JP2517615B2 - 金属薄帯用連続鋳造装置の起動方法 - Google Patents

金属薄帯用連続鋳造装置の起動方法

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JP2517615B2 JP62215871A JP21587187A JP2517615B2 JP 2517615 B2 JP2517615 B2 JP 2517615B2 JP 62215871 A JP62215871 A JP 62215871A JP 21587187 A JP21587187 A JP 21587187A JP 2517615 B2 JP2517615 B2 JP 2517615B2
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正彬 立川
実 山手
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶融金属から非晶質又は結晶質の金属薄帯
を直接的に製造する連続鋳造装置の起動を容易に行う方
法に関する。
〔従来の技術〕
溶融金属を急速に冷却して非晶質や結晶質の金属薄帯
を製造する連続鋳造法が、後続する圧延工程や熱処理工
程における負担を軽減し、しかも生産性の高い技術とし
て最近注目を浴びている。この種の連続鋳造法として
は、冷却ドラムの表面に溶融金属を供給し、その表面か
ら抜熱して金属薄帯に製造する単ドラム方式や、一対の
冷却ドラムの間で溶融金属を急冷凝固させて、ドラムギ
ャップから金属薄帯を送り出すツインドラム方式等があ
る(特開昭54−26201号公報,特開昭58−77750号公報等
参照)。
第4図は、この単ドラム方式による非晶質金属薄帯の
連続鋳造装置を示す。
溶融金属1は、その液面レベルが一定になるようにタ
ンディッシュ2内に注入されている。このタンディッシ
ュ2の底壁にはタンディッシュノズル3が設けられてお
り、このタンディッシュノズル3に中間ノズル4及びノ
ズルホルダ5が連結されている。これらのタンディッシ
ュノズル3,中間ノズル4及びノズルホルダ5の内部に孔
が穿設されており、この孔が接続されて溶湯流路6とな
る。ノズルホルダ5の先端にはノズルチップ7が取り付
けられており、このノズルチップ7に設けたノズルスリ
ット8が前述の溶湯流路6に連通している。
ストッパー9を上昇させることによってタンディッシ
ュノズル3の流出孔3a開放すると、タンディッシュ2内
の溶融金属1は、溶湯流路6を経由してノズルスリット
8から冷却ドラム10に向けて流出する。このとき、タン
ディッシュ2内の溶湯静圧に応じて、ノズルスリット8
から流出する溶融金属の流量が制御される。ノズルスリ
ット8から流出した溶融金属は、冷却ドラム10の表面で
急速に冷却されて金属薄帯11となる。このノズルスリッ
ト8は、目標とする金属薄帯11の幅に応じた開口長さを
もっている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
この形式の装置を使用して金属薄帯11を製造すると
き、鋳造作業をどのようにスタートさせるかが重要な問
題となる。すなわち、鋳造開始前にあっては、溶湯流路
6及びノズルスリット8内は、溶融金属で充満されてい
ない。この状態から溶融金属を冷却ドラム10の周面に向
けて流出させるとき、溶融金属流の幅方向流量分布が一
定せず、製造された金属薄帯11が筋状或いはスダレ状に
なることが避けられない。
そこで、従来では、ノズルホルダ5の拡大内部空間12
の流路に種々の工夫をして、定常状態にできるだけ近づ
けた流れの状態を速やかに得られるようにした上で、ノ
ズルチップ7先端と冷却ドラム10周面間の間隙も定常状
態で望ましい値約0.2mmに設定して注湯スタートしてい
た。
しかしながら、なお完全には定常状態にできないため
に、前記間隙部近傍に湯玉発生等が起きて操業トラブル
のもとになっていた。
そこで本発明は、注湯開始前にノズルホルダ内の拡大
内部空間を予め溶融金属で充満させることによって、金
属薄帯の連続鋳造作業のスタートを容易にすることを目
的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の金属薄帯用連続鋳造装置の起動方法は、その
目的を達成するために、タンディッシュに収容した溶融
金属をノズルチップのノズルスリットから流出させ、該
溶融金属を回転する冷却ドラムの周面に接触させて冷却
し、金属薄帯を連続鋳造する際に、鋳造開始当初に前記
ノズルチップの先端と前記冷却ドラムの周面との間の間
隙Lを大きくして、前記ノズルスリットから流出した溶
融金属を冷却ドラムの下方に配置した受け皿に収容し、
次いで前記ノズルスリットから流出する溶融金属の流れ
が安定したときに、前記タンディッシュの底部に設けた
流出孔をストッパーで閉塞して、前記間隙Lを約1mmと
した後、注湯を再開して巻取りドラムによる金属薄帯の
巻き取りが開始した後、前記間隙Lを1mm以下に更に狭
めて定常鋳造を開始することを特徴とする。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら、実施例により本発明の特
徴を具体的に説明する。
第1図は、本発明の実施例における起動方法を工程順
に説明する図である。なお、第1図において第3図で示
した部材等に対応するものについては同一の符番で指示
し、また以下の説明においてその他の部材等については
第3図に示した符番を適宜使用している。
鋳造開始前に先ず、第1図(a)に示すように、タン
ディッシュ2に取り付けたノズルホルダ5に装着されて
いるノズルチップ7先端と冷却ドラム10周面との間隙L
を充分に離し、ノズルチップ7のノズルスリット8から
流出する溶融金属流13を、冷却ドラム10の下方に配置し
た受け皿14に落下させる。このときの間隙Lとしては、
ノズルスリット8から流出する溶融金属流13の速度にも
よるが、80〜180m/分の範囲にある通常の流速では間隙
Lを100〜150mmの範囲に維持することが好ましい。これ
によって、溶融金属流13は、冷却ドラム10の周面に接触
することなく、受け皿14に直接落下する。この状態を5
〜20秒継続すると、溶融金属流13の流動状態が比較的安
定する。
そこで、第1図(b)に示すように、ストッパー9を
下降させてタンディッシュ2底部にある流出孔3aを閉塞
し、ノズルチップ7のノズルスリット8からの溶融金属
の流出を中断する。この状態で、タンディッシュ2を冷
却ドラム10に近接させ、ノズルチップ7先端と冷却ドラ
ム10周面間の間隙Lを約1mmにする。
次いで、第1図(c)に示すように、ストッパー9を
上昇させ流出孔3aを開放し、ノズルスリット8から溶融
金属流を流出させる。このとき、溶湯流路6及びノズル
ホルダ5内の拡大内部空間12には、第1図(a)の工程
で供給された溶融金属が充満している。したがって、ノ
ズルスリット8から流出する溶融金属流13は、定常状態
に非常に近い状態の流れとなって冷却ドラム10の周面に
接触し、金属薄帯11となる。
ここで、ノズルチップ7先端と冷却ドラム10周面間の
間隙Lが約1mmに維持されているので、製造された金属
薄帯11は0.05mm以下の充分に薄いものとなる。この金属
薄帯11は、冷却ドラム10の回転に随伴されて、冷却ドラ
ム10の周面に沿って搬送され、冷却ドラム10と巻取りド
ラム15との間を通過する。そこで、巻取りドラム15を磁
気吸着型としたり、冷却ドラム10の周面と金属薄帯11と
の境に分離用のガスを吹き付ける等の手段により、金属
薄帯11を冷却ドラム10の周面から分離して巻取りドラム
15に巻き取ることができる。
巻取りドラム15による金属薄帯11の巻取りを開始した
後、第1図(d)に示すようにノズルチップ7先端と冷
却ドラム10周面間の間隙Lを更に狭め、該間隙Lを金属
薄帯11の目標肉厚に対応した値、たとえば0.2mm以下と
する。以降は、間隙Lを一定に維持した定常状態となっ
て、金属薄帯11を鋳造する。
本実施例にあっては、ストッパー9の操作によって、
鋳造開始前にノズルホルダ5内の拡大内部空間12に溶融
金属を充満させている。そしてこのときにノズルスリッ
ト8から流出する溶融金属流を、溶融状態のままで受け
皿14に収容している。このため、受け皿14に収容された
溶融金属の処理もさほど困難を伴うことなく処理でき
る。
実施例では、鋳造開始前にノズルホルダ5内の拡大内
部空間12に溶融金属を充満させた後に鋳造を開始すると
き、ノズルチップ7先端と冷却ドラム10周面間の間隙L
を約1mmにしている。
第2図は、この理由を説明する図である。すなわち、
第1図(a)又は第2図(a)に示した初期状態の注湯
を中断するとき、溶融金属の流出が止まったノズルスリ
ット8には、第2図(a)に示すようにしずく16が突出
している。しずく16は、同図(b)の平面図で示すよう
に、ノズルスリット8の幅方向に広がったものである。
このしずく16の突出長さ1は、通常の溶融金属を流出さ
せる場合、ノズルスリット8の開口高さ(実施例では1.
2mm)の1/2程度すなわち約0.6mmである。そこで、この
しずく16が鋳造開始時に冷却ドラム10周面に接触して、
その面を傷つけたり、汚したりしないように、ノズルチ
ップ7先端と冷却ドラム10周面間の間隙Lを約1mmとす
る。
〔発明の効果〕
以上に説明したように、本発明においては、通常開始
前にノズルホルダ内の拡大内部空間に予め溶融金属を充
満させているので、鋳造開始時にノズルスリットから流
出する溶融金属流は定常状態に非常に近い状態になって
いて、鋳造作業のスタートが安定して行なえる。このよ
うにして、本発明によるとき、定常状態に至る段階にお
ける操作、すなわち連続鋳造装置の起動が容易となるた
め、高い生産性で金属薄帯を製造することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における定常状態に至る各段階
を工程順に説明する図である。第2図は定常鋳造前のノ
ズルチップ先端と冷却ドラム周面間の間隙を約1mmに維
持する意義を説明する図である。他方、第3図は、従来
の非晶質金属薄帯を製造する装置を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−53853(JP,A) 特公 昭62−25461(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンディッシュに収容した溶融金属をノズ
    ルチップのノズルスリットから流出させ、該溶融金属を
    回転する冷却ドラムの周面に接触させて冷却し、金属薄
    帯を連続鋳造する際に、鋳造開始当初に前記ノズルチッ
    プの先端と前記冷却ドラムの周面との間の間隙Lを大き
    くして、前記ノズルスリットから流出した溶融金属を冷
    却ドラムの下方に配置した受け皿に収容し、次いで前記
    ノズルスリットから流出する溶融金属の流れが安定した
    ときに、前記タンディッシュの底部に設けた流出孔をス
    トッパーで閉塞して、前記間隙Lを約1mmとした後、注
    湯を再開して巻取りドラムによる金属薄帯の巻き取りが
    開始した後、前記間隙Lを1mm以下に更に狭めて定常鋳
    造を開始することを特徴とする金属薄帯用連続接鋳造装
    置の起動方法。
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