JP2520424B2 - 血液線溶活性の測定方法 - Google Patents

血液線溶活性の測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は、ヒト血液の線溶活性、線溶能の測定方法に
関する。さらに詳しくは、ヒト血漿あるいは血液に、α
2−プラスミンインヒビター(以下α2PIと称することが
ある)に対するモノクローナル抗体を加えて、α2PIの
線溶素溶解阻害活性を中和し、アクチベーター活性を測
定することで生体内線溶活性を把握する方法に関する。
さらに詳しくは、ヒト血漿あるいは血液に、α2PIに対
するモノクローナル抗体を加えて、α2PIの線維素溶解
阻害活性を中和し、トロンビン,Ca2+イオンで血漿ある
いは血液を凝固させ、形成したフィブリン塊の溶解時間
あるいはフィブリン分解物を測定することにより線溶活
性を測定し、かくして生態線溶異常の診断をする方法に
関するものである。
b.従来技術 ヒトのα2−プラスミンインヒビターは、青木と諸井
によって最初に単離・精製され、線維素溶解酵素のプラ
スミン(plasmin)のエステラーゼ活性を瞬間的に阻害
する強力なプラスミンインヒビターであり、11.7%の糖
を含む分子量約67,000の1本鎖の糖蛋白質であることが
知られている [Moroi & Aoki;The Journal of Biological Chemistr
y,251,5956−5965(1976)参照]。
一方ヒトのα2−プラスミンインヒビターには3種類
の活性部位があることが知られている。第1はプラスミ
ンの線維素溶解作用阻害部位(以下これを“リアクティ
ブサイト”ということがある)[B.Wiman & D.Collen;
The Journal of Biological Chemistry,254,9291−9297
(1979)参照]であり、第2はカルボキシル基末端側の
プラスミン結合部位[B.Wiman & D.Collen;European J
ournal of Biochemistry,84,573−578(1978)参照]で
あり、第3はアミノ基末端のフィブリン結合部位である
[Y.Sakata,et al,Thrombosis Research,16,279−282
(1979)参照]。
ヒトα2−プラスミンインヒビターにおけるこれら3
種類の活性部位のうち、リアクティブサイトを抗原とし
て選択的に認識するモノクローナル抗体を提供できれ
ば、これを使用することによってヒトα2−プラスミン
インヒビターの線維素溶解阻害作用を直接抑え、プラス
ミノーゲンアクチベーター依存性の線溶をとらえること
ができるので非常に興味あることである。
本発明者の一部により上記モノクローナル抗体は見出
され、既に特許出願されている(特開昭60−222426:発
明の名称;モノクローナル抗体,ハイブリドーマ細胞及
びモノクローナル抗体の製造方法)。
近年、成人病における血液疾患として、凝固線溶異常
が話題を集め、取り上げられている。再現性の良い、簡
便な測定法の登場が期待されていた。
従来知られている線溶異常の検出法は、ユーグロブリ
ン溶解時間法(euglobulin lysis time;ELT)である。
血漿より分画されたユーグロブリン中にはフィブリノー
ゲン,プラスミノーゲン,プラスミノーゲンアクチベー
ターなどが含まれるが、このユーグロブリン溶解時間法
は、これにトロンビンを加えて37℃に保ち、形成される
フィブリン塊の溶解時間を測定するものである。
この方法の欠点は、操作が頻雑で、測定時間もバラツ
キが多いという欠点にある。また最近、血中にプラスミ
ノーゲンアクチベーターインヒビターの存在が示され、
プラスミノーゲンアクチベーターが反映する線溶を調節
していると報告さている[Y.Sakata et al ;Blood 68,1
218−1223(1986)参照]。ユーグロブリン溶解時間法
のもう一つの欠点は、血漿をあらかじめ酸処理するた
め、このプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター
が失活する点である。このインヒビターが多量に血中に
生成している症例ではユーグロブリン溶解時間法では、
正確に生態線溶をつかむことはできなかった。
c.発明の構成 そこで、本発明者は、前記モノクローナル抗体の性質
に着目し、血液線溶活性の測定法について研究を進め
た。
その結果、ヒトα2−プラスミンインヒビターに結合
しヒトα2−プラスミンインヒビターの線維素溶解阻害
活性を中和するモノクローナル抗体を、ヒト血液あるい
は血漿に加えることにより簡便に血液線溶活性が測定し
得ることを見出し本発明に到達した。
かくして本発明によれば、ヒトα2−プラスミンイン
ヒビターに結合し、ヒトα2−プラスミンインヒビター
の線維素溶解阻害活性を中和するモノクローナル抗体
を、ヒト血液あるいは血漿に加えることによる血液線溶
活性の測定方法が提供される。
殊に本発明によれば、前記モノクローナル抗体をヒト
血液あるいは血漿に加えた後、該血液あるいは血漿を凝
固させ、その凝固物の溶解の状態を調べることによる血
液線溶活性の測定方法が提供される。
かかる本発明方法によれば、プラスミノーゲンアクチ
ベーター,プラスミノーゲンアクチベータインヒビター
による線溶の状態が、直接にかつ迅速に測定可能とな
る。殊に血栓症,DICにおける線溶亢進,糖尿病などにお
ける線溶低下など生体線溶活性の動態の指標として有効
である。本発明による測定方法は、α2−プラスミンイ
ンヒビター(α2PI)の線維素溶解阻止作用を抑制す
る、すなわち活性を中和するモノクローナル抗体を血漿
あるいは血液に添加することにより行われる。このモノ
クローナル抗体について、以下に説明する。
本発明のモノクローナル抗体はケーラーとミルシュタ
インの方法[Khler and Milstein,Nature 256,495−
497(1975)]として知られた手法によって産生され
る。すなわち、ヒトα2−プラスミンインヒビターでマ
ウスを免疫した後、このマウスの脾臓細胞をマウスミエ
ローマ細胞と融合させ、得られたハイブリドーマ細胞
は、マイクロタイタープレート(microtiter plates)
に固定されたヒトα2−プラスミンインヒビターと反応
する抗体に対し系統的に検査し選択される。このように
してヒトα2−プラスミンインヒビターに対する抗体を
合成し、分泌するハイブリドーマ細胞を選別する。得ら
れたハイブリドーマ細胞を無血清培地中で培養し、その
培養上清中に分泌されたヒトα2−プラスミンインヒビ
ターに対する抗体は、フィブリンプレート(fibrin pla
tes)上でヒトα2−プラスミンインヒビターの線維素溶
解阻害作用を抑える活性について検査を行なう。その結
果、ヒトα2−プラスミンインヒビターの線維素溶解阻
止作用を特異的に抑える活性を有するモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマ細胞が単離された。
本発明のモノクローナル抗体は、かかるハイブリドー
マ細胞が産生する産出物から得られる。かくして得られ
たモノクローナル抗体は、ヒトα2−プラスミンインヒ
ビターのリアクティブサイトに対して単一特異的(mono
specitic)に作用する。
次に本発明のハイブリドーマ細胞を産生する具体的方
法について詳細に説明する。
A.抗原の単離・精製; 抗原に用いるヒトα2−プラスミンインヒビターは前
記青木と諸井の方法によりヒト血漿中より単離精製され
た。
B.ヒトα2−プラスミンインヒビターによるマウスの免
疫 雄Balb/cマウスを用いるが、他の系(strains)のマ
ウスを使用することもできる。その際、免疫計画及びヒ
トα2−プラスミンインヒビターの濃度は十分な量の抗
原刺激を受けたリンパ球が形成されるよう選ばれるべき
である。例えばマウスに少量のα2−プラスミンインヒ
ビターで或る間隔で腹腔に数回免疫の後、さらに数回静
脈に投与した。最終免疫の数日後に融合の為に脾臓細胞
を取り出す。
C.細胞融合 脾臓を無菌的に取り出し、それから単細胞懸濁液を調
製する。それらの脾臓細胞を適当なラインからのマウス
骨髄腫細胞と適当な融合促進剤の使用により細胞融合さ
せる。脾臓細胞対骨髄細胞の好ましい比率は約20:1〜約
2:1の範囲である。約108個の脾臓細胞について0.5〜1.5
mlの融合媒体の使用が適当である。
細胞融合に用いる骨髄腫細胞は多く知られているが、
本発明ではP3−X63−Ag8−U1細胞(以下P3−U1と略記す
る)[Yelton,D.E.et al.,Current Topics in Microbio
logy and Immunology,81,1(1978)参照]を用いた。こ
れは、8−アザグアニン耐性の細胞ラインであり、酸素
ヒポキサンチン−グアニンホスホリポシルトランスフェ
ラーゼ(hypoxanthineguanine phosphoribosyl transfe
rase)がけっしつしており、それゆえHAT(ヒポキサン
チン,アミノプテリン,チミジン)培地中では生存しな
い。また、この細胞ラインは、それ自体抗体を分泌しな
い、いわゆる非分泌型である。
好ましい融合促進剤としては例えば平均分子量が1,00
0〜4,000のポリエチレングリコールを有利に使用できる
が、この分野で知られている他の融合促進剤を使用する
こともできる。本発明の実施例では平均分子量1,540の
ポリエチレングリコールを用いた。
D.融合した細胞の選択; 別の容器内(例えばマイクロタイタープレート)で未
融合の脾臓細胞,未融合の骨髄腫細胞および融合した細
胞の混合物を、未融合の骨髄腫細胞を支持しない選択培
地で希釈し、未融合の細胞を死滅させるのに十分な時間
(約1週間)培養する。培地は薬物抵抗性(例えば8−
アザグアニン抵抗性)で未融合の骨髄腫細胞を支持しな
いもの(例えば前記HAT培地)が使用される。この選択
培地中では未融合の骨髄腫細胞は死滅する。この未融合
の脾臓細胞は非腫瘍性細胞なのである一定期間後(約1
週間後)死滅する。これらに対して融合した細胞は骨髄
腫の親細胞の腫瘍性と親脾臓細胞の性質をあわせ持つた
めに選択培地中で生存できる。
E.各容器中のヒトα2−プラスミンインヒビターに対す
る抗体の確認; かくしてハイブリドーマ細胞が検出された後、その培
養上清を採取し、ヒトα2−プラスミンインヒビターに
対する抗体について酵素免疫定量法(Enzyme Linked Im
muno Sorbent Assay)によりスクリーニングする。
F.ヒトα2−プラスミンインヒビターに対する活性を持
つ抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選択; ヒトα2−プラスミンインヒビターに対する抗体を産
生しているハイブリドーマ細胞を、無血清培地で培養し
て得られた、抗体を含んだ培養上清液を濃縮し、ヒトα
2−プラスミンインヒビターと共に一定時間インキュベ
ートした。さらにこのヒトα2−プラスミンインヒビタ
ー混合液にプラスミンを加え、フィブリンプレート上に
のせ、フィブリン溶解面積を測定した。このようにし
て、ヒトα2−プラスミンインヒビターに対する活性を
持つ抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する。
G.目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞のクローン
化; 目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を適当な方
法(例えば限定希釈法)でクローン化すると、抗体は2
つの異った方法で産生される。その第1の方法によれば
ハイブリドーマ細胞を一定時間適当な培地で培養するこ
とにより、その培養上清からそのハイブリドーマ細胞の
産生するモノクローナル抗体を得ることができる。第2
の方法によればハイブリドーマ細胞は同質遺伝子又は半
同質遺伝子を持つマウスの腹腔に注射することができ
る。一定時間後の宿主動物の血液中及び腹液中及び腹水
中より、そのハイブリドーマ細胞の産生するモノクロー
ナル抗体を得ることができる。あるいは適当な液体培地
(例えば10%牛胎児血清を含むRPMI1640)中で上記ハイ
ブリドーマ細胞を一定時間培養し、その培養上清中よ
り、そのハイブリドーマ細胞の再生するモノクローナル
抗体を得ることができる。
H.線溶活性の測定; 次に、該モノクローナル抗体(α2PIの活性を中和す
るモノクローナル抗体)を用いて線溶活性を測定する方
法について述べる。
ヒト血漿100μlをプラスチック製試験管に入れる。
上記,α2PIに対するモノクローナル抗体を終濃度1.6μ
Mになるように加え、さらにトロンビン10単位とCaCl2
2mMを添加し、フィブリン塊を形成させる。ガラス棒で
フィブリン塊をつぶし、血漿中に浮かべ、室温で放置す
る。経時的にフィブリン塊の浮かんでいる血漿を採取
し、フィブリン分解物(FDP)プラスミノーゲンアクチ
ベーター(t−PA)を測定する。あるいはフィブリン塊
の溶解時間を測定する。これらの測定値は抗プラスミン
活性を排除し、かつ直接に生体線溶活性を反映するもの
である。従って本発明による血液線溶活性測定方法によ
れば、例えばガンの所期にプラスミノーゲンアクチベー
ターが多量に産生している患者の線溶亢進や、妊婦にお
けるプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PA
I)による線溶低下の把握、また血栓症の予防,診断に
使用することができる。
以下実施例を掲げ、本発明を詳細に説明する。実施例
で使用しているα2PIに結合し、α2PIの抗プラスミン活
性を中和する(線維素溶解阻害作用を抑制する)モノク
ローナル抗体は特開昭60−222426号公報に記載されてい
るモノクローナル抗体1D10C1を用いた。
実施例1 ヒトα2−プラスミンインヒビターに対するモノクロ
ーナル抗体によるヒトα2−プラスミンインヒビター活
性の抑制; 本実施例は、ヒトα2−プラスミンインヒビターによ
るプラスミンの不活性化に及ぼす、α2−プラスミンイ
ンヒビターに対するモノクローナル抗体の効果を調べた
ものである。
α2−プラスミンインヒビター0.15μMと適当な濃度
になるように希釈したα2−プラスミンインヒビターに
対するモノクローナル抗体(1D10C1)を2%牛血清アル
ブミン溶液[0.05Mトリス緩衝液(pH7.4),0.15M NaC
l]中で37℃,30分間インキュベーションし、4℃で一晩
放置した。
この反応混液60μlとプラスミン溶液(0.47μM)20
μlを混ぜ、0.05Mトリス緩衝液(pH7.4,0.15M NaClを
含む)を加えて全量を500μlとし、37℃で20分間イン
キュベーションした。次に3.5mM合成基質S−2251(H
−D−バリル−L−ロイシル−L−リジル−p−ニトロ
アニリド・二塩酸塩)を200μl加え、分光光度計(Bec
kman,DU−8)によって単位時間当りの405nmの波長にお
ける吸光度の変化を測定した。対照としてプラスミンの
みを反応させた試料とモノクローナル抗体を加えずにヒ
トα2−プラスミンインヒビターとプラスミンを反応さ
せた試料についても同様に吸光度の変化を調べた。モノ
クローナル抗体を加えずにプラスミンと反応させた時の
α2−プラスミンインヒビターの活性を100%とし、計算
した。
図1は、モノクローナル抗体のα2PI活性に及ぼす影
響を示したものである。縦軸はα2PI活性を、横軸は反
応させたモノクローナル抗体とα2PIのモル比を表して
いる。
MCAと記してあるものは、以降、α2PIに対するモノク
ローナル抗体を示す。
実施例2 α2PIに対するモノクローナル抗体によるフィブリン
塊溶解(1) プラスチック試験管に入れたヒト血漿100μlにα2PI
に対するモノクローナル抗体1D10C1を0.4,0.8,1.6μM
の濃度になるように加え、混合した。125I標識化フィブ
リノーゲン(5×105cpm/μl)2μl,トロンビン10単
位,Ca2+イオン2mMを添加し、フィブリン塊を形成さ
せ、ガラス棒で押しつぶされた後、同じ試験管に残存す
る血漿中に浮かべた。室温で放置し、2,4,6,8,24時間後
に各々血漿を2μlずつサンプリングし、フィブリン塊
が溶解して血漿中に出てくる125I標識化されたFDP(Fib
rin Degradation Product;フィブリン分解物)をガンマ
カウンターで測定した。図2に、フィブリン塊溶解を表
わす。横軸は反応時間を、縦軸は生成した125I-FDPの割
合をすなわち線溶活性(%)を示している。例えば活性
100%はフィブリン塊が100%溶解したことを示す。
α2PIに対するモノクローナル抗体を加えないとフィ
ブリン塊はα2PIの働きで守られて全く溶解しない。一
方、モノクローナル抗体を添加し、α2PIの抗プラスミ
ン作用を中和すると、フィブリン塊の抗体の濃度に依存
して溶解しやすくなった。α2PIに対するモノクローナ
ル抗体を1.6μM加えた場合、24時間反応後の線溶活性
は90%、すなわち90%フィブリン塊が溶解した。
実施例3 α2PIに対するモノクローナル抗体によるフィブリン
塊溶解(2) プラスチック試験管に入れたヒト血液100μlと同じ
血液から分離した、血漿100μlにα2PIに対するモノク
ローナル抗体1D10C1をそれぞれ1.6μMの濃度になるよ
うに加え、混合した。125 I標識化フィブリノーゲン(5×105cpm/μl)2μ
l,トロンビン10単位,Ca2+イオン2mMを添加し、フィブ
リン塊を形成させ、ガラス棒で押しつぶした後、同じ試
験管に残存する血液中あるいは血漿中に浮かべた。室温
で放置し、2,4,6,8,24時間後に各々2μlずつサンプリ
ングし、フィブリン塊が溶解して血液あるいは血漿中に
出てくる125I標識化されたFDP(Fibrin Degradation Pr
oduct;フィブリン分解物)をガンマカウンターで測定し
た。図3にフィブリン塊溶解を表わす。横軸は反応時間
を、縦軸は生成した125I-FDPの割合を、すなわち線溶活
性(%)を示している。例えば活性100%はフィブリン
塊が100%溶解したことを示す。
血液にα2PIに対するモノクローナル抗体を加えてフ
ィブリン塊を形成させても、血漿の時と同様にフィブリ
ン塊は溶解する。このことは、血漿分離操作を行なうこ
となく、採血後、簡便に線溶活性が測定できることを意
味する。
実施例2及び3において使用したヒト血液,血漿は健
常人から採取したものである。本測定法は抗体を加えて
抗プラスミン作用を抑えているため、直接、血液あるい
は血漿中のプラスミノーゲンアクチベーター(TPA)と
プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)
の作用が反映する線溶活性をフィブリン塊溶解(Clotly
sis)という形で見ている。各種疾患において、例えば
6時間後のフィブリン分解物(FDP)の測定値の大小
は、線溶亢進あるいは低下を表わすものである。またフ
ィブリン塊溶解時間の長短でも、線溶異常の把握が容易
に可能である。
実施例4 本測定法を用いた、各種疾患における線溶活性の測定 実施例3において測定した方法に従い、各種疾患にお
ける線溶活性の測定を行なった。
患者血漿はAPL,AMMOL(白血病),DIC(汎発性血管内
凝固症),肺ガンであり、各疾患由来の血漿を用い、正
常血漿を対照に測定を行なった。図4に測定結果をまと
めて示した。縦軸が本測定法によって得られたΔFDP量
(単位μg/ml)であり、横軸が免疫学的手法(ELISA)
によって求めたt−PA(プラスミノーゲンアクチベータ
ー)量(単位ng/ml)である。各測定値をプロットし、
相関から直線を引くと、各種疾患の線溶動態が明らかに
なる。すなわち、DICでは、健常人に比べて、本測定法
における活性値(この例ではΔFDP)が低く、静脈内に
形成した血栓が溶解し難い状態にあることがわかる。生
化学的には、生成したt−PAがそのインヒビターによっ
て阻害されていることが考えられる。また肺ガンなどの
ガンの症例においては、t−PAの血中濃度は多いが、本
測定法における活性値は低く、DICを併発する可能性が
あるものと予診できる。生化学的にはガン組織細胞で産
生されたt−PAは、同様に多量に産生されたインヒビタ
ーにより活性を中和され、血栓溶解を有効に行えないこ
とが考えられる。
以上、実施例1〜4において述べて来たように、本測
定法では、生体内の線溶動態(異常・亢進・低下)を迅
速かつ簡便に測定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のモノクローナル抗体のα2PI活性に及
ぼす影響を示したものであり、図2及び図3はフィブリ
ン塊(凝固物)の溶解状態と反応時間の関係を示したも
のであり、図4は、各種疾患におけるt−PA量とフィブ
リン分解量との関係を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−222426(JP,A) 特開 昭61−97230(JP,A) 特開 昭58−209999(JP,A) J.Biol.Chem.,251 (19),P.5956−5965,(1976)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトα2−プラスミンインヒビターにおけ
    るプラスミンの線維素溶解作用の阻止部位を認識し、か
    つ、プラスミン結合部位およびフィブリン結合部位のい
    ずれをも認識しない、ヒトα2−プラスミンインヒビタ
    ーの線維素溶解阻止作用を抑制するモノクローナル抗体
    を、ヒト血液あるいは血漿に加えることを特徴とするヒ
    ト血液線溶活性の測定方法。
  2. 【請求項2】ヒトα2−プラスミンインヒビターにおけ
    るプラスミンの線維素溶解作用の阻止部位を認識し、か
    つ、プラスミン結合部位およびフィブリン結合部位のい
    ずれをも認識しない、ヒトα2−プラスミンインヒビタ
    ーの線維素溶解阻止作用を抑制するモノクローナル抗体
    を、ヒト血液あるいは血漿に加えた後、該血液あるいは
    血漿を凝固させ、凝固物の溶解の状態を調べることを特
    徴とする血液線溶活性の測定方法。
JP62165492A 1987-07-03 1987-07-03 血液線溶活性の測定方法 Expired - Fee Related JP2520424B2 (ja)

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