JP2519508B2 - 環状のカルボン酸無水物の製造方法 - Google Patents

環状のカルボン酸無水物の製造方法

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JP2519508B2 JP63126071A JP12607188A JP2519508B2 JP 2519508 B2 JP2519508 B2 JP 2519508B2 JP 63126071 A JP63126071 A JP 63126071A JP 12607188 A JP12607188 A JP 12607188A JP 2519508 B2 JP2519508 B2 JP 2519508B2
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    • C07C51/54Preparation of carboxylic acid anhydrides
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は環中に4個または5個の炭素原子を有する随
意に置換されたアルカンジオン酸(alkanedioic acid)
の環状無水物の製造方法に関するのである。
〔発明の背景〕
このような環状無水物は、ブルテン ソサアテイ キ
ム フランス(Bull.Soc.Chim.Fr.),(9〜10,Pt.
2),第2189頁〜第2194頁に記載されているように、ア
ルキル基がエチル基またはプロピル基であるベーターア
ルキル−アルフア−シアノこはく酸ジエチルを酸加水分
解するとともに脱カルボキシル化して、モノ置換された
酸、すなわちRがエチル基またはプロピル基であるHO2C
CH=CH2CH(R)CO2Hを生成させることによつて製造するこ
とができ、そしてこのモノ置換された酸は加熱により無
水物に変えられた。環状無水物のこの製造方法は入手し
難い出発原料を必要とする。
〔発明の目的〕
本発明の目的は単純な出発化合物から簡単な方法で、
かつ高い選択率をもつて前述の環状無水物を製造すると
ころにある。
〔発明の構成および発明の具体的な説明〕
したがつて、本発明は、次の成分、すなわち 成分(a)−パラジウム化合物 成分(b)−ホスフイン、アルシンおよび/またはスチ
ビン、および 成分(c)−水溶液中25℃で測定して、2未満のpKaを
有するプロトン酸 を混ぜ合わせることによつて得られる触媒系の存在下に
おいて、随意に置換されたアルケン酸を一酸化炭素と反
応させることからなる、環中に4個または5個の炭素原
子を有する、随意に置換されたアルカンジオン酸の環状
無水物またはこのような環状無水物の混合物の製造方法
を提供する。
本発明方法は、パラジウム化合物がが不均質の形で含
まれ得るが、好ましくは均質の状態にある液相中で遂行
される。好適な均質のパラジウム化合物は、例えば硝
酸、硫酸、または好ましいものである、、1分子中に12
個以下の炭素原子を有するアルカン酸のパラジウム(I
I)塩である。好ましく使用されるパラジウム化合物は
酢酸パラジウム(II)である。パラジウム(II)化合物
のその他の例は蟻酸パラジウム(II)およびプロピオン
酸パラジウム(II)であり、ハロゲン化水素酸の塩も使
用できる。さらに、パラジウム錯体、例えばアセチルア
セトン酸パラジウム、テトラキストリフエニルホスフイ
ンパラジウム、酢酸ビス−トリ−o−トリルホスフイン
パラジウムまたは硫酸ビス−トリフエニルホスフインパ
ラジウムを使用することができ、パラジウム化合物の混
合物を成分(a)として使用できる。
驚くべきことには、本発明方法は環中に4個の炭素原
子を有する随意に置換されたアルカンジオン酸の環状無
水物を極めて高い選択率をもつて製造できることが判明
した。百分率で表わした、或化合物への選択率とは、こ
こでは100×p:qと定義され、そしてこの式の中で「p」
はその或化合物に転化された出発化合物の量であり、一
方「q」は転化された出発化合物全体の量である。した
がつて、本発明の好ましい実施態様によれば、化合物
(b)は、橋の中に少なくとも2個の炭素原子を有する
二価の有機架橋基を通して結合している少なくとも2個
の燐、砒素またはアンチモンを配位原子として含む有機
化合物からなるキレート配位子である。例えば、この好
ましい実施態様によつて3−ペンテン酸は定量的にエチ
ルこはく酸無水物に転化され得る。2個またはそれ以上
の配位原子は同じでも、あるいは異つていてもよく、例
えば2個の砒素原子、燐原子または砒素原子、あるいは
砒素原子およびアンチモン原子であり得る。キレート配
位子は好ましくは次の一般式Iを有し、 式中R1,R2,R4およびR5は同じか、または異なる随意に
置換された炭化水素基を表わし、そしてR3は2〜6個の
随意に置換されたメチレン基からなる連鎖を表わす。キ
レート配位子中に存在する置換基は、好ましくは、パラ
ジウム(II)化合物による錯体化合物の形成に対して立
体障害を引き起こさない。
炭化水素基R1,R2,R4およびR5は概して2〜18個、好
ましくは6〜14個の炭素原子を含んでいる。アリール
基、特にフエニル基が最も適した炭化水素基である。好
ましい架橋基−R3−は式CR6R7 nを有する架橋基であ
り、式中R6およびR7は水素原子または好ましくは立体障
害を起こさない随意に置換された炭化水素基であり、そ
してnは少なくとも2、好ましくは5以下の整数、最も
好ましくは2,3または4である。置換基R6およびR7は好
ましくは水素原子である。架橋基R3はまた環状構造、た
とえば芳香族基または脂環式基の一部を形成することが
でき、その架橋基中の1個または2個以上の炭素対炭素
結合は飽和していても、あるいは不飽和でもよく、そし
て架橋中で、あるいはその架橋に結合している環状基ま
たは非環状基中で、1個または2個以上のヘテロ原子、
例えば硫黄原子、酸素原子または窒素原子が、両方の燐
原子に結合している架橋中に存在しなければならない2
個の炭素原子以外の炭素原子と入れ代つていてもよい。
好適なキレート配位子の例は、 1,3−ジ(ジフエニルホスフイノ)プロパン、 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン、 2,3−ジメチル−1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタ
ン、 1,5−ジ(メチルフエニルホスフイノ)ペンタン、 1,4−ジ(ジシクロヘキシルホスフイノ)ブタン、 1,5−ジ(ジナフチルホスフイノ)ペンタン、 1,3−ジ(ジ−p−トリルホスフイノ)プロパン、 1,4−ジ(ジ−p−メトキシフエニルホスフイノ)ブタ
ン、 1,2−ジ(ジフエニルホスフイノ)エテン、 2,3−ジ(ジフエニルホスフイノ)−2−ブテン、 1,3−ジ(ジフエニルホスフイノ)−2−オキソプロパ
ン、 2−メチル−2−(メチルジフエニルホスフイノ)−1,
3−ジ(ジフエニルホスフイノ)−プロパン、 o,o′−ジ(ジフエニルホスフイノ)ビフエニル、 1,2−ジ(ジフエニルホスフイノ)ベンゼン、 2,3−ジ(ジフエニルホスフイノ)ナフタレン、 1,2−ジ(ジフエニルホスフイノ)シクロヘキサン、 2,2−ジメチル−4,5−ジ(ジフエニルホスフイノ)ジオ
キソラン および下記の式で表わされる化合物である。
1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタンによつて極
めて満足な結果が得られた。一般式Iで表わされるキレ
ート配位子の混合物を使用してもよい。
さらに、驚くべきことには、本発明方法は環中に4個
の炭素原子を有する随意に置換されたアルカンジオン酸
の環状無水物と環中に5個の炭素原子を有する随意に置
換されたアルカンジオン酸の環状無水物との混合物を、
これらの2種の無水物の合計量に対する極めて高い選択
率をもつて製造できることが発見された。したがつて、
本発明の好ましい実施態様によれば、化合物(b)は下
記の一般式IIを表し、 式中R6,R7およびR8はそれぞれ個別に、随意に置換され
たアリール基を表わす。例えば、この好ましい実施態様
によつて、3−ペンテン酸は定量的にエチルこはく酸無
水物と2−メチルグルタル酸無水物との混合物に転化す
ることができる。
一般式IIで表わされるホスフインの置換されている
か、または置換されていないアリール基R6,R7およびR8
は、好ましくは18個以下、特に6〜14個の範囲の炭素原
子を含んでいる。好適なR6,R7およびR8基の例はナフチ
ル基、特にフエニル基であり、好適な置換基はハロゲン
原子およびアルキル基、アリール基、アルコキシ基、カ
ルボキシ基、カルバルコキシ基、アシル基、トリハロゲ
ンメチル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基、スルホニ
ルアルキル基およびアルカノイルオキシ基である。
好適なホスフインの例はトリ−p−トリルホスフイ
ン、トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン、トリ−p
−メトキシフエニルホスフイン、o−ジフエニルホスフ
イノ安息香酸および特にトリフエニルホスフインであ
り、一般式IIを有するホスフインの混合物を使用しても
よい。
一般式Iで表わされるキレート配位子と一般式IIで表
わされるホスフインとの混合物を成分(b)として使用
することができ、この場合、環中に4個の炭素原子を有
する随意に置換されたアルカンジオン酸の環状無水物が
通常極めて高い選択率をもつて生成する。
2よりも小さいpKaを有するプロトン酸は、好ましく
は非配位性の陰イオンを有し、そしてこれは、パラジウ
ムと、プロトン酸の陰イオンとの間で共有結合的な相互
作用が少ししか、あるいは全く起きないことを意味して
いる。
酸の好ましいグループは次の一般式IIIを有し、 式中Xは硫黄原子または塩素原子を表わし、かつXが塩
素原子を表わす場合、R9は酸素原子を表わし、そしてX
が硫黄原子を表わす場合、R9はOH基または随意に置換さ
れた炭化水素基を表わす。
前述の酸を本発明方法において使用するとき、これら
の酸の陰イオンは非配位性のものとみなすことができ
る。
一般式IIIを有する酸において、R9で表わされる随意
に置換された炭化水素基は、好ましくは、1〜30個、特
に1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、アリール
基、アラルキル基またはアルカリール基である。炭化水
素基は、例えば、ハロゲン原子、特に弗素原子で置換さ
れていてもよい。一般式IIIで表わされる好ましい酸は
過塩素酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸およびトリフ
ルオロメタンスルホン酸であり、p−トルエンスルホン
酸が特に好ましい。もう一つの好適な酸は2−ヒドロキ
シプロパン−2−スルホン酸である。一般式IIIで表わ
される酸はまた、例えば、アンバーライト(Amberlit
e)252H(「アンバーライト」は商標名)のようなスル
ホン酸基を含むイオン交換体であり得る。その場合、炭
化水素基R9は重合体の炭化水素基、例えばスルホン酸基
で置換されたポリスチレン基である。好適な酸のさらに
別の例は、例えばBF3,AsF5,SbF5,PF5,TaF5またはNb
F5のようなルイス酸を、例えばハロゲン化水素酸、特に
HF、フルオロスルホン酸、燐酸または硫酸のようなブレ
ンステツド酸と相互に作用させることによって、おそら
く現場で生成させることができる酸である。後者の型の
酸の具体的な例はH2SiF6,HBF6,HPF6およびHSbF6であ
り、好適なスルホン酸の例はフルオロスルホン酸および
クロロスルホン酸である。好適な酸のその他の例はトリ
クロル酢酸、トリフルオル酢酸、ジクロル酢酸およびジ
フルオル酢酸である。2よりも小さいpKaを有するプロ
トン酸の混合物を成分(c)として使用できる。
本発明方法は、好適には溶媒、好ましくは中性溶媒の
存在下で遂行される。このような溶媒の例は、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、3種の
キシレン、エチルベンゼン、クメン、シクロヘキサンお
よびデカリンのような炭化水素;ジクロルメタン、クロ
ロホルム、1,2−ジクロルエタン、ペルフルオルアルカ
ン、クロルベンゼンおよび3種のジクロルベンゼンのよ
うなハロゲン化炭化水素;ジエチルスルホン、ジイソプ
ロピルスルホンおよびテトラヒドロチオフエン1,1−ジ
オキジド(これは「スルホラン」ともいう)のようなス
ルホン;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピ
ロリドンのようなN,N−ジアルキル置換アミド;安息香
酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸アミルのようなエステ
ル;ジエチルエーテル、3,6−ジオキサオクタン、メチ
ル第三ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプ
ロピルエーテル、1,4−ジオキサン、2,5,8−トリオキサ
ノナン(これは「ジグライム」ともいう)、ジフエニル
エーテルおよびアニソールのようなエーテルである。エ
ーテルによつて極めて満足な結果が得られた。
下記のモル比、すなわち 1)パラジウム化合物対少なくとも3個の脂肪族炭素原
子の連鎖を有する随意に置換されたアルケン酸のモル
比、 2)成分(b)対成分(a)のモル比、および 3)成分(c)対成分(a)のモル比 は臨界的でなくて、広い範囲内で変化できる。
上記(1)項記載のモル比は普通1:10〜1:10,000、好
ましくは1:50〜1:1000であり、上記(2)項および
(3)項記載のモル比は普通0.5〜200、好ましくは1〜
20である。
本発明方法は、臨界的でなくて広い範囲内で変化でき
る温度と圧力の下で遂行することができ、その温度は好
適には20〜250℃、そして好ましくは50〜200℃の範囲に
あり、そしてその圧力は好適には1〜100バール、そし
て好ましくは20〜75バールの範囲にある。
本発明方法においては、一酸化炭素は純粋な形で、あ
るいは窒素、貴ガスまたは二酸化炭素のような不活性ガ
スで希釈して使用できる。10容量%よりも多い水素が存
在すると、反応条件下でオレフイン状化合物の水素化が
起こる可能性があるので、一般にこのような水素の存在
は望ましくない。一般に一酸化炭素または5容量%未満
の水量を含む一酸化炭素含有ガスの使用が選択される。
本発明方法は、少なくとも3個の脂肪族炭素原子の連
鎖を有する非常に多くの種類の随意に置換されたアルケ
ン酸を使用して遂行することができ、この連鎖の末端原
子は酸のカルボニル基の炭素原子である。本方法は、出
発原料の酸として3−アルケン酸を使用する場合、下記
の式Aによつて図示でき、 (式中Q1,Q2,Q3,Q4およびQ5はそれぞれ水素原子また
は随意に置換された炭化水素基を表わす)その場合に
は、環の中の4個の炭素原子を有する随意に置換された
アルカンジオン酸の環状無水物が生成する。
上記の反応Aと同時に下記の反応Bが起こるときに
は、環状無水物の混合物が生成し、 式中Q1,Q2,Q3,Q4およびQ5は式Aにおけるものと同じ
意味を有する。
Q1,Q2,Q3,Q4およびQ5によつて表わされる炭化水素
基はアルキル基、好ましくは1〜30個の炭素原子を有す
るアルキル基、シクロアルキル基、好ましくは3〜8個
の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはアリール
基、好ましくはフエニル基であり得る。Q2,Q3,Q4およ
びQ5は、最も好ましくは1〜5個の炭素原子を有するア
ルキル基である。これらのアルキル基の中ではメチル基
およびエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい
が、Q2,Q3,Q4およびQ5は最も好ましくは水素原子を表
わす。
Q1は特に、1〜30個の炭素原子を有するアルキル基を
表わす。アルケン酸は好ましくは3−アルケン酸、特に
3−ペンテン酸である。このような酸のその他の例は3
−ブテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチ
ル−3−ブテン酸、2−メチル−3−ペンテン酸、3−
ヘキセン酸および2,2−ジメチル−3−ヘキセン酸であ
る。
上記のものの代りに、出発原料のアルケン酸は2−ア
ルケン酸であつてもよい。例えば、クロトン酸はメチル
こはく酸無水物に転化され、アクリル酸は無水こはく酸
に転化され、そして2−メチルクロトン酸は1,2−ジメ
チルこはく酸無水物に転化される。
さらに驚くべきことには、触媒系の影響下で炭素−炭
素二重結合を3−アルケン酸に移転するとによつて、p
が3よりも大きい整数である出発原料のp−アルケン酸
が現場で異性化されることが発見された。3−アルケン
酸は、順次、前記の式(A)にしたがい、そして結局式
(B)にしたがつて、環状無水物に転化される。例え
ば、10−ウンデセン酸は異性化されて3−ウンデセン酸
となり、そしてこの3−ウンデセン酸は順に極めて高い
選択率をもつてオクチルこはく酸無水物に転化される。
このような出発アルケン酸のその他の例は4−ペンテン
酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、7−オクテン酸
および9−デセン酸である。
Q1,Q2,Q3,Q4およびQ5によつて表わされる炭化水素
基は、反応条件下で不活性である置換基、例えばアルコ
キシ基、好ましくは1〜5個の炭素原子を有するアルコ
キシ基、あるいはハロゲン原子、例えば塩素原子または
臭素原子を随意に担持することができる。
本発明方法はバツチ式、半連続式または連続式に遂行
することができる。バツチ式で操作するときには、触媒
系、出発原料のアルケン酸および溶媒を反応器に供給し
て、その中で液相を形成させ、その反応器を一酸化炭素
で加圧し、ついで所望の温度に加熱する。連続式に操作
するときには、液体成分を反応器へ連続的に供給して、
その中で液相を形成させ、ついで一酸化炭素を反応器内
へ連続的に導入して、触媒を含む液相と接触させること
ができる。ガス状の反応剤を分離した形の流出物として
反応器から抜き出し、冷却し、減圧し、そして一酸化炭
素を上記のようにさらに接触させるために再循環させる
ことができる。
環状無水物は適当な方法で、例えば抽出または蒸留に
よつて反応混合物から遊離することができ、それによつ
て、環状無水物を含む留出物留分および触媒系を含む底
部留分を得ることができる。好適には、実質的に底部留
分中に残る溶媒が選択される。好ましくは、溶媒および
触媒系を含む底部留分の少なくとも一部が本発明方法に
おいて再使用される。
〔実施例〕
ついで、以下の実施例を参照して本発明をさらに詳し
く説明する。
実施例1 磁気的に撹拌される300mlのハステロイCオートクレ
ーブ(「ハステロイ(Hastelloy)」は商標)に次の材
料、すなわち アニソール 40ml 3−ペンテン酸 20ml(200ミリモル) 酢酸パラジウム(II)0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 0.8ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 2ミリモル p−トルエンスルホン酸 3ミリモル を装入した。
ついで、オートクレーブを一酸化炭素でフラツシユ
し、40バールの分圧が得られるまで一酸化炭素で加圧
し、90℃の温度に加熱し、そしてこの温度に2時間保持
した。この期間の末期においてオートクレーブを室温に
調整してから、それの中身を気液クロマトグラフイーに
よつて分析した。
3−ペンテン酸の転化率は64%であり、そしてエチル
こはく酸無水物および2−メチルグルタル酸無水物への
選択率はそれぞれ95%および3%であつた。
実施例2 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml 3−ペンテン酸 10ml(100ミリモル) 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 3ミリモル p−トルエンスルホン酸 4ミリモル を装入した。
90℃において1.5時間保持する反応期間の末期におい
て3−ペンテン酸の転化率は96%であり、そしてエチル
こはく酸無水物への選択率は95%であつた。
実施例3 1.4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタンを存在させ
なかつた点を除いて、実験を実施例2に記載したように
して遂行した。
90℃において1.5時間保持する反応期間の末期におい
て3−ペンテン酸の転化率は100%であり、そしてエチ
ルこはく酸無水物および2−メチルグルタル酸無水物へ
の選択率はそれぞれ73%および26%であつた。
実施例2の結果と比較すると、1,4−ジ(ジフエニル
ホスフイノ)ブタンの存在はエチルこはく酸無水物への
選択率を上昇させることがわかる。
実施例4 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml 3−ペンテン酸 5ml 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル トリフエニルホスフイン 3ミリモル p−トルエンスルホン酸 3ミリモル を装入した。
90℃において15分間保持する反応期間の末期において
3−ペンテン酸の転化率は100%であり、そしてエチル
こはく酸無水物への選択率および2−メチルグルタル酸
無水物への選択率はそれぞれ86%および14%であつた。
実施例5 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml 3−ペンテン酸 5ml 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル p−トルエンスルホン酸 4ミリモル を装入した。
90℃において5時間保持する反応期間の末期において
3−ペンテン酸の転化率は100であり、そしてエチルこ
はく酸無水物への選択率は100%であつた。
実施例2の結果と比較すると、1,4−ジ(ジフエニル
ホスフイノ)ブタンの存在は定量的な収量のエチルこは
く酸無水物を得るのに十分であることがわかる。
実施例6 アニソール(40ml)をスルホラン(40ml)で置き換え
た点を除き、実施例2の実験を繰り返した。
90℃において1.5時間保持する反応期間の末期におい
て3−ペンテン酸の転化率は100%であり、そしてエチ
ルこはく酸無水物への選択率は95%であつた。
実施例7 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml クロトン酸 10g 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 2ミリモル p−トルエンスルホン酸 3ミリモル を装入した。
150℃において3.5時間保持する反応期間の末期におい
てクロトン酸の転化率は3%であり、そしてメチルこは
く酸無水物への選択率は95%であつた。
実施例8 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml 10−ウンデセン酸 10g 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 10ミリモル p−トルエンスルホン酸 4ミリモル を装入した。
145℃において1.5時間保持する反応時間の末期におい
て10−ウンデセン酸の転化率は58%であり、そしてオク
チルこはく酸無水物への選択率は85%であつた。
実施例9 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち スルホラン 40ml 10−ウンデセン酸 10g 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 3ミリモル p−トルエンスルホン酸 4ミリモル を装入した。
145℃において5時間保持する反応期間の末期におい
て10−ウンデセン酸の転化率は46%であり、そしてオク
チルこはく酸無水物への選択率は95%であつた。
実施例10 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 40ml 3−ブテン酸 10ml(116ミリモル) 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 2ミリモル p−トルエンスルホン酸 3ミリモル を装入した。
90℃において0.5時間保持する反応期間の末期におい
て3−ブテン酸の転化率は80%であり、そしてメチルこ
はく酸無水物への選択率は95%であつた。
実施例11 実施例1で述べたようにして実験を遂行し、オートク
レーブに次の材料、すなわち アニソール 50ml オレイン酸 10ml 酢酸パラジウム(II) 0.4ミリモル 1,4−ジ(ジフエニルホスフイノ)ブタン 1.2ミリモル トリ(p−クロルフエニル)ホスフイン 3ミリモル p−トルエンスルホン酸 4ミリモル を装入する一方、オートクレーブを145℃の温度まで加
熱し、ついでオートクレーブを一酸化炭素で40バールの
圧力まで加圧した後に、この温度に5時間保つた。
オレイン酸の転化率は100%であることが観察される
一方、ペンタデシルこはく酸無水物への選択率は80%を
越え、そして微量の水分が存在するために若干の副生物
が生じた。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の成分、すなわち 成分(a)−パラジウム化合物、 成分(b)−ホスフイン、アルシンおよび/またはスチ
    ビン、および 成分(c)−水溶液中25℃で測定して、2未満のpKaを
    有するプロトン酸 を混ぜ合わせることによつて得られる触媒系の存在下に
    おいて、随時に置換されたアルケン酸を一酸化炭素と反
    応させることからなる、環中に4個または5個の炭素原
    子を有する、随時に置換されたアルカンジオン酸の環状
    無水物またはこのような環状無水物の混合物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】パラジウム化合物が、1分子に付き12個以
    下の炭素原子を有するアルカン酸のパラジウム(II)塩
    である、特許請求の範囲第(1)項記載の製造方法。
  3. 【請求項3】成分(b)が、橋の中に少なくとも2個の
    炭素原子を有する二価の有機架橋基を通して結合してい
    る少なくとも2個の燐原子、砒素原子またはアンチモン
    原子を配位原子として含む有機化合物からなるキレート
    配位子である、特許請求の範囲第(1)項または第
    (2)項記載の製造方法。
  4. 【請求項4】キレート配位子が下記の一般式Iを有す
    る、特許請求の範囲第(3)項記載の製造方法、 式中R1,R2,R4およびR5は同じか、または異なる随意に
    置換された炭化水素基を表わし、そしてR3は2〜6個の
    随意に置換されたメチレン基からなる連鎖を表わす。
  5. 【請求項5】キレート配位子が1,4−ジ(ジフエニルホ
    スフイノ)ブタンである、特許請求の範囲第(4)項記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】成分(b)が下記の一般式IIを有する、特
    許請求の範囲第(1)項または第(2)項記載の製造方
    法、 式中R6,R7およびR8はそれぞれ個別に、随意に置換され
    たアリール基を表わす。
  7. 【請求項7】アリール基がフエニル基である、特許請求
    の範囲第(6)項記載の製造方法。
  8. 【請求項8】成分(c)が下記の一般式(III)を有す
    る酸である、特許請求の範囲第(1)項〜第(7)項の
    いずれか一つに記載の製造方法、 式中Xは硫黄原子または塩素原子を表わし、かつXが塩
    素原子を表わす場合、R9は酸素原子を表わし、そしてX
    が硫黄原子を表わす場合、R9はOH基または随意に置換さ
    れた炭化水素基を表わす。
  9. 【請求項9】成分(c)がp−トルエンスルホン酸であ
    る、特許請求の範囲第(8)項記載の製造方法。
  10. 【請求項10】1:10〜1:10,000の範囲の、成分(a)対
    少なくとも3個の脂肪族炭素原子の連鎖を有する随意に
    置換されたアルケン酸のモル比、0.5〜200の、成分
    (b)対成分(a)のモル比および成分(c)対成分
    (a)のモル比を使用する、特許請求の範囲第(1)項
    〜第(9)項のいずれか一つに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】50〜200℃の温度および1〜100バールの
    圧力の下で遂行する、特許請求の範囲第(1)項〜第
    (10)項のいずれか一つに記載の製造方法。
  12. 【請求項12】アルケン酸が3−アルケン酸である、特
    許請求の範囲第(1)項〜第(11)項のいずれか一つに
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】pが3よりも大きい整数であるp−アル
    ケン酸中に炭素−炭素二重結合を移転させることによつ
    て現場で3−アルケン酸を形成させる、特許請求の範囲
    第(12)項記載の製造方法。
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