JP2519558Y2 - 二つ割りリム形式の車両用ホイール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、二つ割りリム形式の車両用ホイールに係
り、詳しくはタイヤ交換などのため、ホイールを取外す
際の誤操作を防止するようにした車両用ホイールの改良
に関する。

［従来の技術］ 車両用ホイールのリムには数種類のものが実用に供さ
れているが、それぞれ独立したリムとディスクとを溶接
等によって結合させたもののほか、ディスク部と一体的
に形成された左右二つのリムを重ね合せ、これを合せボ
ルト及び合せナットで締付けるように構成した二つ割り
リム形式のホイール（以下、単にホイールという）も知
られている。このホイールは製作が容易、かつタイヤセ
ットも至って簡単であるため、軽自動車や産業車両、農
業機械などの比較的タイヤ径の小さい車両に使用されて
いる。

［考案が解決しようとする課題］ ところが上記ホイールのディスク部がハブボルト及び
ハブナットによってアクスルハブに取付けられた状態で
は、中心径は幾分異なるものの各ハブナットの配設ピッ
チ間に上記合せナットが混在することになる。勿論ハブ
ナットと合せナットとの六角部寸法は必ずしも同一でな
く、ホイールの取外しに際して、ハブナットのみを慎重
に判別すれば問題はないのであるが、不測のうっかりミ
スや未熟な作業者の構造認識の欠如などから先に合せナ
ットが抜出され、ホイールが取外せないままに引続きハ
ブナットまでも抜出すような操作が行われると、リムの
分離がタイヤの破裂を誘発して極めて重大な事故を引き
起こす危険がある。

本考案は、ホイールを取外す際、合せナットの不用意
な抜出しを防止してハブナットの抜出しのみがごく自然
に行われるようにすることを、解決すべき技術課題とす
るものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記課題解決のため、各合せナットの外方部
を遮蔽し、かつハブナット操作用工具との干渉を回避す
べく形成したほぼ環状の安全プレートを、ホイール部分
に締着するようにした新規な構成を採用している。

上記安全プレートは各合せナットと適合した工具の進
入を阻む程度に、該合せナットの外方部を遮蔽するもの
であればよく、必ずしも合せナットの全投影面を覆蓋す
ることを要しない。そして構造上注気バルブとの干渉を
生じる場合は、該安全プレートの一部を切除し、これを
Ｃ字状に形成することもできる。また、安全プレートの
ハブナットと整合する部分には、ハブナット操作用工具
との干渉を避回して自由な出入を許すよう、必要に応じ
例えば円弧状の切欠きを設けることが好ましい。なお、
上記ホイール部分とは、ディスク部と一体的に形成され
た左右二つのリム及びこれらを結合する合せボルトを包
含した便宜的呼称であって、上記安全プレートは合せボ
ルトの先端面に直接、又はリムに付設した数個の突片を
介して小ねじ等により締着される。

［作用］ 本考案ホイールは、安全プレートが締着されている限
り合せナットの抜出しは完全に封じられ、しかもハブナ
ットによるホイールの着脱にはなんら支障のないように
形成されているので、全く誤操作の生じる余裕がなく、
極めて安全確実にホイールを取外すことができる。

［実施例］ 以下、図に基づいて本考案の実施例を具体的に説明す
る。

図において、10はアクスルシャフトで、その端末に結
合されたアクスルハブ11は軸受を介してアクスルハウジ
ング12に支承されている。タイヤ15を保持したホイール
20はディスク部と一体的に形成された左右二つのリム21
a、21bからなり、両者は重ね合わされたディスク部にお
いて、例えば図示のような各６個の合せボルト22及び合
せナット23によって強固に締着されている。そして該ホ
イール20は同様に各６個のハブボルト24及びハブナット
25により、上記アクスルハブ11のフランジ面に取付けら
れる。この場合ハブボルト24の配列中心径は上記合せボ
ルト22のそれよりも幾分小さく設定され、かつ各合せボ
ルト22と半ピッチずれた形態で配置されている。なお、
13はハブボルト24によって共締めされるブレーキドラム
であり、16はリム21bから延出したタイヤ15の注気バル
ブである。

30は上記注気バルブ16との干渉を避回してＣ字状に形
成された安全プレートであって、該安全プレートは各合
せナット23の外方部を遮蔽するように形成され、かつハ
ブナット25と整合する部分には、ハブナット操作用工具
との干渉を避回して自由な出入を許すよう同心円弧状の
切欠き30aが設けられている（第２図）。そして該安全
プレート30はアクスルハブ11に対するホイール20の取付
けと同時か又はそれ以前に、例えば図示のような４個の
小ねじ31を介して間隔した合せボルト22の先端面に締着
される。

本考案はかかる構成により、ホイール20がアクスルハ
ブ11に取付けられた状態では、上記安全プレート30によ
って合せナット23の外方部が、少なくとも同合せナット
23と適合した工具の進入を確実に阻むよう遮蔽されてい
る。したがって、たとえ初心者によってホイール20の取
外し作業が行われたとしても、ハブナット25に先んじて
合せナット23を抜出すことは全く不可能であり、リム21
a、21bの分断による事故は着実に防止される。しかも該
安全プレート30は上記切欠き30aによってハブナット25
の操作によるホイール20の着脱にはなんら支障のないよ
うに形成されているので、従来と変るところのない手順
でホイール20の着脱作業を円滑に遂行することができ
る。

［考案の効果］ 以上、詳述したように本考案は、各合せナットの外方
部を遮蔽し、かつハブナット操作用工具との干渉を避回
すべく形成したほぼ環状の安全プレートを、ホイール部
分に締着するようにしたものであるから、ホイールの取
外しに際し、合せナットがハブナットに先行して抜出さ
れるといった誤操作は完全に封じられ、極めて簡潔な手
段で作業の安全性を有効に確保することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示し、第１図はホイールの装着
状態を示す断面図、第２図は同側面図である。 11……アクスルハブ、15……タイヤ 16……注気バルブ、20……ホイール 21a、21b……リム、23……合せナット 25……ハブナット、30……安全プレート 31……小ねじ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】各合せナットの外方部を遮蔽し、かつハブ
   ナット操作用工具との干渉を避回すべく形成したほぼ環
   状の安全プレートを、ホイール部分に締着したことを特
   徴とする二つ割りリム形式の車両用ホイール。