JP2523574B2 - 塗工フイルムの製造方法 - Google Patents

塗工フイルムの製造方法

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JP2523574B2 JP62025117A JP2511787A JP2523574B2 JP 2523574 B2 JP2523574 B2 JP 2523574B2 JP 62025117 A JP62025117 A JP 62025117A JP 2511787 A JP2511787 A JP 2511787A JP 2523574 B2 JP2523574 B2 JP 2523574B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、高分子フィルムに紫外線硬化型樹脂を含む
塗料を塗工して硬化塗膜を形成する方法に関し、特に厚
さが50μm以下あるいは200μm以下の薄手高分子フィ
ルムを用いる塗工フィルムの製造方法に関する。
従来の技術 高分子シートあるいはフィルム上に形成された紫外線
硬化型樹脂を紫外線照射ランプ(以下、照射ランプとも
略す)で硬化して塗工シートあるいは塗工フィルムを製
造する方法として一般に建材等に用いられる厚さが数mm
あるいは数10mm以上の厚手の高分子シートの場合は、照
射ランプからの熱線による影響を除くため照射ランプの
ランプ周囲に水冷ジャケットを設けた水フィルターによ
って熱線をカットしその影響を小さくしている。
しかし、高分子シートが数100μm程度の厚さになる
と水フィルターのみでは熱線の除去が困難で強い熱線に
よって高分子シートが熱により軟化変形する。そのた
め、例えば、特開昭52−117337号公報の提案によれば冷
却液がロール内部から表面に流出する冷却ロールを用い
ればこの熱的影響を避けることができるとされている。
発明が解決しようとする問題点 従来提案されている方法を高分子フィルム(以下、フ
ィルムとも略す)の厚さが200μm以下の薄手フィルム
に適用した結果、水フィルターによる方法ではフィルム
の軟化あるいは溶融切断を発生した。
又、特開昭52−117337号公報による方法では熱的影響
をほとんど小さくすることができたが新たな問題が発生
した。すなわち、冷却液によりフィルムが濡れるため、
硬化後フィルムを乾燥させなければならない。又、冷却
液の落下により硬化塗膜面にも冷却液が触れるため硬化
塗膜中の含有物質が冷却液により洗い流される恐れがあ
り、又、冷却液の乾燥パターンがフィルムあるいは硬化
塗膜上に残る。さらに硬化能力(硬化速度)を上げるた
め照射ランプの設置数を多くして回転ドラムにフィルム
の抱きつきを多くすると冷却液が高分子フィルムに塗工
面にまで回り込み、未硬化の塗工面が冷却液によって汚
され均一な塗膜を形成できない。
又、ロール表面に冷却液が流れているためロールとフ
ィルムの均一接触を安定に保持するには冷却液の流量を
調節する必要があるが冷却液がロールとフィルム接触面
以外にも流れているためロール表面に均一に冷却液を保
持させることは原理的に困難で厚さが50μm以下の薄手
フィルムは特にロールとの密着のバラツキが熱的変形と
なって現われ均一な塗膜を安定に形成することができな
い。
又、ロールから水が落下するためロール周囲に多数の
照射ランプを設置することが困難であり紫外線硬化塗工
の難点である高速塗工が困難となっている。
又、塗工時にフィルムが切断した場合、冷却液が直
接、あるいはフィルム上の冷却液が照射ランプに飛散し
てランプを破損する問題がある。又、紫外線硬化型樹脂
と反応開始剤とからなる塗料の粘度を下げるために溶剤
を添加した塗料を用いて、特に厚さが200μ以下のフイ
ルムに連続塗工する場合に紫外線硬化型樹脂の塗料は、
塗工後に塗膜のムラが発生しやすく均一な塗膜が得られ
にくい、あるいはフイルムの走行安定性が不安定になり
安定に塗工できない問題点が発生した。
本発明は、厚さが50μm以下の薄手高分子フィルムを
用いても照射ランプの熱的影響をまったくなく長時間安
定に塗工でき、かつ冷却液の汚れ等による問題がなく均
一な硬化塗膜を形成でき、又、多数の照射ランプを設置
して高速塗工でき、ランプを破損するような問題もない
塗工フィルムの製造方法、及び少なくとも紫外線硬化型
樹脂と反応開始剤と溶剤とからなる塗料を厚さが200μ
以下の高分子フィルム上に安定に塗工できる製造方法を
得ることを目的とする。
問題点を解決するための手段 少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤とからなる
塗料を塗工部にて厚さが50μm以下の高分子フイルムの
一方の面に塗工した後、表面の中心線平均粗さ(Ra)が
Ra=2.0μm以下の均一表面を有し内部に冷却液が流れ
る回転金属ロール表面に前記高分子フイルムの他方の面
を密着させ、この密着部分に紫外線を照射して前記紫外
線硬化型樹脂を硬化させ、前記高分子フイルム上に硬化
塗膜を得る、あるいは少なくとも紫外線硬化型樹脂と反
応開始剤と溶剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが50μ
m以下の高分子フイルムの一方の面に塗工し、塗膜の溶
剤を強制蒸発させた後、表面の中心線平均粗さ(Ra)が
Ra=2.0μm以下の均一表面を有し内部に冷却液が流れ
る回転金属ロール表面に前記高分子フイルムの他方の面
を密着させ、この密着部分に紫外線を照射して前記紫外
線硬化型樹脂を硬化させ、前記高分子フイルム上に硬化
塗膜を得る塗工フイルムの製造方法を用いる。
又、高分子フイルム上に安定に塗工するために、少な
くとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤と溶剤とからなる
塗料を塗工部にて厚さが200μm以下の高分子フイルム
の一方の面に塗工し塗膜の溶剤を強制蒸発させる際に、
塗工された高分子フイルムが塗工部から走行した距離と
して以下の式に示す値Xm以内に存在している間に塗膜の
溶剤の強制蒸発を開始し、紫外線の照射前に溶剤を強制
蒸発させた後、前記高分子フイルムに紫外線を照射して
前記紫外線硬化型樹脂を硬化させ前記高分子フイルム上
に硬化塗膜を得る、 あるいは少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤と
溶剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが200μm以下の
高分子フイルムの一方の面に塗工し塗膜の溶剤を強制蒸
発させる際に、塗工された高分子フイルムが塗工された
後ガイドロールとなす抱角ないしは抱角の合計和が120
゜になるまでのいずれかの位置、又は抱角ないしは抱角
の合計和である120゜を抱角内に含むガイドロール部あ
るいはこの120゜を抱角内に含むガイドロール部までの
いずれかの位置で塗膜の溶剤の強制蒸発を開始し、紫外
線の照射前に溶剤を強制蒸発させた後、前記高分子フイ
ルムに紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化さ
せ前記高分子フイルム上に硬化塗膜を得る塗工フイルム
の製造方法を用いる。
作用 表面の中心線平均粗さ(Ra)がRa=2.0μm以下の均
一表面を有し内部に冷却液が流れる回転金属ロールに高
分子フィルムを密着させた場合、回転金属ロール表面と
フィルム間に冷却液が介在しなくとも高分子フィルムは
まったく照射ランプの熱線の影響を受けないことが判明
した。
これは、高分子フィルムの厚さが50μm以下であると
厚さが薄いため金属ロールと接触すると即時に冷却され
照射ランプの熱線の加熱速度よりも冷却速度の方が早い
ためと考えられる。
又、高分子フィルムが金属ロールに均一に接触してい
なければ熱線により即座に溶融(あるいは切断)するた
め、又、金属ロール表面に穴があいている等の不均一さ
が存在するとフィルムにその不均一さがそのまま現われ
るため金属ロール表面の均一性によるフィルムとの密着
が熱線に対する耐熱性及び塗工フィルムの硬化時の均一
性に大きな影響を与えているものと考えられる。又、溶
剤が添加された紫外線硬化型樹脂塗料の場合は、塗工部
で塗工された塗膜が時間の経過とともに樹脂部分と溶剤
部分とに分離しやすくなり塗膜のムラになりやすいが、
樹脂部分と溶剤部分とに分離する前に溶剤を強制蒸発さ
せることにより均一な塗膜が得られる。又、溶剤添加に
より塗料の粘度が低下するために厚さが200μm以下の
薄いフイルムの場合に塗料がフイルムの端部からフイル
ムの裏面に回り込み特に抱角の大きいガイドロールを汚
染して、フイルムの走行安定性を妨害するが、抱角の大
きいガイドロールの位置あるいはこの位置以前で溶剤を
強制乾燥させることによりガイドロールとフイルムとの
塗料による接着しやすさを防止することができ良好な走
行安定性を得ることができる。
実 施 例 本発明によれば、少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応
開始剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが50μm以下の
高分子フイルムの一方の面に塗工した後、表面の中心線
平均粗さ(Ra)がRa=2.0μm以下の均一表面を有し内
部に冷却液が流れる回転金属ロール表面に前記高分子フ
ィルムの他方の面を密着させ、この密着部分に紫外線を
照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させ前記高分子フ
ィルム上に硬化塗膜を得る。
紫外線硬化型樹脂は特に限定されず、各種の紫外線硬
化型樹脂を用いることができる。例えは反応型で分類す
るとラジカル重合型,ラジカル付加型,カチオン重合
型,酸硬化アミノアルキッド型等いずれかの樹脂を用い
ることができる。
紫外線硬化型樹脂として、例えば各種アクリレート樹
脂、具体的には、ポリエステルアクリレート,エポキシ
アクリレート,ウレタンアクリレート,シリコーンアク
リレート,ポリオールアクリレート,ポリアセタールア
クリレート等があり、又、テトラヒドロフルフリルアク
リレート等の反応性希釈剤も添加して用いることができ
る。又、ポリエンとポリチオール混合樹脂も用いること
ができる。
又、紫外線硬化型エポキシ樹脂も良好に用いることが
でき、特に脂環式エポキシ樹脂等が有用である。
反応開始剤は紫外線硬化型樹脂の硬化反応に開始ある
いは促進させるための化合物であり、一般に硬化剤,増
感剤等といわれているものである。
反応開始剤として、例えば、ジアゾニウム塩,ヨード
ニウム塩,スルホニウム塩,ベンゾフェノン,ベンジル
ジメチルケタール,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン,P−ベンゾイルベンジルクロリド等がある。
又、アミン化合物等の熱重合開始剤あるいは反応促進
剤を併用して用いてもよい。
塗料には紫外線硬化型樹脂と反応開始剤以外に各種添
加物、例えば、各種界面活性剤,各種滑剤,各種帯電防
止剤,各種粒子等が添加されていてもよい。
厚さが200μm以下の高分子フィルムとしては、各種
高分子フィルムあるいは各種処理済高分子フィルム(例
えば塗工,蒸着,ラミネート,合成紙)あるいは少なく
とも高分子をその一部として含むフィルムを用いること
ができ特に限定されるものでない。
例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン
ナフタレート,ポリカーボネート等のエステル系高分子
フィルム、ナイロン等のアミド系高分子フィルム、アセ
チルセルロース,セロハン等のセルロース誘導体フィル
ム、ポリフッ化ビニリデン,4フッ化エチレン−6フッ化
プロピレン共重合体,テフロン等のフッソ系高分子フィ
ルム、ポリオキシメチレン,ポリアセタール等のエーテ
ル系高分子フィルム、ポリスチレン,ポリエチレン,ポ
リプロピレン,メチルペンテンポリマー等のオレフィン
系高分子フィルム、ポリイミド,ポリアミドイミド,ポ
リエーテルイミド等のイミド系高分子フィルム等を用い
ることができる。
以下、第1図に本発明の塗工フィルムの製造方法に関
する塗工装置の一実施例を示して説明する。
1,2はそれぞれフィルムの巻出部,巻取部、3は回転
金属ロール、4〜9はいずれも照射ランプ、10はワイヤ
ーロッド方式による塗工部、11,12はそれぞれワイヤー
ロッド方式によるコーティングロールとワイヤーロッド
である。
回転金属ロール3は、少なくとも高分子フィルムと接
触するロール表面が均一表面を有しており、又内部に冷
却液が流れている。
冷却液は例えばロールの回転軸に設けた一方の入口か
ら入り、ロールの表面下(例えば2mm)の所を通り、回
転軸の他方の出口から流出させて用いることができる。
ロール表面が均一な温度になるようにロールの表面下に
パイプを巻回して用いると良好である。
冷却液は、高分子フィルムの熱的変形(軟化,溶融
等)を発生させない温度に回転金属ロールを保持するも
のであればその種類,流量が特に制限されるものでな
い。一般的には常温での水道水を利用できる。
ロール表面はロールとフィルムが密着するように凹凸
の少ない均一表面を有している。
一般的には、ロール表面の中心線平均粗さ(Ra)がRa
=4.0μm以下のロールを用いることが望ましい。
特にRa=0.4μm以下が望ましい。
ここで、中心線平均粗さの測定規格はJIS B0601に従
う。
ロール表面が不均一表面であると、厚さが200μm以
下の高分子フィルムは、照射ランプからの熱線の影響を
受けやすくフィルムの変形や硬化塗膜のムラを発生す
る。
高分子フィルムが薄くなるにつれ、Raのより小さい金
属ロールを用いることが望ましい。例えば、高分子フィ
ルムの厚さが50μm以下の場合Ra=2.0μm、同じく厚
さが30μm以下の場合Ra=1.6μm以下が望ましい。
塗工部10は、第1図ではワイヤーロッド方式を示して
あるが塗工部の塗工方式が特に限定されるものでない。
例えば、上記方式以外に、グラビア方式,三本リバース
方式,スプレー方式,フレキソ等の各種印刷方式等いず
れの方式も利用できる。
高分子フィルムの一方の面への塗工(印刷も含む)
は、高分子フィルムの片面全体あるいはその一部でもよ
い。
紫外線硬化型樹脂が硬化時に酸素阻害を受けやすい場
合は、回転金属ロールをチッソ雰囲気下に存在させるこ
とが望ましい。例えば、回転金属ロールに密着している
塗工フィルムの塗膜面にチッソガスを吹きつけながら硬
化させる、あるいは回転金属ロールの周囲に紫外線を通
す箱を構成し箱の内部にチッソガスを流しながら硬化さ
せてもよい。
紫外線の照射は、熱線による影響を避けるため原則と
して金属ロールにフィルムが密着している部分に照射す
るものであるが、紫外線の漏洩光がロールに密着してい
ない部分に当たってもその影響は小さいため密着してい
ない部分に紫外線があたっても特に問題はない。
第1図では、6ケの照射ランプをロール周囲に配置し
たが照射ランプは1ケ以上配置できる。
特に50μm以下の薄手高分子フィルムは金属ロールへ
の密着性(抱きつき)がよいため、金属ロール表面外周
の半分以上に高分子フィルムを密着させても抱きつきの
ムラによる熱的変形が高分子フィルムに発生せず均一な
塗工フィルムが得られる。このように抱きつきを多くす
ると第1図のようにロール周囲に多数の照射ランプを配
置できるため高速硬化すなわち高速塗工ができたいへん
効率的となる。又、長時間安定に硬化できるため長尺の
塗工フィルムが得られる。
紫外線硬化型樹脂の硬化は紫外線を照射して少なくと
も紫外線硬化型樹脂を硬化させるものであり、塗料中に
他の硬化性物質を含む場合、その物質が硬化してもよ
い。
次に本発明の塗工フィルムの製造方法の他の実施例に
ついて第2図を参照して説明する。
第2図の実施例で用いられる用語あるいは表現が第1
図の実施例で用いられた用語あるいは表現と同一の時、
第1図の実施例でそれぞれについて説明した詳細な内容
を第2図の実施例の用語あるいは表現にも適用する。た
だし同一の用語でも以下に説明する場合は、以下の説明
に従う。
以下、第1図の実施例と主に異なる点について説明す
る。
塗料は、少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤と
溶剤とからなる。
溶剤は、各種有機溶剤が利用できる。例えば、イソプ
ロピルアルコール,トルエン,酢酸エチル,2−ブタノ
ン,エチルセロソルブ,酢酸セロソルブ,モノクロロベ
ンゼン,キシレン,塩化メチレン等が有用であるが特に
限定されるものでない。
塗料には、第1図の実施例と同様に各種添加物(例え
ば、第1の実施例で示してある)が添加されていてもよ
い。
以下、第2図の実施例について詳述する。
13〜24は、第1図の1〜12と同一である。
溶剤の強制蒸発は溶剤を強制的に蒸発させる方法であ
ればその手段を特に限定しない。例えば熱風あるいは赤
外線照射あるいは加熱ロールへの高分子フィルムの接触
あるいは高温下雰囲気中を塗工フィルムを通過させるこ
とによりなされる。
例えば、第2図では熱風乾燥炉25中を塗料を塗工され
たフィルムが通過する間に溶剤の大部分が塗膜中から蒸
発する。紫外線を照射されるまでに溶剤の90wt%以上が
塗膜中から蒸発していることが望ましい。90wt%以下の
場合、紫外線硬化型樹脂の硬化不良を発生する。
溶剤の強制蒸発は塗工部において塗工された高分子フ
ィルムが塗工部から走行した(離れた)距離をxmとする
と、このxm以内において塗膜中の溶剤の強制蒸発を開始
すると特に硬化塗膜にムラのない均一な塗膜が得られ
る。これは、塗工部で塗工された塗膜が時間の経過とと
もに樹脂部分と溶剤部分の分離が発生して塗膜のムラの
原因になるものと考えられ、特に硬化塗膜の厚さが10μ
m以下の場合にこの強制蒸発の効果が大きい。塗料に粒
子あるいは界面活性剤あるいは滑剤(例えばオイル等)
等の添加物が入っている時はさらにこの効果が大きい。
xmの値は以下の式に従う。
塗工部からの距離は、高分子フィルム上に塗膜となる
塗液を最終的に形成するロールあるいは部分の中心より
測定するものとする。
例えば、第2図ではワイヤーロッド24の中心aより測
定するものである。
塗膜中の溶剤の強制蒸発が開始される位置は、塗膜中
の溶剤が目視的に明らかに強制蒸発されている位置ある
いは強制蒸発に効果を与えている加熱装置の加熱発生部
の塗工部に一番近い位置である。
例えば、第2図では、aより熱風発生装置26の熱風発
生口の塗工部に一番近い位置bまでの距離がxmである。
又、塗工部において塗工された高分子フィルムがその
後ガイドロールに沿って走行する時、ガイドロールと高
分子フィルムとがなす抱角ないし抱角の合計和が120゜
になるまでのいずれかの位置、又は抱角ないし抱角の合
計和である120゜を抱角内に含むガイドロール部あるい
はこの120゜を抱角内に含むガイドロール部までのいず
れかの位置で塗膜の溶剤の強制蒸発を開始すると、特に
高分子フィルムが安定に走行して均一な硬化塗膜を有す
る塗工フィルムが製造できる。更に、具体的に説明する
と、高分子フィルムが塗工された後最初に接触するガイ
ドロールとその後順次接触するガイドロールとなす各抱
角に対して、最初に接触するガイドロールとなす抱角か
ら順次加算して各抱角の合計和が120゜に到達したガイ
ドロールまでにおいて、塗工部の位置から該合計和が12
0゜に到達したガイドロールまで何れかの位置、或いは
該合計和が120゜に到達したガイドロール部分、或は高
分子フィルムが塗工された後に接触するガイドロールと
なす抱角が120゜以上を有するガイドロールまでにおい
て、塗工部の位置から該抱角が120゜以上を有するガイ
ドロールまでの何れかの位置、或は該抱角が120゜以上
を有するガイドロール部分で塗膜の強制蒸発を開始する
ものである。
例えば、第2図において、塗工部22のコーテイングロ
ール23及びワイヤーロッド24で塗工されたフィルムは、
塗工後接触する各ガイドロール30、同31、同27、同32、
同33に沿って走行し、各ガイドロールと各抱角、α1、
α2、α3、α4を形成する。例えば第2図の場合は、
α1=18゜、α2=5.5゜、α3=33゜及びα4=98゜
である。各抱角の合計和は、α1+α2+α3=56.5
゜、α1+α2+α3+α4=154.5゜であるから、ガ
イドロール32が順次加算した各抱角の合計和が120゜に
到達したガイドロールに相当するものである。
叉、塗工部の位置から該合計和が120゜に到達したガ
イドロールまでの何れかの位置とは、塗工部であるワイ
ヤーロッド24からガイドロール32までの何れかの位置で
ある。例えば、第2図においては、ガイドロール27近辺
にて熱風発生装置26により塗膜の強制蒸発を開始してい
る。勿論120゜に到達したガイドロール部分であるガイ
ドロール32部分にて強制蒸発を開始しても良い。
次に高分子フィルムが塗工された後に接触するガイド
ロールとなす抱角が120゜以上を有するガイドロール部
分とは、例えば第2図において、第2図に直接図示され
ていないが塗工後の高分子フィルムをガイドロール30、
同31、同27、同34に沿って走行させる場合であり(ガイ
ドロール32及び同33を経由しない)、この時ガイドロー
ル27の抱角が120゜以上となるため、ガイドロール27が1
20゜以上の抱角を有するガイドロール部分に相当する。
この走行系の場合、第2図の熱風発生装置26は、高分子
フィルムの走行を妨げない位置例えばガイドロール31の
ガイドロール側近辺、ガイドロール27のガイドロール側
近辺のフィルム走行を妨げない位置、或はガイドロール
27のフィルム面側等に設置するものである。叉、塗工部
の位置から抱角が120゜以上を有するガイドロールまで
の何れかの位置とは、例えば第2図において塗工部であ
るワイヤーロッド24からガイドロール27までの何れかの
位置である。
これは塗料中に溶剤が含まれていると塗工された塗料
あるいは塗料中の主に溶剤がフィルムの端部より少しず
つフィルムの裏面にまわりこみ、ガイドロールを徐々に
汚していく。この汚れはガイドロールと高分子フィルム
の抱角が大きくなる程特に顕著に発生し、高分子フィル
ムの端部とガイドロールとが接着しやすくなりフィルム
の走行安定性を防害するようになる。
これは、溶剤の粘度がかなり低いため、あるいは溶剤
により希釈されて塗料の粘度が低くなるためフィルムの
裏に回り込みやすくなると考えられる。
そのため上記のように抱角ないし抱角の合計和が120
゜、あるいは120゜を抱角の一部として含むまでのいず
れかの位置で強制蒸発をする必要がある。上記の条件以
外ではガイドロールの汚れがひどく走行安定性を防害す
るためである。
又、強制蒸発は高分子フィルム面側あるいは塗膜面側
いずれでもよいが望ましいのは高分子フィルム面側であ
る。
ここでガイドロールと高分子フィルムとの抱角は第3
図に示す角度αをいう。すなわち、ガイドロール28は高
分子フィルム29に抱角α゜で抱かれている。
以下、具体的実施例を示す。
実施例1 厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(以下、PETフィルムと略す)の片面に紫外線硬化型樹
脂〔スピラックT−503(増感剤含む)、昭和高分子株
式会社〕をフレキソ印刷方式により塗工(塗工速度20m/
min)した後、表面粗さRa=1.6μmを有し内部に4l/min
の冷却水(25℃)が流れる回転金属ロールに前記フィル
ムを密着させ、120W/cmのランプ強度を有する照射ラン
プ4台により硬化させ、500m塗工した。硬化塗膜の厚さ
は約5μmであった。
得られたフィルムは、原反のPETフィルムの熱的変形
がまったくなく均一な塗膜を有する均一な塗工フィルム
であった。
実施例2 厚さが4μmのPETフィルムの片面に以下の塗料をワ
イヤーロッド方式により塗工(塗工速度25m/min)し
た。
(塗料) エポキシアクリレート樹脂(ビスコート540,大阪有機化
学工業株式会社) 20 重量部 増感剤(イルガキャア651,日本チバガイギー株式会社)
1.0重量部 カーボンブラック(粒子径20mμ) 8 重量部 界面活性剤(L−7500,日本ユニカー株式会社0.6重量部 酢酸エチル 100 重量部 酢酸エチルの強制蒸発はワイヤーロッドの中心から1m
離れ、塗工後最初に出合ったガイドロール(抱角20゜)
の上からドライヤーで100℃の熱風を吹きつけて行なっ
た。
強制蒸発させた後、第2図で示したような100℃の熱
風乾燥炉を通過させた後、内部に4l/minの冷却水(25
℃)が流れる回転金属ロール(表面粗さRa=0.2μm)
に密着させ実施例1と同一の照射ランプ4台により硬化
させ、500m塗工した。
500m塗工しても抱角20゜のガイドロール部での塗料の
回り込みによるガイドロールとフィルム間の接着はまっ
たく発生せず安定に走行した。
硬化塗膜の厚さは1.6μmであった。得られたフィル
ムは、原反のPETフィルムの熱的変形がまったくなく均
一な塗膜を有する均一な塗工フィルムであった。
発明の効果 少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤とからなる
塗料を塗工部にて厚さが50μm以下の高分子フィルムの
一方の面に塗工した後、表面の中心線平均粗さRa=2.0
μm以下の均一表面を有し内部に冷却液が流れる回転金
属ロール表面に前記高分子フィルムの他方の面を密着さ
せ、この密着部分に紫外線を照射して前記紫外線硬化型
樹脂を硬化させて前記高分子フィルム上に硬化塗膜を得
ることにより、厚さが50μm以下の薄手高分子フィルム
を用いても照射ランプの熱的影響がまったくなく長時間
安定に塗工でき、かつ冷却液の汚れ等による問題がなく
均一な硬化塗膜を形成でき、又、多数の照射ランプを設
置して高速塗工でき、ランプを破損するような問題もな
い塗工フイルムの製造方法、及び少なくとも紫外線硬化
型樹脂と反応開始剤と溶剤とからなる塗料を厚さが200
μ以下の高分子フイルム上に安定に塗工できる製造方法
が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の塗工フィルムの製造方法の一実施例に
おける塗工装置の概要を示す正面図、第2図は本発明の
塗工フィルムの製造方法の他の実施例における塗工装置
の概要を示す正面図、第3図は第2図の要部を示す正面
図である。 1,13……巻出部、2,14……巻取部、3,15……回転金属ロ
ール、4〜9,16〜21……照射ランプ、10,22……塗工
部、11,23……コーティングロール、12,24……ワイヤー
ロッド、25……熱風乾燥炉、26……熱風発生装置、27,2
8,30,31,32,33,34……ガイドロール、29……高分子フィ
ルム。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤
    とからなる塗料を塗工部にて厚さが50μm以下の高分子
    フィルムの一方の面に塗工した後、表面の中心線平均粗
    さ(Ra)がRa=2.0μm以下の均一表面を有し内部に冷
    却液が流れる回転金属ロールの外周の半分以上に前記高
    分子フィルムの他方の面を巻回密着させ、この密着部分
    に複数の紫外線照射ランプにより紫外線を照射して前記
    紫外線硬化型樹脂を硬化させ、前記高分子フィルム上に
    硬化塗膜を得ることを特徴とする塗工フィルムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤
    と溶剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが50μm以下の
    高分子フィルムの一方の面に塗工し、塗膜の溶剤を強制
    蒸発させた後、表面の中心線平均粗さ(Ra)がRa=2.0
    μm以下の均一表面を有し内部に冷却液が流れる回転金
    属ロールの外周の半分以上に前記高分子フィルムの他方
    の面を巻回密着させ、この密着部分に複数の紫外線照射
    ランプにより紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を
    硬化させ、前記高分子フィルム上に硬化塗膜を得ること
    を特徴とする塗工フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤
    と溶剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが200μm以下
    の高分子フィルムの一方の面に塗工し塗膜の溶剤を強制
    蒸発させる際に、塗工された高分子フィルムが塗工部か
    ら走行した距離として以下の式に示す値Xm以内に存在し
    ている間に塗膜の溶剤の強制蒸発を開始し、紫外線の照
    射前に溶剤を強制蒸発させた後、前記塗工された高分子
    フィルムに紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬
    化させ前記高分子フィルム上に硬化塗膜を得ることを特
    徴とする塗工フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】少なくとも紫外線硬化型樹脂と反応開始剤
    と溶剤とからなる塗料を塗工部にて厚さが200μm以下
    の高分子フィルムの一方の面に塗工し塗膜の溶剤を強制
    蒸発させる際に、高分子フィルムが塗工された後最初に
    接触するガイドレールとその後順次接触するガイドロー
    ルとなす各抱角に対して、最初に接触するガイドロール
    となす抱角から順次加算して各抱角の合計和が120゜に
    到達したガイドロールまでにおいて、塗工部の位置から
    該合計和が120゜に到達したガイドロールまで何れかの
    位置、或は該合計和が120゜に到達したガイドロール部
    分、或は高分子フィルムが塗工された後に接触するガイ
    ドロールとなす抱角が120゜以上を有するガイドロール
    までにおいて、塗工部の位置から該抱角が120゜以上を
    有するガイドロールまでの何れかの位置、或は該抱角が
    120゜以上を有するガイドロール部分で塗膜の強制蒸発
    を開始し、紫外線の照射前に溶剤を強制蒸発させた後、
    前記塗工された高分子フィルムに紫外線を照射して前記
    紫外線硬化型樹脂を硬化させ、前記高分子フィルム上に
    硬化塗膜を得ることを特徴とする塗工フィルムの製造方
    法。
  5. 【請求項5】塗膜の溶剤を強制蒸発させた後、一方の面
    に塗膜を有する高分子フィルムに紫外線を照射して紫外
    線硬化型樹脂を硬化させる場合に、均一表面を有し内部
    に冷却液が流れる回転金属ロール表面に前記高分子フィ
    ルムの他方の面を密着させ、この密着部分に紫外線を照
    射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる特許請求の範
    囲第3項または第4項記載の塗工フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】回転金属ロールの少なくとも1部分がチッ
    ソガス雰囲気下に存在することを特徴とする特許請求の
    範囲第1項、第2項または第5項記載の塗工フィルムの
    製造方法。
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