合でも、実現性のある分配係数行列を求めることが
出来る厚さのプロフィール制御方法を提供する事にあ
る。
<課題を解決する為の手段> 前記課題を解決する為に本発明は、スライスリップか
ら原料を吐出してシート状にし、そのシートの複数点の
厚さを測定してその測定値に基づいて前記スライスリッ
プの間隙のプロフィールを制御する厚さのプロフィール
制御方法において、スライスリップの開度に制限がある
場合など条件があるとき、厚さの測定値ベクトルと前記
スライスリップの開度ベクトルとの関係を求める干渉行
列と前記分配行列の積行列の各列ベクトルと単位ベクト
ルの2乗和または重み付き2乗和が最小になるようにし
て分配係数行列を求め、かつその演算を測定値の目標値
からの偏差が大きい順に行うようにしたものである。
<実施例> 本発明においては、従来例で説明したように干渉行列
Aをバンド対角行列とし、次のように定義する。
すなわち、干渉幅を片側でhとする。この干渉行列A
は別にオンラインで求めてあるものとする。厚さの測定
値ベクトルすなわち絶乾坪量の各測定点における測定値
を要素とするベクトル と、スライスリップの開度ベクトルを要素とするベクト
との間には、次の関係がある。
従って、前記(1)式と同様に、開度の変動分すなわ
ち速度型開度 と絶乾坪量の目標値と測定値の偏差 との間には、 GC(s):制御部4の伝達関数 の関係がある。分配係数行列Mの非負の要素の幅は干渉
幅と同様に限定し、 となるようにする。
この様な状況で分配係数行列Mを求めるが、スライス
リップの開度の制約を次のように定式化する。
i,min≦ui≦ui,max ……(5) ui,i+1,min≦ui−ui+1≦ui,i+1,max ……(6) (5)の条件は、スライスリップの開度が制限されて
いる場合を表わし、故障などで全く動かない場合はu
i,min=ui,maxとする。(6)は隣り合ったスライスリ
ップの開度の差に限界がある場合を表わす。この制約条
件はuiに関するものなので、分配係数行列Mの要素に関
するものに変更しなければならない。その為に、前記
(4)式から、 とする。ここにおいて、mi,kは分配係数行列Mのi行
k列の要素である。これを前記(5)、(6)式に代入
して、 が得られる。(7)式はi=j−h〜j+hの2h+1個
の条件、(8)式はi=j−h−1〜j+hの2h+2個
の条件がある。次に、最適な分配係数行列Mを求める為
に、厚さの測定値ベクトルとスライスリップの開度ベク
トルとの関係を決める干渉行列Aと分配係数行列Mの積
行列の各例ベクトル と単位ベクトルとの差の2乗和を評価関数Jjとし、次の
ように定式化する。
ここにおいて、ejは単位ベクトルであり、j番目の要
素のみ1で他の要素が0であるベクトルである‖ ‖は
2乗和を演算する事を示す。列ベクトル には、分配係数行列Mのj列の要素のみが含まれてい
る。分配係数行列の要素mi,jを求めるには、前記
(7)、(8)式に示した条件の下で、前記(9)式の
2h+1個の評価関数Jjを最小にするmi,jを求めればよ
い。その際、各測定点jにおける絶乾坪量の目標値と測
定値との偏差Δxjが大きい順に並べ、その順に前記
(9)式を評価して要素mi,j(i=j−h〜j+h)
を求める。(7)、(8)式の制約条件には、分配係数
行列Mの求めるj列の要素以外の要素も入っているが、
既に解が求められた要素はその値を用い、求められてい
ない要素は0とする。すなわち、求められていない測定
点に対応するスライスリップの開度は操作しないとす
る。これは不等式制約条件付き最適問題であり、微分可
能性を仮定したKuhn−Tuckerの定理で解くことが出来
る。この解法は、例えば杉山昌平著;最適問題(共立数
学講座23;共立出版株式会社)に記載されている。
第1図に、この厚さの制御方法の一実施例を示すフロ
ーチャートを示す。最初に、絶乾坪量の測定値x1……xN
及びスライスリップの開度u1……uNを検出する。次に、
絶乾坪量の目標値と測定値の偏差Δx1……ΔxNを演算し
て、大きい順に並べる。次に、分配係数行列Mの要素m
i,jの全てを0にする。最初は分配係数行列Mが全く求
められていないため、前記(7)、(8)の制約条件を
適用する為である。次に、Δx1……ΔxNの大きい順に、
前記(7)、(8)式で示した制約条件の下で、前記
(9)式を評価して、その値を最小にする要素mi,j
求める。すなわち、不等式制約条件付き最適問題を解
く。制約条件は、(7)式では2h+1個、(8)式では
2h+2個である。次に、前記(4)式でスライスリップ
の開度を求め、操作量を演算して出力する。
なお、この実施例では前記(9)図で2乗和を評価関
数としたが、適当な重みを付けた重み付き2乗和として
もよい。
また、この実施例では抄紙機の絶乾坪量のプロフィー
ルの制御に付いて説明したが、鉄板やプラスティックフ
ィルムの厚さのプロフィール制御についても応用でき
る。
<発明の効果> 以上、実施例に基づいて具体的に説明したように、こ
の発明では厚さの測定値ベクトルとスライスリップの操
作量ベクトルとの関係を決める干渉行列と分配係数行列
との積行列との各列ベクトルと単位ベクトルの差の2乗
和が最小になるように分配係数行列を求め、かつ厚さの
目標値の測定値の偏差の大きい順に演算するようにし
た。その為、スライスリップの開度に制約がある場合で
も、比較的短時間で最適な開度を求めることが出来ると
いう効果がある。
また、偏差が大きい順に求めるようにしたので、現実
的かつ理想的な制御が行えるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による厚さのプロフィール制御方法の一
実施例を示すフローチャート、第2図は抄紙機の概要を
示す図である。 1……スライスリップ、3……絶乾坪量センサ、4……
制御部、5……スライスボルト。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】その間隙のプロフィールを変化させること
    が出来るスライスリップから原料を吐出してシート状に
    し、そのシートの複数点の厚さを測定してその測定値に
    基づいて前記スライスリップの間隙のプロフィールを制
    御する厚さのプロフィール制御方法において、 所定の条件の下において、厚さの測定値ベクトルと前記
    スライスリップの開度ベクトルとの関係を決める干渉行
    列と分配係数行列との積行列の各列ベクトルと単位ベク
    トルの差の2乗和または重み付き2乗和が最小になるよ
    うに前記分配係数行列を求めるようにし、かつ厚さの測
    定値と目標値の差の絶対値が大きい順に演算するように
    したことを特徴とする厚さのプロフィール制御方法。
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