JP2520740B2 - 波長可変安定化光源 - Google Patents

波長可変安定化光源

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JP2520740B2 JP1229586A JP22958689A JP2520740B2 JP 2520740 B2 JP2520740 B2 JP 2520740B2 JP 1229586 A JP1229586 A JP 1229586A JP 22958689 A JP22958689 A JP 22958689A JP 2520740 B2 JP2520740 B2 JP 2520740B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば,マイクロコンピュータを制御手段
として応用した,半導体レーザを用いた波長可変安定化
光源に関するものである。
この波長可変安定化光源は、波長伝達特性に複数のピ
ークを有する波長基準器における所定のピーク波長に半
導体レーザの発振波長を粗く設定する波長設定制御と、
このように設定されたピーク波長を波長基準とし、精密
に半導体レーザの波長を安定化する波長安定化制御と、
この2つの制御を切り替えるスイッチとから構成され
る。
特徴として、波長を精密に設定でき,かつ,選択でき
る波長の設定範囲が広範囲に及ぶ点が挙げられる。
本発明は、例えば,ルビジウム(Rb)、セシウム(C
s)、アセチレン(C2H2)、アンモニア(NH3)等が広い
波長範囲に呈する強く鋭い複数の吸収ピークやエタロン
の有する一定間隔の透過ピーク等を波長基準とするた
め、現在広く使用されている0.7μm帯、0.8μm帯、1.
3μm帯及び1.5μm帯のレーザ光の波長を高精度に設定
でき,かつ,任意のピークを選択することにより可変が
でき、発振波長が安定なことから、産業上において高精
度な広い波長域の基準として利用できる。
また、つぎの世代の通信方式として研究が進められて
いる光ヘテロダイン通信の発信局光源及び受信局光源と
して利用できる。
〔従来技術〕
半導体レーザの発振波長λは、周囲温度T,注入電流I
によりそれぞれ約+100pm/℃、+10pm/mA変化すること
が知られている。
したがって、半導体レーザの波長を変化させる方法と
しては、周囲温度を変化させたり、注入電流を変化させ
たりする方法が一般的であった。
しかしながら、単に周囲温度や注入電流を精密に制御
することにより半導体レーザの発振波長を変化させる手
法では、設定できる波長精度は、高々数pm程度であり、
更に半導体レーザを連続運転していると、それが同じ温
度と注入電流下での動作であっても発振波長のゆっくり
したドリフトが生じ、その値は約−0.1pm/hであると報
告されている(後記参考文献による)。
また、半導体レーザの発振波長を高精度に固定する方
法としては、特定の波長で強く鋭い吸収ピークを有する
原子及び分子を波長基準として用いた光吸収セル方式
が、同一出願人等による「波長安定化光源」(特願昭63
−248250号)において実現されている。しかしながら、
光吸収セル方式では、複数の吸収ピークのうちのいずれ
か一つに波長を固定するので、安定な波長を得るのには
極めて有効であるが、波長を変化させることができなか
った。
(参考文献) 「A highly Stabilized Semiconductor Laser and Its
Application to Optically Pumped Rb Atomic Clock」P
roceedings of the 39th Annual Symposium on Frequen
cy Control,May 1985,Philadelphia,USA,pp43〜53 〔発明が解決しようとする課題〕 半導体レーザの発振波長を温度や注入電流により変化
させる方法においては、設定できる波長の精度が高々数
pm程度であり、また温度や注入電流の条件が一定でも波
長ドリフトが生じるという課題があった。
一方、光吸収セルを用いる方法では、光吸収セルにお
ける複数の吸収ピークのうち一つの吸収ピークに波長を
固定することにより波長ドリフトをなくすことはできた
が(アラン分散表示による波長安定度は、積分時間70秒
で2×10-12)、波長を可変にすることはできなかっ
た。したがって、本発明では、半導体レーザの発振波長
が温度や注入電流により可変できることと、光吸収セル
やエタロンにより特定波長に高安定化できることと、光
吸収セルやエタロンが広い波長範囲において複数の吸収
及び透過ピークを有することから広範囲に渡って特定の
光波長に安定化できることとを利用して、発振波長が高
安定であり、かつ原子及び分子を封入した吸収セルやエ
タロンの有する複数のピークのうち所定のピーク近傍の
波長を精密に出力できるレーザ光源を実現する。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明では、半導体レーザの温度変化による広い波長
範囲(光吸収セルの特性曲線のピークで複数個にわたる
範囲の意)における連続的な発振波長の移動(波長設定
制御)と、注入電流による精密な波長安定化(波長安定
化制御)の2種類の半導体レーザの発振波長制御を行
い、波長変更時にこの2つの制御をスイッチにより切り
替えて前述した課題を解決し波長可変安定化光源を実現
するものである。すなわち、 第1の波長設定制御は、確定した初期温度及び注入電
流における発振波長λiから使用する波長基準器の有す
る目標とするピーク波長λtまでの間にある他のピーク
の数(N)のデータと、そのピーク波長にするための温
度のデータとを基に、コントローラにより半導体レーザ
の温度を掃引させ、波長を目標とするピーク波長λtま
で広範囲に変化させる。
また、同時に波長基準器を透過したレーザ光の受光信
号により波長掃引中いおいて検知したピーク数を計数
し、初期波長と目標とするピーク波長との間のピークの
数(N)のデータと比較することにより目標の波長のピ
ークを確定し、その確定したピークに光波長を粗く設定
する。
このような制御を行う上で必要なピーク波長のデータ
やピークの数は、レーザ分光技術等で正確に測定された
データを使用する。例えば、アセチレン(C2H2)の場合
「1.5μm帯DFBレーザを用いたアセチレン分子吸収線の
検出」(第49回応用物理学会学術講演会予稿集、1988秋
季、6p−Q−12等)である。
第2の波長安定化制御は、同一出願人等による「波長
安定化光源」(特願昭63−248250号)に記載した波長の
安定化を制御する系であり、粗く設定された目標の波長
ピークを波長基準として半導体レーザの発振波長の波長
基準からのズレを検知し、その補正信号を電流源に帰還
させることにより精密に波長制御を行うものである。
以上に述べた2つの制御をスイッチで切り替えること
により広い波長範囲において多数の安定した基準波長光
を発振する波長可変安定化光源を実現できる。
〔実施例〕
第1図は、本発明に係る波長可変安定化光源の一実施
例を示し、ピーク検知及び波長安定化方式として差動方
式を用いた。半導体レーザ1からの出力されたレーザ光
は、出力用のビームスプリッタ4で分岐され、一方は出
力光として,他方は波長制御に使用される。この実施例
では、差動方式を取っているため、波長制御用に分岐さ
れた該他方のレーザ光はさらにビームスプリッタ11で同
じ強度のレーザ光に分岐される。その分岐されたレーザ
光の一方は波長基準器5に入射し、その透過光は第1の
受光器6aで検知される。
また、その分岐されたレーザ光の他方はレーザ強度モ
ニター用の信号b(第3図(b)に示す波形の信号)と
して、反射鏡12を介して第2の受光器6bで検知される。
波長基準器5を透過したレーザ光は、該波長基準器5の
波長透過特性に対応した信号a(第3図(a)に示す波
形の信号)として第1の受光器6aで受光出力される。第
1及び第2の受光器6aと6bから出力された信号の出力差
を差動アンプ13により検出し、半導体レーザ1の温度を
変化させ、波長を掃引した場合のレーザ光の強度変化の
影響をなくした吸収ピーク信号c(第3図(c)に示す
波形の信号)を得る。
波長基準器5は、広い波長範囲において複数の波長基
準となる透過或は、吸収ピークを有する必要がある。
したがって、ファブリ・ペロー干渉計やルビジウム
(Rb)、セシウム(Cs)、アセチレン(C2H2)、シアン
化水素(HCN)、アンモニア(NH3)等の原子及び分子を
単独又は複数封入した光吸収セル等が用いられる。
本実施例では、アセチレン(C2H2)を封入した光吸収
セルを用いた場合について述べる。動作は3段階に分か
れている。
第1段階は、波長の初期設定動作である。
半導体レーザ1は、温度コントローラ2及び電流源3
により決まった初期温度Ti、初期注入電流Iiの条件の下
で初期波長λiに設定される。
第2段階は、波長の設定動作である。
すなわち、コントローラ10に記憶されている波長基準
器5の有する複数のピーク波長データのうちの一つのピ
ーク波長λtをコントローラ10に指定して入力する。コ
ントローラ10は、半導体レーザ1の温度及び発振波長特
性データによりピーク波長λtの発振波長の温度設定信
号を温度コントローラ2に出力する〔なお、半導体レー
ザにおける温度及び発振波長特性の内容を説明するため
に第2図に,半導体レーザ発振波長温度依存性とアセチ
レン(C2H2)の光伝達特性について発振波長,光波長,
温度に絡まして図示した。図中、λiは初期波長,λt
はピーク波長を表す〕。この時点でコントローラ10はス
イッチ7に対し差動アンプ13からの出力信号c(第3図
(c)に示す波長の信号)をピーク検知器9に接続する
よう切り替えを指示する。ピーク検知器9では、信号レ
ベル検知器9aにより負の信号レベル入力時を吸収ピーク
と判断し、ON信号(第3図(d)に示す波長のピーク検
知信号)をコントローラ10に出力する。
すなわち、温度掃引時のピーク検知信号d(第3図
(d)に示す波形の信号)をコントローラ10で計数し、
その計数値がコントローラ10に記憶されている初期波長
λから目標ピーク波長λに至るまでのピーク数に達
した時点で温度を固定し、ピーク検知器9の出力がON信
号(波長が吸収ピーク内にはいっている)になるように
波長を固定する。
第3段階は波長の安定化動作であり、コントローラ10
により差動アンプ13からの出力信号をスイッチ7で切り
替え波長安定化手段8の回路に接続する。この場合で
は、基準電圧源8aの基準電圧と差動アンプ13の出力電圧
との差を差動アンプ8bの出力として電流源3に負帰還す
ることにより、半導体レーザ1の出力波長を、吸収ピー
クの形状に対応する差動アンプ13の出力のうち基準電圧
源8aの出力に一致する波長に安定化する。
以上に述べた3段階の波長制御をコントローラ10によ
り制御されたスイッチ7で切り替えることによりアセチ
レン(C2H2)のもつ所定の吸収ピーク波長に半導体レー
ザの発振波長を精密に安定化できた。
以上の実施例で使用したコントローラ10はマイクロコ
ンピュータを適宜用いるとよい。
また、上述した実施例におけるピーク検知器9と波長
安定化手段8の回路の制御は差動方式によるが、変調方
式の場合も同様に波長可変安定化光源を実現でき、その
場合の一実施例を第4図に示す。発振器15の周波数で注
入電流により半導体レーザ1の発振波長に微少変調を施
し、波長基準器5からの透過光を受光器6で検出し、そ
の出力aa(第5図(a)に示す波長の信号)を発振器15
の周波数でロックインアンプ14により位相同期検波を行
って、ピークの微分形状に対応する信号ca(第5図
(b)に示す波形の信号)を得る。この信号caを使って
前述した差動方式同様制御を3段階に切り替えスイッチ
7によりピーク検知器9及び電流源3(変調方式の場
合、波長安定化手段8はロックインアンプ14の位相同期
検波となりロックインアンプの出力信号を直接電流源3
に入力すれば良い)に切り替えることにより行った。ロ
ックインアンプ14から出力された前記微分信号caを各々
検知レベルが設定されており並列に接続したプラスレベ
ル検知器9bとマイナスレベル検知器9cに入力し、第5図
(c)に示す波形の信号caa,cabのように微分形状の信
号をパルス形状に加工して出力する。
次にマイナスレベル検知器9cの出力が立ち下がる時に
ON状態になり、プラスレベル検知器9bの出力が立ち上が
る時にOFF状態を出力する論理回路9aに対しレベル検知
器9b,9cからの信号caa,cab(第5図(c)に示す波形の
信号)を入力すればピーク内に発振波長が存在するとき
ON状態で、発振波長がピークをはずれるとOFF状態とな
る信号da(第5図(d)に示す波形の信号)が得られ、
発振波長のピーク検知ができる。
以上のような制御回路を使用し、変調方式において
も、波長設定制御と波長安定化制御をスイッチで切り替
えることによりアセチレン(C2H2)のもつ所定の吸収ピ
ーク波長に半導体レーザの発振波長を精密に安定化で
き、波長可変安定化光源が実現できた。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、本発明による波長可変安定化光
源は、光吸収セルの特性曲線で複数個のピークにまたが
る広い範囲の制御と、ピークの1つについてする狭い範
囲の精密な制御とを併用し、マイクロコンピュータを用
いたコントローラで制御するものとした。
すなわち、広い波長範囲に複数の波長基準となるピー
クを有する波長基準器を用い、この複数の波長基準ピー
クのうち所定の一つのピーク波長に設定する波長設定制
御手段と、そのピークを波長基準として波長を安定化す
る波長安定化制御手段をスイッチで切り替えることによ
り、次に示すような固有の効果を有する。
(1)波長基準器の有する複数のピークのうち所定の波
長光をドリフトがなく高安定に出力できる。
(2)波長基準とするピークを切り換えることにより広
い波長域にわたって出力光が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る波長可変安定化光源の第1の実施
例を、第2図は半導体レーザの温度による発振波長変化
とアセチレンの光伝達特性の対応を示し、第3図は第1
図において図示した記号を示す図である。 第4図は本発明に係る波長可変安定化光源の第2の実施
例を、第5図は第4図において図示した記号を示す図で
ある。 図中、1は半導体レーザ、2は温度コントローラ、3は
電流源、4はビームスプリッタ、5は波長基準器、6は
受光器、7はスイッチ、8は波長安定化手段、9はピー
ク検知器、10はコントローラ、11はビームスプリッタ、
12は反射鏡、13は差動アンプ、14はロックインアンプ、
15は発振器をそれぞれ示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザ(1)と、該半導体レーザ
    (1)の温度を変化させ波長を広範囲に粗く制御する温
    度コントローラ(2)と、該半導体レーザ(1)の発振
    波長を精密に制御するように注入電流を微調可能とした
    電流源(3)と、該半導体レーザ(1)より発振された
    レーザ光を分岐し、一方のレーザ光を出力光とするビー
    ムスプリッタ(4)と、光波長基準となる複数のピーク
    を持つ光伝達特性を有する波長基準器(5)と、該ビー
    ムスプリッタ(4)で分岐され,かつ,該波長基準器
    (5)の光伝達特性に対応する強度変化を受けた他方の
    レーザ光を受光する受光器(6)と、該受光器(6)の
    出力を2枝に分岐するスイッチ(7)と、該スイッチ
    (7)の第1の分岐に接続され,前記光伝達特性の一つ
    のピークの近傍の一点に発振波長を安定化させるために
    前記電流源(3)に制御信号を出力する波長安定化手段
    (8)と、該スイッチ(7)の第2の分岐に接続され,
    前記半導体レーザ(1)の発振波長が該温度コントロー
    ラ(2)によって変動されたときに該受光器(6)の出
    力のピークを検出するピーク検知器(9)と、前記スイ
    ッチ(7)の切り替えを制御するとともに該ピーク検出
    器(9)の出力を受けて,該半導体レーザ(1)の発振
    波長の温度特性に基づいてピークの計数値と該半導体レ
    ーザ(1)の発振波長とを指定された値に設定するため
    のコントローラ(10)とからなる波長可変安定化光源。
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JP3842630B2 (ja) * 2001-11-30 2006-11-08 ギガフォトン株式会社 波長検出装置及びそれを用いたレーザ装置
JP2004221267A (ja) * 2003-01-14 2004-08-05 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 高速波長可変分布帰還型半導体レーザアレイ及び分布帰還型半導体レーザ

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