JP2515084Y2 - ベルト伝動装置 - Google Patents

ベルト伝動装置

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JP2515084Y2
JP2515084Y2 JP1988074894U JP7489488U JP2515084Y2 JP 2515084 Y2 JP2515084 Y2 JP 2515084Y2 JP 1988074894 U JP1988074894 U JP 1988074894U JP 7489488 U JP7489488 U JP 7489488U JP 2515084 Y2 JP2515084 Y2 JP 2515084Y2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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  • Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、自動車用ディーゼルエンジンのエンジン動
力をエンジン補機にVベルトを介して伝達するベルト伝
達装置に関し、特に、Vベルトの張力変動低減対策に係
るものである。
(従来の技術) 一般に、自動車のエンジンにおいては、エンジン動力
によってウォータポンプやオルタネータなどのエンジン
補機を駆動しており、このエンジン動力の伝達にベルト
伝動装置が用いられている。このベルト伝動装置は、エ
ンジンのクランク軸にドライブプーリが、エンジン補機
の駆動軸にドリブンプーリがそれぞれ取付けられ、該両
プーリ間にVベルトが巻回されて成り、該Vベルトを介
してエンジン動力がエンジン補機に伝達されて、該エン
ジン補機を回転駆動するようにしている。
この自動車用エンンジンにおけるベルト伝動装置は、
エンジンのクランク軸の回転角速度変動によってVベル
トの張力変動が生じ、ベルトの寿命が著しく低下すると
いう問題があった。特に、ディーゼルエンジンにあって
は、ガソリンエンジンに比してピストンの圧縮比が大き
いため、クランク軸に大きな捩り振動と回転変位が発生
することになる。その上、手動変速機付きディーゼルエ
ンジンではフライホイールが大きいことから回転角速度
変動が比較的小さくなるものの、自動変速機付きディー
ゼルエンジンでは、フライホイールが小さいので回転角
速度変動をほとんど吸収することができず、大きな回転
角速度変動がそのままVベルトに伝達されることにな
る。そして、この回転角速度変動が大きいためにVベル
トに大きな張力変動が生じることになる。特に、低回転
域(650rpm〜1000rpm)においては回転角速度変動が大
きく、この大きな回転角速度変動によって誘起される回
転慣性負荷の増大によりVベルトの寿命が著しく低下し
ていた。
そこで、このVベルトの張力変動を低減するために、
特開昭58-220925号公報に開示されているように、ドラ
イブプーリとドリブンプーリとの間にテンションプーリ
を設け、該テンションプーリをスプリングによってVベ
ルトに押圧させることにより、Vベルトの張力が上昇す
ると、テンションプーリがスプリングのバネ力に抗して
移動し、この張力上昇を抑制する一方、Vベルトの張力
が低下すると、テンションプーリがスプリングのバネ力
によってスプリングの復元方向に移動し、張力を上昇さ
せることにより、Vベルトの張力変動を吸収してその張
力をほぼ一定にするようにしたオートテンショナーが提
案されている。
(考案が解決しようとする課題) ところで、上述したベルト伝動装置において、従来、
ベルト伝動能率を重視し、高ベルト伝動能率となるよう
に、ISOやSAE等の規格によりドライブプーリ及びドリブ
ンプーリのプーリ溝角度は40度位に設定されていた。し
かるに、このプーリ溝角度40度は、エンジンの回転角速
度変動に伴うVベルトの張力変動が生じない場合には極
めて有利であるものの、上述した如くエンジンの回転角
速度変動によってVベルトの張力変動が生じる場合、特
に、自動変速機付きディーゼルエンジンにおいて著しく
張力変動が生じる場合は有効ではなく、上述したオート
テンショナーを設けなければならないという問題があっ
た。
その上、この従来のオートテンショナーにおいては、
テンションプーリを設けなければならない他、該テンシ
ョンプーリの支持部材や、テンションプーリを押圧する
スプリング等を設けなければならず、部品点数が多くな
ると共に、構造が複雑になり、高価になるという問題が
あった。更に、装置全体が大型になるという問題があ
り、特に、自動車の狭いエンジンルーム内に設ける上で
レイアウト上極めて不利になっていた。
本考案は、斯かる点に鑑み、エンジンの回転角速度変
動によりVベルトの張力変動が生じる場合には、該Vベ
ルトを積極的にプーリに対して滑らせるようにすること
により、該Vベルトの張力変動を低減し、Vベルトの長
寿命化を図ると同時に、従来のオートテンショナーと比
べて構造を簡略化しかつ小型化を図ることを目的とする
ものである。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、請求項(1)に係る考案
が講じた手段は、自動車用ディーゼルエンジンのクラン
ク軸に取付けられたドライブプーリと、回転慣性を有す
るエンジン補機の駆動軸に取付けられたドリブンプーリ
との間にVベルトが巻回されて、回転角速度変動を伴う
上記クランク軸の回転駆動力を上記Vベルトを介して上
記エンジン補機の駆動軸に伝達して該エンジン補機を回
転駆動するようにしたベルト伝達装置を前提とする。そ
して、上記各プーリのプーリ溝角度θが、45〜60度に設
定されているとともに、上記Vベルトのベルト角度α
が、上記各プーリのプーリ溝角度θに対して、θ−7≦
α<θになるように設定されており、上記Vベルトの両
側面下部が、上記クランク軸の回転角速度変動に伴う該
Vベルトの張力変動に伴ってプーリに対して滑動可能な
動力伝達部を構成しているものとする。
また、請求項(2)に係る考案が講じた手段は、請求
項(1)の考案において、自動車用ディーゼルエンジン
が、自動変速機付きディーゼルエンジンである構成とし
ている。
(作用) 上記構成により、請求項1及び2の考案では、ディー
ゼルエンジンのクランク軸の回転によりドライブプーリ
が回転し、Vベルトを介してドリブンプーリが回転し、
エンジンの回転駆動力がエンジン補機に伝達されて該エ
ンジン補機が駆動することになる。
その際、エンジンのクランク軸の回転角速度変動によ
ってVベルトの張力変動が生じることになるが、上記ド
ライブプーリ及びドリブンプーリのプーリ溝角度θが45
度〜60度に設定されていると共に、上記Vベルトのベル
ト角度αがプーリ溝角度θに対してやや小さい範囲(θ
−7≦α<θ)に設定され、該Vベルトの両側面下部
が、上記クランク軸の回転角速度変動に伴うVベルトの
張力変動に伴ってプーリに対して滑動可能な動力伝達部
を構成しているので、ドリブンプーリにおいてVベルト
が滑り易くなっており、上記Vベルトの張力変動がこの
滑りによって吸収されることになり、Vベルトの長寿命
化を図ることができる。そして、ディーゼルエンジンの
場合、ガソリンエンジンに比して回転角速度変動が大き
くなるが、上記Vベルトの張力変動を確実に吸収するこ
とができる。特に、自動変速機付きエンジンの場合、手
動変速機付きエンジンに比して回転変動がより大きくな
るが、Vベルトの張力変動を確実に吸収することができ
るので、Vベルトの長寿命化という効果を有効に発揮さ
せることができる。
また、プーリ溝角度を広角度にし且つVベルトが滑る
ようにすることのみでもってVベルトの張力変動が吸収
することができるので、従来のようなオートテンショナ
ーを設ける必要がなく、部品点数を少なくすることがで
きると共に、構造を簡素にすることができることにな
り、コストダウンを図ることができる。その上、装置全
体をコンパクトにすることができることから、自動車の
狭いエンジンルームに設ける場合、レイアウト上極めて
有利なものとすることができる。
(実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第1図及び第2図に示すように、1はベルト伝動装置
であって、自動車のエンジンルーム内に設けられ、エン
ジン2の回転角速度変動を伴う回転駆動力をエンジン補
機3に伝達して回転慣性を有する該エンジン補機3を回
転駆動するようにしており、ドライブプーリ4と、ドリ
ブンプーリ5と、Vベルト6とより構成されている。
該エンジン2は、ディーゼルエンジンであって、自動
変速機22を備えている。そして、該エンジン2に設けら
れたクランク軸21には上記ドライブプーリ4が嵌合固定
されており、該ドライブプーリ4がエンジン2の動力に
よってクランク軸21を介して回転するように成ってい
る。
一方、上記エンジン補機3は、回転慣性を有するオル
タネータやウォータポンプやエアポンプなどであって、
上記エンジン2の動力によって回転駆動するものであ
り、該エンジン補機3に設けられた駆動軸31には上記ド
リブンプーリ5が嵌合固定されている。
更に、上記ドライブプーリ4及びドリブンプーリ5
は、第3図に示すように、円盤状に形成された一対のシ
ーブ41,41及び51,51が相対面して並設されて成り、該各
シーブ41,41及び51,51の対向面が傾斜したシーブ面41a,
41a及び51a,51aに形成され、該シーブ面41a,41a及び51
a,51a間がプーリ溝42及び52に構成されている。そし
て、該プーリ溝42,52には上記Vベルト6が掛入されて
いて、該Vベルト6が上記ドライブプーリ4とドリブン
プーリ5との間に巻回されており、上記エンジン2の動
力をエンジン補機3に伝達するようにしている。
また、上記Vベルト6は、帯状に形成されたベルト本
体61内に複数本の心体62,62,…が埋設されて成り、上記
プーリ溝42,52に対応して断面逆台形状に形成され、両
側テーパ面が上記シーブ面41a,51aに接する動力伝達面6
1a,61aに成っている。
次に、本考案の特徴であるプーリ溝角度θ及びベルト
角度αについて説明する。
上記ドライブプーリ4及びドリブンプーリ5におい
て、上記各シーブ面41a及び51aの挟角であるプーリ溝角
度θが45度〜60度に設定されているとともに、該プーリ
溝角度θに対して上記Vベルト6における動力伝達面61
a,61a間のベルト角度αがやや小さく設定されている。
そして、上記動力伝達面61a,61aの下部は、上記ドライ
ブプーリ4及びドリブンプーリ5の各シーブ面41a,41a
及び51a,51aに接し、該下部がVベルト6の張力変動に
伴って各シーブ面41a,51aに対して滑動可能な動力伝達
部61b,61bを構成している。
そこで、先ず、このプーリ溝角度θを45度〜60度の範
囲に設定した理由について説明する。
先ず、上記ドリブンプーリ5を例として説明すると、
該プーリ5にVベルト6を巻回すると、該Vベルト6に
張力Tが作用し、該張力TによってVベルト6はドリブ
ンプーリ5に押圧力Fでもって押圧されることになる。
そして、この押圧力Fに対して、第4図に示すように、
Vベルト6の動力伝達面61aにはシーブ面51aより反力N
が作用し、上記押圧力Fと反力Nとの関係は次式のとお
りとなる。
N=(1/2)・F・{1/sin(θ/2)} …… この反力Nにより動力伝達面61aとシーブ面51aとの間
には、摩擦係数をμとすると、次式に示す摩擦力Faが作
用することになる。
Fa=2N・μ =F・{1/sin(θ/2)}・μ …… この摩擦力Faによってエンジン2の動力がVベルト6
よりドリブンプーリ5に伝達されることになる。
一方、上記Vベルト6の張力Tと押圧力Fとの関係
は、第5図に示すように、Vベルト6の巻回角度をφと
すると、次式に示すように、 F=▲∫b a▼T・dφ …… となる。そして、上記Vベルト6のゆるみ側張力をTs,
張り側張力をTtとすると、張力Tは、第5図に示すよう
に、ゆるみ側から張り側に向って大きくなる。
そこで、Vベルト6の遠心張力をTcとすると、張力比
Kは次式で示されることになる。
K=(Tt−Tc)/(Ts−Tc) ≦exp[μ・{1/sin(θ・2)}・φ] …… 従って、上記式よりプーリ溝角度θが小さくなる
程、Vベルト6は大きな張力比Kまで許容することがで
き、伝達力、すなわちベルト伝達能力が上昇することに
なる。
次に、上記式の関係を用いて、プーリ溝角度θに対
する各張力Tt,Tsを算出すると表1に示すようになる。
である。
この表1より伝達回転力Pはプーリ溝角度θが大きく
なるに従って低下することになる。つまり、このプーリ
溝角度θが45度〜60度になると、Vベルト6はドリブン
プーリ5に対して滑り易くなることとなる。従って、上
記Vベルト6の張力変動TtmaxはVベルト6がドリブン
プーリ5に対して滑ることによって吸収されることにな
る。
次に、上記プーリ溝角度θに対するVベルト6の寿命
並びに伝達能力についての試験結果を第6図に基づいて
説明する。尚、この試験条件は次のとおりであり、ドラ
イブプーリ4の直径は140mm、ドリブンプーリ5の直径
は75mm、クランク軸21の回転数は700rpm、クランク軸21
の回転角速度変動率は±20%〜±30%である。
この第6図より明らかなように、ベルト伝動能率は、
破線Aに示すように、プーリ溝角度θが大きくなるに従
って徐々に低下することになるが(上記式参照)、ベ
ルト寿命は、実線Bに示すように、プーリ溝角度θが45
度付近より急激に上昇し、55度付近で最大となり、以
後、低下することになる。すなわち、上述したように、
プーリ溝角度θが大きくなるに従ってVベルト6がドリ
ブンプーリ5に対して滑り易くなり(表1参照)、エン
ジン2の回転角速度変動による張力変動が滑りによって
低下し、Vベルト6の寿命が長くなることになる。但
し、プーリ溝角度θが60度を越えると、Vベルト6の滑
りにより発熱が大きくなり、この発熱によってベルト寿
命が低下することになる。よって、上記プーリ溝角度θ
を45度〜60度の範囲Cに設定されている。
更に、上記Vベルト6のベルト角度αは、次式に示
すように、プーリ溝角度θに対して、 θ−7≦α<θ …… になるように設定されている。つまり、上記ベルト角度
αはプーリ溝角度θよりやや小さく設定されている。そ
こで、上記ベルト角度αに対するVベルト6の寿命につ
いての試験結果を第7図に基づいて説明する。尚、この
試験条件は次のとおりである。ドライブプーリ4の直径
は140mm、ドリブンプーリ5の直径は75mm、クランク軸2
1の回転数は700±50rpm、初期張力は140lbsで、4気筒
のディーゼルエンジン2に適用する。
この第7図に示すように、ベルト角度αとプーリ溝角
度θとが同一の場合のVベルト6の寿命化率を1.0とし
て、上記ベルト角度αをプーリ溝角度θに対して変化さ
せる。このベルト角度αをプーリ溝角度θよりやや大き
い状態より小さく変化させると、Vベルト6の寿命化率
は徐々に上昇し、ベルト角度αがプーリ溝角度θより約
3度小さくすると(α=θ−3)、最大となり、その
後、Vベルト6の寿命化率は低下することになる。そこ
で、上記式に示したように、上記ベルト角度αはプー
リ溝角度θより7度以内で小さい範囲に設定することが
耐寿命性の点で好ましい。
次に、そこで、エンジンの回転角速度変動とベルトの
張力変動との関係について説明する。
第8図は、エンジンの回転角速度変動を示しており、
平均角速度ω1に対して、ディーゼルエンジンの場合、
実線D1に示すように、ガソリンエンジン(実線D2参照)
に比して約3倍の角速度変動Δωが生じることになる。
一方、第10図に示すように、ベルト伝動装置1におい
て、ドリブンプーリ5の駆動軸31に慣性マスM(イナー
シャ)が作用する場合、回転慣性負荷が発生することに
なる。この慣性マスMが作用する状態において、第8図
に示すようなエンジンの回転角速度変動が生じると、第
9図に示すように、Vベルト6の張力変動が生起するこ
とになる。
この第9図から明らかなように、実線E1で示すディー
ゼルエンジンにおいては、実線E2に示すガソリンエンジ
ンに比して張力変動が約3倍以上になることになる。そ
して、ガソリンエンジンにおいては、通常、Vベルト6
の張力変動が許容限界値Tamaxを越えることがないのに
対し、ディーゼルエンジンにおいては、ベルト伝達能力
が高いままでは張力変動(E1参照)がそのまま生じ、最
大の張力変動Tmaxが許容限界値Tamaxを越えることにな
る。つまり、ガソリンエンジンにおいては、単に低張力
でVベルト6が積極的に滑るようにすると、ベルト伝達
能力がいたずらに低下するのに対し、ディーゼルエンジ
ンにおいては、大きな張力変動が生じるので、上記Vベ
ルト6のベルト角度αをプーリ溝角度θより小さくし、
該Vベルト6を大きな張力変動を利用して滑らせること
ができる。その結果、第9図破線E3に示すように、張力
変動が許容限界値Tamaxを越えないようになる。
従って、上記ベルト伝達装置1において、エンジン2
を駆動すると、クランク軸21の回転によりドライブプー
リ4が回転し、Vベルト6を介してドリブンプーリ5が
回転することになり、エンジン2の動力がエンジン補機
3に伝達されて該エンジン補機3が回転駆動することに
なる。
その際、ディーゼルエンジン2の場合、ガソリンエン
ジンに比してピストンの圧縮比が大きいので、クランク
軸21に大きな捩り振動や回転変位が生じることになり、
特に、自動変速機付きの場合、フライホイールが小さい
ので、大きな回転角速度変動が生じることになる。この
回転角速度変動によってVベルト6の張力Tが変動する
ことになるが、プーリ溝角度θが45度〜60度に設定され
ていると共に、ベルト角度αがプーリ溝角度θに対して
θ−7≦α<θに設定されているため、ドリブンプーリ
5に対しVベルト6が積極的に滑ることになり、上記張
力変動が吸収されて、Vベルト6には常時ほぼ一定の張
力が作用することになる。
つまり、この滑りによって張力変動を吸収するので、
第6図に示すように、従来に比してベルト伝動能率は若
干低下するものの、ベルト寿命を飛躍的に向上させるこ
とができる。
更に、プーリ溝角度θを広角度にし且つVベルト6が
滑るようにすることでもってVベルト6の長命化を図る
ことができるので、従来のようなオートテンショナーを
設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができる
と共に、構造を簡素にするこができ、安価なものとする
ことができる。
また、装置全体をコンパクトにすることができること
から、自動車の狭いエンジンルームに設ける上で、レイ
アウト上極めて有利なものとすることができる。
尚、本実施例は、自動変速機付きディーゼルエンジン
2について説明したが、本考案は、手動変速機付きディ
ーゼルエンジンに適用してもよいことは勿論である。要
するに、本考案は、回転角速度変動が生じる自動車用デ
ィーゼルエンジンに適用することができるものであり、
その際、手動変速機付きディーゼルエンジンより自動変
速機付きディーゼルエンジンの方が回転角速度変動が大
きく、この回転角速度変動が大きい場合に顕著な効果を
発揮することになる。
(考案の効果) 以上のように、本考案のベルト伝達装置によれば、ド
ライブプーリ及びドリブンプーリのプーリ溝角度を45度
〜60度に設定すると共に、上記Vベルトのベルト角度α
をプーリ溝角度θに対してやや小さい範囲(θ−7≦α
<θ)に設定し、該Vベルトの両側面下部を、該Vベル
トの張力変動に伴ってプーリに対して滑動可能な動力伝
達部として構成したために、ベルト伝動能率をさほど低
下させることなく、Vベルトがドリブンプーリに対して
滑り易くなり、エンジンの回転角速度変動によって生じ
るVベルトの張力変動を上記滑りにより吸収することに
なるので、Vベルトの寿命を従来の比して著しく向上さ
せることができる。特に、ディーゼルエンジンの場合、
ガソリンエンジンに比して上記回転角速度変動が大きく
ても、Vベルトの張力変動を確実に吸収することができ
る。特に、自動変速機付きの場合、手動変速機付きに比
してより回転角速度変動が大きいが、Vベルトの張力変
動を確実に吸収することができるので、Vベルトの長寿
命化という効果を有効に発揮することになる。
また、プーリ溝角度を広角度にし且つVベルトが滑る
ようにすることのみでもってVベルトの張力変動を吸収
することができるので、従来のようなオートテンショナ
ーを設ける必要がなく、部品点数が少なく、構造を簡素
にすることができることになり、コストダウンを図るこ
とができる。その上、装置全体をコンパクトにすること
ができることから、自動車の狭いエンジンルームに設け
る場合、レイアウト上極めて有利なものとすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
図面は本考案の一実施例を示しており、第1図はベルト
伝動装置の全体概略側面図、第2図は同概略構成図、第
3図は同要部の断面図である。第4図はVベルトに作用
する力関係を示す力の作用図、第5図はVベルトに作用
する張力の作用図である。第6図はプーリ溝角度に対す
るベルト伝動能率及びベルト寿命比率の特性図である。
第7図はベルト角度に対するベルト寿命比率の特性図で
ある。第8図は、エンジンの回転角速度変動の特性図、
第9図は、ベルト張力変動の特性図、第10図は、慣性マ
スの作用状態を示すベルト伝動装置の概略図である。 1……ベルト伝動装置、2……エンジン、3……エンジ
ン補機、4……ドライブプーリ、5……ドリブンプー
リ、6……Vベルト、21……クランク軸、22……自動変
速機、31……駆動軸、61b……伝達部、θ……プーリ溝
角度、α……ベルト角度。

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】自動車用ディーゼルエンジンのクランク軸
    に取付けられたドライブプーリと、回転慣性を有するエ
    ンジン補機の駆動軸に取付けられたドリブンプーリとの
    間にVベルトが巻回されて、回転角速度変動を伴う上記
    クランク軸の回転駆動力を上記Vベルトを介して上記エ
    ンジン補機の駆動軸に伝達して該エンジン補機を回転駆
    動するようにしたベルト伝動装置において、 上記各プーリのプーリ溝角度θが、45〜60度に設定され
    ているとともに、 上記Vベルトのベルト角度αが、上記各プーリのプーリ
    溝角度θに対して、 θ−7≦α<θ になるように設定されており、 上記Vベルトの両側面下部が、上記クランク軸の回転角
    速度変動に伴う該Vベルトの張力変動に伴ってプーリに
    対して滑動可能な動力伝達部を構成していることを特徴
    とするベルト伝動装置。
  2. 【請求項2】自動車用ディーゼルエンジンは、自動変速
    機付きディーゼルエンジンであることを特徴とする請求
    項(1)記載のベルト伝動装置。
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