JP2521680B2 - 電子内視鏡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は撮像素子で得れる映像信号に対し、シェーデ
ィング補正を行う構成とした電子内視鏡装置の改良に関
する。

（従来の技術） 周知のように、電子内視鏡装置にあっては、照明・受
像系の構造上の制約から、表示画面上に形成される画像
に明暗差が大きくなって、臓器内の状態判断が困難にな
ることが多い。

そこで、先に提案された従来の電子内視鏡装置の場合
には、例えばROM上に、内視鏡の種類，光源装置の種
類，光源の絞り状態及び被写体までの距離等の情報をセ
ットしておいて、このセットされた情報に基づいて撮像
素子からの映像信号に対するシェーディング補正信号を
生成し、この生成されたシェーディング補正信号を映像
信号に加えて表示画面上の画像の明暗差を解消するシェ
ーディング補正を行った。

しかしながら、従来の電子内視鏡装置のようにROM上
にセットされた情報に基いてシェーディング補正を行う
場合には、次のような使用上の不具合が生じる。

例えば、臓器内に挿入されたスコープ先端の視野内に
空洞が有ったり、視認対象を近接あるいは遠くまでの種
々異なる位置や斜め方向から撮像しなければならなかっ
たり、更に胃の如く空洞が大きいといった諸条件を考慮
し、これ等の諸条件の全てに対応するように、ROM上に
シェーディング補正のための情報をセットすることは実
質的に極めて困難である。

従って、従来構造によると、所望のシェーディング補
正を行うことができないこともしばしば生じた。

（発明が解決しようとする問題点） このように、従来の電子内視鏡装置においては、ROM
上にセットされた情報に基づいてシェーディング補正を
行うため、使用状況によっては所望のシェーディング補
正がなされないから、医師等がそれを気がつかずに視認
対象について判断を下すことも有り得るという問題点が
あった。

この発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、撮像諸条件が種々異なっても、それに対応す
るように自動的且つ正確にシェーディング補正を行える
電子内視鏡装置を提供することにある。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明の電子内視鏡装置は、被検体の体腔内を撮像し
て映像信号を出力する撮像手段と、前記映像信号から水
平走査期間の水平シェーディング情報信号を抽出する第
１のローパスフィルタと、前記映像信号から垂直走査期
間の垂直シェーディング情報信号を抽出する第２のロー
パスフィルタと、水平走査期間及び垂直走査期間にそれ
ぞれ対応する第１及び第２の比較信号を発生する比較信
号発生回路と、前記第１の比較信号から前記水平シェー
ディング情報信号を減じた後に所定の係数を乗じて、第
１のシェーディング補正信号を生成する第１の補正信号
生成回路と、前記第２の比較信号から前記垂直シェーデ
ィング情報信号を減じた後に所定の係数を乗じて、第２
のシェーディング補正信号を生成する第２の補正信号生
成回路と、第１及び第２のシェーディング補正信号を前
記映像信号に加算する加算回路と、を具備することを特
徴とする。

また、本発明においては、前記比較信号発生回路は、
前記第１及び第２の比較信号を適宜設定可能なものとす
ることができる。

また、本発明においては、前記第１の補正信号信号生
成回路は、前記第１のローパスフィルタにより水平シェ
ーディング情報信号が抽出される毎に、前記第１のシェ
ーディング補正信号を生成するものとすることができ
る。

また、本発明においては、前記第２の補正信号信号生
成回路は、前記第２のローパスフィルタにより垂直シェ
ーディング情報信号が抽出される毎に、前記第２のシェ
ーディング補正信号を生成するものとすることができ
る。

（作用） 映像信号を受けるローパスフィルタにおいて、映像信
号の高周波成分（変化分）が除去されれば、残りの低周
波成分のエンベロープ波形が示す振幅の大きさは画像の
明暗を示すだけになる。

そのため、ローパスフィルタの出力を水平走査期間及
び垂直走査期間のそれぞれのシェーディング情報信号と
して用いることができる。

そこで、本発明では、第１のローパスフィルタにより
水平シェーディング情報信号を抽出し、第１の補正信号
発生回路において、水平走査期間に対応する第１の比較
信号から水平シェーディング情報信号を減した後に所定
の係数を乗じて第１のシェーディング補正信号を生成す
る。

また同様に、第２のローパルフィルタにより垂直シェ
ーディング情報信号を抽出し、第２の補正信号発生回路
において、垂直走査期間に対応する第２の比較信号から
垂直シェーディング情報信号を減した後に所定の係数を
乗じて第２のシェーディング補正信号を生成する。

そして、この生成された第１及び第２のシェーディン
グ補正信号を加算回路を用いて映像信号に加えることに
より、映像信号をシェーディング補正する。

その結果、映像信号に対し、シェーディング補正を自
動的且つ正確に行える。

（実施例） 第１図は本発明が適用された一実施例の電子内視鏡装
置の要部概略を示すブロック図である。

この一実施例にあっては、被写体からレンズ１を介し
て撮像素子２に画像が取込まれると、この撮像素子２か
ら赤（Ｒ），緑（Ｇ），青（Ｂ）の映像信号がカメラコ
ントロールユニット（CCU）３へ送出され、このCCUから
R,G,Bに対応する輝度（Ｙ）信号，色差信号（Ｒ−Y,B−
Ｙ）が順次エンコーダ４を介してカラー画像形成のため
のNTSC信号として図示しない表示制御まで送出される構
成をなす映像信号処理回路に、シェーディング補正回路
を追加してなる。

すなわち、このシェーディング補正回路は、ローパス
フィルタ11及び同12と、比較信号発生回路13と、反転増
幅器14及び同15と、加算回路16とを含む構成であり、CC
U3とエンコーダ４との間に設けられる。

そして、ローパスフィルタ11は、Ｙ信号の水平走査期
間毎に、Ｙ信号の高周波成分を除去し、水平走査期間の
シェーディング情報信号を生成するものである。

ローパスフィルタ12は、Ｙ信号の垂直走査期間毎に、
Ｙ信号の高周波成分を除去し、垂直走査期間のシェーデ
ィング情報信号を生成するものである。

比較信号発生回路13は、水平及び垂直シェーディング
補正の基準となる輝度レベルに対応する基準電圧レベル
をそれぞれ適宜設定して、第１及び第２の比較信号とし
て反転増幅器14及び同15にそれぞれ供給するものであ
る。

反転増幅器14は、比較信号発生回路13から第１の比較
信号として供給される水平期間内の基準輝度レベルを示
す基準電圧レベルからローパスフィルタ11の出力信号を
減じた後、所定の係数に相当する１よりも小さい範囲で
適宜制定可能な利得で出力することにより、第１のシェ
ーディング補正信号を生成するものである。

反転増幅器15は、比較信号発生回路13から第２の比較
信号として供給される垂直期間内の基準輝度レベルを示
す基準電圧レベルからローパスフィルタ12の出力信号を
減じた後、所定の係数に相当する１よりも小さい範囲で
適宜設定可能な利得で出力することにより、第２のシェ
ーディング補正信号を生成するものである。

加算回路16は、Ｙ信号と第１のシェーディング補正信
号及び第２のシェーディング補正信号とを加算しＹ信号
にシェーディング補正を施す加算回路である。

このように構成されたシェーディング補正回路を、CC
U3とエンコーダ４との間に設けることによって、CCU3か
らＹ信号が発せられる毎に、このＹ信号がシェーディン
グ補正されたＹ′信号となってエンコーダ４へ送出され
るものである。

次に動作を説明すると、TVモニタ画面上において、第
２図に模式的に示すように明暗のある映像が形成された
際、この映像について、第３図及び第４図に示す過程を
画面全体に渡り順次実行することにより、シェーディン
グ補正を行う。なお、第３図及び第４図の各波形の縦軸
方向は電圧値を、横軸方向は時間軸を示している。

即ち、第３図は、第２図のＡ−Ａ′位置における水平
走査線１本のTV信号がシェーディング補正（圧縮）され
る過程を示しており、まず波形a1のようにCCU3からＹ信
号が出力されたとき、この波形a1のＹ信号を受けたロー
パスフィルタ11からは、波形a1から高周波成分が除去さ
れて残りの低周波成分による波形a2の出力が生じる。そ
のため、波形a2は画像の明暗を示すのでシェーディング
情報として用いることができる。

一方、比較信号発生回路13の第１の比較信号出力は、
水平走査期間毎に、波形a3の如く基準電圧レベルとな
る。

すると、反転増幅器14では、波形a2を反転して波形a3
に加算し、この加算値に利得Ｇを掛算して波形a4を得る
ことになり、これは要するに次式の通りとなる。但し、
波形４は例えばＧ＝1/2として得られる値である。

（波形a3−波形a2）×Ｇ＝波形a4 こうして得られた波形a4を加算回路16によって波形a1
に示されるＹ信号に加えるシェーディング補正回路が形
成されているから、波形a1に示されるＹ信号は、シェー
ディング補正回路によって波形a5に示されるＹ′信号の
如くシェーディング補正されてエンコーダ４へ送出さ
れ、エンコーダ４からはＹ′信号に対応するNTSC信号が
図示しない表示制御部へ送出される。

このような水平方向走査におけるシェーディング補正
と同様なことが垂直方向走査でも第３図に示すように行
われる。即ち、第４図は、第２図のＢ−Ｂ′位置におけ
る垂直走査線１本のTV信号がシェーディング補正（圧
縮）される過程を示しており、まず波形b1のようにCCU3
からＹ信号が出力されたときに、ローパスフィルタ12か
らは波形b2の出力が生じる。

一方、比較信号発生回路13の第２の比較信号出力は、
垂直走査期間毎に、波形b3の如く基準電圧となるから、
反転増幅器15では波形b4が得られる。

よって、波形b1に示されるＹ信号は、波形b4を用いた
シェーディング補正がシェーディング補正回路で行われ
て波形b5の如くのＹ′信号となり、エンコーダ４へ加わ
る。

このような水平方向走査及び垂直方向走査におけるシ
ェーディング補正が画面全体に亘り、RGBの各色毎に実
行されると、表示画面上のカラー像全体がシェーディン
グ補正されたものとなる。しかも、このシェーディング
補正は、第３図及び第４図に示される各波形、特に第３
図の波形a1と同図の波形a5との対比からも分るように、
走査位置の全領域において、明暗差を圧縮するシェーデ
ィング補正であって、電圧レベルを同一にそろえること
をしないシェーディング補正である。

そのため、この一実施例に従ってシェーディング補正
された表示画面上のカラー像全体は、撮像部位の輪郭や
凹凸等に対応する変化分が鮮明となるように、各走査線
上の明暗各部がコントラスト調整されたものとなる。

また、通常の電子内視鏡装置にあっては、表示画面上
のカラー像をフリーズした状態を視認した際、そのフリ
ーズされたカラー像を写真機等のハードコピー装置によ
ってハードコピー化することができる構成である。この
構成の場合にあって、この一実施例のようにシェーディ
ング補正を行うとともに、このシェーディング補正デー
タをハードコピー装置のダイナミックレンジに入ること
を行えば、撮像部位の輪郭や凹凸等に対応する変化分が
鮮明に表わされたカラー像のハードコピーを得ることが
できる。

なお、従来のようにシェーディング補正してハードコ
ピーを得る場合には、カラー像の暗い部分にコントラス
トを合せなければ像全体について撮像部位の輪郭や凹凸
等の変化分を表わすことができないことが多かった。

また、この一実施例にあっては、上述した説明からも
分るように、シェーディング補正を行うために、内視鏡
の種類，光源装置の種類，光源の絞り状態及び被写体ま
での距離等がセットされた記憶手段が不要であり、しか
も、そのような記憶手段が無くても撮像状況に応じて自
動的にシェーディング補正を精度良く行うことができ
る。

このようなことから、この一実施例が適用された電子
内視鏡装置であれば、撮像諸条件が種々異なっても、こ
れに対応するように自動的且つ正確にシェーディング補
正されたカラー画像を表示画面上に表示することがで
き、また、そのようにシェーディング補正されたハード
コピーを得ることができる。

また、一実施例ではカラー画像をシェーディング補正
する場合を示したが、本発明に従えばモノクロ画像をシ
ェーディング補正することも当然行える。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明によれば、撮像諸条件が
種々変更されても自動的且つ正確にシェーディング補正
を行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が適用された一実施例の電子内視鏡装置
の要部概略を示すブロック図、第２図は模式的に画いた
明暗のある映像のTVモニタ画面を示す図、第３図は第２
図のＡ−Ａ′位置の水平走査線１本のTV信号がシェーデ
ィング補正される過程を示す図、第４図は第２図のＢ−
Ｂ′位置の垂直走査線１本のTV信号がシェーディング補
正される過程を示す図である。 １……レンズ ２……撮像素子 ３……カメラコントロールユニット ４……エンコーダ 11……ローパスフィルタ 13……比較信号発生回路 14……反転増幅器 15……反転増幅器 16……加算回路

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被検体の体腔内を撮像して映像信号を出力
   する撮像手段と、 前記映像信号から水平走査期間の水平シェーディング情
   報信号を抽出する第１のローパスフィルタと、 前記映像信号から垂直走査期間の垂直シェーディング情
   報信号を抽出する第２のローパスフィルタと、 水平走査期間及び垂直走査期間にそれぞれ対応する第１
   及び第２の比較信号を発生する比較信号発生回路と、 前記第１の比較信号から前記水平シェーディング情報信
   号を減じた後に所定の係数を乗じて、第１のシェーディ
   ング補正信号を生成する第１の補正信号生成回路と、 前記第２の比較信号から前記垂直シェーディング情報信
   号を減じた後に所定の係数を乗じて、第２のシェーディ
   ング補正信号を生成する第２の補正信号生成回路と、 第１及び第２のシェーディング補正信号を前記映像信号
   に加算する加算回路と、 を具備することを特徴とする電子内視鏡装置。
2. 【請求項２】前記比較信号発生回路は、前記第１及び第
   ２の比較信号を適宜設定可能なものであることを特徴と
   する請求項１記載の電子内視鏡装置。
3. 【請求項３】前記第１の補正信号信号生成回路は、前記
   第１のローパスフィルタにより水平シェーディング情報
   信号が抽出される毎に、前記第１のシェーディング補正
   信号を生成するものであることを特徴とする請求項１記
   載の電子内視鏡装置。
4. 【請求項４】前記第２の補正信号信号生成回路は、前記
   第２のローパスフィルタにより垂直シェーディング情報
   信号が抽出される毎に、前記第２のシェーディング補正
   信号を生成するものであることを特徴とする請求項１記
   載の電子内視鏡装置。