JP2518134Y2 - ロータリチヤツク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、回転爪に把持径の異なる複数の工作物把持
面を有するロータリチャックに関するものである。

従来の技術 従来、１台の旋盤で一次二次加工を連続して行う場合
には、自動又は手動でチャック把持爪を交換するか、２
つの把持径に対応する２段爪を用いて加工を行ってい
た。

考案が解決しようとする課題 従来の技術で述べた前者においては、爪の交換時間が
長く加工能率が著しく悪いという問題点を有し、後者に
おいては、軸方向長さが短い工作物には対応できないと
いう問題点を有していた。本考案は、従来の技術の有す
るこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目
的とするところは短時間に把持径を換えることのできる
ロータリチャックを提供しようとするものである。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、チャック本体に円周上等
間隔かつ回転中心に対して同心円上に先広がり勾配を有
し回転及び軸方向移動可能に設けられ内端部に歯車を有
する複数個のマスタ軸と、該複数個のマスタ軸の先端に
円周上等間隔に把持径の異なる少なくとも２個の工作物
把持面のそれぞれに対応する把持面が中心側に位置しう
るよう位相を合わせて着脱可能に締着された回転爪と、
前記チャック本体に突設され工作物を把持した前記回転
爪の背面を支えるバックアップ部材と、前記マスタ軸を
軸方向移動させて前記回転爪の開閉を行う第１駆動部材
と、前記チャック本体の中心に内蔵され前記それぞれの
マスタ軸の歯車と噛み合う歯車を有し前記回転爪を同時
回転させて対応する前記把持面を前記工作物把持位置に
割出すロータリアクチュエータ部材を含む第２駆動部材
とを備えてなるものである。

作用 第１駆動部材により回転爪を軸方向移動して工作物の
把持，解放を行い、第２駆動部材により回転爪を旋回し
て異なる把持径の把持面を工作物把持位置に割出す。

実施例 実施例について第１図〜第３図を参照して説明する。

公知の施盤において、主軸台１に複数の軸受により回
転可能に設けられた主軸２の先端に、チャックプレート
３を介してチャック本体４が嵌着されている。本体４の
後側中心穴4aにプランジャ５が軸方向移動可能に軸承さ
れており、プランジャ５は本体内に設けられた回り止め
ピン６により回転が規制されている。更に本体４には円
周上等間隔かつ回転中心に対して前広がり勾配を有する
穴4bが穿設されており、穴4bにマスタ軸７が回転及び軸
方向移動可能に嵌挿されている。マスタ軸７は先端に円
筒形状の回転爪８がボルト９により着脱可能に固着され
ており、マスタ軸７の後端部はプランジャ５の鍔部5aに
穿設された穴に回転可能かつ僅かに半径方向に移動可能
に嵌挿され、鍔部5aの両側面がマスタ軸７の段差部端面
とナット10により挟持されて、マスタ軸７がプランジャ
５により軸方向移動されるようになっている。そしてプ
ランジャ５は主軸２の後端部に取付けられた油圧駆動の
回転シリンダ11に嵌挿されるピストンと、ドローチュー
ブ12を介して連結されており、回転シリンダ11に供給さ
れる圧油は、電磁バルブSOL1により切り換えられるよう
になっている。更に本体４の前側中心穴4cに油圧駆動の
回転アクチュエータ13が嵌着されており、回転アクチュ
エータ13の旋回軸に一体の歯車14が刻設され、歯車14は
マスタ軸７に刻設された歯車7aと噛合されている。回転
アクチュエータ13に供給される圧油は、電磁バルブSOL2
により切り換えられ、主軸後端に設けられた回転継手15
を介してドローチューブ11内に遊挿される二重チューブ
16A,16Bの流路16a及び16bを経て供給される。そして電
磁バルブSOL2の切り換えにより歯車14が旋回し、マスタ
軸７が180°旋回され、回転爪８に成形されている把持
径の異なる２つの工作物把持面8a,8bが工作物把持位置
に割出されるようになっている。更に本体４の前端面の
外側には回転爪８の外周が当接して工作物把持時の剛性
を落とさないためのバックアップ面4dを有する凸部4eが
一体に設けられている。

続いて本実施例の作用について説明する。今一次二次
連続加工が終わって工作物（完成品）が取外されたとこ
ろである。電磁バルブSOL2が切り換えられて、回転アク
チュエータ13の回転軸と一体の歯車14が回転され、歯車
7aを介してマスタ軸７が180°旋回され、回転爪８の一
次加工用把持爪8bが工作物把持位置に割出される。次い
で作業者又はロボットにより工作物（素材）が回転爪８
に挿入され、電磁バルブSOL1が切り換えられてプランジ
ャ５が後退し、回転爪８が引込まれて把持面8bが閉じ工
作物を把持する。次いで主軸２が回転され、図示しない
刃物台のＸ軸及びＺ軸方向の移動で一次加工が行われ
る。

一次加工が終了すると、刃物台が所定位置に退避し主
軸の回転が停止され、電磁バルブSOL1が切り換えられ
て、プランジャ５が前進し回転爪が開き、作業者又はロ
ボットにより工作物（半成品）が抜き取られる。次いで
電磁バルブSOL2が切り換えられて回転爪が180°旋回さ
れ、二次加工用把持面8aが工作物把持位置に割出され
る。そして工作物が反転されて一次加工で切削した部分
が回転爪８に挿入され、再び電磁バルブSOL1が切り換え
られてプランジャ５が後退し回転爪が閉じて工作物を把
持され、主軸が回転され二次加工が行われる。

尚回転爪８の把持面は回転中心に対して同心に形成さ
れるものと限定されるものではなく、偏心した把持面を
形成することにより偏心部を有する工作物の一次二次連
続加工に対応することができるのは勿論である。

考案の効果 本考案は上述のとおり構成されているので次に記載す
る効果を奏する。

チャック本体に円周上等間隔かつ回転中心に対して先
広がり勾配を有し、回転及び軸方向移動可能に設けられ
たマスタ軸の先端に、回転爪を着脱可能に設け、この回
転爪をチャック本体に内蔵した第２駆動部材のロータリ
アクチュエータにより旋回して把持径の異なる複数の把
持面を工作物把持位置に割出すようになしたので、把持
爪の交換に時間を要することなく一次二次工程を連続加
工することができ、加工能率の向上とともに仕掛り品の
削減ができる。また把持爪旋回手段が内蔵されているの
で主軸構造が簡素化できる。さらに回転中心に対して偏
心した把持面とすることにより偏心部を有する工作物の
一次二次工程の連続加工を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はロータリチャックの側面の断面図、第２図はロ
ータリチャックの正面図、第３図は主としてロータリチ
ャックの駆動部を表す説明図である。 ４……チャック本体、５……プランジャ ７……マスタ軸、８……回転爪 8a,8b……工作物把持面 13……回転アクチュエータ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】チャック本体（４）に円周上等間隔かつ回
   転中心に対して同心円上に先広がり勾配を有し回転及び
   軸方向移動可能に設けられ内端部に歯車を有する複数個
   のマスタ軸（７）と、該複数個のマスタ軸の先端に円周
   上等間隔に把持径の異なる少なくとも２個の工作物把持
   面（8a,8b）のそれぞれに対応する把持面が中心側に位
   置しうるよう位相を合わせて着脱可能に締着された回転
   爪（８）と、前記チャック本体に突設され工作物を把持
   した前記回転爪の背面を支えるバックアップ部材と、前
   記マスタ軸を軸方向移動させて前記回転爪の開閉を行う
   第１駆動部材（5,11,12）と、前記チャック本体の中心
   に内蔵され前記それぞれのマスタ軸の歯車と噛み合う歯
   車を有し前記回転爪を同時回転させて対応する前記把持
   面を前記工作物把持位置に割出すロータリアクチュエー
   タ部材を含む第２駆動部材（13〜15）とを備えてなるこ
   とを特徴とするロータリチャック。