JP2528471B2 - ジクロロシラン類の製造方法 - Google Patents

ジクロロシラン類の製造方法

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JP2528471B2
JP2528471B2 JP62155209A JP15520987A JP2528471B2 JP 2528471 B2 JP2528471 B2 JP 2528471B2 JP 62155209 A JP62155209 A JP 62155209A JP 15520987 A JP15520987 A JP 15520987A JP 2528471 B2 JP2528471 B2 JP 2528471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、ジクロロシラン類の製造方法に関する。
[従来の技術] ジクロロジメチルシランは、現在、種々のシリコーン
の原料などとして大量に製造されている。
この従来の製造法は、Rochowの直接法によるものであ
る(「有機ケイ素化合物の化学(化学同人)」9頁、19
72年参照)。
しかしながら、この方法は、生成物が複雑で、ジクロ
ロジメチルシランは、40種類以上の反応混合物の中から
蒸留によって分離する必要があり、高純度のものが得ら
れ難い等の欠点を有している(「有機ケイ素化合物の化
学(化学同人)」9頁、1972年参照)。事実、この方法
で得られるジクロロジメチルシランから製造したパーメ
チルポリシランは、そのSi−Si結合の電子的性質によ
り、電子材料として極めて有用なものであると期待され
たが、実際には、不溶、不融の性質のため、現在シリコ
ンカーバイド繊維材料としてわずかに使用されているに
すぎない。
このように、パーメチルポリシランは不溶、不融であ
って、その成形加工が不能であるのは、ジクロロジメチ
ルシラン中に含まれるメチルトリクロロシランが架橋反
応を起しているためであり、これを解決するために、精
密蒸留法により精製してメチルトリクロロシラン含量を
約20ppm以下にまで低減せしめた純度の高いジクロロジ
メチルシランを原料として用いることにより、溶媒可溶
なパーメチルポリシランの得られることが知られている
[ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー
・ケミストリー・イー・ディー、第17巻、9号、2833〜
2843頁、1979年(J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,Ed.17
(9)2833〜2843、1979)]。
しかしながら、この方法において、メチルトリクロロ
シラン含量が300ppmとなるまで高度に精製された原料を
使用する必要があること、ジクロロジメチルシランの収
率が18%程度と著しく低いこと、得られたジクロロジメ
チルシラン中に、なお、約20ppm程度のメチルトリクロ
ロシランが残留することなどの問題点があった。
[発明の目的] この発明は、前記実情に基いてなされたものである。
この発明の目的は、架橋剤等として作用するトリクロ
ロシランを含有しない高純度のジクロロシラン類を、容
易に、高収率で得ることができるジクロロシラン類の製
造方法を提供することである。
[問題点を解決するための手段] この発明者らは、前記問題点を解決すべく鋭意研究を
重ねた結果、シクロポリシロキサン類という特定の化合
物と、トリクロロメチル基を有する芳香族化合物という
特定の化合物とを反応させるという新規な反応を用いる
ことにより、前記目的を容易に達成できることを見出
し、この知見に基いてこの発明を完成するに至った。
すなわち、前記問題点を解決するためのこの発明の概
要は、シクロポリシロキサン類とトリクロロメチル基を
有する芳香族化合物とを反応させることを特徴とするジ
クロロシラン類の製造方法である。
前記シクロポリシロキサン類は、次の一般式(I)で
表わされる化合物である。
ただし、式(I)中、R1、R2は置換基を有していても
よいメチル基またはフェニル基を表し、nは、通常、2
〜20の整数、好ましくは、3〜6の整数を表わし、特に
好ましくは、n=4である。
さらに、この発明方法においては、前記シクロポリシ
ロキサン類として、前記一般式(I)で表わされる化合
物の1つまたは複数のメチル基またはフェニル基の水素
原子が、反応を実質的に阻害しない置換基で置換されて
いる化合物も使用することができる。
このような置換基として、たとえば、フッ素原子、塩
素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基などのアルキル基;クロロメチル基、
フルオロメチル基、クロロエチル基などのハロアルキル
基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール
基もしくはアラルキル基;ニトロ基;ニトロメチル基な
どのニトロアルキル基などを挙げることができる。
前記一般式(I)で表わされる化合物の具体例として
は、たとえば、テトラメチルシクロジシロキサン(n=
2)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(n=3)、
オクタメチルシクロテトラシロキサン(n=4)、デカ
メチルシクロペンタシロキサン(n=5)、ドデカメチ
ルシクロヘキサシロキサン(n=6)、テトラデカメチ
ルヘプタシロキサン(n=7)、ヘキサデカメチルシク
ロオクタシロキサン(n=8)、オフタデカメチルシク
ロノナシロキサン(n=9)、イコサメチルシクロデカ
シロキサン(n=10)、ドコサメチルシクロウンデカシ
ロキサン(n=11)、テトラコサシクロドデカシロキサ
ン(n=12)、ヘキサフェニルシクロトリシクロトリシ
ロキサン(n=3)、オクタフェニルシクロテトラシロ
キサン(n=4)、トリメチルトリフェニルトリシロキ
サン(n=3)、テトラメチルテトラフェニルトリシロ
キサン(n=4)などを挙げることができる。
また、前記置換基を有するシクロポリシロキサン類と
しては、たとえば、じ(クロロメチル)ジメチルシクロ
ジシロキサン、トリ(クロロメチル)トリメチルシクロ
トリシロキサン、テトラ(クロロメチル)テトラメチル
シクロテトラシロキサン、ペンタ(クロロメチル)ペン
タメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサ(クロロメチ
ル)ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、オクタ(ク
ロロメチル)シクロテトラシロキサン、テトラエチルテ
トラメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシク
ロテトラシロキサン、テトラフェニルメチルテトラメチ
ルシクロテトラシロキサン、テトラブチルテトラメチル
シクロテトラシロキサン、テトラ(ニトロメチル)テト
ラメチルシクロテトラシロキサンなどを挙げることがで
きる。
これらの中でも、ヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチル
シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシ
ロキサンなどが好ましく、特にオクタメチルシクロテト
ラシロキサンが好ましい。
なお、これら様々なシクロポリシロキサン類は、1種
単独で用いても、2種以上を混合するなどして組合せて
用いてもよい。
前記前記トリクロロメチル基含有芳香族化合物すなわ
ちトリクロロメチル基を有する芳香族化合物は、芳香族
化合物の芳香族環に、トリクロロメチル基(−CCl3
が、少なくとも1個、通常は1〜4個を置換した化合物
である。
前記芳香族環としては、たとえば、ベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環、フエナントレン環などを挙
げることができる。
これらの中で好ましいのは、ベンゼン環である。
なお、これらの芳香族環には、反応を阻害しない置換
基が置換されていてもよい。そのような置換基として、
たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロ
ゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル
基、シクロヘキシル基、オクチル基などの直鎖状、環
状、あるいは分岐状のアルキル基;フェニル基、トリル
基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などのアリ
ール基もしくはアラルキル基などを挙げることができ
る。
前記トリクロロメチル基を有する芳香族化合物の具体
例としては、たとえば、ベンゾクロリド(α,α,α−
トリクロロトルエン)、o−クロロベンゾトリクロリ
ド、m−クロロベンゾトリクロリド、p−クロロベンゾ
トリクロリド、o−メチルベンゾトリクロリド、m−メ
チルベンゾトリクロリド、p−メチルベンゾトリクロリ
ド、エチルベンゾトリクロリド、ジメチルベンゾトリク
ロリド、フェニルベンゾトリクロリド、ビス(トリクロ
ロメチル)ベンゼン、トリス(トリクロロメチル)ベン
ゼン、テトラキス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス
(トリクロロメチル)トルエン、1−トリクロロメチル
ナフタレン、2−トリクロロメチルナフタレン、2,6−
ビス(トリクロロメチル)ナフタレン、1,4−ビス(ト
リクロロメチル)ナフタレン、1−クロロメチル−4−
メチルナフタレン、1−トリクロロメチルアントラセ
ン、2−トリクロロメチルアントラセンなどを挙げるこ
とができる。
これらの中でも、入手が容易である点から特にベンゾ
トリクロリド類が好ましく、特にベンゾトリクロリドが
好ましい。
この発明方法においては、前記シクロポリシロキサン
類と前記トリクロロメチル基を有する芳香族化合物とを
反応させて、ジクロロシラン類を製造する。
この発明の方法により得られたジクロロシラン類は以
下の一般式(II)で示される化合物である。
(ただし、前記式中、R1およびR2は前記と同様の意味
を表す。) この反応に用いる前記シクロポリシロキサン類(A)
と前記トリクロロメチル基を有する芳香族化合物(B)
との割合は、特に制限はなないが、(A)対(B)をモ
ル比で表わして、1:[k/(2xj)]〜1:(100xk/j)、好
ましくは、1:k/j〜1:1.5x(k/j)とするのが好適であ
る。
ただし、前記、kは、使用する(A)成分中の−Si−
0−単位の合計モル数を表わし、jは、使用する(B)
成分中の芳香族環に直接結合した反応性のトリクロロメ
チル基の合計モル数を表わす。すなわち、たとえば、
(A)成分として、1分子中の−Si−0−単位の数がn
であるシクロポリシロキサン類を単独で用い、(B)成
分として、1分子中に前記クロロメチル基をm個有する
芳香族化合物とを用いて反応を行う場合には、その使用
割合を、上記でk=n、j=mとした範囲に設定すれば
よい。
用いる(B)成分の割合が、上記の範囲未満である
と、収率が著しく低下し、一方上記範囲を越えると、収
率の改善等の効果が低下し、未反応の(B)成分の量が
増加して、その回収工程が煩雑になることがある。
この発明方法においては、前記反応を円滑に進行させ
る目的で、通常、触媒を使用するのが望ましい。
この触媒としては、ルイス酸だ好適であり、中でも、
通常用いられるハロゲン化金属系のルイス酸が好まし
く、具体的には特に、塩化第二鉄、五塩化アンチモンな
どが好ましい。
触媒の使用割合は、特に制限はないが、通常の場合、
シクロポリシロキサン類1モル当り10-5〜1モル、好ま
しくは10-3〜0.05モルである。
前記反応には、必要に応じて溶媒を用いることができ
る。用いるシクロポリシロキサン類が、反応条件下で液
体であれば、特に溶媒を必要としない。所望により溶媒
を用いる場合には、前記反応に支障のないものを使用す
ることができる。そのような溶媒の具体例としては、た
とえば、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカンなどの
アルカン類;シクロヘキサンなどのシクロアルカン類;
四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ニトロベンゼ
ン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;二硫化炭素など
を挙げることができる。
反応温度としては、通常0〜150℃、好ましくは、30
〜90℃の範囲が適当である。反応温度が低すぎると反応
の速度が遅くなり、反応完結までの時間が長くなり、一
方、反応温度が高すぎると収率が低下することがある。
なお、反応温度が、生成物であるジクロロジメチルシ
ランの沸点(70.7℃)よりも高温である場合には、反応
器に還流冷却器、あるいは、蒸留ヘッドなどを取り付け
て、生成するジクロロジメチルシランを還流させるかあ
るいは留去させる方法を採用するのが望ましい。
反応圧力は、特に制限はなく、必要に応じて、加圧、
減圧のいずれも使用できるが、通常は、大気圧で行うの
が、特に付帯設備を必要としない点から好ましい。
反応方法としては、特に制限はなく、連続法、半連続
法、回分法を用いることができ、原料の添加順序も特に
制限はないが、前記反応は、発熱反応であるため、原料
の一方を滴下するなどして添加しつつ反応を行う方法を
採用するのが好ましい。通常は、シクロポリシロキサン
類と触媒とを反応器に仕込んだ後、トリクロロメチル基
を有する芳香族化合物を滴下する方法を好適なものとし
て採用することができる。この際、滴下速度は所望の反
応温度を維持するよう適宜に調節するのが望ましい。
反応時間は、所定の反応原料を供給終了後、通常10分
〜30時間、好ましくは30分〜3時間とするのが適当であ
る。
なお、前記反応は、撹拌下で行うのが望ましい。
以上のようにして、目的生成物であるジクロロシラン
類を高い収率で得ることができる。このジクロロシラン
類の分離、精製は、公知の種々の方法によって行うこと
ができるが、反応混合物を蒸留する方法が簡便であり、
好適である。
ごく粗い蒸留により、分離したジクロロシラン類は、
少量の塩化水素を含むことがあるが、このような場合、
必要があれば再度蒸留することによって塩化水素を含有
しない極めて高純度のジクロロシラン類を得ることがで
きる。
この発明方法の反応においては、ジクロロシラン類の
他に、副生成物として芳香族カルボニルクロリド類が得
られる。このアシルクロリド類および未反応原料や溶媒
は、蒸留等の通常の分離精製方法によって回収すること
ができる。
回収した未反応原料や溶媒は、そのままあるいは、必
要に応じてさらに精製を行って、再び反応に用いること
ができる。
また、得られたアシルクロリド類は、たとえば香料の
中間体などの種々の有機合成の分野に好適に利用するこ
とができる。
以上のようにして、回収したジクロロシラン類は、メ
チルトリクロロシラン類を実質的に含有しない極めて高
い純度を有しており、通常の用途のほかにたとえば、架
橋のないホモポリマーやコポリマーや分岐のないオリゴ
マーの原料として、中でも特に半導体、通電材料等の電
子材料分野に好適なポリマーの原料として、あるいは、
その他の高純度を要する有機および無機合成用の原料等
として好適に用いることができる。
以上、この発明方法について詳細に説明したが、次
に、この発明方法によって製造された高純度のジクロロ
シラン類の応用の一例として、この発明方法で得たジク
ロロシラン類の重合による架橋や分岐構造を有しない直
鎖状、あるいは環状のポリシラン等のポリシラン類の製
造法の例を述べる。
なお、以下には、重合用モノマーとして、この発明の
方法により製造された高純度のジクロロジメチルシラン
を用いた場合について示すが、所望によりこの発明の方
法により得られた他のジクロロシラン類を用いても同様
にして行い得る。
この重合反応は、分子量調節剤を用いない場合には、
形式的に、次の反応式(i) (ただし、式(i)中、Mは、アルカリ金属を表わし、
X、Yは、HまたはClを表わす。pは、2以上の整数、
qは、通常4以上の整数を表わす。)で表わすことがで
き、また、分子量調節剤として、クロロトリメチルシラ
ンを用いた場合には、形式的にたとえば、次の反応式
(ii) (ただし、式(ii)中、M、Pおよびqは前記式(i)
中のものと同様の意味を有する。)で表わすことができ
る。
この重合反応では、反応原料の一方として、リチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を用い
る。このアルカリ金属は、その分散物(ディスパージョ
ン)として、あるいは、ナトリウム−カリウム含金等の
合金などとして用いてもよい。これらは、いずれも好適
に使用することができるが、カリウムは発火の危険性が
高く、またリチウムは高価であるので、通常、ナトリウ
ムを用いるのが特に好ましい。
この重合反応は、前記のように所望により分子量調節
剤を用いて行うことができる。単に分子量を調節するこ
とを目的とするならば、前記クロロトリメチルシラン以
外の公知の様々なものを用いることができるが、分子量
調節剤として特にクロロトリメチルシランを用いること
により、低分子量のパーメチルポリシランやオリゴマ
ーを得ることができ、ポリマー鎖の両末端をメチル基
にすることができる。
上記を目的とする場合には、クロロトリメチルシラ
ンは、モノマーのジクロロジメチルシランを混合して使
用すれば良く、クロロトリメチルシランの使用量が多い
ほど、分子量の低いポリシランが得られる。上記の場
合には、ジクロロジメチルシランとアルカリ金属をまず
反応させ、次いで、クロロトリメチルシランを添加し、
さらに反応させることによって目的を達成することがで
きる。
この2種の方法を同時に使用することによって、低分
子量でかつポリマー鎖の両末端がメチル基であるポリシ
ランを得ることができる。
この重合反応は、化学量論では、用いる原料の塩素原
子の合計モル数と等量のアルカリ金属とによって完結す
る。
アルカリ金属の使用量は、通常化学量論の0.7〜3.0
倍、好ましくは、1.0〜1.5倍とするのが適当である。ア
ルカリ金属の量が少なすぎるとポリシランの収率が低く
なり、また分子量が極めて小さくなり、一方、多すぎる
と、反応終了後のアルカリ金属の残存量が増加し、その
分解に時間を要する。
なお、重合反応後、クロロトリメチルシランを添加し
て、さらに反応させる場合には、最初の重合反応をアル
カリ金属が過剰になる条件、好ましくは化学量論の1.05
〜1.2倍程度で反応させ、過剰量のアルカリ金属と等モ
ル量あるいはそれ以上のクロロトリメチルシランを添加
する方法が好適である。
この重合反応は、無溶媒で行うこともできるが、通常
は溶媒を使用する。この溶媒としては、たとえば、ヘキ
サン、ヘプタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類など
が使用することができる。
この溶媒は、用いるアルカリ金属の種類および形態に
よって適宜に選択することができる。たとえば、金属ナ
トリウムを用いる場合、常圧でナトリウム分散物を調製
することができるような、ナトリウムの融点以上の沸点
を有するドデカン、トルエン、キシレンなどが好適であ
り、金属リチウムを用いる場合には、エーテル系の溶媒
が反応速度の増加の点から好適である。
なお、溶媒は、乾燥したものを用いるのが、好まし
い。
この重合の反応温度は、使用するモノマー等の沸点に
よって適宜に調節して行うのが望ましい。ジクロロジメ
チルシランの常圧での沸点が70.7℃であるから、反応温
度は、10〜70℃が適当であり、また、クロロトリメチル
シラン(沸点56.7℃)を添加して反応させる場合には、
反応温度は、10〜65℃が適当である。
この反応温度が、10℃未満であると反応の進行が遅
く、反応に長時間を要することがある。なお、この重合
反応は、加圧して行うことにより、上記よりも、より高
温で行うことができる。
この重合反応において、用いる各成分の添加順序とし
ては、特に限定はないが、反応操作の簡便さなどの点か
ら、通常、溶媒、アルカリ金属、ジクロロジメチルシラ
ンの順に添加するのが好適である。条件により、強く発
熱する場合があるが、上記の添加順序では、ジクロロジ
メチルシランの添加速度を調節することによって発熱を
制御できる。
この重合反応を行うに際して、反応容器は、予め、窒
素、アルゴン等の不活性ガスで置換しておくことが望ま
しい。また、反応時には、強く撹拌することが望まし
い。
この重合反応の反応時間は、温度等の他の条件によっ
て異なるので一様ではないが、通常は、1〜200時間、
好ましくは5〜50時間程度である。
以上のようにして、この発明方法により得られた高純
度で特に架橋反応や分岐反応の原因となるメチルトリク
ロロシラン類等を含有しないジクロロシラン類を用いる
ことにより、架橋や分岐のない様々な分子量のポリシラ
ン類を製造することができる。得られたポリシラン等の
ポリシラン類は、溶媒に可溶であり、したがって加工性
に優れているので、たとえば半導体、導電材料等の電子
材料等への好適な応用が期待できるものである。
[発明の効果] この発明によると、特定な原料化合物による新しい反
応を用いているので、従来法に比べて、著しく高純度
で、しかも、重合反応等に用いたときに、架橋反応や分
岐反応の原因となるメチルトリクロロシラン類を含有し
ないジクロロシラン等のジクロロシラン類を高い収率
で、容易に得ることができ、精密化学産業等に極めて有
用な新規なジクロロシラン類の製造方法を提供すること
ができる。
[実施例] (実施例1) 撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を取り
付けた500mlの4つ口フラスコにオクタメチルシクロテ
トラシロキサン74.14g(0.25モル)、無水塩化第二鉄8.
10g(0.050モル)を加え、油浴により、50℃に加熱し
た。撹拌下に、ベンゾトリクロリド205.3g(1.05モル)
を、滴下ロートから、2時間かけて滴下した。フラスコ
内の温度は、55〜60℃であった。滴下終了後に60℃で30
分間加熱し、撹拌を続けた。その後、フラスコより還流
冷却器、滴下ロートを取外し、新たに冷却器付き蒸留ヘ
ッドを取り付けた。撹拌下に油浴の温度を上昇させ、ジ
クロロジメチルシラン123g(0.953モル)を得た。
収率は、オクタメチルシクロテトラシロキサンに対
し、95.3モル%であった。
ジクロロジメチルシランを留去した反応混合物を減圧
下、蒸留することで塩化ベンゾル122g(0.868モル)を
得た。
収率はベンゾトリクロリドに対し、83モル%であっ
た。
上記方法で得たジクロロジメチルシランのプロトン核
磁気共鳴スペクトルを測定した。メチルトリクロロシラ
ンに相当するピークは観測できなかった。
(参考例1) 攪拌器、塩化カルシウム管付還流冷却器および窒素導
入管付滴下ロート温度計を取り付けた200mlのガラス製
四つ口フラスコに窒素導入管から窒素ガスを導入しなが
ら、乾燥トルエン40ml、金属ナトリウム11.4g(0.50モ
ル)を加えた。
油浴によりフラスコを110℃に加熱し、激しく撹拌し
ながら、油浴を取り除き、フラスコを冷却することでナ
トリウム分散を調製した。
油浴によりフラスコを60℃に加熱し、撹拌下、前記実
施例1で得たジクロロジメチルシラン25.8g(0.20モ
ル)クロロトリメチルシラン5.43g(0.050モル)および
乾燥トルエン40mlの混合物を滴下ロートから1時間にわ
たって滴下した。
滴下終了後、40時間60℃で加熱、撹拌を続けた。クロ
ロトリメチルシラン5.43g(0.050モル)を滴下ロートよ
り加え、60℃で5時間加熱、撹拌した。
反応混合物を室温まで冷却し、トルエン50mlを加えた
後、撹拌下メタノールを少量ずつ加え、未反応の金属ナ
トリウムを分解した。分解後、水10mlを加え、加熱によ
りメタノール、水、およびトルエンの一部を留去した
後、残渣を減圧下に熱時濾過した。濾過残渣を熱トルエ
ン100mlずつ4回洗浄した。
この濾過残渣を減圧下に乾燥後、破壊して得られた粉
末を中性になるまで熱水で洗浄後、減圧乾燥し、白色粉
末状の直鎖および環状のパーメチルポリシランポリマー
6.20gを得た。
一方、濾過により得られたトルエン溶液を濃縮し、白
色ワックス状の直鎖および環状のパーメチルポリシラン
オリゴマー3.39gを得た。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるシクロポリシ
    ロキサン類と、芳香族化合物の芳香族環に、トリクロロ
    メチル基を置換したトリクロロメチル基含有芳香族化合
    物とを反応させることを特徴とする以下の一般式(II)
    で示されるジクロロシラン類の製造方法。 (ただし、前記式中、R1およびR2は置換基を有していて
    もよいメチル基またはフェニル基を表し、nは、通常、
    2〜20の整数を表す。) (ただし、前記式中、R1およびR2は前記と同様の意味を
    表す。)
  2. 【請求項2】シクロポリシロキサン類がパーメチルシク
    ロポリシロキサンである特許請求の範囲第1項記載のジ
    クロロシランの製造方法。
  3. 【請求項3】シクロポリシロキサン類が、ケイ素数3〜
    6のシクロポリシロキサン類である特許請求範囲第1項
    または第2項記載のジクロロシラン類の製造方法。
  4. 【請求項4】トリクロロメチル基含有芳香族化合物が、
    ベンゾトリクロリド類である特許請求の範囲第1項から
    第3項までのいずれかに記載のジクロロシラン類の製造
    方法。
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