JP2525033Y2 - 合成樹脂弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は合成樹脂製の弁に関するもので、詳しくは配
管と接続する弁の接続口内面に抵抗加熱線を埋設し、接
続する合成樹脂管と電気的に溶接接続する合成樹脂製の
弁に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、合成樹脂製弁の構造は、本出願人が特公昭59−
22109号公報で開示された発明による第２図に示すもの
がある。このものは、弁体の球形部を包持する弁体包持
部およびその両側部に設けた配管との接続口からなる一
体に形成された弁箱内に、前記接続口と連通して流路を
形成する通孔を有する弁体を回動自在に包持し、弁体は
通孔の両端側球形部に弁箱の包持部に向かって拡張する
反発力を保有させて弁箱内に包持した球形弁である。弁
機能の最も重要な点は内部流体の密封性にあるが、これ
が前記した弁体に反発力を保有させて弁箱内に包持し、
弁箱と弁体とのシール面圧を高め密封性能を良好にして
いる。

【０００３】 また特開昭60−8582号公報で開示されたものは、樹脂
製の内側ボデイーと樹脂製のボデイーキャップを仮組付
けし、この外側に樹脂製のフレームを成形して樹脂製バ
ルブとしたもので、外側のフレームによって内側ボデイ
ー及びボデイーキャップの強度を補強したものである。 また実開昭62−146091号公報で開示されたものは、電
熱線を付設した管継手であって、内側の溶着面に相当の
圧力を生じさせるために、継手本体の外面にエポキシ樹
脂含浸ガラスクロス層等の耐熱強度を有するガラス基材
層を設けたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで一般に合成樹脂弁は熱に対して敏感で、管と
の接続時における温度上昇の過程を経ると変形を生じ、
前記特公昭59−22109号公報のものでは初期の反発力を
保有させたシール面圧が変化し、また前記特開昭60−85
82号公報のものも、樹脂製の内側ボデイーとボデイーキ
ャップによって弁を構成しているので管との溶融接続時
の温度上昇によって変形し、弁体のシール性能が低下す
る問題がある。従って上記合成樹脂弁における管路との
接続部が接着剤を用いて接続したりメカニカル方式で接
続するものでは問題がないが、電気融着式の弁は弁体と
のシール部に熱を伴うため実用化されなかった。

【０００５】 また後者の実開昭62−146091号公報の管継手は、弁の
接続部を電気融着接続することについて何等示すもので
なく、単に管継手の外面を補強して溶着圧力を生じるよ
うにした継手にすぎないものである。 本考案の目的は、電気的に融着して管と接続する接続
部を有するシール製の良好な合成樹脂弁を提供するもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨は、中央部に弁体包持部と該弁体包持部
の両側に配管との接続口とを設けた合成樹脂製の弁箱ア
ウターと、該弁箱アウターの弁体抱持部から両側接続口
の内面に渡って設けた薄肉合成樹脂製の弁箱インナー
と、該弁箱インナーの外面と前記弁箱アウターの内面と
の間で前記接続口に巻線形状に埋設した抵抗加熱線とか
らなる弁箱と、 前記弁箱の弁体包持部内に埋設した金属製のパッキン
ケースと、該パッキンケース内に装着した一対のパッキ
ンと、該パッキンの内面に接して回動自在に装着し弁棒
によって90度回転されると前記接続口と連通又は遮断す
る球状弁体とからなることを特徴とする合成樹脂弁であ
る。

【０００７】

【作用】

本考案は上記の構成であるから、弁体およびシール用
パッキンは、弁箱の弁体抱持部内に埋設した金属製のパ
ッキンケース内に装着してあるので、熱的影響や外的要
因による変形影響が防止され、弁箱接続口の抵抗加熱線
の加熱によって弁箱が変形したる熱が弁体のシール部に
伝わるのを金属製のパッキンケースによって遮断吸収
し、弁体のパッキンシール部にまで影響を及ぼさない。
従って常に良好なシール性能が確保される。 更に弁箱の弁体抱持部から両側の接続口内面に渡って
薄肉のインナー部分を設けてあるので、抵抗加熱線を弁
箱の両側接続口に渡って巻線の形状に埋設することがで
きる。 このため弁の両端接続口に樹脂管を挿入して通電する
だけで両端の接続部を同時に電気融着して接続できる合
成樹脂弁を弁のシール性能に影響を及ぼさずに得ること
ができる。

【０００８】

【実施例】

第一図は本考案の一実施例を示す合成樹脂製のボール
弁である。 金属製で形成した円筒状ケース４の中央内部に球状の
弁体５および弁棒６を組込み、両端部に設けためねじ部
にケース２、２を螺合してパッキンケースを設けてあ
る。ケース２の内面にはゴム又は合成樹脂等の弾性体の
パッキン３を一体焼付成形または接着あるいははめ込み
等の方法にて装着してある。このように各部品を組付け
た円筒状ケース４を成形金型内に保持し、金型内で溶融
樹脂を射出成形して薄肉の弁箱インナー11を形成し、弁
箱インナー11の外面に抵抗加熱線12を巻いてある。そし
てこの外面に厚肉の弁箱アウター14を射出成形して弁箱
１を形成してある。

【０００９】 弁箱１の両端には接続口15、15を有し、接続口15の内
部には弁箱インナー11を介して抵抗加熱線12が巻線状態
で埋設されており、両端の巻線部は中央部の抵抗加熱線
12でつながっており、巻線部の端部は外部に露出したコ
ネクターピン13と接続してある。 弁体５はその中央上部で弁棒６と連結され、弁棒６の
上端にはハンドル７が装着され、ハンドル７と弁箱１と
の間にＯリング８を装着して弁棒６から外部へ漏れがな
いようにしている。そしてハンドル７を90度回転するこ
とにより、弁棒６を介して弁体５も90度回転し接続口15
との流路が開閉される。

【００１０】 管との接続に際しては、接続口15に合成樹脂製の管を
挿入した後、コネクターピン13、13に電流を通電する
と、接続口15、15内面に埋設した抵抗加熱線12の巻線部
が加熱して接続口15内面と管の外面を溶融し、管と一体
に融着する。 このとき接続口15の加熱により弁箱１の全体も加熱さ
れるが、弁体５とパッキン３のシール部分は金属製パッ
キンケースの内側に設けられているため、熱影響による
弁箱１の変形が遮断され、熱影響は熱伝導の良い金属製
パッキンケースに放熱されて吸収される。このため良好
な初期のシール性が確保される。 尚、Ｏリング９は円筒状ケース４とケース２の組立ね
じ部分からの漏れを防止するために設けたもので、Ｏリ
ング８はパッキンケースと弁棒６との部分からの漏れを
防止する。

【００１１】

【考案の効果】 以上の通り本考案の合成樹脂弁は、弁体のシール性能
を低下させることなく、抵抗加熱線に通電するだけで容
易に弁箱両端の接続部を電気融着できる合成樹脂弁を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図である。 第２図は従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１……弁箱、２……ケース ３……パッキン、４……円筒状ケース ５……弁体、６……弁棒 12……抵抗加熱線、13……コネクターピン 15……接続口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−8582（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−144930（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−1526（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−146091（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部に弁体包持部と該弁体包持部の両側
   に配管との接続口とを設けた合成樹脂製の弁箱アウター
   と、該弁箱アウターの弁体抱持部から両側接続口の内面
   に渡って設けた薄肉合成樹脂製の弁箱インナーと、該弁
   箱インナーの外面と前記弁箱アウターの内面との間で前
   記接続口に巻線形状に埋設した抵抗加熱線とからなる弁
   箱と、 前記弁箱の弁体包持部内に埋設した金属製のパッキンケ
   ースと、該パッキンケース内に装着した一対のパッキン
   と、該パッキンの内面に接して回動自在に装着し弁棒に
   よって90度回転されると前記接続口と連通又は遮断する
   球状弁体と、からなることを特徴とする合成樹脂弁。