JP2516279B2 - 冷菓用チョコレ―ト類の製造法 - Google Patents

冷菓用チョコレ―ト類の製造法

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JP2516279B2
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昌平 藤田
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Fuji Oil Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は冷菓用チョコレート類の製造法に関し、詳
しくはアイスクリーム等へコーティング用として使用し
たとき水分混入に対して殆ど物性変化をきたすことな
く、かつ極めて口溶けの良い冷菓用チョコレート類を製
造する方法に関する。
〔従来の技術〕
従来より、チョコレートは板チョコレートをはじめと
する各種固形用として、あるいはケーキ類、ビスケット
/クッキー類またはアイスクリームをはじめとする各種
冷菓へのコーティング用として使用されているが、特に
冷菓へのコーティング用として使用する際、アイスクリ
ーム等の冷菓をチョコレート浴中に浸漬するのが通常で
あり、そのためチョコレート中に水分が混入して組織が
膨潤したり油分離現象をきたすなど物性変化を起こしコ
ーティング作業が不能になるという欠点を有する。ま
た、コーティング作業が良好に行えるように粘度の低い
チョコレート類を用いようとすると、油脂含量が高く口
溶け時に非常に油っぽくなるという欠点も有する。
〔発明が解決しようとする課題〕
通常、コーティング用チョコレートは、水分混入が約
2%までであれば何とか許容できるのであるが、2%を
越えると粘度上昇を起こしたり油分離現象が起こり漸次
コーティング作業が困難となる。発明者の知見による
と、ある種の冷菓用チョコレートへ水分を添加してその
粘度変化を測定した結果、水分添加0%の場合の粘度に
対して、1%添加時では1.3倍に増粘、2%添加時では
5倍の増粘をきたす。しかし、さらに水分を添加すると
粘度自体は低下の傾向を示すが油分離現象が見られるよ
うになり、やがてコーティング作業が不能となる。ま
た、油分離現象を呈したチョコレートは油味が感じられ
風味的にも好ましくない。
また、一般的なコーティング作業としては浸漬するア
イスクリーム類の溶解を最小限にする為に、チョコレー
ト類の温度を30〜45℃に下げて用いるが、この温度域に
おいてチョコレート類は良好な流動性を有する必要があ
り、チョコレート類の油脂含量を40〜80%にして用いる
のが常であって、その為に口溶け時に非常にオイリー
(油っぽい)な食感を呈する。
この発明は、以上のような欠点の解決を指向したもの
であって、冷菓用として使用したとき水分の混入による
風味、物性変化が少なく、オイリーな食感を呈さない冷
菓用チョコレート類を製造する方法を提供するものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、如上の欠点を解決すべく鋭意研究した
結果、特定の蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート類に添
加しておくことにより解決し得るとの知見を得、この発
明を完成した。
即ちこの発明は、常法によりチョコレート類を製造す
るに際して、HLB値が16以上の庶糖脂肪酸エステルをチ
ョコレート類全量に対し1.0〜10重量%使用することを
特徴とする、油脂含量が40〜80重量%の冷菓用チョコレ
ート類の製造法、である。
この発明において、チョコレート類とは油脂成分とし
てカカオバターを使用した、所謂、法規上のチョコレー
トに限定されるものではなく、カカオバター以外の他の
油脂を使用した各種チョコレート類及び油脂加工食品類
を含み、またココアおよびまたはカカオマスを使用せず
ココアバターあるいは他の油脂を使用したホワイトチョ
コレートまた適宜着色料を使用したカラーチョコレート
をも含むものである。
蔗糖脂肪酸エステルは、HLB値が16以上のものが必要
であり、16未満では効果を得難い。添加量はチョコレー
ト生地全量に対し1.0〜10重量%添加するのがよく、下
限未満では効果を得難く、また上限をこえて添加しても
それなりの効果は得られず不経済である。添加は通常チ
ョコレート製造時に使用されるレシチンと同じ時期、同
じ状態で添加使用すればよい。
この発明の一般的な製法としては、先ず常法通り、砂
糖、カカオマス、油脂類の混合時にレシチンと同様に当
該蔗糖脂肪酸エステルを添加し、ロール掛け、コンチン
グ処理または油脂分の混合処理を行えばよい。
この発明における冷菓用チョコレート類は冷菓へのコ
ーティング用として有利に使用できるが、その他にチャ
ンク状やチップ状にして冷菓中に分散させたり、または
冷菓のセンター材として、あるいはアイスクリームとと
もに使用してマーブル状の冷菓を製造したり、さらにカ
ップ状やチョコボール状などのシェルにして中にアイス
クリームなどの冷菓を充填したり新しい冷菓プラリネタ
イプ菓子を製造したりするのに極めて有利に使用でき
る。また、以上の如きダークチョコレートの他にコーヒ
ー、ナッツ等の原料を使用したバラェティーやホワイト
やカラーの冷菓用チョコレートを作ることもできる。さ
らに、この発明における冷菓用チョコレート類をホイッ
プし成形するなどして前述の使用用途と同様なチップチ
ョコ、キッスチョコ、シートチョコなど種々のチョコレ
ート類を製造することも可能である。
(実施例) 以下に実施例及び比較例を例示して本発明効果をより
一層明瞭にするが、これらは例示であって本発明の精神
がこれらの例示に限定されるものではない。なお、例中
部及び%は何れも重量基準を意味する。
実施例1 カカオマス23部、砂糖22部、レシチン0.4部および蔗
糖脂肪酸エステル(商品名:シュガーエステルS1670、
三菱化成食品社製)3部を混合し、ロール掛けを行った
後にココアバター20部、大豆油31.6部を添加し、コンチ
ング処理を行って冷菓用チョコレートを得た。
このチョコレートは40℃にて250cp(BM型粘度計、2
号ローター、30rpm)の粘度であり、市販のアイスクリ
ームへコーティング作業を行う、約8gのチョコレートが
アイスクリームバー表面にコーティングされた。
また、このチョコレートに2%の水分を添加、混合を
行ったが、粘度の変化は全くなく、また同様のコーティ
ング作業を行ってもアイスクリームバー表面へのコーテ
ィング量は同等であった。
比較例1 カカオマス23部、砂糖25部、レシチン0.4部を混合
し、ロール掛けを行った後にココアバター20部、大豆油
31.6部を添加し、コンチング処理を行って冷菓用チョコ
レートを得た。
このチョコレートは40℃にて250cp(BM型粘度計、2
号ローター、30rpm)の粘度であり、市販のアイスクリ
ームバーへ実施例1と同様にしてコーティング作業を行
ったところ約8gのチョコレートがアイスクリームバー表
面にコーティングされた。
また、このチョコレートに2%の水分を添加、混合を
行ったところ、粘度は950cpとなり、また同様のコーテ
ィング作業を行うとコーティング量は約15gのチョコレ
ートがアイスクリームバー表面にコーティングされた。
かくして、実施例1で得た8gのチョコレートがコーテ
ィングされているアイスクリームバーと、比較例1で得
た8gのチョコレートがコーティングされているアイスク
リームバーとを、10名のパネラーにより官能テストした
結果、10名全員が比較例1のチョコレートに対し実施例
1のチョコレートの方が明らかに口溶けが良く、オイリ
ーな食感を呈しないと判定した。
(効果) 以上の如く、この発明における冷菓用チョコレート類
は、当該チョコレート類中にアイスクリーム等の冷菓類
を浸漬してコーティングしても水分混入による油分分離
現象やボテ現象が起こり難く、オイリーな食感を呈しな
いという効果を有するのであって、この発明は業界に多
大の貢献をもたらすものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常法によりチョコレート類を製造するに際
    して、HLB値が16以上の庶糖脂肪酸エステルをチョコレ
    ート類全量に対し1.0〜10重量%使用することを特徴と
    する、油脂含量が40〜80重量%の冷菓用チョコレート類
    の製造法。
JP2301813A 1990-11-06 1990-11-06 冷菓用チョコレ―ト類の製造法 Expired - Lifetime JP2516279B2 (ja)

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