JP2528631Y2 - クラッチ装置 - Google Patents
クラッチ装置Info
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- JP2528631Y2 JP2528631Y2 JP1988093300U JP9330088U JP2528631Y2 JP 2528631 Y2 JP2528631 Y2 JP 2528631Y2 JP 1988093300 U JP1988093300 U JP 1988093300U JP 9330088 U JP9330088 U JP 9330088U JP 2528631 Y2 JP2528631 Y2 JP 2528631Y2
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- Japan
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- clutch
- shaft
- torque
- cam
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Description
【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、クラッチに関し、特に電動パワーステア
リング装置に適したクラッチに関するものである。
リング装置に適したクラッチに関するものである。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を第9図
に示す。この装置は、ハンドル1を右又は左に回転操作
すると、車輪2からの抵抗によりハンドル軸3にトルク
が発生する。このトルクをハンドル軸3に設けたセンサ
ー4により検出し、制御装置5を通じてモータ6を駆動
する。モータ6の駆動軸は減速機7を介してハンドル軸
3のピニオン8に連結され、これにかみ合ったラック9
を介して車輪2を操舵するようになっている。これによ
って、非常にわずかなハンドル操作力により車輪を操舵
することができる。
に示す。この装置は、ハンドル1を右又は左に回転操作
すると、車輪2からの抵抗によりハンドル軸3にトルク
が発生する。このトルクをハンドル軸3に設けたセンサ
ー4により検出し、制御装置5を通じてモータ6を駆動
する。モータ6の駆動軸は減速機7を介してハンドル軸
3のピニオン8に連結され、これにかみ合ったラック9
を介して車輪2を操舵するようになっている。これによ
って、非常にわずかなハンドル操作力により車輪を操舵
することができる。
しかし、このような電動パワーステアリング装置にお
いては、制御装置5、モーター6及び減速機構7を含む
駆動系に異常が発生し、これらが作動しない場合には、
ハンドル軸3に減速機7及びモータ6が連結されている
ため、手動によってハンドルを操作しようとすると、こ
れらの駆動系を含めて操作する過大な操作力が要求さ
れ、実質的に操舵不能に陥る問題があった。
いては、制御装置5、モーター6及び減速機構7を含む
駆動系に異常が発生し、これらが作動しない場合には、
ハンドル軸3に減速機7及びモータ6が連結されている
ため、手動によってハンドルを操作しようとすると、こ
れらの駆動系を含めて操作する過大な操作力が要求さ
れ、実質的に操舵不能に陥る問題があった。
そのため、減速機7とピニオン8との間にクラッチ装
置10を介在する方法が知られている。
置10を介在する方法が知られている。
この場合のクラッチ装置10としては、電磁クラッチを
使用することができるが、所要の伝達トルクを得るため
には大型になる欠点がある。またかみ合いクラッチを使
用すると、かみ合いの位置合わせや負荷時のかみ合い解
除に大きな力を必要とするなどの問題点がある。
使用することができるが、所要の伝達トルクを得るため
には大型になる欠点がある。またかみ合いクラッチを使
用すると、かみ合いの位置合わせや負荷時のかみ合い解
除に大きな力を必要とするなどの問題点がある。
そこで、この考案は、第1の駆動部材である入力軸の
回転と前記駆動系に駆動される第2の駆動部材であるク
ラッチ軸の回転を、外部から制御することなく機械的に
切り換えて被駆動部材であるクラッチ軸に伝達すること
ができ、駆動系に異常が発生してクラッチ外輪が回転し
ないときであっても、入力軸に過大な操作力を要するこ
となく、この入力軸の回転をクラッチ軸に確実に伝達す
ることのできる、伝達の信頼性および剛性の高い小型の
クラッチ装置を提供することを課題とする。
回転と前記駆動系に駆動される第2の駆動部材であるク
ラッチ軸の回転を、外部から制御することなく機械的に
切り換えて被駆動部材であるクラッチ軸に伝達すること
ができ、駆動系に異常が発生してクラッチ外輪が回転し
ないときであっても、入力軸に過大な操作力を要するこ
となく、この入力軸の回転をクラッチ軸に確実に伝達す
ることのできる、伝達の信頼性および剛性の高い小型の
クラッチ装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この第1の考案は、ク
ラッチ外輪の内側に挿通したクラッチ軸を軸受で前記ク
ラッチ外輪に回転自在に支持し、前記クラッチ軸の一端
に形成した軸方向の軸挿入孔に入力軸を挿入し、前記入
力軸と前記クラッチ軸をトルク設定弾性部材で連結し、
前記入力軸を第1の駆動部材とし、前記クラッチ外輪を
駆動系に駆動される第2の駆動部材とし、前記クラッチ
軸を被駆動部材として使用するクラッチ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面
のそれぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前
記入力軸に連結した保持器を組込み、この保持器にカム
部材の収納用ポケットを形成し、この収納用ポケットに
前記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対的な回転時
に前記カム係合面にカム係合するローラから成る正転用
カム部材と逆転用カム部材とを組込み、前記両カム部材
間にこの両カム部材を前記ポケットの壁面と係合する方
向に偏向するスプリングを組込み、前記クラッチ軸を支
持する前記軸受を前記クラッチ外輪の内径面両端にそれ
ぞれ設け、前記トルク設定弾性部材で連結した前記入力
軸と前記クラッチ軸との間に回転方向すきまを有するト
ルク伝達機構を設け、前記トルク設定弾性部材に設定ト
ルクを越えた回転力が付与されたとき前記トルク設定弾
性部材が前記トルク伝達機構の前記回転方向すきまが無
くなるまで弾性変形して前記トルク伝達機構が回転方向
に係合し、前記トルク伝達機構が回転方向に係合する前
に前記正転用カム部材および前記逆転用カム部材のいず
れか一方が前記カム係合面と係合する構成を採用した。
ラッチ外輪の内側に挿通したクラッチ軸を軸受で前記ク
ラッチ外輪に回転自在に支持し、前記クラッチ軸の一端
に形成した軸方向の軸挿入孔に入力軸を挿入し、前記入
力軸と前記クラッチ軸をトルク設定弾性部材で連結し、
前記入力軸を第1の駆動部材とし、前記クラッチ外輪を
駆動系に駆動される第2の駆動部材とし、前記クラッチ
軸を被駆動部材として使用するクラッチ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面
のそれぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前
記入力軸に連結した保持器を組込み、この保持器にカム
部材の収納用ポケットを形成し、この収納用ポケットに
前記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対的な回転時
に前記カム係合面にカム係合するローラから成る正転用
カム部材と逆転用カム部材とを組込み、前記両カム部材
間にこの両カム部材を前記ポケットの壁面と係合する方
向に偏向するスプリングを組込み、前記クラッチ軸を支
持する前記軸受を前記クラッチ外輪の内径面両端にそれ
ぞれ設け、前記トルク設定弾性部材で連結した前記入力
軸と前記クラッチ軸との間に回転方向すきまを有するト
ルク伝達機構を設け、前記トルク設定弾性部材に設定ト
ルクを越えた回転力が付与されたとき前記トルク設定弾
性部材が前記トルク伝達機構の前記回転方向すきまが無
くなるまで弾性変形して前記トルク伝達機構が回転方向
に係合し、前記トルク伝達機構が回転方向に係合する前
に前記正転用カム部材および前記逆転用カム部材のいず
れか一方が前記カム係合面と係合する構成を採用した。
また、この第2の考案は、クラッチ外輪の内側に挿通
したクラッチ軸を軸受で前記クラッチ外輪に回転自在に
支持し、前記クラッチ軸の一端に形成した軸方向の軸挿
入孔に入力軸を挿入し、前記入力軸と前記クラッチ軸を
トルク設定弾性部材で連結し、前記入力軸を第1の駆動
部材とし、前記クラッチ外輪を駆動系に駆動される第2
の駆動部材とし、前記クラッチ軸を被駆動部材として使
用するクラッチ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面
のそれぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前
記入力軸に連結した保持器と前記クラッチ軸に連結した
保持器とを組込み、この両保持器間に形成された複数の
ポケットに前記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対
的な回転時に前記カム係合面にカム係合する、スプラグ
から成る正転用カム部材と逆転用カム部材とを交互に組
込み、この各保持器と各カム部材との間に各カム部材を
前記ポケットの壁面と係合する方向に偏向するスプリン
グを組込み、前記クラッチ軸を支持する前記軸受を前記
クラッチ外輪の内径面両端にそれぞれ設け、前記トルク
設定弾性部材で連結した前記入力軸と前記クラッチ軸と
の間に回転方向すきまを有するトルク伝達機構を設け、
前記トルク設定弾性部材に設定トルクを越えた回転力が
付与されたとき前記トルク設定弾性部材が前記トルク伝
達機構の前記回転方向すきまが無くなるまで弾性変形し
て前記トルク伝達機構が回転方向に係合し、前記トルク
伝達機構が回転方向に係合する前に前記正転用カム部材
および前記逆転用カム部材のいずれか一方が前記カム係
合面と係合する構成を採用した。
したクラッチ軸を軸受で前記クラッチ外輪に回転自在に
支持し、前記クラッチ軸の一端に形成した軸方向の軸挿
入孔に入力軸を挿入し、前記入力軸と前記クラッチ軸を
トルク設定弾性部材で連結し、前記入力軸を第1の駆動
部材とし、前記クラッチ外輪を駆動系に駆動される第2
の駆動部材とし、前記クラッチ軸を被駆動部材として使
用するクラッチ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面
のそれぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前
記入力軸に連結した保持器と前記クラッチ軸に連結した
保持器とを組込み、この両保持器間に形成された複数の
ポケットに前記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対
的な回転時に前記カム係合面にカム係合する、スプラグ
から成る正転用カム部材と逆転用カム部材とを交互に組
込み、この各保持器と各カム部材との間に各カム部材を
前記ポケットの壁面と係合する方向に偏向するスプリン
グを組込み、前記クラッチ軸を支持する前記軸受を前記
クラッチ外輪の内径面両端にそれぞれ設け、前記トルク
設定弾性部材で連結した前記入力軸と前記クラッチ軸と
の間に回転方向すきまを有するトルク伝達機構を設け、
前記トルク設定弾性部材に設定トルクを越えた回転力が
付与されたとき前記トルク設定弾性部材が前記トルク伝
達機構の前記回転方向すきまが無くなるまで弾性変形し
て前記トルク伝達機構が回転方向に係合し、前記トルク
伝達機構が回転方向に係合する前に前記正転用カム部材
および前記逆転用カム部材のいずれか一方が前記カム係
合面と係合する構成を採用した。
このように構成された第1及び第2の考案に係るクラ
ッチ装置は、入力軸を第1の駆動部材とし、クラッチ外
輪を駆動系に駆動される第2の駆動部材とし、入力軸と
トルク設定弾性部材で連結したクラッチ軸を被駆動部材
として使用する。
ッチ装置は、入力軸を第1の駆動部材とし、クラッチ外
輪を駆動系に駆動される第2の駆動部材とし、入力軸と
トルク設定弾性部材で連結したクラッチ軸を被駆動部材
として使用する。
第1の考案に係るクラッチ装置では、入力軸に付与さ
れた回転力がトルク設定弾性部材の設定トルク以下であ
ると、トルク設定弾性部材のねじれが少なく、入力軸に
連結された保持器はクラッチ軸に対して余り相対回転し
ないから、正転用カム部材20および逆転用カム部材はい
ずれも両カム係合面に係合しない。入力軸に付与された
回転力がトルク設定弾性部材の設定トルクを越えると、
トルク設定弾性部材がねじれ、保持器はクラッチ軸に対
して相対回転し、スプリングを介して一方のカム部材は
クラッチ外輪のカム係合面とクラッチ軸のカム係合面に
係合して、クラッチを作動させる。また、異常によって
クラッチ外輪が回転しないときは、入力軸と連結した保
持器の回転によって前記のように一方のカム部材は両カ
ム係合面に一旦は係合するが、ねじれたトルク設定弾性
部材が設定トルクを越えて回転し、トルク伝達機構によ
ってクラッチ軸を回転させ、このクラッチ軸の回転によ
り両カム係合面に係合していた一方のカム部材はその係
合を解除して滑りはじめるので、クラッチは切断され
る。
れた回転力がトルク設定弾性部材の設定トルク以下であ
ると、トルク設定弾性部材のねじれが少なく、入力軸に
連結された保持器はクラッチ軸に対して余り相対回転し
ないから、正転用カム部材20および逆転用カム部材はい
ずれも両カム係合面に係合しない。入力軸に付与された
回転力がトルク設定弾性部材の設定トルクを越えると、
トルク設定弾性部材がねじれ、保持器はクラッチ軸に対
して相対回転し、スプリングを介して一方のカム部材は
クラッチ外輪のカム係合面とクラッチ軸のカム係合面に
係合して、クラッチを作動させる。また、異常によって
クラッチ外輪が回転しないときは、入力軸と連結した保
持器の回転によって前記のように一方のカム部材は両カ
ム係合面に一旦は係合するが、ねじれたトルク設定弾性
部材が設定トルクを越えて回転し、トルク伝達機構によ
ってクラッチ軸を回転させ、このクラッチ軸の回転によ
り両カム係合面に係合していた一方のカム部材はその係
合を解除して滑りはじめるので、クラッチは切断され
る。
また、第2の考案に係るクラッチ装置では、入力軸15
が回転してその回転力がトルク設定弾性部材の設定トル
クを越えると、入力軸と共に回転する保持器がクラッチ
軸に連結された保持器に対して相対的に回転するため
に、一方のカム部材を収容したポケットの周方向の長さ
が大きくなり、逆に、他方のカム部材を収容したポケッ
トの周方向の長さが短くなる。このため、一方のカム部
材は起こされて両カム係合面に係合し、他方の部材は倒
されて非係合の状態に保持されてクラッチを作動させ
る。また、異常によってクラッチ外輪が回転しないと
き、クラッチ軸の回転により両カム係合面に係合してい
た一方のカム部材はその係合を解除して滑りはじめてク
ラッチが切断されることや、入力軸に付与された回転力
がトルク設定弾性部材の設定トルク以下のときに、両カ
ム部材はいずれも両カム係合面に係合しないことは、第
1の考案に係るクラッチ装置と同様である。
が回転してその回転力がトルク設定弾性部材の設定トル
クを越えると、入力軸と共に回転する保持器がクラッチ
軸に連結された保持器に対して相対的に回転するため
に、一方のカム部材を収容したポケットの周方向の長さ
が大きくなり、逆に、他方のカム部材を収容したポケッ
トの周方向の長さが短くなる。このため、一方のカム部
材は起こされて両カム係合面に係合し、他方の部材は倒
されて非係合の状態に保持されてクラッチを作動させ
る。また、異常によってクラッチ外輪が回転しないと
き、クラッチ軸の回転により両カム係合面に係合してい
た一方のカム部材はその係合を解除して滑りはじめてク
ラッチが切断されることや、入力軸に付与された回転力
がトルク設定弾性部材の設定トルク以下のときに、両カ
ム部材はいずれも両カム係合面に係合しないことは、第
1の考案に係るクラッチ装置と同様である。
第1及び第2の考案に係るクラッチ装置は、入力軸と
クラッチ軸との間に回転方向すきまを有するトルク伝達
機構を設けているので、第1の駆動部材である入力軸か
ら伝達される回転力がトルク設定弾性部材で設定された
設定トルク以下のときは、トルク設定弾性部材の撓みが
少なく、トルク伝達機構は回転方向に係合することなく
回転方向すきまを維持する。また、保持器のポケット内
に収容されたカム係合部材はカム係合面のいずれにも係
合しない位置に保持されるので、第1の駆動部材である
入力軸から被駆動部材であるクラッチ軸に直接に回転力
を伝達する。他方、この入力軸に伝達される回転力が前
記設定トルクを越えると、入力軸がトルク設定弾性部材
を大きく撓ませ、回転方向すきまが無くなる前まで入力
軸がクラッチ外輪およびクラッチ軸に対して相対的に回
転し、正転用カム部材または逆転用カム部材がカム係合
面に係合するので、第1の駆動部材である入力軸及び第
2の駆動部材であるクラッチ外輪という2つの駆動部材
から被駆動部材であるクラッチ軸に回転力を伝達するこ
とができる。
クラッチ軸との間に回転方向すきまを有するトルク伝達
機構を設けているので、第1の駆動部材である入力軸か
ら伝達される回転力がトルク設定弾性部材で設定された
設定トルク以下のときは、トルク設定弾性部材の撓みが
少なく、トルク伝達機構は回転方向に係合することなく
回転方向すきまを維持する。また、保持器のポケット内
に収容されたカム係合部材はカム係合面のいずれにも係
合しない位置に保持されるので、第1の駆動部材である
入力軸から被駆動部材であるクラッチ軸に直接に回転力
を伝達する。他方、この入力軸に伝達される回転力が前
記設定トルクを越えると、入力軸がトルク設定弾性部材
を大きく撓ませ、回転方向すきまが無くなる前まで入力
軸がクラッチ外輪およびクラッチ軸に対して相対的に回
転し、正転用カム部材または逆転用カム部材がカム係合
面に係合するので、第1の駆動部材である入力軸及び第
2の駆動部材であるクラッチ外輪という2つの駆動部材
から被駆動部材であるクラッチ軸に回転力を伝達するこ
とができる。
また、このように構成された第1及び第2の考案に係
るクラッチ装置を電動パワーステアリング装置に使用す
る場合には、入力軸をハンドル軸に連結し、入力軸にト
ルク伝達機構を介して係合するクラッチ軸をピニオン軸
に連結し、クラッチ外輪をモータに連結する。これによ
り、ハンドル操作力が設定トルク以下の場合には、ハン
ドル軸からピニオン軸への手動の操作力が伝達され、ハ
ンドル操作力が設定トルクを越えると、クラッチ外輪と
クラッチ軸との間でクラッチが作動し、ピニオン軸にモ
ータ駆動力が伝達されるので、非常にわずかのハンドル
操作力で車輪の操舵が可能となる。
るクラッチ装置を電動パワーステアリング装置に使用す
る場合には、入力軸をハンドル軸に連結し、入力軸にト
ルク伝達機構を介して係合するクラッチ軸をピニオン軸
に連結し、クラッチ外輪をモータに連結する。これによ
り、ハンドル操作力が設定トルク以下の場合には、ハン
ドル軸からピニオン軸への手動の操作力が伝達され、ハ
ンドル操作力が設定トルクを越えると、クラッチ外輪と
クラッチ軸との間でクラッチが作動し、ピニオン軸にモ
ータ駆動力が伝達されるので、非常にわずかのハンドル
操作力で車輪の操舵が可能となる。
万一、モーターを含む駆動系に異常が発生し、これが
作動しなくなると、ハンドル軸から入力軸に付与される
回転により、入力軸と、その入力軸に回転方向すきまを
もって係合するクラッチ軸とが回転方向に係合し、入力
軸に連結した保持器が同方向に回転することによりクラ
ッチ外輪とクラッチ軸との間のクラッチが切れ、駆動系
と遮断した状態でハンドル操作力がピニオン軸に伝達さ
れるので、手動によるハンドル操作をすることができ、
過大なハンドル操作力が要求されることはない。
作動しなくなると、ハンドル軸から入力軸に付与される
回転により、入力軸と、その入力軸に回転方向すきまを
もって係合するクラッチ軸とが回転方向に係合し、入力
軸に連結した保持器が同方向に回転することによりクラ
ッチ外輪とクラッチ軸との間のクラッチが切れ、駆動系
と遮断した状態でハンドル操作力がピニオン軸に伝達さ
れるので、手動によるハンドル操作をすることができ、
過大なハンドル操作力が要求されることはない。
また、トルク設定弾性部材を介して入力軸と連結され
ているクラッチ軸は、回転方向すきまを有するトルク伝
達機構を介しても係合されているために、トルク設定弾
性部材はこのトルク伝達機構の回転方向すきま分しか回
転せず、不必要なねじれが生じないから疲労が少なく、
また、クラッチの負担も少ない。しかも万一、トルク設
定弾性部材が疲労等によって破断することがあっても、
このトルク伝達機構を介して入力軸の回転を前記クラッ
チ軸に確実に伝達することができる。
ているクラッチ軸は、回転方向すきまを有するトルク伝
達機構を介しても係合されているために、トルク設定弾
性部材はこのトルク伝達機構の回転方向すきま分しか回
転せず、不必要なねじれが生じないから疲労が少なく、
また、クラッチの負担も少ない。しかも万一、トルク設
定弾性部材が疲労等によって破断することがあっても、
このトルク伝達機構を介して入力軸の回転を前記クラッ
チ軸に確実に伝達することができる。
また、カーブからの立ち上がり時、車輪側からハンド
ルが戻される場合には、運転者はハンドルを軽く手で滑
らす程度のトルクしか掛けないので設定トルク以下であ
り、駆動系とはクラッチ作動せず、手動操作の状態とな
る。
ルが戻される場合には、運転者はハンドルを軽く手で滑
らす程度のトルクしか掛けないので設定トルク以下であ
り、駆動系とはクラッチ作動せず、手動操作の状態とな
る。
したがって、トルク設定弾性部材のばね力を適切に設
定することにより、設定トルク以下では手動操作、設定
トルクを越えるとパワーステアリングへ自動的に切り換
えられ、またモータ等を含む駆動系に異常が発生したと
きでも、過大なハンドル操作力が要求されることはな
く、かつカーブからの立ち上り時に運転者に違和感を与
えることなく滑らかにハンドルが戻される。
定することにより、設定トルク以下では手動操作、設定
トルクを越えるとパワーステアリングへ自動的に切り換
えられ、またモータ等を含む駆動系に異常が発生したと
きでも、過大なハンドル操作力が要求されることはな
く、かつカーブからの立ち上り時に運転者に違和感を与
えることなく滑らかにハンドルが戻される。
以下、この考案の実施例を第1図乃至第8図に基づい
て説明する。
て説明する。
第1図乃至第5図は、第1の考案に係るクラッチ装置
の実施例を示す。
の実施例を示す。
第1図に示すように、クラッチ外輪11は筒状をなし、
その内側に挿通したクラッチ軸12は、2つの軸受13によ
ってクラッチ外輪11に回転自在に支持されている。
その内側に挿通したクラッチ軸12は、2つの軸受13によ
ってクラッチ外輪11に回転自在に支持されている。
クラッチ軸12の一端には、軸方向の軸挿入孔14が形成
され、その軸挿入孔14に入力軸15が挿入されている。
され、その軸挿入孔14に入力軸15が挿入されている。
前記クラッチ外輪11の内径面は第2図に示すように、
円筒形に形成され、その内径面がカム係合面16とされて
いる。一方、クラッチ軸12の外径は多角形に形成され、
外周の各平面がカム係合面17とされている。
円筒形に形成され、その内径面がカム係合面16とされて
いる。一方、クラッチ軸12の外径は多角形に形成され、
外周の各平面がカム係合面17とされている。
クラッチ外輪11のカム係合面16とクラッチ軸12のカム
係合面17間には筒状の保持器18が組込まれている。
係合面17間には筒状の保持器18が組込まれている。
保持器18には、クラッチ軸12のカム係合面17と対応す
る位置にカム部材の収納用ポケット19が形成され、この
収納用ポケット19内にローラから成る正転用カム部材20
と逆転用カム部材21とが収容され、そのカム部材20、21
間に組込んだスプリング22は、正転用カム部材20と逆転
用カム部材21を相反する方向に押圧し、収納用ポケット
19の周方向に対向する壁面23に押し付けている。
る位置にカム部材の収納用ポケット19が形成され、この
収納用ポケット19内にローラから成る正転用カム部材20
と逆転用カム部材21とが収容され、そのカム部材20、21
間に組込んだスプリング22は、正転用カム部材20と逆転
用カム部材21を相反する方向に押圧し、収納用ポケット
19の周方向に対向する壁面23に押し付けている。
前記クラッチ軸12には第1図および第3図に示すよう
に、半径方向の孔24が形成され、その孔24に余裕をもっ
て挿入されたピン25によって、入力軸15と保持器18は連
結され、入力軸15と保持器18は共に回転する。
に、半径方向の孔24が形成され、その孔24に余裕をもっ
て挿入されたピン25によって、入力軸15と保持器18は連
結され、入力軸15と保持器18は共に回転する。
入力軸15には、第1図および第2図に示すように、角
軸26が形成され、その角軸26は、挿入孔14の端面に設け
た角孔27に挿入され、この角孔27と角軸26との間に回転
方向すきまAが設けられている。
軸26が形成され、その角軸26は、挿入孔14の端面に設け
た角孔27に挿入され、この角孔27と角軸26との間に回転
方向すきまAが設けられている。
また、入力軸15とクラッチ軸12の軸芯位置にはバー挿
入孔28が形成され、このバー挿入孔28にトーションバー
から成るトルク設定弾性部材29が挿入され、両端部が入
力軸15およびクラッチ軸12に固定されている。
入孔28が形成され、このバー挿入孔28にトーションバー
から成るトルク設定弾性部材29が挿入され、両端部が入
力軸15およびクラッチ軸12に固定されている。
ここで、トルク設定弾性部材29のばね力は、入力軸15
に一定トルク以上の回転力が作用したとき、角軸26と角
孔27との間で形成された回転方向すきまAが無くなるま
でトルク設定弾性部材がねじれ、角軸26と角孔27が係合
するよう決定されている。
に一定トルク以上の回転力が作用したとき、角軸26と角
孔27との間で形成された回転方向すきまAが無くなるま
でトルク設定弾性部材がねじれ、角軸26と角孔27が係合
するよう決定されている。
この第1の考案の実施例で示すクラッチ装置は上記の
構造から成り、このクラッチ装置を電動パワーステアリ
ング装置に使用する場合は、第6図に示すように、入力
軸15にハンドル40を備えるハンドル軸41を接続し、クラ
ッチ軸12にラック42と噛み合うピニオン43の軸44を接続
する。
構造から成り、このクラッチ装置を電動パワーステアリ
ング装置に使用する場合は、第6図に示すように、入力
軸15にハンドル40を備えるハンドル軸41を接続し、クラ
ッチ軸12にラック42と噛み合うピニオン43の軸44を接続
する。
また、ハンドル軸41のねじれを検出するセンサ45を設
け、その検出センサ45により制御装置46を通じて駆動さ
れるモータ47の回転をギヤ伝動機構等のトルク伝達機構
48を介してクラッチ外輪11に伝えるようにする。このた
め、クラッチ外輪11には、第1図に示すように、その外
周にギヤ30を設けておくようにする。
け、その検出センサ45により制御装置46を通じて駆動さ
れるモータ47の回転をギヤ伝動機構等のトルク伝達機構
48を介してクラッチ外輪11に伝えるようにする。このた
め、クラッチ外輪11には、第1図に示すように、その外
周にギヤ30を設けておくようにする。
上記のような組込み状態において、ハンドル40を回転
操作し、入力軸15の保持器18に第4図の矢印で示す右方
向への回転力を付与した場合、そのハンドル操作力がト
ルク設定弾性部材29の設定トルク以下であると、上記ト
ルク設定弾性部材29のねじれが少なく、保持器18はクラ
ッチ軸12に対して余り相対回転しない。そのために、正
転用カム部材20および逆転用カム部材21はカム係合面1
6、17に係合せず、クラッチは作動しないから、クラッ
チ外輪11からクラッチ軸12への回転力の伝達はない。他
方、入力軸15の回転力はトルク設定弾性部材29を介して
クラッチ軸に伝達される。したがって、ハンドル操作力
が小さいときは、手動によるハンドル操作となり、不必
要にパワーステアリング装置を作動することはない。
操作し、入力軸15の保持器18に第4図の矢印で示す右方
向への回転力を付与した場合、そのハンドル操作力がト
ルク設定弾性部材29の設定トルク以下であると、上記ト
ルク設定弾性部材29のねじれが少なく、保持器18はクラ
ッチ軸12に対して余り相対回転しない。そのために、正
転用カム部材20および逆転用カム部材21はカム係合面1
6、17に係合せず、クラッチは作動しないから、クラッ
チ外輪11からクラッチ軸12への回転力の伝達はない。他
方、入力軸15の回転力はトルク設定弾性部材29を介して
クラッチ軸に伝達される。したがって、ハンドル操作力
が小さいときは、手動によるハンドル操作となり、不必
要にパワーステアリング装置を作動することはない。
ハンドル操作力が大きくなり、トルク設定弾性部材29
の設定トルクを越えると、上記トルク設定弾性部材29が
ねじれ、保持器18は、クラッチ軸12に対して右方向に相
対回転し、スプリング22を介して第4図右側の正転用カ
ム部材20を第5図に示すように、クラッチ外輪11のカム
係合面16とクラッチ軸12のカム係合面17に係合せしめ、
クラッチを作動させる。
の設定トルクを越えると、上記トルク設定弾性部材29が
ねじれ、保持器18は、クラッチ軸12に対して右方向に相
対回転し、スプリング22を介して第4図右側の正転用カ
ム部材20を第5図に示すように、クラッチ外輪11のカム
係合面16とクラッチ軸12のカム係合面17に係合せしめ、
クラッチを作動させる。
一方、ねじれたトルク設定弾性部材29は設定トルクを
越えると回転し、この回転はクラッチ軸12に伝達されて
車輪を操舵しようとし、車輪からの抵抗によりハンドル
軸41にトルクが発生し、このトルクをハンドル軸41に設
けたセンサ45により検出し、制御装置46を通じてモータ
47を駆動させる。そのモータ47の回転は、クラッチ外輪
11に伝達される。このとき、クラッチはすでに作動して
いるため、モータ47の回転は、クラッチ外輪11から正転
用カム部材20を介してクラッチ軸12に伝達され、ピニオ
ン軸44、ピニオン43およびラック42を介して車輪に伝達
される。
越えると回転し、この回転はクラッチ軸12に伝達されて
車輪を操舵しようとし、車輪からの抵抗によりハンドル
軸41にトルクが発生し、このトルクをハンドル軸41に設
けたセンサ45により検出し、制御装置46を通じてモータ
47を駆動させる。そのモータ47の回転は、クラッチ外輪
11に伝達される。このとき、クラッチはすでに作動して
いるため、モータ47の回転は、クラッチ外輪11から正転
用カム部材20を介してクラッチ軸12に伝達され、ピニオ
ン軸44、ピニオン43およびラック42を介して車輪に伝達
される。
このように、ハンドル操作力が設定トルクを越えた場
合にはパワーステアリングに切り換わり、非常にわずか
なハンドル操作力により車輪を操舵することができる。
合にはパワーステアリングに切り換わり、非常にわずか
なハンドル操作力により車輪を操舵することができる。
万一、制御装置46、モータ47を含む駆動系に異常が発
生し、これらが作動しない場合には、次のようにクラッ
チは作動せず、駆動系と遮断された状態を維持する。即
ち、ハンドル40を操作するとハンドル軸41に連結された
入力軸15とそれと一体の保持器18は回転するが、例えば
第5図に示すように、角軸26(入力軸15)が右方向に回
転すると、保持器18はクラッチ軸12に対して右方向に相
対回転し、正転用カム部材20はカム係合面16、17に係合
するが、駆動系は作動しないためにクラッチ外輪11は回
転しない。この状態でさらに角軸26が回転すると、ねじ
れたトルク設定弾性部材29は設定トルクを越えて回転
し、角軸26は回転方向すきまA分回転してクラッチ軸26
に回転方向に係合し、クラッチ軸26を回転させる。この
クラッチ軸12の回転により、カム係合面16、17に係合し
ていた正転用カム部材20はその係合を解除して滑りはじ
めるので、クラッチは切断される。したがって、入力軸
15の角軸26、角孔27、クラッチ軸12を介して手動による
操作力が車輪に伝達され、駆動系と遮断されていること
により、手動によるハンドル操作をすることができ、過
大なハンドル操作力が要求されることはない。
生し、これらが作動しない場合には、次のようにクラッ
チは作動せず、駆動系と遮断された状態を維持する。即
ち、ハンドル40を操作するとハンドル軸41に連結された
入力軸15とそれと一体の保持器18は回転するが、例えば
第5図に示すように、角軸26(入力軸15)が右方向に回
転すると、保持器18はクラッチ軸12に対して右方向に相
対回転し、正転用カム部材20はカム係合面16、17に係合
するが、駆動系は作動しないためにクラッチ外輪11は回
転しない。この状態でさらに角軸26が回転すると、ねじ
れたトルク設定弾性部材29は設定トルクを越えて回転
し、角軸26は回転方向すきまA分回転してクラッチ軸26
に回転方向に係合し、クラッチ軸26を回転させる。この
クラッチ軸12の回転により、カム係合面16、17に係合し
ていた正転用カム部材20はその係合を解除して滑りはじ
めるので、クラッチは切断される。したがって、入力軸
15の角軸26、角孔27、クラッチ軸12を介して手動による
操作力が車輪に伝達され、駆動系と遮断されていること
により、手動によるハンドル操作をすることができ、過
大なハンドル操作力が要求されることはない。
更に、車輪側からハンドルが戻されるときの作用につ
いて説明する。カーブからの立ち直り時、車輪からラッ
ク42、ピニオン43、ピニオン軸44、クラッチ軸12へと力
が伝達される。このハンドル戻し力に対して、運転者は
ハンドルを軽く手で滑らす程度のトルクしか掛けないた
め、トルク設定弾性部材29の設定トルク以下である。こ
の場合、入力軸15はクラッチ軸12に対して余り相対回転
しないので正転用カム部材20及び逆転用カム部材21はい
ずれもカム係合面16、17に係合しない。このため、クラ
ッチは作動せず、駆動系も作動しないから、クラッチ軸
12はクラッチ外輪11とは遮断された状態で保持器11およ
びそれに連結された入力軸15を直接回転し、ハンドル40
が戻される。したがって、カーブからの立ち直り時、運
転者に違和感を与えることなく滑らかにハンドルが戻さ
れる。
いて説明する。カーブからの立ち直り時、車輪からラッ
ク42、ピニオン43、ピニオン軸44、クラッチ軸12へと力
が伝達される。このハンドル戻し力に対して、運転者は
ハンドルを軽く手で滑らす程度のトルクしか掛けないた
め、トルク設定弾性部材29の設定トルク以下である。こ
の場合、入力軸15はクラッチ軸12に対して余り相対回転
しないので正転用カム部材20及び逆転用カム部材21はい
ずれもカム係合面16、17に係合しない。このため、クラ
ッチは作動せず、駆動系も作動しないから、クラッチ軸
12はクラッチ外輪11とは遮断された状態で保持器11およ
びそれに連結された入力軸15を直接回転し、ハンドル40
が戻される。したがって、カーブからの立ち直り時、運
転者に違和感を与えることなく滑らかにハンドルが戻さ
れる。
第7図および第8図は、第2の考案に係るクラッチ装
置の実施例を示す。このクラッチ装置は、クラッチ外輪
11の内径面およびクラッチ軸12の外径面に円筒形のカム
係合面16、17を形成してある。
置の実施例を示す。このクラッチ装置は、クラッチ外輪
11の内径面およびクラッチ軸12の外径面に円筒形のカム
係合面16、17を形成してある。
また、カム係合面16、17間に2つの筒状保持器18′、
18″を組込み、この2つの保持器18′、18″のうち、一
方の保持器18′と入力軸15とをピン25′で連結し、他方
の保持器18″とクラッチ軸12とをピン25″で連結し、2
つの保持器18′、18″間に形成された複数のポケット19
にまゆ形スプラグから成る正転用カム部材20と逆転用カ
ム部材21とを交互に組込み、各カム部材20、21がカム係
合面16、17と係合する方向に各カム部材20、21のそれぞ
れをスプリング22によって偏向している。
18″を組込み、この2つの保持器18′、18″のうち、一
方の保持器18′と入力軸15とをピン25′で連結し、他方
の保持器18″とクラッチ軸12とをピン25″で連結し、2
つの保持器18′、18″間に形成された複数のポケット19
にまゆ形スプラグから成る正転用カム部材20と逆転用カ
ム部材21とを交互に組込み、各カム部材20、21がカム係
合面16、17と係合する方向に各カム部材20、21のそれぞ
れをスプリング22によって偏向している。
他の構成は、第1の考案の実施例と同じであるため、
説明を省略する。
説明を省略する。
上記の構成から成る第2の考案の実施例で示すクラッ
チ装置において、入力軸15が第8図の矢印で示すよう
に、正回転され、その回転力がトルク設定弾性部材29の
設定トルクを越えると、入力軸15と共に回転する保持器
18′がクラッチ軸12に連結された保持器18″に対して相
対的に回転するため、正転用カム部材20を収容したポケ
ット19の周方向の長さが大きくなり、逆に、逆転用カム
部材21を収容したポケット19の周方向の長さが短くな
る。このため、正転用カム部材20は起こされてカム係合
面16、17に係合し、一方逆転用カム部材21は倒されて非
係合の状態に保持され、その状態においてクラッチ外輪
11に回転力が付与されると、その回転は、正転用カム部
材20を介してクラッチ軸に伝達される。
チ装置において、入力軸15が第8図の矢印で示すよう
に、正回転され、その回転力がトルク設定弾性部材29の
設定トルクを越えると、入力軸15と共に回転する保持器
18′がクラッチ軸12に連結された保持器18″に対して相
対的に回転するため、正転用カム部材20を収容したポケ
ット19の周方向の長さが大きくなり、逆に、逆転用カム
部材21を収容したポケット19の周方向の長さが短くな
る。このため、正転用カム部材20は起こされてカム係合
面16、17に係合し、一方逆転用カム部材21は倒されて非
係合の状態に保持され、その状態においてクラッチ外輪
11に回転力が付与されると、その回転は、正転用カム部
材20を介してクラッチ軸に伝達される。
この第1、第2の考案は、以上のように構成したの
で、いずれも下記に示す効果を得ることができる。
で、いずれも下記に示す効果を得ることができる。
(イ)トルク設定弾性部材の設定トルク以下では、トル
ク設定弾性部材を介してクラッチ軸に入力軸から回転力
が伝達され、この設定トルク以上になったときは、入力
軸の回転とクラッチ外輪の回転の2つの入力を、外部か
ら制御することなく機械的に切り換えて、クラッチ軸に
伝達するクラッチ装置を可能にする。
ク設定弾性部材を介してクラッチ軸に入力軸から回転力
が伝達され、この設定トルク以上になったときは、入力
軸の回転とクラッチ外輪の回転の2つの入力を、外部か
ら制御することなく機械的に切り換えて、クラッチ軸に
伝達するクラッチ装置を可能にする。
したがって、これらの考案のクラッチ装置を伝動パワ
ーステアリング装置に使用した場合は、トルク設定弾性
部材の設定ばね力による簡単な構成で、ハンドル操作力
が設定トルク以下のときは手動操作となり、また、設定
トルクを越えたときは自動的にパワーステアリングに切
り換えることができる。したがって、パワーステアリン
グ装置に用いると、ハンドル操作力が小さいときは手動
によるハンドル操作となり、不必要にパワーステアリン
グ装置を作動させることはないから、省エネルギー性に
優れている。
ーステアリング装置に使用した場合は、トルク設定弾性
部材の設定ばね力による簡単な構成で、ハンドル操作力
が設定トルク以下のときは手動操作となり、また、設定
トルクを越えたときは自動的にパワーステアリングに切
り換えることができる。したがって、パワーステアリン
グ装置に用いると、ハンドル操作力が小さいときは手動
によるハンドル操作となり、不必要にパワーステアリン
グ装置を作動させることはないから、省エネルギー性に
優れている。
(ロ)入力軸と、その入力軸の回転が伝達されるクラッ
チ軸とが回転方向すきまを有するトルク伝達機構を介し
て係合されるため、パワーステアリング装置に対する組
込みにおいて、モータを含む駆動系に異常が発生し、こ
れが作動しない場合でも、入力軸の回転をクラッチ軸に
確実に伝達することができ、その結果、操舵不能になる
という不都合の発生はなく、きわめて安全である。
チ軸とが回転方向すきまを有するトルク伝達機構を介し
て係合されるため、パワーステアリング装置に対する組
込みにおいて、モータを含む駆動系に異常が発生し、こ
れが作動しない場合でも、入力軸の回転をクラッチ軸に
確実に伝達することができ、その結果、操舵不能になる
という不都合の発生はなく、きわめて安全である。
(ハ)クラッチ外輪の両端にそれぞれ設けた軸受によっ
てクラッチ軸を回転自在に支持しているため、クラッチ
の剛性を高めるばかりでなく、クラッチ外輪の内径面と
クラッチ軸の外径面に形成されるカム部材収納用空間が
軸方向に均一となり、カム係合面とカム部材との係合や
係合の解除が正確かつ確実となる。
てクラッチ軸を回転自在に支持しているため、クラッチ
の剛性を高めるばかりでなく、クラッチ外輪の内径面と
クラッチ軸の外径面に形成されるカム部材収納用空間が
軸方向に均一となり、カム係合面とカム部材との係合や
係合の解除が正確かつ確実となる。
(ニ)クラッチ外輪、クラッチ軸、入力軸、保持器およ
びカム部材から成る部品点数の少ない構成であるため組
立が容易であり、小型のクラッチ装置を提供することが
できる。
びカム部材から成る部品点数の少ない構成であるため組
立が容易であり、小型のクラッチ装置を提供することが
できる。
(ホ)トルク設定弾性部材を介して入力軸と連結されて
いるクラッチ軸は、回転方向すきまを有するトルク伝達
機構を介しても係合されているために、トルク設定弾性
部材はこのトルク伝達機構の回転方向すきま分しかねじ
れず、不必要なねじれが生じないから疲労が少なく、ま
た、クラッチの負担も少ない。しかも万一、トルク設定
弾性部材が疲労等によって破断することがあっても、こ
のトルク伝達機構を介して入力軸の回転を前記クラッチ
軸に確実に伝達することができる。したがって、トルク
設定弾性部材の破断によってパワーステアリング装置が
作動不能になっても、手動による操舵は確保され、操舵
不能の事態に陥ることなく、安全性に優れている。
いるクラッチ軸は、回転方向すきまを有するトルク伝達
機構を介しても係合されているために、トルク設定弾性
部材はこのトルク伝達機構の回転方向すきま分しかねじ
れず、不必要なねじれが生じないから疲労が少なく、ま
た、クラッチの負担も少ない。しかも万一、トルク設定
弾性部材が疲労等によって破断することがあっても、こ
のトルク伝達機構を介して入力軸の回転を前記クラッチ
軸に確実に伝達することができる。したがって、トルク
設定弾性部材の破断によってパワーステアリング装置が
作動不能になっても、手動による操舵は確保され、操舵
不能の事態に陥ることなく、安全性に優れている。
第1図は、第1の考案の実施例に係るクラッチの縦断面
図、第2図は第1図のII-II線に沿った断面図、第3図
は第1図のIII-III線に沿った断面図、第4図は同上の
部分拡大断面図、第5図は同上の作動状態を示す断面
図、第6図は同上のクラッチ装置をパワーステアリング
装置に組込んだ状態の概略図、第7図は第2の考案に係
るクラッチ装置の実施例を示す縦断正面図、第8図は第
7図のXI-XI線に沿った断面図、第9図は従来の電動パ
ワーステアリング装置を示す概略図である。 11……クラッチ外輪、12……クラッチ軸、15……入力
軸、16……カム係合面、17……カム係合面、18、18′、
18″……保持器、19……ポケット、20……正転用カム部
材、21……逆転用カム部材、22……スプリング、23……
ポケット壁面、26……角軸、27……角孔、29……トルク
設定弾性部材、31……ピン、32……係合孔。
図、第2図は第1図のII-II線に沿った断面図、第3図
は第1図のIII-III線に沿った断面図、第4図は同上の
部分拡大断面図、第5図は同上の作動状態を示す断面
図、第6図は同上のクラッチ装置をパワーステアリング
装置に組込んだ状態の概略図、第7図は第2の考案に係
るクラッチ装置の実施例を示す縦断正面図、第8図は第
7図のXI-XI線に沿った断面図、第9図は従来の電動パ
ワーステアリング装置を示す概略図である。 11……クラッチ外輪、12……クラッチ軸、15……入力
軸、16……カム係合面、17……カム係合面、18、18′、
18″……保持器、19……ポケット、20……正転用カム部
材、21……逆転用カム部材、22……スプリング、23……
ポケット壁面、26……角軸、27……角孔、29……トルク
設定弾性部材、31……ピン、32……係合孔。
Claims (2)
- 【請求項1】クラッチ外輪の内側に挿通したクラッチ軸
を軸受で前記クラッチ外輪に回転自在に支持し、前記ク
ラッチ軸の一端に形成した軸方向の軸挿入孔に入力軸を
挿入し、前記入力軸と前記クラッチ軸をトルク設定弾性
部材で連結し、前記入力軸を第1の駆動部材とし、前記
クラッチ外輪を駆動系に駆動される第2の駆動部材と
し、前記クラッチ軸を被駆動部材として使用するクラッ
チ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面の
それぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前記
入力軸に連結した保持器を組込み、この保持器にカム部
材の収納用ポケットを形成し、この収納用ポケットに前
記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対的な回転時に
前記カム係合面にカム係合する、ローラから成る正転用
カム部材と逆転用カム部材とを組込み、前記両カム部材
間にこの両カム部材を前記ポケットの壁面と係合する方
向に偏向するスプリングを組込み、前記クラッチ軸を支
持する前記軸受を前記クラッチ外輪の内径面両端にそれ
ぞれ設け、前記トルク設定弾性部材で連結した前記入力
軸と前記クラッチ軸との間に回転方向すきまを有するト
ルク伝達機構を設け、前記トルク設定弾性部材に設定ト
ルクを越えた回転力が付与されたとき前記トルク設定弾
性部材が前記トルク伝達機構の前記回転方向すきまが無
くなるまで弾性変形して前記トルク伝達機構が回転方向
に係合し、前記トルク伝達機構が回転方向に係合する前
に前記正転用カム部材および前記逆転用カム部材のいず
れか一方が前記カム係合面と係合することを特徴とする
クラッチ装置。 - 【請求項2】クラッチ外輪の内側に挿通したクラッチ軸
を軸受で前記クラッチ外輪に回転自在に支持し、前記ク
ラッチ軸の一端に形成した軸方向の軸挿入孔に入力軸を
挿入し、前記入力軸と前記クラッチ軸をトルク設定弾性
部材で連結し、前記入力軸を第1の駆動部材とし、前記
クラッチ外輪を駆動系に駆動される第2の駆動部材と
し、前記クラッチ軸を被駆動部材として使用するクラッ
チ装置において、 前記クラッチ外輪の内径面と前記クラッチ軸の外径面の
それぞれにカム係合面を設け、このカム係合面間に前記
入力軸に連結した保持器と前記クラッチ軸に連結した保
持器とを組込み、この両保持器間に形成された複数のポ
ケットに前記クラッチ外輪と前記クラッチ軸との相対的
な回転時に前記カム係合面にカム係合する、スプラグか
ら成る正転用カム部材と逆転用カム部材とを交互に組込
み、この各保持器と各カム部材との間に各カム部材を前
記ポケットの壁面と係合する方向に偏向するスプリング
を組込み、前記クラッチ軸を支持する前記軸受を前記ク
ラッチ外輪の内径面両端にそれぞれ設け、前記トルク設
定弾性部材で連結した前記入力軸と前記クラッチ軸との
間に回転方向すきまを有するトルク伝達機構を設け、前
記トルク設定弾性部材に設定トルクを越えた回転力が付
与されたとき前記トルク設定弾性部材が前記トルク伝達
機構の前記回転方向すきまが無くなるまで弾性変形して
前記トルク伝達機構が回転方向に係合し、前記トルク伝
達機構が回転方向に係合する前に前記正転用カム部材お
よび前記逆転用カム部材のいずれか一方が前記カム係合
面と係合することを特徴とするクラッチ装置。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1988093300U JP2528631Y2 (ja) | 1988-07-14 | 1988-07-14 | クラッチ装置 |
GB8911538A GB2220714B (en) | 1988-07-14 | 1989-05-19 | Clutch |
US07/359,260 US5016740A (en) | 1988-07-14 | 1989-05-31 | Torque responsive engaging clutch |
KR1019890007869A KR930006218B1 (ko) | 1988-07-14 | 1989-06-08 | 클러치장치 |
DE3919494A DE3919494A1 (de) | 1988-07-14 | 1989-06-14 | Kupplung |
FR8909379A FR2635153B1 (ja) | 1988-07-14 | 1989-07-12 | |
US07/666,762 US5135084A (en) | 1988-07-14 | 1991-03-08 | Clutch |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1988093300U JP2528631Y2 (ja) | 1988-07-14 | 1988-07-14 | クラッチ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0213882U JPH0213882U (ja) | 1990-01-29 |
JP2528631Y2 true JP2528631Y2 (ja) | 1997-03-12 |
Family
ID=31317746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1988093300U Expired - Lifetime JP2528631Y2 (ja) | 1988-07-14 | 1988-07-14 | クラッチ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2528631Y2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69129494T2 (de) * | 1991-01-30 | 1998-12-17 | Ntn Corp., Osaka | Einrichtung zur übertragung einer drehbewegung |
US5172660A (en) * | 1992-02-24 | 1992-12-22 | Eaton Corporation | Camshaft phase change device |
US5172658A (en) * | 1992-02-24 | 1992-12-22 | Eaton Corporation | Camshaft phase change device |
US5172662A (en) * | 1992-02-24 | 1992-12-22 | Eaton Corporation | Camshaft phase change device |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61180875U (ja) * | 1985-05-02 | 1986-11-11 |
-
1988
- 1988-07-14 JP JP1988093300U patent/JP2528631Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0213882U (ja) | 1990-01-29 |
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