JP2522050B2 - 原子層ドライエッチング方法 - Google Patents

原子層ドライエッチング方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は化合物半導体の原子層単位でのドライエッチ
ング方法に関する。
[従来の技術] 従来のドライエッチング方法は、主として反応性ガス
を放電させて生成するプラズマ中に存在するイオンや中
性ラジカルと、半導体基板表面を構成する原子との反応
によって行われていた。プラズマ中のイオンは、通常、
数10eVないし数100eVに加速されて基板に衝突するた
め、原子層単位で半導体基板表層原子を剥ぎ取るにはエ
ネルギーが過剰であり、原子層単位での制御性を得るこ
とは困難である。また、過剰のエネルギーは半導体基板
表面の格子欠陥生成をもたらし、それがデバイス特性の
劣化に無視できない影響を与えることが知られている。
格子欠陥の生成を極力抑制し、精密制御性に優れたエ
ッチング方法としては、中性の反応性ガスと半導体基板
表面のいずれか、または双方に適当な波長の光を照射
し、反応性ガスと半導体基板表面との光化学反応を利用
する光誘起エッチングが知られている。光誘起エッチン
グでは、過剰エネルギーによる基板表面での格子欠陥生
成が抑制される点、およびエッチング過程の精密制御の
点で放電プラズマを利用した方法より優れている。
GaAsの光誘起エッチングの従来例は、ガリウム・アー
セナイド・アンド・リレイテッド・コンパウンド,イン
ターナショナル・フィジックス・コンファレンス・シリ
ーズ・No.60(Gallium Arsenide and Related Compound
s,Int.Phys.Conf.Ser.No.60)に掲載のエス・ヨコヤ
マ,ティー・イノウエ,ワイ・ヤマカゲおよびエム・ヒ
ロセ(S.Yokoyama,T.Inoue,Y.Yamakage and M.Hirose)
による文献“レーザーインデュースド・フォトケミカル
・エッチング・オブ・GaAs・アンド・イッツ・キャラク
タリゼーション・バイ・X−レイ・フォトエレクトロン
・スペクトロスコピー・アンド・ルミネッセンス”
(“Laser−Induced Photochemical Etching of GaAs a
nd It′s Characterization by X−Ray Photoelectron
Spectroscopy and Luminescence")に報告されている。
この例では、HCl(5%)とHe(95%)の混合ガス中
で、波長193nmのArFエキシマレーザ光を照射してGaAs結
晶をエッチングしており、混合ガス圧6.65×103Pa、基
板温度20℃の条件で、GaAsの絶縁性基板に対して約20nm
/分のエッチング速度が得られている。
エッチング反応の機構としては次のように理解されて
いる。まず、HClがエキシマレーザの光を吸収し、解離
してClラジカルを生じる。次に、そのClラジカルがGaAs
と反応し、GaCl3とAsCl3を生じる。その結果、全体とし
て、 GaAs+6HCl→ GaCl3+AsCl3+3H2 のエッチング反応が進行する。
[発明が解決しようとする課題] 従来の光誘起エッチングでは、揮発性の高い反応生成
物を得るために原料ガスを光分解させて反応性の高い適
当なラジカルをつくる、または半導体基板を加熱して反
応や生成物の脱離を促進する、あるいは半導体の電子状
態を励起して反応を促進する等の目的で光が用いられて
きた。しかしながら、化合物半導体の一つの元素がエッ
チングを起こす条件と他方の元素がエッチングを起こす
条件が非常に近い場合には、前記のような光の利用方法
ではエッチング過程に反応選択性を持たせることは非常
に困難である。
本発明はこのような従来の問題点を解決するためにな
されたもので、化合物半導体エッチング過程に制御性の
高い脱離反応選択性を与えて、原子層単位でのエッチン
グ方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、2元素以上から構成される化合物半導体を
反応性ガスまたは反応性ラジカルを用いてドライエッチ
ングするドライエッチング方法において、反応性ガスま
たは反応性ラジカルが化合物半導体の表面の一構成元素
と反応して生成される反応生成物を、化合物半導体表面
に軟X線を照射し前記反応生成物の構成元素の内殻準位
を光イオン化することにより選択的に分解・除去して、
前記化合物半導体表面の一構成元素の原子層をエッチン
グする工程を少なくとも一つ含むことを特徴とする原子
層ドライエッチング方法である。
[作用] 反応性ガスまたは反応性ラジカルと化合物半導体とを
反応させる工程において、その温度における反応生成物
の蒸気圧が十分低い場合には、その反応生成物は化合物
半導体表面から脱離せず、前記反応生成物が化合物半導
体表面を覆った状態でエッチングが停止する。
この反応生成物の表面吸着層を除去するために、本発
明では反応生成物に覆われた化合物半導体基板の表面
に、該反応生成物の一構成元素の内殻準位を励起して反
応生成物をイオン化する軟X線を照射する。内殻準位に
空孔ができるとオージェ過程が起きる。すなわち、外殻
電子が遷移して内殻の空孔を埋める。そのとき内、外殻
のエネルギー差に相当するエネルギーが放出され、この
エネルギーで外殻電子が放出される。このため、外殻に
空孔が2個でき、この2個の空孔がさらに外側の軌道の
電子によって埋められると、結局、4個の空孔が生成す
る。
こうして多価イオンができると、あたかも電荷同士の
反発によるかのように分子は分解する。このいわゆる
“クローン爆発”を利用することによって、化合物半導
体表面上の反応生成物を選択的に分解して基板表面より
脱離させることができる。
[実施例] 以下、本発明の一実施例について、図面を参照して詳
細に説明する。
第1図は本実施例に用いられる加工装置の一例の概略
構成図であり、本装置を用いたGaAsの原子層単位のエッ
チング方法について、以下に説明する。
この加工装置は、内部に基板1を保持する基板保持部
2を有し、シンクロトロン放射光分光器3、マイクロ波
放電励起水素原子線源4および排気装置5が配設された
エッチングチャンバ6から構成されている。
第1の工程では、エッチングチェンバ6内でAs面の表
出したGaAs基板1にマイクロ波放電励起水素原子線源4
から水素ラジカルを照射する。原子状に解離した水素原
子は反応性が高いため、As原子と容易に反応して水素化
物(AsH3)を生ずる。生成したAsH3は常温で気体であ
り、例えば100℃の基板温度では容易に離脱してAs単原
子層のエッチングが終了する。一方、新たに表出したGa
層は、原子状水素と反応してもその水素化物(GaH3)の
蒸気圧は低いために表面に残留して、エッチングはGa面
で停止する。
次に第2の工程では、GaH3で覆われたGaAs基板1にシ
ンクロトロン放射光分光器3を通して軟X線を照射し、
Gaの内殻準位を光励起してGaH3をイオン化させることに
よりオージェ過程を誘起し、GaAs基板1の表面に吸着し
ているGaH3を分解・脱離させる。このように、GaH3が表
面から脱離すれば、基板の全面に次のAs層が現れること
になり、Ga単原子層のエッチングが終了する。
このあと、再び前記第1と前記第2の工程を行えばGa
面とAs面を交互にエッチングすることができる。こうし
て本発明のドライエッチング方法を用いれば、化合物半
導体であるGaAsのエッチングを1原子層単位で制御して
行うことが可能であり、第1と第2の工程を1サイクル
として、サイクル数でデジタル的にエッチングを制御す
ることが可能である。
本実施例において、第1と第2の工程を通じて連続的
にマイクロ波放電励起水素原子線源4から水素ラジカル
を照射すると、Ga層が軟X線で除去された後、直ちにAs
層がAsH3の形で蒸発するために、分子層単位でのエッチ
ングとなる。Ga層を軟X線で除去する工程で水素ラジカ
ルの照射を中断すると、As層が露出してエッチングが停
止する。この場合には原子層単位でのエッチングとな
る。
以上の実施例では化合物半導体としてGaAsの場合を示
したが、InPなどの他の2成分化合物半導体、AlGaAsな
どの2元素以上から構成される化合物半導体にも本発明
は適用できる。また反応性ガスとしてハロゲンガスを用
いてもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明のドライエッチング方法
によれば、1原子層の選択的除去が可能である。このこ
とから化合物半導体を原子層単位でエッチングすること
が可能となり、工程のサイクル数でエッチング量を決定
することができ、極めて精密なエッチングの制御が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法に用いられる加工装置の一例の概
略構成図である。 1……GaAs基板 2……基板保持部 3……シンクロトロン放射光分光器 4……マイクロ波放電励起水素原子線源 5……排気装置 6……エッチングチェンバ 7……H2ガス

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2元素以上から構成される化合物半導体を
    反応性ガスまたは反応性ラジカルを用いてドライエッチ
    ングするドライエッチング方法において、反応性ガスま
    たは反応性ラジカルが化合物半導体の表面の一構成元素
    と反応して生成される反応生成物を、化合物半導体表面
    に軟X線を照射し前記反応生成物の構成元素の内殻準位
    を光イオン化することにより選択的に分解・除去して、
    前記化合物半導体表面の一構成元素の原子層をエッチン
    グする工程を少なくとも一つ含むことを特徴とする原子
    層ドライエッチング方法。
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