JP2526063Y2 - 指針式時計のカレンダ表示装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案に技術分野］ この考案は指針式時計のカレンダ表示装置に関する。

［従来技術］ カレンダ表示機能を備えた指針式時計は、時計基枠の
上面の外周部にリング状の日車（カレンダ表示板）が回
転可能に設けられ、24時間で１回転する日回し車の１回
転に伴い、日回し車の日送り爪が日車の内周部に形成さ
れた歯部と係脱することにより、日車が順方向に所定の
角度回転し、これにより日車の日付が１日分だけ切り換
わるようになっている。

このような指針式時計では、日車の縦アガキ及び横ア
ガキを規制すると共に、日車の不要な回転を規制する必
要がある。

そこで、従来では、一例として、日車の歯部の部分を
一段低くし、この一段低くした歯部の部分を金属板から
なる日車押え部材の外周部によって押え付けると共に、
日車押え部材を時計基枠にビス等によって取り付けるこ
とにより、日車の縦アガキ及び横アガキを規制し、一
方、日車押え部材の外周部の所定の箇所に片持ち状の弾
性規制部を形成し、この弾性規制部の先端を日車の歯部
に係脱可能に係合させることにより、日車の順方向への
回転を可能とした状態で日車の不要な回転を規制するよ
うにしている。

［従来技術の問題点］ ところで、従来のこのような指針式時計のカレンダ表
示装置では、日車を日車押え部材によって押え付けるだ
けで、日車の縦アガキ及び横アガキの規制を行っている
ので、この部分を組立てる場合には、まず時計基枠の上
面外周部に日車を載置し、次いで日車の内周部上面に日
車押え部材を載置し、この状態で日車押え部材を時計基
枠にビス等によって取り付けることになる。

しかしながら、日車押え部材には弾性規制部が形成さ
れているので、日車押え部材を組込む際に、弾性規制部
の先端が日車の歯部と係合するように、日車を予め位置
決めして組込んでおかなければならず、しかも弾性規制
部を適宜に弾性変形させた状態で日車押え部材を時計基
枠にビス等によって取り付けなければならず、したがっ
て組立作業が面倒であるという問題があった。

［考案の目的］ この考案は上述の如き事情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、組立作業性の向上を図ること
のできる指針式時計のカレンダ表示装置を提供すること
にある。

［考案の要点］ この考案は上述の如き目的を達成するために、カレン
ダ表示板を時計基枠上において所定の水平方向にある程
度移動可能とする共に、金属板からなるカレンダ押え部
材の所定の外周部の複数の箇所に歯部逃げ用切欠部を形
成し、カレンダ表示板がカレンダ押え部材の他の所定の
外周部に片持ち状に形成された弾性規制部の弾性力に抗
して所定の一方向に移動されたとき、カレンダ表示板の
歯部の一部がカレンダ押え部材の歯部逃げ用切欠部と合
致する状態となることにより、カレンダ表示板の歯部の
一部に対する押え付けが解除され、これによりカレンダ
押え部材を時計基枠に取り付けた後に、カレンダ表示板
を組込むことができるようにしたことを要点とする。

［実施例］ 以下、実施例につき、この考案を詳細に説明する。

第１図〜第３図はこの考案の一実施例を適用した指針
式時計の要部を示したものである。

この指針式時計では、地板等からなる時計基枠１上の
中心部に筒車２が回転可能に配置されている。筒車２に
は指針（図示せず）が取り付けられ、時計方向に12時間
で１回転するようになっている。筒車２の外側における
時計基枠１の上面の所定の箇所には軸部３が突設されて
いる。軸部３には日回し車４が回転可能に取り付けられ
ている。日回し車４は、歯車５の上部に日送り爪６が形
成された構造となっている。日回し車４は、その歯車５
が筒車２と噛合され、筒車２の回転に伴い、反時計方向
に24時間で１回転するようになっている。

時計基枠１の上面の外周部にはリング状の日車収納凹
部11が形成されている。日車収納凹部11の内周側を形成
する時計基枠１の外壁面のうち２時部分から６時部分に
相当する外壁面は、日車ガイド面12を形成している。日
車収納凹部11にはリング状の日車（カレンダ表示板）13
が回転可能に配置されている。日車13は、リング状の日
車本体14の内周部に歯部15が形成され、図示していない
が、日車本体14の上面に１〜31の日を示す数字が印刷等
によって施された構造となっている。日車13は、その歯
部15の一部の先端が日車ガイド面12に当接された状態で
日車収納凹部11に回転可能に配置され、日回し車４の１
回転に伴い日回し車４の日送り爪６がその歯部15と係脱
することにより、反時計方向に所定の角度回転されるよ
うになっている。

日車13の歯部15の部分の上方には日車押え部材21が配
置されている。日車押え部材21は、金属板からなり、ほ
ぼ円形状の日車押え本体22の中心部に筒車２等が挿通さ
れる円孔23が形成され、日車押え本体22の外周部の所定
の箇所に片持ち状の弾性規制部24が形成され、この弾性
規制部24とは反対側における日車押え本体22の外周部の
複数の箇所に日車歯部逃げ用切欠部25が形成された構造
となっている。日車押え部材21は、筒車２の周囲におけ
る時計基枠１上に配置され、３本のビス26によって時計
基枠１に取り付けられている。

この状態では、弾性規制部24の先端が日車13の９時側
の歯部15に圧接していることにより、日車13が９時方向
（左方向）に付勢され、既に説明したように、日車13の
歯部15の一部の先端が日車ガイド面12に当接し、これに
より日車13の横アガキが規制されている。また、日車押
え本体22の複数の日車歯部逃げ用切欠部25の部分が、日
車ガイド面12に当接された日車13の歯部15の上方に位置
していることにより、日車押え本体22によって日車13の
歯部15の部分が押え付けられ、これにより日車13の縦ア
ガキが規制されている。更に、弾性規制部24の先端が日
車13の９時側の歯部15に係脱可能に係合されていること
により、日車13の反時計方向への回転が許容されている
と共に時計方向への回転が阻止された状態で、日車13の
不要な回転が規制されている。

以上のように構成された指針式時計では、日車13を日
車押え部材21の弾性規制部24の弾性力に抗して３時方向
（右方向）に移動させると、第４図及び第５図に示すよ
うに、日車13の歯部15の一部が日車ガイド面12から離れ
て日車押え本体22の複数の日車歯部逃げ用切欠部25と合
致する状態となり、これにより日車押え本体22の複数の
日車歯部逃げ用切欠部25の部分による日車13の歯部15の
一部に対する押え付けが解除される。そこで、この状態
を維持しながら日車13の３時側の部分を第６図に示すよ
うに持ち上げると、日車13の歯部15の一部が日車押え本
体22の複数の日車歯部逃げ用切欠部25を通って日車押え
本体22の上方に位置する状態となる。次いで、この状態
を維持しながら日車13を９時方向に移動させると、日車
13が取り外されることになる。

このように、この指針式時計では、日車押え部材21を
時計基枠１にビス26によって取り付けたままで日車13を
取り外すことができるので、これとは逆に、日車押え部
材21を時計基枠１に取り付けた後に日車13を取り付ける
こともできる。

そこで、次に、日車押え部材21を時計基枠１に取り付
けた後に日車13を取り付ける場合について説明する。

この場合には、まず、日車押え部材12を時計基枠１上
にただ単に位置決めしてつまり弾性規制部24を自由にし
た状態で載置し、次いで日車押え部材21を時計基枠１に
ビス26によって取り付ける。次に、第６図に示すよう
に、日車13を適宜に傾斜させてその９時側の歯部15を弾
性規制部24の先端に係合させ、次いで弾性規制部24を弾
性変形させながら日車13を３時方向に移動させ、第４図
及び第５図に示すように、日車13の歯部15の一部が日車
押え本体22の複数の日車歯部逃げ用切欠部25の上方にお
いてこれら切欠部25と合致する状態とする。次に、この
状態を維持しながら日車13の３時側の部分を押し下げる
と、日車13の歯部15の一部が日車押え本体22の複数の日
車歯部逃げ用切欠部25を通って日車押え本体22の下方に
位置する状態となる。次いで、この状態を維持しながら
日車13を９時方向に移動させると、第１図〜第３図に示
すように、日車13の歯部15の一部の先端が日車押え本体
22の複数の日車歯部逃げ用切欠部25の部分の下方におい
て時計基枠１の日車ガイド面12に当接される状態とな
る。この状態では、既に説明したように、日車13の縦ア
ガキ及び横アガキが規制されると共に、日車13の不要な
回転が規制される。かくして、日車押え部材21及び日車
13の取り付けが終了する。

このように、この指針式時計では、日車押え部材21を
時計基枠１に取り付けた後に日車13を組込むことができ
るので、日車押え部材21を時計基枠１に取り付けると
き、弾性規制部24を自由にした状態で取り付けることが
でき、したがって日車押え部材21を時計基枠１に取り付
ける作業を容易に行うことができ、また日車13を組込む
とき日車13の歯部15を弾性規制部24の先端に係合させる
ことにより、日車13の位置決めを行うことができ、した
がって日車13の位置決めを容易に行うことができ、ひい
ては組立作業性の向上を図ることができる。

なお、上記実施例では、日車押え部材21を時計基枠１
にビス26によって取り付けているが、これに限らず、例
えば日車押え部材21に形成した円孔を合成樹脂製の時計
基枠１上に形成したボスに嵌合させ、ボスの先端を加圧
加熱してカシメる（熱溶着する）ことにより、日車押え
部材21を時計基枠１に取り付けるようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案によれば、金属板から
なるカレンダ押え部材を時計基枠に取り付けた後にカレ
ンダ表示板を組込むことができるので、カレンダ押え部
材を時計基枠に取り付けるとき、弾性規制部を自由にし
た状態で取り付けることができ、したがってカレンダ押
え部材を時計基枠に取り付ける作業を容易に行うことが
でき、またカレンダ表示板を組込むときカレンダ表示板
の歯部を弾性規制部に係合させることにより、カレンダ
表示板の位置決めを行うことができ、したがってカレン
ダ表示板の位置決めを容易に行うことができ、ひいては
組立作業性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はそれぞれのこの考案の一実施例を適用
した指針式時計の要部の平面図、日車押え部材の一部を
切り欠いた同要部の平面図、及び一部の縦断面図、第４
図〜第６図はこの指針式時計の組立て方等を説明するた
めに示す第１図〜第３図にそれぞれ対応する図である。 １……時計基枠、11……日車収納凹部、12……日車ガイ
ド面、13……日車（カレンダ表示板）、15……歯部、21
……日車押え部材、22……弾性規制部、25……日車歯部
逃げ用切欠部、26……ビス。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】時計基枠と、 この時計基枠上に回転可能に配置され、内周部に歯部が
   形成されたリング状のカレンダ表示板と、 金属板からなり、外周部によって前記カレンダ表示板の
   歯部を押え付けた状態で前記時計基枠に取り付けられ、
   外周部の一部に、前記カレンダ表示板の歯部と係脱可能
   に係合して前記カレンダ表示板の不要な回転を規制する
   片持ち状の弾性規制部が形成されたカレンダ押え部材と
   を具備し、 前記カレンダ表示板は、前記時計基枠上において所定の
   水平方向にある程度移動可能であり、 前記弾性規制部とは反対側における前記カレンダ押え部
   材の外周部の複数の箇所に歯部逃げ用切欠部が形成さ
   れ、 前記カレンダ表示板が前記カレンダ押え部材の弾性規制
   部の弾性力に抗して所定の一方向に移動されたとき、前
   記カレンダ表示板の歯部の一部が前記カレンダ押え部材
   の歯部逃げ用切欠部と合致する状態となることにより、
   前記カレンダ表示板の歯部の一部に対する押え付けが解
   除されるようにした、 ことを特徴とする指針式時計のカレンダ表示装置。