JP2527396Y2 - プーリ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ベルト伝動装置に組込まれるプーリに関
するものである。

〔従来の技術〕

一般に、自動車のエンジンの回転をスーパーチャージ
ャやオルタネータ等の自動車補機に伝達するベルト伝動
装置においては、第３図に示すように、エンジンのクラ
ンク軸50に取付けた駆動プーリ51と補機の入力軸に接続
される従動軸52の従動プーリ53との間にベルト54をかけ
渡し、そのベルト54に接触させたテンションプーリ55を
ステー56の長孔57に沿って移動自在に設けられたスライ
ダブロック58で支持している。また、スライダブロック
58にねじ係合したボルト59を上記ステー56の支持片60で
回転自在に支持し、そのボルト59の回転によりスライダ
ブロック58と共にテンションプーリ55を長孔57に沿って
移動してベルト54の張力を調整している。

また、自動車補機のレイアウトからアイドラ・プーリ
（図示省略）を組込むことも多くある。

上記テンションプーリおよびアイドラ・プーリの従来
技術として、第４図に示したものがある。このプーリ
は、プーリ軸60の外側に転がり軸受61を取付け、その転
がり軸受61によって金属板をプレス成形したプーリ本体
62を回転自在に支持している。そして、プーリ本体62
は、環状フランジ63の内径部に前記転がり軸受61の外側
に圧入される内筒部64を設け、環状フランジ63の外径部
にはベルト案内用の外筒部65を設けた構成とされてい
る。

ところで、前記ベルト伝動装置は、普通、エンジンル
ーム内に露出する取付けであって、カバーを有しないた
め、ベルト伝動装置に組込まれるテンションプーリやア
イドラ・プーリが上記のような構成であると、フロント
ホイールによってはね上げられた泥水や塵埃が軸受61の
内部に侵入して転がり軸受61の寿命を著しく低下させ
る。

その対策として、プーリ軸60を支持する固定用ボルト
66の先端部に皿形のカバー67を嵌合し、ボルト66の先端
にねじ係合したナット78の締付けにより上記カバー67を
固定し、そのカバー67の外径部とプーリ本体62との間に
ラビリンスＬを設けるが一般的である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記の防塵対策では、転がり軸受61を完全
密閉することができないため、泥水や塵埃の侵入を完全
に防止することができず、上記ラビリンスから侵入した
泥水や塵埃は、軸受61の回転に伴なう圧力及び温度上昇
後の低下時に軸受内部に吸い込まれ、軸受寿命を低下さ
せるという不都合がある。

そこで、この考案は上記の不都合を解消し、軸受内部
に泥水や塵埃が侵入するのを略完全に防止することがで
きるようにして軸受寿命の向上を図ることを技術的課題
といている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案においては、
転がり軸受によって回転自在に支持される金属板のプレ
ス成形品から成るプーリ本体を、上記転がり軸受の外側
に圧入される内筒部の一端に、その内筒部の一端開口を
閉塞する盲板を設け、上記内筒部の他端外周にフランジ
を形成し、そのフランジの外径縁にベルト案内用の外筒
部を設けた構成とし、前記内筒部の他端開口を覆う環状
のシール部材の外径部をプーリ本体に固着し、該シール
部材は内径縁に筒部を有し、その筒部の内径面と前記プ
ーリ軸の外径面間にラビリンスを設けた構成を採用して
いる。

〔作用〕

上記のように構成すれば、内筒部の一端に設けた盲板
と内筒部の他端開口を覆うシール部材によって転がり軸
受の内部に泥水や塵埃が侵入するのを防止することがで
きる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を第１図及び第２図に基づい
て説明する。

第１図に示すように、プーリ軸１の外側には転がり軸
受10が取付けられ、その転がり軸受10によって、金属板
のプレス成形品から成るプーリ本体20が回転自在に支持
されている。

プーリ軸１は、角軸部２を一端に有し、その角軸部２
の端面に軸方向のねじ孔３が設けられている。このプー
リ軸１は、ステー40に形成した長孔41にスライド自在に
挿入されて回り止めされ、上記ステー40の背面側からね
じ孔３にねじ込むボルト42の締付けによりスライダブロ
ック43に取付けられる。このスライダブロック43は、第
３図に示す従来例と同様に、ステー40に回転自在に支持
されたボルトの回転によって長孔41に沿って移動され
る。

転がり軸受10は、外輪11と、内輪12と、その両輪11、
12間に組込まれたボール13および保持器14から形成さ
れ、外輪11と内輪12間の両側の開口は一対のシール部材
15によって密封されている。

なお、上記のような転がり軸受10に代えて、外輪、ボ
ールおよび保持器から成る転がり軸受を用いてもよい。
この場合、プーリ軸１の外周にボールの移動を案内する
軌道溝を設けるようにする。

プーリ本体20は、転がり軸受10の外側に圧入される内
筒部21を有し、その内筒部21の一端に、その内筒部21の
一端開口を閉塞する盲板22が設けられている。

また、内筒部21の他端外周にはフランジ23が設けら
れ、そのフランジ23の外径縁に外筒部24が形成されてい
る。さらに、外筒部24の開口縁には、鍔部25が設けられ
ている。ここで、プーリ本体20によって移動案内される
ベルトＶが平ベルトの場合には、そのベルトＶを外筒部
24の外周に直接掛けるようにし、上記ベルトＶがマイク
ロＶリブベルトの場合には、第１図の鎖線（イ）で示す
ように、外筒部24の外側に、複列のＶ溝を有する環体を
圧入し、その環体でベルトの移動を案内する。

前記プーリ本体20のフランジ23には、内筒部21の他端
開口を覆う環状シール部材30の外径部が溶接による手段
を介して固着され、そのシール部材30の内径縁に設けた
筒部31の内径面とプーリ軸１の外径面間にラビリンスＬ
が設けられている。

上記のように、内筒部21の一端に盲板22を設けたこと
により、その盲板22は、転がり軸受10の一側面およびプ
ーリ軸１の端面を覆うため、第１図に示すプーリを第３
図に示すベルト伝動装置のテンションプーリとして、あ
るいはアイドラ・プーリとして使用することにより、フ
ロントホイールの回転によってはね上げられた泥水が転
がり軸受の一側面から内部に侵入するのを完全に防止す
ることができる。

また、プーリ本体20の内筒部21の他端開口はシール部
材30によって覆われ、そのシール部材30はプーリ本体20
と共に回転し、その内径縁に筒部31が設けられているた
め、泥水や塵埃を振り飛ばすスリンガーの役目をし、し
かも筒部31の内径面とプーリ軸１との間にラビリンスが
設けられているため、転がり軸受10の他側面から軸受内
部に泥水や塵埃が侵入するのをほぼ確実に防止すること
ができる。

第２図は、この考案に係るプーリの第２の実施例を示
し、この実施例においては、第１図に示すプーリのねじ
孔３に代えて、プーリ軸１の角軸部２にねじ軸４を設け
ており、他の構成は、第１図のプーリと同じであるた
め、同一部分に同じ符合付して説明を省略する。

上記のプーリにおいては、ねじ軸４にねじ込んだ一対
のナット44、44の締付けによって、そのねじ軸４をスラ
イダブロック43に取付ける。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案においては、内筒部の一端に
盲板を設けたことにより、転がり軸受の一側面を密閉す
ることができ、泥水や塵埃等の異物の侵入を完全に防止
することができる。

また、内筒部の他端開口を環状のシール部材で覆い、
そのシール部材の外径部をプーリ本体に固着したことに
より、シール部材はプール本体と共に回転し、そのシー
ル部材の内径縁に筒部を設けたことにより、シール部材
は泥水や塵埃等の異物を振り飛ばすスリンガーの役目を
なし、そのシール部材の筒部の内径面とプーリ軸の外径
面間にラビリンスが形成されているため、転がり軸受の
他側面から内部に異物が侵入するのを略完全に防止する
ことができ、転がり軸受の寿命向上に大きな効果を上げ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るプーリの第１の実施例を示す
断面図、第２図は同上のプーリの第２の実施例を示す断
面図、第３図はベルト伝動装置の概略図、第４図は従来
のプーリを示す断面図である。 １……プーリ軸、10……転がり軸受、20……プーリ本
体、21……内筒部、22……盲板、23……フランジ、24…
…外筒部、30……シール部材。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プーリ軸の外側に転がり軸受を取付け、そ
   の転がり軸受に回転自在に支持されたプーリ本体を金属
   板のプレス成形品としたプーリにおいて、前記プーリ本
   体が、転がり軸受の外側に圧入される内筒部の一端に、
   その内筒部の一端開口を閉塞する盲板を設け、上記内筒
   部の他端外周にフランジを形成し、そのフランジの外径
   縁にベルト案内用の外筒部を設けた構成とされ、前記内
   筒部の他端開口を覆う環状のシール部材の外径部をプー
   リ本体に固着し、該シール部材は内径縁に筒部を有し、
   その筒部の内径縁と前記プーリ軸の外径面間にラビリン
   スを設けたことを特徴とするプーリ。