JP2518226Y2 - 車両のサスペンシヨン取付構造 - Google Patents

車両のサスペンシヨン取付構造

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JP2518226Y2 JP1989084493U JP8449389U JP2518226Y2 JP 2518226 Y2 JP2518226 Y2 JP 2518226Y2 JP 1989084493 U JP1989084493 U JP 1989084493U JP 8449389 U JP8449389 U JP 8449389U JP 2518226 Y2 JP2518226 Y2 JP 2518226Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この考案は、車体を懸架するためのサスペンシヨン装
置が車体へ取り付けられる部分における、車両のサスペ
ンシヨン取付構造に関するものである。
[従来の技術] 上記の自動車のサスペンシヨン装置としては、例え
ば、実開昭62−187904号公報にも開示されているよう
に、上方に配設されるA型状のアツパアームと、下方に
配設され、例えばA型状であるロアアームとによって、
車輪を支持するいわゆるダブルウイツシユボーン式サス
ペンシヨン装置がある。このダブルウイツシユボーン式
サスペンシヨン装置にあっては、基本的に車輪の姿勢が
上記アツパアームとロアアームとによって規制されるも
のであるため、これらのアームの位置、配置、長さの関
係を選定することによって、自動車の発進時におけるス
コツトや、車輪が車体に対して上下方向に運動した場合
のキヤンバやスカツフの変化を極力小さくすることがで
きるという利点を有している。
一方、自動車の走行中、路面の起伏により、車輪に対
し前後方向の衝撃荷重が入力されるが、上記ダブルウイ
ツシユボーン式サスペンシヨン装置にあっては、アツパ
アーム(およびロアアーム)が前後2点で車体に枢着さ
れている関係で、上記の衝撃荷重方向の剛性が高いもの
となり、車体に衝撃が伝わり易いという乗心地上の欠点
を有している。
ダブルウイツシユボーン式サスペンシヨン装置におけ
る乗心地上の欠点を緩和するには、アームの2点枢着部
の弾性ブツシユを軟らかくし、車輪の前後方向の支持剛
性を小さくすればよいが、このようにすると、車輪の回
転軸回りの支持剛性も低下してしまい、その支持構造に
おける固有振動数が低下し、車輪に設けられたブレーキ
装置におけるデイスク等の振動と共鳴してしまい、いわ
ゆるブレーキジヤダーが生じてしまうという欠点があ
る。
すなわち、上記の実開昭62−187904号公報に開示され
ているような、通常構造のダブルウイツシユボーン式サ
スペンシヨン装置においては、その構造上、乗心地かあ
るいはブレーキジヤダーのいずれかを犠牲にするか、ま
たは両者をある程度のところで満足するしかなかった。
そこで、例えば、実公昭62−1762号公報に開示されて
いるように、車輪支持部材を車輪のリムより上方に延ば
し、その延長部分にアツパアームを取り付けることによ
り、この取り付け点と車輪の回転軸との間隔を広げた構
造(いわゆるハイマウントダブルウイツシユボーン式サ
スペンシヨン装置)として、小さな力で上記ブレーキジ
ヤダーを防止できるようにし、これによって、アツパア
ームの車体への2つの枢着点に設けられる弾性ブツシユ
を軟らかいものとして乗心地の改善も図り、乗心地の向
上とブレーキジヤダーの防止を両立させたものが提案さ
れている。
上記のいわゆるハイマウントダブルウイツシユボーン
式サスペンシヨン装置においては、上述のように、乗心
地の向上とブレーキジヤダーの防止を両立させることが
できるが、新たな問題が生じてくる。
すなわち、ダブルウイツシユボーン式サスペンシヨン
装置のアツパアームは、車体への枢着点が前後方向に離
れた2点からなるA型アームで構成されるものであり、
このようなアツパアームに、車輪の上下動に伴なう揺動
を許すためには、広いスペースが必要であるが、車輪の
内部におけるリムの上方には、種々の部品の配置の都合
から、十分なスペースを確保することが困難であり、こ
のため、上記実公昭62−1762号公報の図面にも示されて
いるように、アツパアームの長さを短くし、かつ斜めに
配置することを余儀無くされる。このように、アツパア
ームの長さを短くすると、車輪の上下動ストロークの際
にキヤンバ変化が大きくなりすぎるという欠点が新たに
生じてくる。
このため、このような欠点を解決すべく、本願出願人
と同一出願人により、平成1年1月13日付けで、特願平
1−4873号として『自動車のサスペンシヨン装置』が出
願されている。この自動車のサスペンシヨン装置によれ
ば、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を、車体に
対しアツパアームおよびロアアームを介して揺動自在に
支持した自動車のサスペンシヨン装置において、少なく
とも前記アツパアームを、前記車輪支持部材に対し、車
体上下方向に所定距離隔てて配設される2本のリンク部
材で構成し、上方に配設されるリンク部材によって主に
車輪支持部材の車体前後方向の変位を規制し、下方に配
設されるリンク部材によって主に車輪支持部材の車幅方
向の変位を規制するようになっていることを特徴として
いる。
[考案が解決しようとする課題] この先願に開示された自動車のサスペンシヨン装置に
より、乗心地の向上とブレーキジヤダーの防止を両立さ
せることができるとともに、上記キヤンバ変化を望まし
い傾向のものとすることができることになる。
しかしながら、このようなサスペンシヨン装置におい
ては、アツパアームを構成する2本のリンクの中の上方
のリンクの車体への取付部において、多大な荷重が作用
することになり、ここの取り付け剛性が弱いと、取付部
において、運転者はじめ同乗者に不快感を与える振動が
発生することになり、問題である。
この考案は上述した課題に鑑みなされたもので、この
考案の目的は、上述した少なくともアツパアームを、車
輪支持部材に対し、車体上下方向に所定距離隔てて配設
される2本のリンク部材で構成する自動車のサスペンシ
ヨン装置を車体に取り付ける際に、取付部における十分
な取付剛性を達成して、取付部において同乗者を不快に
する振動の発生を効果的に抑制することの出来る車両の
サスペンシヨン取付構造を提供することである。
[課題を解決するための手段] 上述した課題を解決し、目的を達成するため、この考
案に係わる車両のサスペンシヨン取付構造は、少なくと
もアツパアームを、車輪支持部材に対し、車体上下方向
に所定距離隔てて配設される2本のリンク部材で構成す
る自動車のサスペンシヨン装置を車体に取り付けるため
の車両のサスペンシヨン取付構造であつて、前記上方の
リンク部材を、車両の前後方向に沿つて後方に延出し、
この後端を、アツパフレームとヒンジピラーとを互いに
連結する連結部材に支持した事を特徴としている。
[作用] 以上のように構成される車両のサスペンシヨン取付構
造によれば、上方のリンク部材の後端の取付部は、アツ
パフレームとヒンジピラーとを互いに連結する連結部材
に設定されている。このようにして、この連結部材は、
剛性の高いアツパフレームとヒンジピラーとを互いに連
結するように配設されており、この連結部材における取
付部位は、高い剛性を有することになる。この結果、取
付部における十分な取付剛性を達成して、高い剛性を有
する上方のリンク部材を確実に受けることが出来ること
になり、取付部において同乗者を不快にする振動の発生
を効果的に抑制することが可能となる。
[実施例] 以下、添付図面の第1図乃至第8図を参照して、この
考案に関わる車両のサスペンシヨン取付構造の一実施例
について説明する。
第1図には、この一実施例のサスペンシヨン取付構造
10により、サスペンシヨン装置12が取り付けられる自動
車14が、そのボンネツト16を一部切り欠いた状態で示さ
れている。即ち、このサスペンシヨン取付構造10により
車体Bに取り付けられるサスペンシヨン装置12は、この
一実施例においては、前輪用であり、図示する状態にお
いては、右前輪FR用のサスペンシヨン装置12が示されて
いる。
先ず、このサスペンシヨン取付構造10により車体Bに
取り付けられるサスペンシヨン装置12の構成を、第2図
乃至第5図を参照して説明する。
ここで、第2図乃至第5図は、夫々、自動車の右前輪
用サスペンシヨン装置12を取り出して示す斜視図、平面
図、後方から見た立面図、および車体内方から外方に向
けて見た側面図を示している。
ここで、右前輪FRは、車輪支持部材18に回転自在に支
持され、サスペンシヨン装置12を介して車体Bに連結さ
れている。換言すれば、この車輪支持部材18に、車体B
の右前部分がサスペンシヨン装置12を介して懸架されて
いる。この車輪支持部材18は、第2図及び第5図から明
かなように、右前輪FRの内側に沿つて、右前輪FRのリム
20の最上端より上方に延びる第1延長部18aと、第2図
及び第4図から明かなように、後方内側に向けて延出
し、ステアリング系のタイロツドTが垂直軸回りに回動
自在に取り付けられる第2延長部18bとを一体的に備え
ている。
そして、このサスペンシヨン装置12は、第2図に示す
ように、車輪支持部材18に接続された所の、リンク部材
である第1アツパアーム22および第2アツパアーム24か
らなるアツパアーム26と、略A型に形成されたロアアー
ム28と、シヨツクアブソーバ30とを備えた状態で構成さ
れている。
A型のロアアーム28は、ほぼ車幅方向に延びるI型の
アーム本体28aと、このアーム本体28aの先端部分に、こ
れと所定の鋭角を成すように堅固に固定されたテンシヨ
ンリンク28bとから構成されている。そして第4図に示
すように、A型の頂部を構成するアーム本体28aの一端
が、車輪支持部材18の下端にゴムブツシユ32を介してほ
ぼ垂直軸回りに回転可能に取り付けられている。
また、A型の底部を構成するアーム本体28aの他端及
びテンシヨンリンク28bの他端部は、共に、車体Bのク
ロスメンバ34にゴムブツシユ36,38を夫々介してほぼ車
体前後方向の水平軸の周りに回転可能に取り付けられて
いる。ここで、2つのゴムブツシユ36,38は、第3図に
示すように、車体Bの中心線と平行な軸線l上に位置す
るように配設されている。
尚、このようなロアアーム28のアーム本体28aとテン
シヨンリンク28bとから構成されるA型構造は、駆動軸
が配置されるスペースを確保できることから前輪駆動用
に最適するものであり、後輪駆動用においては、このよ
うな駆動軸の配置の必要がないため、ロアアーム28を2
本に分割することなく、A型に一体に構成することとな
る。
ここで、アツパアーム26の上方部分を構成する第1ア
ツパアーム22は、車輪支持部材18の車体前後方向の変位
を規制する作用をなすように構成されている。即ち、第
1アツパアーム22の一端は、車輪支持部材18の第1延長
部18aの上端に、ゴムブツシユ40を介してほぼ垂直軸の
周りに回転に取り付けられている。
また、第1アツパアーム22の他端は、この考案の特徴
となるサスペンシヨン取付構造10を介して車体Bに取り
付けられているものであり、その詳細は後述するが、概
略的には、車体Bの特定部位に対してゴムブツシユ42を
介して、車幅方向に沿つて延出する水平軸の周りに回転
可能に取り付けられている。即ち、この第1アツパアー
ム22は、右前輪FRのリム20の最上端より上方において、
車輪支持部材18から後方に、ほぼ車体前後方向に沿つて
延びている。
また、この第1アツパアーム22は、第5図から明かな
ように、車体後方側が車体下方に向けて傾斜して配置さ
れている。この傾斜配置によつて、ロアアーム28の車輪
支持部材18の車体前後方向の変位を規制する軸線、即
ち、ゴムブツシユ36,38を結ぶ軸線とで決まる右前輪FR
の回転瞬間中心を右前輪FRの後方側に設定して、この右
前輪FRの制動時のアンチダイブを達成している。
このように構成される第1アツパアーム22の途中に
は、ターンバツクル44が配設されている。このターンバ
ツクル44を介して、第1アツパアーム22の長さを調節す
ることによつて、右前輪FRのキヤスタ調整ができるよう
になつている。
一方、第2アツパアーム24は、ほぼ車幅方向に延び
て、車輪支持部材18の車幅方向の変位を規制する作用を
なすように構成されている。この第2アツパアーム24の
一端は、車輪支持部材18の右前輪FRのリム20の最上端よ
り下側の部分にゴムブツシユ46を介してほぼ垂直軸の周
りに回転可能に取り付けられている。
また、第2アツパアーム24の他端は、車体のクロスメ
ンバ34に対してゴムブツシユ48を介して車体前後方向の
水平軸の周りに回転可能に取り付けられている。この第
2アツパアーム24の長さは、通常の不等長リンク式のダ
ブルウイツシユボーンタイプのサスペンシヨン装置にお
けるアツパアームの長さとほぼ等しく、上述した実公昭
62−1762号のアツパアームよりは長いものとされてい
る。
このように構成される第2アツパアーム24の途中に
は、ターンバツクル50が配設されている。このターンバ
ツクル50を介して第2アツパアーム24の長さを調節する
ことによつて、右前輪FRのキヤンバ調整ができるように
なつている。
ここで、上述したシヨツクアブソーバ30は、コイルス
プリング52およびダンパ54を備えて、上下方向に延びて
いる。尚、ダンパ54の下端は、ロアアーム28に車体前後
方向の水平軸の周りに回動可能に取り付けられ、上端は
車体Bの一部を構成するサスペンシヨンタワーアツパ56
(第1図にも示す。以下、単にサスタワーアツパと略
す。)に回転偏位が可能なように取り付けられている。
また、コイルスプリング52は、ダンパ54の周囲に嵌装さ
れており、これの上端は、上述したサスタワーアツパ56
aの下面に固着されると共に、下端は、ダンパ54の略中
間部分に固着されている。
このようにサスペンシヨン装置12は、構成されている
ので、サスペンシヨン装置12自体として、次のような効
果を有している。
(1)第1アツパアーム22を右前輪FRのリムの最上端よ
り上方に配設したので、この第1アツパアーム22の車輪
支持部材18の支持点と、右前輪FRの回転中心との間の長
さが長くなり、従つて、第1アツパアーム22を車体4に
枢着するためのゴムブツシユ40を軟らかいものとするこ
とができ、その結果、上記したように、乗心地の向上と
ブレーキジヤダーの防止の両立を図ることができる。
(2)車輪支持部材18の車体前後方向の変位を規制する
部材である第1アツパアーム22がほぼ車体前後方向に延
びており、一方、車輪支持部材18の車幅方向の変位を規
制する部材である第2アツパアーム24がほぼ車幅方向に
延びているので、夫々に設けられたターンバツクル44、
50を調節することにより、キヤスタ調整とキヤンバ調整
を単独で、互いに対して干渉し合うことなく行うことが
できる。
(3)また、第1アツパアーム22と第2アツパアーム24
を上記したように分離したので、空間を有効に利用して
配設することができ、レイアウト性が向上する。
(4)車輪支持部材18の車幅方向の変位を規制する部材
である第2アツパアーム24を車輪のリムの最上端より下
方に配設したので、この部分には比較的横方向に空間が
あるので、第2アツパアーム24を比較的長くすることが
でき、従つて、キヤンバ変化の適正化を図ることができ
ことになる。
次に、この考案の特徴を成す所の、以上のように構成
されるサスペンシヨン装置12の第1アツパアーム22を車
体Bに取り付けるためのサスペンシヨン取付構造10の一
実施例の構成を、添付図面の第1図及び第6図乃至第8
図を参照して、詳細に説明する。
先ず、第1図及び第6図を参照して、このサスペンシ
ヨン取付構造10を構成する取付ブラケツトが配設される
付近の車体Bの構造を概略的に説明する。
即ち、この車体Bにおいては、第1図に示すように、
上述したサスタワーアツパ56は、左前輪FRが収納される
タイヤハウスを構成するホイールエプロン58の上端に形
成され、丁度シヨツクアブソーバ30の上方に位置する開
口を閉塞するように固着されている。このホイールエプ
ロン58は、車体の下部の右側を前後方向に沿つて延出す
るフロントサイドフレーム60に固着されている。
また、このホイールエプロン58とサスタワーアツパ56
とは、第6図に示すように、車体の右側上方を前後方向
に沿つて延出するホイールエプロンレインフオースメン
ト部材62に共に固着されている。ここで、このホイール
エプロンレインフオースメント部材62は、この一実施例
においては、アツパフレームとして機能しており、ホイ
ールエプロンレインフオースメントアウタ62aと、これ
の内方に前後方向に沿つて延出する閉断面を形成するよ
うに固着されたホイールエプロンレインフオースメント
インナ62bとから構成され、上述したホイールエプロン5
8とサスタワーアツパ56とは、具体的には、ホイールエ
プロンレインフオースメントインナ62bに固着されてい
る。
尚、第6図に示すように、このホイールエプロンレイ
ンフオースメントインナ62aとホイールエプロンレイン
フオースメントアウタ62bとは、共に、ヒンジピラー76
を構成するヒンジピラーアウタ76aに固着されている。
一方、第6図及び第7図に示すように、エンジンルー
ムと運転席とを仕切るために、車幅方向に延出するダツ
シユパネル64がフロントサイドフレーム60とホイールエ
プロン58とに起立した状態で固着されている。このダツ
シユパネル64は、下方から、略ホイールエプロン58の配
設高さまで延出するダツシユパネルロア64aと、このダ
ツシユパネルロア64aの上端に固着され、フロントウイ
ンドガラス66の下端下方まで延出するダツシユパネルア
ツパ64bとから構成されている。
ここで、上述したダツシユパネルロア64aの上端は、
前方に折曲しており、この折曲部分の上面には、ダツシ
ユパネルアツパ64bの下端(即ち、前端)が、重ね合わ
された状態で固着されている。一方、折曲部分の下面に
は、上述したホイールエプロン58の後端が、重ね合わさ
れた状態で固着されている。また、このダツシユパネル
アツパ64bの前端の上面には、カウルパネル68の先端が
重ね合わされた状態で固着されている。
尚、このカウルパネル68は、ダツシユパネルアツパ64
bとにより、車幅方向に沿つて延出する閉断面を構成し
ており、これの後端は、ダツシユパネルアツパ64bの後
端に重ね合わされた状態で固着されている。また、上述
したフロントウインドガラス66の下端は、カウルパネル
68の後端の直上方で終端している。
また、ダツシユパネルロア64aとダツシユパネルアツ
パ64bとの互いの接合部は、ホイールエプロンレインフ
オースメントインナ62bの下方に延出しており、ホイー
ルエプロンレインフオースメントインナ62bの下面とダ
ツシユパネルアツパ64bの上面とが互いに固着されてい
る。このようにして、ダツシユパネル64の配設強度は高
く維持されている。
尚、ホイールエプロンレインフオースメントインナ62
bの上面には、図示していないが、ボンネツト16から滑
らかに連続して、車体Bの外形を規定するフロントフエ
インダパネルの内方端部が固着されている。
以上のように構成される車体Bにおいて、上述したサ
スペンシヨン装置12における第1アツパアーム22の後端
を車体Bへ取り付けるための取付ブラケツトの固着状態
を、第6図乃至第8図を参照して詳細に説明する。
即ち、この取付構造10は、第1アツパアーム22の後端
を車幅方向に延出する水平な回動軸72回りに回転自在に
軸支する取付ブラケツト74を備えている。この取付ブラ
ケツト74は、第8図から明らかなように、前面が開放さ
れた上面略コ字状に形成されており、具体的には、両側
板74a,74bと、両側板74a,74bの互いの上端を連結する連
結板74cとから構成されている。一方、第6図から明ら
かなように、アツパフレームとして機能するホイールエ
プロンレインフオースメント部材62の後端部と、これが
固着されたヒンジピラー76の上端部とは、斜め方向に沿
つて延出する連結部材78を介して、互いに連結されてい
る。
そして、第6図から明かなように、上述した取付ブラ
ケツト74の連結板74cは、この連結部材78の傾斜した前
面に固着されている。
ここで、このような取付ブラケツト74の連結板74cが
固着される連結部材78は、第7図及び第8図から明かな
ように、夫々閉断面を構成することにより剛性を高めら
れたホイールエプロンレインフオースメント部材62とヒ
ンジピラー76とを互いに連結するように配設されている
ので、この連結部材78自身の剛性も高いものとなる。こ
の結果、この取付ブラケツト74の固着部分、換言すれ
ば、第1アツパアーム22の取付部における取付剛性は、
極めて高く設定されることになる。
このようにして、この一実施例においては、第1アツ
パアーム22の取付部の取付剛性が十分に高く設定される
ことにより、この第1アツパアーム22に作用する過大な
懸架力に十分に耐えることが出来、この取付部におい
て、運転者はじめ同乗者に不快感を与えるような、剛性
不足に基づく振動の発生が効果的に抑制されることにな
る。また、この連結部材78により互いに連結されるホイ
ールエプロンレインフオースメント部材62とヒンジピラ
ー76とは、その接合部分における接合剛性を高められる
こととなり、車体全体の剛性も、より高いものとなる。
この考案は、上述した一実施例の構成に限定されるこ
となく、この考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可
能であることは言うまでもない。
[考案の効果] 以上詳述したように、この考案に係わる車両のサスペ
ンシヨン取付構造は、少なくともアツパアームを、車輪
支持部材に対し、車体上下方向に所定距離隔てて配設さ
れる2本のリンク部材で構成する自動車のサスペンシヨ
ン装置を車体に取り付けるための車両のサスペンシヨン
取付構造であつて、前記上方のリンク部材を、車両の前
後方向に沿つて後方に延出し、この後端を、アツパフレ
ームとヒンジピラーとを互いに連結する連結部材に支持
した事を特徴としている。
従つて、この考案によれば、少なくともアツパアーム
を、車輪支持部材に対し、車体上下方向に所定距離隔て
て配設される2本のリンク部材で構成する自動車のサス
ペンシヨン装置を車体に取り付ける際に、取付部におけ
る十分な取付剛性を達成して、取付部において同乗者を
不快にする振動の発生を効果的に抑制することの出来る
車両のサスペンシヨン取付構造が提供されることにな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案に係わる車両のサスペンシヨン取付構
造が適用される自動車の構成を一部破断した状態で示す
斜視図; 第2図はサスペンシヨン取付構造により車体に取り付け
られるサスペンシヨン装置の構成を示す斜視図; 第3図乃至第5図は第2図に示すサスペンシヨン装置の
構成を夫々具体的に示す平面図、後方から見た立面図、
および車体内方から外方に向けて見た側面図; 第6図はこの考案に係わる車両のサスペンシヨン取付構
造の一実施例の構成を、エンジンルームの外から斜め後
方に向けて見た状態を示す斜視図; 第7図は第6図に示すサスペンシヨン取付構造の、A−
A線に沿つて切断した状態で示す縦断面図;そして、 第8図は第6図に示すサスペンシヨン取付構造の、B−
B線に沿つて切断した状態で示す横断面図である。 図中、FR……右前輪、FL……左前輪、T……タイロツ
ド、10……サスペンシヨン取付構造、12……サスペンシ
ヨン装置、14……自動車、16……ボンネツト、18……車
輪支持部材、18a……第1の延出部、18b……第2の延出
部、20……リム、22……第1アツパアーム、24……第2
アツパアーム、26……アツパアーム、28……ロアアー
ム、28a……アーム本体、28b……テンシヨンアーム、30
……シヨツクアブソーバ、32……ゴムブツシユ、34……
クロスメンバ、36;38;40;42……ゴムブツシユ、44……
ターンバツクル、46;48……ゴムブツシユ、50……ター
ンバツクル、52……コイルスプリング、54……ダンパ、
56……サスタワーアツパ、58……ホイールエプロン、60
……フロントサイドフレーム、62……ホイールエプロン
レインフオースメント部材、62a……ホイールエプロン
レインフオースメントアウタ、62b……ホイールエプロ
ンレインフオースメントインナ、64……ダツシユパネ
ル、64a……ダツシユパネルロア、64b……ダツシユパネ
ルアツパ、66……フロントウインドガラス、68……カウ
ルパネル、72……回動軸、74……取付ブラケツト、74a;
74b……側板、74c……連結板、76……ヒンジピラー、76
a……ヒンジピラーアウタ、76b……ヒンジピラーイン
ナ、78……連結部材である。
フロントページの続き (72)考案者 近藤 敏郎 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 実開 平1−83676(JP,U) 特公 昭52−9889(JP,B2) 実公 昭56−23188(JP,Y2)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともアツパアームを、車輪支持部材
    に対し、車体上下方向に所定距離隔てて配設される2本
    のリンク部材で構成する自動車のサスペンシヨン装置を
    車体に取り付けるための車両のサスペンシヨン取付構造
    であつて、 前記上方のリンク部材を、車両の前後方向に沿つて後方
    に延出し、この後端を、アツパフレームとヒンジピラー
    とを互いに連結する連結部材に支持した事を特徴とする
    車両のサスペンシヨン取付構造。
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