JP2516284Y2 - 中子搬送治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンのシリンダヘッド鋳造用の複数の
中子を一括して搬送するようにした中子搬送治具に関す
る。

（従来の技術） 従来、例えば車両用エンジンのシリンダヘッドを鋳造
するような際、ウォータージャケット、インポート、エ
キスポート等の中空部を形成するため、それぞれ中子が
使用されている。そして各ウォータージャケット中子、
インポート中子、エキスポート中子等は、中子造形機に
よって成形され、各種類ごと専用の台車に載せて鋳造機
まで運ばれ、鋳造の際に鋳型内にセットされている。

（考案が解決しようとする課題） しかしこのような複数種の中子を各種類ごと専用の台
車に載せて運搬するような場合には、台車上の積載空間
に空きスペースが生じてスペースを有効に活用すること
が出来ず、搬送台車の台数の増加を招いていた。そして
これらの各中子の形状は、エンジンの種類によって微妙
に異なり、種類によって台車を変える必要があることか
ら特に鋳造現場においては多数の台車が場所を占有して
作業等の邪魔となり、しかもウォータージャケット中
子、インポート中子、エキスポート中子のそれぞれ３種
を各別の台車から取り出してセットするため作業能率が
悪く、セットを自動化しようとする際の阻害要因ともな
っていた。

（課題を解決するための手段） かかる課題を解決するため、本考案は、ウォータージ
ャケット中子とインポート中子とエキスポート中子を組
み付けた状態で一括して搬送することの出来る搬送治具
を設けた。すなわち、ベース上に設けられ且つインポー
ト中子とエキスポート中子の各幅木部を支える一対のポ
ート幅木受具と、これらポート幅木受具の中間部に設け
られ且つインポート中子とエキスポート中子の自由端部
を位置決め状に支えるポート受具と、ウォータージャケ
ット中子の中央孔に嵌入可能な係止ピンを備えた中子搬
送治具を構成した。そして前記各ポート幅木受具には、
ポート中子の幅木部に形成した凹部に嵌合するための突
状部材を設けるとともに、前記ポート受具の一端側には
ウォータージャケット中子の受け部を設け、他端側には
ウォータージャケット中子の受け部と振れ止め部を設け
た。

（作用） ウォータージャケット中子側面のポート形成孔にイン
ポート中子とエキスポート中子の各ポート部を挿入し、
鋳型内にセットするのと同様の形態で治具に積載する。
この際それぞれのポート幅木受具でインポート中子とエ
キスポート中子一端側の幅木部を支え、他端側のポート
部の自由端部をポート受具で位置決め的に支える。又、
ポート幅木受具の突状部材を各中子の幅木部に設けた凹
部に係合させることにより、インポート中子とエキスポ
ート中子は確固とした状態で拘持される。

一方、ウォータージャケット中子はポート受具の両端
部の受け部上に載置し、積載する際中央孔に挿入される
係止ピンとポート受具一端側の振れ止め部で位置決めさ
れる。そしてこの積載状態は、スペースを最も有効に活
用することが出来るとともに、鋳型内にセットする際の
自動化が可能となる。

（実施例） 本考案の中子搬送治具の実施例について添付した図面
に基づき説明する。第１図は本考案の中子搬送治具に各
中子を積載した状態を説明するための斜視図、第２図は
中子搬送治具の平面図、第３図は中子を積載した状態に
おける第２図のIII−III線を断面とした縦断面図、第４
図は同様に第２図のIV−IV線を断面とした縦断面図であ
る。

車両等のエンジンのシリンダヘッドを鋳造するような
際には、吸気通路を形成するためのインポート中子、排
気通路を形成するためのエキスポート中子及びウォータ
ージャケットを形成するためのウォータージャケット中
子の各中子をセットとして用い鋳込むことが行なわれ
る。すなわち、第１図に示すように、複数のポート部21
と幅木部22が一体に形成されたインポート中子20と、ほ
ぼ同様な構成によりポート部31と幅木部32を一体に備え
たエキスポート中子30を、ウォータージャケット中子40
の両側部に配置し、各ポート部21,31を、ウォータージ
ャケット中子40側面に設けたポート孔形成用の穴に挿入
して鋳型内にセットし、溶湯を注入して鋳込むものであ
る。このため、本考案の中子搬送治具１も、鋳型内にセ
ットされるのと同様の形態で各中子を積載せしめるよう
構成されており、以下第２図を中心に説明する。

中子搬送治具１は矩形ベース２上に設けられた一対の
ポート幅木受具3,4と、このポート幅木受具3,4の間に設
けられたポート受具５を備え、前記ポート幅木受具3,4
は、第３図に示すように断面形状を略Ｌ字形とした横材
を２本並列に配設して第２図に示すボルト６で止め付け
て構成している。そして各ポート幅木受具3,4の上面に
は突状部材としてのピン7,8を所定間隔置きに複数設け
て上方に突出させている。そしてこのピン7,8は後述す
るようにインポート中子20の幅木部22と、エキスポート
中子30の幅木部32にそれぞれ設けた凹部に嵌合可能とな
り、摩耗を防ぐため硬度の高い材質を用いている。又各
ポート中子20,30の幅木部22,32の凹部の少なくとも１ケ
所はピン7,8に対してリジッドに嵌合しあう形状とな
り、他の凹部は長穴として形成されている。

一方、中間部に配設したポート受具５は、複数の位置
でボルト９止めされるとともに、第３図に示すように断
面形状が中央を突出させた山型に構成され、上面に２つ
の傾斜面10b,10bを備えている。そしてこの傾斜面10a,1
0bは長手方向に沿ってポート中子20,30のポート部21,31
の数に応じて設けられ、この傾斜面10a,10bでポート部2
1,31の自由端を支えることになる。尚、実施例では各４
ケ所の傾斜面10b,10bである。

この傾斜面10a,10bのうち、最も外方のものには係合
孔11が設けられている。この係合孔11は、各ポート中子
20,30の両端のポート部21,31の自由端端面に設けた円錐
状突起23,33（第３図参照）に係合するため、円錐孔と
して設けられ、又取扱うポート中子20,30の種類の変化
に対応し得るよう、位置を変えて複数設けられている。
このポート受具５の両端には、材質をゴムで形成した一
対の受け部12,13が設けられている。この受け部12,13
は、ウォータージャケット中子40の両端下面を支えるた
めのものであり、そのうち１つの受け部12には、第４図
に示すような押え片12aを設けている。

又、ポート受具５の一端側には、受け部12に向けて張
り出す円錐状の振れ止め部材14を埋設している。そして
この振れ止め部材14の下面の一部を第４図に示すように
受け部12に埋め込み、ウォータージャケット中子40が積
載された際、該中子40の端部下面に形成した凹部41に嵌
合するようにしている。又、この受け部12,13の更に外
方及び側方の一端側には、位置決め基準部材15…を設け
ている。そしてこの位置決め基準部材15…はウォーター
ジャケット中子40等を積載する際に位置決めの基準用と
して用いるものである。

又ウォータージャケット中子40の位置決めのため、一
方のポート幅木受具３とポート受具５の間に係止ピン16
を突設している。そしてウォータージャケット中子40に
は、この係止ピン16を挿入せしめることの出来る垂直孔
を設けている。

このように構成した中子搬送治具１において、まずウ
ォータージャケット中子40の垂直孔を係止ピン16の位置
に合せそのまま両端部を受け部12,13上に載置する。こ
の際第４図に示す一端側底面の凹部41を振れ止め部材14
に嵌合させ、受け部12の押え片12aと振れ止め部材14に
よって搬送時のガタつきを防止する。次いでインポート
中子20とエキスポート中子30の各ポート部21,31を、ウ
ォータージャケット中子40側面のそれぞれの穴に挿入し
て、第３図に示すように幅木部22,23の凹部24,34にポー
ト幅木受具3,4のピン7,8を嵌入する。そして各ポート部
21,31の自由端側をポート受具５上面の傾斜面10a,10bで
支える。又この際それぞれ外方のポート部21,31の自由
端端面の円錐状突起23,33を、傾斜面10a,10b上の係合孔
11に嵌合させる。

こうして治具１上に積載された各中子は、中子造形材
から鋳造材まで運ばれ、鋳型内にセットされる訳である
が、１組をセットにしているため爾後の作業が円滑に行
なわれ、自動セット化も可能である。しかも治具１上で
スペースの無駄なく組み合わされた状態にされているた
め台車数の削減化が図れる。

（考案の効果） 以上のように本考案の中子搬送治具は、エンジンのシ
リンダヘッド鋳造においてエンジン１台の成形について
必要な中子を１セットとして纏めて搬送するようにし、
しかもこの際コンパクトに積載出来るようにしたため自
動搬送、自動セット等の自動化が可能となり、台車数の
削減化も可能となった。又、エンジンの種類によって中
子の形状が変化しても、対応出来るという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の中子搬送治具に各中子を積載した状態
を説明するための斜視図、第２図は中子搬送治具の平面
図、第３図は中子を積載した状態における第２図のIII
−III線断面図、第４図は同様に第２図のIV−IV線断面
図である。 尚同図中、１は中子搬送治具、２は矩形ベース、3,4は
ポート幅木受具、５はポート受具、7,8は突状部材とし
てのピン、12,13は受け部、14は振れ止め部材、16は係
止ピン、20はインポート中子、21はポート部、22は幅木
部、30はエキスポート中子、31はポート部、32は幅木
部、40はウォータージャケット中子を示す。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッド鋳造用のウォータージャケ
   ット中子とインポート中子とエキスポート中子を一括し
   て搬送するための搬送治具において、 この治具は、ベース上に設けられ且つ前記インポート中
   子とエキスポート中子の各幅木部を支える一対のポート
   幅木受具と、これらポート幅木受具の中間部に設けられ
   且つインポート中子とエキスポート中子のポート部の自
   由端部を位置決め状に支えるポート受具と、前記ウォー
   タージャケット中子の中央孔に嵌入可能な係止ピンを備
   え、前記各ポート幅木受具には、ポート中子の幅木部の
   凹部に嵌合するための突状部材を設けるとともに、前記
   ポート受具の一端側にはウォータージャケット中子の受
   け部を設け、他端側にはウォータージャケット中子の受
   け部と振れ止め部を設けたことを特徴とする中子搬送治
   具。