JP2515561C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
この発明は、耐食性の優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法に関するもの
である。 〔従来の技術〕 例えば、自動車用のラジエーター、クーラーのコンデンサまたはエバポレータ
などには、アルミニウム製の熱交換器が使用されている。 このような熱交換器は、押出成形された偏平で且つ多孔のアルミニウム製のチ
ューブの表面上に、Al−Si系アルミニウム合金の金属ロウ材皮膜がクラッドされ
たブレージングシートからなるフィン材を仮付けして組立て体を形成し、この組
立体を、真空炉内または不活性ガスを満たした炉内において約600℃の温度に
加熱し、前記フィン材を前記チューブの表面にロウ付けすることにより製造して
いた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述のようにして製造された熱交換器は、その耐食性が不十分であるという問
題がある。即ち、チューブの表面は外気に曝されているので、高温多湿の条件下
で使用されている場合に、その表面から腐食が進行し、遂には管体の内面に達す
る貫通孔が生ずることがある。 上述のような問題を防止するために、チューブの表面に亜鉛メッキを施すこと
によりその耐食性を高めることが知られている。 しかしながら、フィン材として前述のようなAl−Si系アルミニウム合金の金属
ロウ材被膜がクラッドされたブレージングシートを使用するのに加えて、チュー
ブの表面に亜鉛メッキを施すことは、製造コストの上昇を招き、且つ、ブレージ
ングシートの製作、亜鉛メッキのための前処理そして亜鉛メッキ処理等、多くの
工程を必要とする問題があった。 従って、この発明の目的は、耐食性の優れた熱交換器を、低コストで且つ効率
的に製造するための方法を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 この発明のアルミニウム製熱交換器の製造方法は、アルミニウム、またはアル
ミニウム合金からなるチューブの表面に、亜鉛:20〜80wt.%、ケイ素1〜1
1wt.%、残り:アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Si合金の皮
膜を形成し、次いで、前記皮膜の形成されたチューブの表面にロウ材を有しない
フィンを仮付けして組立て体を形成し、前記組立て体の接合部をフラックスによ
って被覆した後、前記組立て体を加熱炉内において、400〜570℃の温度に
加熱して前記皮膜を融解することにより、前記フィンを前記チューブの表面上に
ロウ付けすることに特徴を有するものである。 この発明においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブ
の表面に、上述した成分組成のAl−Zn−Si合金の皮膜が形成されているので、こ
の皮膜がロウ材となり、仮付けされたロウ材を有しない複数枚のフィンを、チュ
ーブの表面上に1回の加熱で一度にロウ付けすることができる。 更に、チューブの表面は、ロウ付け後もAl−Zn−Si合金の皮膜によって覆われ
ているので、皮膜中のZnが犠牲陽極となり、チューブの腐食を有効に防止し、且
つ、チューブの表面上に取り付けられたフィンが貴となるので、フィンの腐食も 防止し、熱交換器の寿命を著しく伸ばすことができる。 皮膜の成分組成を上述のように限定した理由は次の通りである。 (1) 亜鉛: 亜鉛には、チューブ上に形成された皮膜を電気化学的に卑にして、犠牲陽極効
果を付与すると共に、ロウ付け時においては、ロウ材としてその融点を下げる作
用がある。しかしながら、亜鉛含有量が20wt.%未満では、上述した作用に所望
の効果が得られない。一方、亜鉛含有量が80wt.%を超えると、ロウ付け性が劣
化する。従って、亜鉛含有量は、20から80wt.%の範囲内に限定すべきである
。 (2) ケイ素: ケイ素には、Al−Siの共晶を生成し、このAl−Si共晶によりロウ材としてその
流動性を向上させる作用がある。しかしながら、ケイ素含有量が1wt.%未満では
、上述した作用に所望の効果が得られない。一方、ケイ素含有量が11wt.%を超
えると、ロウの融点が上昇する。従って、ケイ素含有量は、1から11wt.%の範
囲内に限定すべきである。 皮膜の厚さは、5〜100μmとすることが好ましい。皮膜の厚さが5μm未
満では、ロウ材としてフィンを良好にロウ付けすることができず且つ防食皮膜と
しての効果が薄い。一方、皮膜の厚さが100μmを超えると、ロウの量が多く
なり過ぎて、ロウ付け中にフィン材およびチューブに対するロウの浸食が生じ、
耐食性が劣化する問題が生ずる。 上述した皮膜の形成手段は、溶射によって行なうことが好ましい。即ち、上述
した成分組成を有するビレットを、通常の溶解鋳造法によって鋳造し、このよう
に鋳造されたビレットを所定温度に加熱した上、加熱されたビレットに対し、熱
間押出し加工および線引加工を施して、所定径の線材を調製する。このようにし
て調製された線材を使用し、チューブの各表面に向けて設けられた溶射ガンから
、所定の圧力および流量で噴射される酸素およびアセチレンにより溶射すること
によってチューブの表面に均一な厚さの上記合金の皮膜を形成することができる
。 皮膜の形成を上述のような溶射によって行なうことは、皮膜形成を極めて高速 で行ない得るので、コスト的に有利であり、且つ、合金皮膜を容易に形成し得る
利点がある。 この発明においては、チューブの表面に取り付けられるフィンとして、例えば
JIS 3003 によって規定されている、Mn:1.22wt.%、Cu:0.10wt.%、残り:Alお
よび不可避的不純物からなるロウ材を有しないAl−Mn合金を使用する。従って、
ロウ材をクラッドしたブレージングシートからなるフィンを使用する場合に比べ
て経済的である。 チューブの表面に上述したフィンが仮付けされた組立て体の接合部にフラック
スによって被覆する理由は、フラックスによって接合部の酸化を防止し且つロウ
の流動性を向上させるためである。フラックスとしては、例えば、NaCl,KCl,K
AlF4,K3AlF6のような、塩化物系または弗化物系のフラックスを使用する。 加熱炉内において組立て体をロウ付けするための加熱温度は、ロウ材であるAl
−Zn−Si合金の皮膜の融点が低いことから、一般のロウ付け温度よりも低い40
0〜570℃でよい。従って、フィンの座屈が防止され且つエネルギーコストを
低減することができる。 〔実施例〕 次に、この発明を実施例により説明する。 押出成形によって形成された、幅32mm、高さ6.5mm、厚さ0.50mmで、
隔壁によって仕切られた4つの孔を有する偏平で且つ多孔の、JIS 1050に規定さ
れたアルミニウム製チューブの表面に、この発明方法によって、下記第1表に示
すNo.1〜No.7の成分組成を有するAl−Zn−Si合金の皮膜を形成した。 皮膜の形成は、No.1〜No.7の成分組成を有するビレットを、通常の溶解鋳
造法によって鋳造し、このように鋳造されたビレットを所定温度に加熱した上、
加熱されたビレットに対し、熱間押出し加工および線引加工を施して、所定径の
線材を調製し、このようにして調製された線材を使用して溶射法により行なった
。形成された皮膜の厚さは15μmであった。 次いで、上記によりAl−Zn−Si合金の皮膜が形成されたチューブの外表面上に
、JIS 3003によって規定されている前述した成分組成の厚さ0.10mmのフィン
を、適当な治具を用いて所定間隔で仮付けして組立て体を形成した。 次いで、この組立て体の接合部を、NaClおよびKCl の成分組成を有するフラッ
クスによって被覆した上、この組立て体を、10-4Torrに保持された真空加熱炉
中において、430から560℃の各種の温度により10分間加熱することによ
って、ロウ材である前記皮膜を融解し、融解したロウ材によって、前記フィンを
ロウ付けした。かくして、本発明の供試体No.1からNo.7を調製した。 比較のために、チューブの表面上に本発明の範囲外の皮膜を形成したほかは、
上記と同じ方法により比較用供試体No.1〜No.6を調製した。 更に、比較のために、以下に述べる従来法によって、比較用供試体No.7を調
製した。即ち、JIS 3003によって規定されている前述した成分組成の芯材の表面
に、Si:9.55wt.%、Mg:1.51wt.%、残り:Alおよび不可避的不純物からなるロウ
材がクラッドされたブレージングシートからなるフィンを調製し、このフィンを
、JIS 1050に規定されたアルミニウム製チューブの外表面上に、適当な治具を用
いて所定間隔で仮付けして組立て体を形成した。 次いで、この組立て体の接合部を前述したフラックスによって被覆した上、こ
の組立て体を、10-4Torrに保持された真空炉中において、600℃の温度によ
り10分間加熱することによって、フィンのロウ材を融解し、融解したロウ材に
よって、前記フィンをロウ付けした。かくして、比較用供試体No.7を調製した
。 上述のようにして調製された本発明供試体No.1〜No.7および比較用供試体
No.1〜No.7に対し、塩水を500時間噴霧することからなる酸性塩水噴霧試
験を施した。試験後における管体およびフィンの腐食状況並びにロウ付け性をロ
ウ付け温度と共に第1表に併せて示す。 第1表において、フィンの腐食状況は、下記によって評価した。 ○:ほとんど腐食なし、 △:わずかに腐食、 ×:激しく腐食。 また、同表において、ロウ付け性は、下記によって評価した。 ○:良好 ×:不良。 【第1表】 第1表から明らかなように、亜鉛を含有しない皮膜からなる比較用供試体No.
1は、ロウ付け温度が高くそして管体の最大孔食深さが大きく且つフィンに激し
く腐食が発生した。ケイ素を含有しない皮膜からなる比較用供試体No.2はロウ
付け性が悪い。 亜鉛含有量が本発明の範囲を外れて低い皮膜からなる比較用供試体No.3は、
ロウ付け温度が高く且つロウ付け性も悪い。 亜鉛含有量が本発明の範囲を外れて高い皮膜からなる比較用供試体No.4は、
ロウ付け性が悪い。 ケイ素含有量が本発明の範囲を外れて低い皮膜からなる比較用供試体No.5は
、ロウ付け性が悪い。 ケイ素含有量が本発明の範囲を外れて高い皮膜からなる比較用供試体No.6は
、ロウ付け性温度が高く且つロウ付け性も悪い。 チューブの表面に皮膜を形成せず、ロウ材がクラッドされたブレージングシー
トからなるフィンを取り付けた比較用供試体No.7は、ロウ付け温度が高く、そ
して、管体の最大孔食深さが大きく貫通孔が生成し且つフィンに激しく腐食が発
生した。 これに対して、本発明供試体No.1〜7は、何れも、ロウ付け温度が低く、管
体の最大孔食深さは小さく、フィンにほとんど腐食は発生せずしかもロウ付け性
は良好であった。 〔発明の効果〕 以上述べたように、この発明によれば、耐食性の優れた熱交換器を、低コスト
で且つ効率的に製造することができる工業上優れた効果がもたらされる。
である。 〔従来の技術〕 例えば、自動車用のラジエーター、クーラーのコンデンサまたはエバポレータ
などには、アルミニウム製の熱交換器が使用されている。 このような熱交換器は、押出成形された偏平で且つ多孔のアルミニウム製のチ
ューブの表面上に、Al−Si系アルミニウム合金の金属ロウ材皮膜がクラッドされ
たブレージングシートからなるフィン材を仮付けして組立て体を形成し、この組
立体を、真空炉内または不活性ガスを満たした炉内において約600℃の温度に
加熱し、前記フィン材を前記チューブの表面にロウ付けすることにより製造して
いた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述のようにして製造された熱交換器は、その耐食性が不十分であるという問
題がある。即ち、チューブの表面は外気に曝されているので、高温多湿の条件下
で使用されている場合に、その表面から腐食が進行し、遂には管体の内面に達す
る貫通孔が生ずることがある。 上述のような問題を防止するために、チューブの表面に亜鉛メッキを施すこと
によりその耐食性を高めることが知られている。 しかしながら、フィン材として前述のようなAl−Si系アルミニウム合金の金属
ロウ材被膜がクラッドされたブレージングシートを使用するのに加えて、チュー
ブの表面に亜鉛メッキを施すことは、製造コストの上昇を招き、且つ、ブレージ
ングシートの製作、亜鉛メッキのための前処理そして亜鉛メッキ処理等、多くの
工程を必要とする問題があった。 従って、この発明の目的は、耐食性の優れた熱交換器を、低コストで且つ効率
的に製造するための方法を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 この発明のアルミニウム製熱交換器の製造方法は、アルミニウム、またはアル
ミニウム合金からなるチューブの表面に、亜鉛:20〜80wt.%、ケイ素1〜1
1wt.%、残り:アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Si合金の皮
膜を形成し、次いで、前記皮膜の形成されたチューブの表面にロウ材を有しない
フィンを仮付けして組立て体を形成し、前記組立て体の接合部をフラックスによ
って被覆した後、前記組立て体を加熱炉内において、400〜570℃の温度に
加熱して前記皮膜を融解することにより、前記フィンを前記チューブの表面上に
ロウ付けすることに特徴を有するものである。 この発明においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブ
の表面に、上述した成分組成のAl−Zn−Si合金の皮膜が形成されているので、こ
の皮膜がロウ材となり、仮付けされたロウ材を有しない複数枚のフィンを、チュ
ーブの表面上に1回の加熱で一度にロウ付けすることができる。 更に、チューブの表面は、ロウ付け後もAl−Zn−Si合金の皮膜によって覆われ
ているので、皮膜中のZnが犠牲陽極となり、チューブの腐食を有効に防止し、且
つ、チューブの表面上に取り付けられたフィンが貴となるので、フィンの腐食も 防止し、熱交換器の寿命を著しく伸ばすことができる。 皮膜の成分組成を上述のように限定した理由は次の通りである。 (1) 亜鉛: 亜鉛には、チューブ上に形成された皮膜を電気化学的に卑にして、犠牲陽極効
果を付与すると共に、ロウ付け時においては、ロウ材としてその融点を下げる作
用がある。しかしながら、亜鉛含有量が20wt.%未満では、上述した作用に所望
の効果が得られない。一方、亜鉛含有量が80wt.%を超えると、ロウ付け性が劣
化する。従って、亜鉛含有量は、20から80wt.%の範囲内に限定すべきである
。 (2) ケイ素: ケイ素には、Al−Siの共晶を生成し、このAl−Si共晶によりロウ材としてその
流動性を向上させる作用がある。しかしながら、ケイ素含有量が1wt.%未満では
、上述した作用に所望の効果が得られない。一方、ケイ素含有量が11wt.%を超
えると、ロウの融点が上昇する。従って、ケイ素含有量は、1から11wt.%の範
囲内に限定すべきである。 皮膜の厚さは、5〜100μmとすることが好ましい。皮膜の厚さが5μm未
満では、ロウ材としてフィンを良好にロウ付けすることができず且つ防食皮膜と
しての効果が薄い。一方、皮膜の厚さが100μmを超えると、ロウの量が多く
なり過ぎて、ロウ付け中にフィン材およびチューブに対するロウの浸食が生じ、
耐食性が劣化する問題が生ずる。 上述した皮膜の形成手段は、溶射によって行なうことが好ましい。即ち、上述
した成分組成を有するビレットを、通常の溶解鋳造法によって鋳造し、このよう
に鋳造されたビレットを所定温度に加熱した上、加熱されたビレットに対し、熱
間押出し加工および線引加工を施して、所定径の線材を調製する。このようにし
て調製された線材を使用し、チューブの各表面に向けて設けられた溶射ガンから
、所定の圧力および流量で噴射される酸素およびアセチレンにより溶射すること
によってチューブの表面に均一な厚さの上記合金の皮膜を形成することができる
。 皮膜の形成を上述のような溶射によって行なうことは、皮膜形成を極めて高速 で行ない得るので、コスト的に有利であり、且つ、合金皮膜を容易に形成し得る
利点がある。 この発明においては、チューブの表面に取り付けられるフィンとして、例えば
JIS 3003 によって規定されている、Mn:1.22wt.%、Cu:0.10wt.%、残り:Alお
よび不可避的不純物からなるロウ材を有しないAl−Mn合金を使用する。従って、
ロウ材をクラッドしたブレージングシートからなるフィンを使用する場合に比べ
て経済的である。 チューブの表面に上述したフィンが仮付けされた組立て体の接合部にフラック
スによって被覆する理由は、フラックスによって接合部の酸化を防止し且つロウ
の流動性を向上させるためである。フラックスとしては、例えば、NaCl,KCl,K
AlF4,K3AlF6のような、塩化物系または弗化物系のフラックスを使用する。 加熱炉内において組立て体をロウ付けするための加熱温度は、ロウ材であるAl
−Zn−Si合金の皮膜の融点が低いことから、一般のロウ付け温度よりも低い40
0〜570℃でよい。従って、フィンの座屈が防止され且つエネルギーコストを
低減することができる。 〔実施例〕 次に、この発明を実施例により説明する。 押出成形によって形成された、幅32mm、高さ6.5mm、厚さ0.50mmで、
隔壁によって仕切られた4つの孔を有する偏平で且つ多孔の、JIS 1050に規定さ
れたアルミニウム製チューブの表面に、この発明方法によって、下記第1表に示
すNo.1〜No.7の成分組成を有するAl−Zn−Si合金の皮膜を形成した。 皮膜の形成は、No.1〜No.7の成分組成を有するビレットを、通常の溶解鋳
造法によって鋳造し、このように鋳造されたビレットを所定温度に加熱した上、
加熱されたビレットに対し、熱間押出し加工および線引加工を施して、所定径の
線材を調製し、このようにして調製された線材を使用して溶射法により行なった
。形成された皮膜の厚さは15μmであった。 次いで、上記によりAl−Zn−Si合金の皮膜が形成されたチューブの外表面上に
、JIS 3003によって規定されている前述した成分組成の厚さ0.10mmのフィン
を、適当な治具を用いて所定間隔で仮付けして組立て体を形成した。 次いで、この組立て体の接合部を、NaClおよびKCl の成分組成を有するフラッ
クスによって被覆した上、この組立て体を、10-4Torrに保持された真空加熱炉
中において、430から560℃の各種の温度により10分間加熱することによ
って、ロウ材である前記皮膜を融解し、融解したロウ材によって、前記フィンを
ロウ付けした。かくして、本発明の供試体No.1からNo.7を調製した。 比較のために、チューブの表面上に本発明の範囲外の皮膜を形成したほかは、
上記と同じ方法により比較用供試体No.1〜No.6を調製した。 更に、比較のために、以下に述べる従来法によって、比較用供試体No.7を調
製した。即ち、JIS 3003によって規定されている前述した成分組成の芯材の表面
に、Si:9.55wt.%、Mg:1.51wt.%、残り:Alおよび不可避的不純物からなるロウ
材がクラッドされたブレージングシートからなるフィンを調製し、このフィンを
、JIS 1050に規定されたアルミニウム製チューブの外表面上に、適当な治具を用
いて所定間隔で仮付けして組立て体を形成した。 次いで、この組立て体の接合部を前述したフラックスによって被覆した上、こ
の組立て体を、10-4Torrに保持された真空炉中において、600℃の温度によ
り10分間加熱することによって、フィンのロウ材を融解し、融解したロウ材に
よって、前記フィンをロウ付けした。かくして、比較用供試体No.7を調製した
。 上述のようにして調製された本発明供試体No.1〜No.7および比較用供試体
No.1〜No.7に対し、塩水を500時間噴霧することからなる酸性塩水噴霧試
験を施した。試験後における管体およびフィンの腐食状況並びにロウ付け性をロ
ウ付け温度と共に第1表に併せて示す。 第1表において、フィンの腐食状況は、下記によって評価した。 ○:ほとんど腐食なし、 △:わずかに腐食、 ×:激しく腐食。 また、同表において、ロウ付け性は、下記によって評価した。 ○:良好 ×:不良。 【第1表】 第1表から明らかなように、亜鉛を含有しない皮膜からなる比較用供試体No.
1は、ロウ付け温度が高くそして管体の最大孔食深さが大きく且つフィンに激し
く腐食が発生した。ケイ素を含有しない皮膜からなる比較用供試体No.2はロウ
付け性が悪い。 亜鉛含有量が本発明の範囲を外れて低い皮膜からなる比較用供試体No.3は、
ロウ付け温度が高く且つロウ付け性も悪い。 亜鉛含有量が本発明の範囲を外れて高い皮膜からなる比較用供試体No.4は、
ロウ付け性が悪い。 ケイ素含有量が本発明の範囲を外れて低い皮膜からなる比較用供試体No.5は
、ロウ付け性が悪い。 ケイ素含有量が本発明の範囲を外れて高い皮膜からなる比較用供試体No.6は
、ロウ付け性温度が高く且つロウ付け性も悪い。 チューブの表面に皮膜を形成せず、ロウ材がクラッドされたブレージングシー
トからなるフィンを取り付けた比較用供試体No.7は、ロウ付け温度が高く、そ
して、管体の最大孔食深さが大きく貫通孔が生成し且つフィンに激しく腐食が発
生した。 これに対して、本発明供試体No.1〜7は、何れも、ロウ付け温度が低く、管
体の最大孔食深さは小さく、フィンにほとんど腐食は発生せずしかもロウ付け性
は良好であった。 〔発明の効果〕 以上述べたように、この発明によれば、耐食性の優れた熱交換器を、低コスト
で且つ効率的に製造することができる工業上優れた効果がもたらされる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブの表面
に、亜鉛:20〜80wt.%、ケイ素1〜11wt.%、残り:アルミニウムおよび不
可避的不純物からなるAl−Zn−Si合金の皮膜を形成し、次いで、前記皮膜の形成
されたチューブの表面にロウ材を有しないフィンを仮付けして組立て体を形成し
、前記組立て体の接合部をフラックスによって被覆した後、前記組立て体を加熱
炉内において、400〜570℃の温度に加熱して前記皮膜を融解することによ
り、前記フィンを前記チューブの表面上にロウ付けすることを特徴とするアルミ
ニウム製熱交換器の製造方法。 【請求項2】 前記チューブの表面に対する前記Al−Zn−Si合金の皮膜の形成
を、溶射法によって行う特許請求の範囲第(1)項に記載のアルミニウム製熱交換
器の製造方法。
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