JP2019135404A - 補機伝動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン出力軸からベルトを介して補機を駆動する装置において、エンジン始動時等に大きな負荷トルクがベルトに作用する。【解決手段】プーリ体10の回転は、コイルばね13、ラチェット16を介して出力部材15に伝達する。出力部材15の回転がプーリ体10より速いと、ラチェット16が空転する。コイルばね13は、通常運転時ではベルト張力変動を吸収しつつトルクを伝達し、エンジン始動時等において大きな負荷トルクを受ける場合、その拡径動作により衝撃吸収部材17に接触して該衝撃吸収部材17を変形し、上記大きな負荷トルクを吸収する。【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等の車両にあって、エンジンの回転をベルト等を介してオルタネータ等の補機に伝動するプーリ装置等の補機伝動装置に係り、詳しくは一方向クラッチ及び捩りコイルばねを内蔵した補機伝動装置に関する。
一般に、自動車にあっては、エンジン出力軸に固定されるプーリと、冷却ファン、オルタネータ等の補機駆動用のプーリとの間にベルトを巻掛け、エンジンの回転をベルトを介してオルタネータ等に伝達している。エンジンの減速時、オルタネータ等の慣性回転がベルトに負荷として作用しないように、オルタネータプーリに一方向クラッチを内蔵し、該プーリ入力側の回転が出力側の回転より低い場合、オーバーランしてベルトの負荷を低減し、ベルト寿命を向上すると共にベルトスリップ音を抑制した補機伝動装置は、知られている。
従来、上記一方向クラッチとしてクラッチバネを用いたものがあり(特許文献1参照)、該補機伝動装置(デカップラアセンブリ)は、プーリがハブ(出力部材)に対して加速された時は、クラッチバネが拡径してプーリ内面に摩擦係合して動力伝達され、プーリがハブに対して減速された時は、クラッチバネが縮径して上記摩擦係合が解除される。更に、該補機伝動装置は、上記クラッチバネの出力側に連結している担体と上記ハブとの間に捩り(コイル)バネが介在し、該捩りバネは、エンジン出力軸の角速度変動に起因するベルト張力変動(トルク変動)を吸収する。また、該捩りバネには所定間隙を有してトルクリミッタが被嵌されており、上記捩りバネに所定値以上のトルクが作用すると、捩りバネの外径方向の変形が上記トルクリミッタに接触することにより規制され、上記所定値以上のトルクは、捩りバネに作用することなくプーリからハブに直接伝達される。これにより、上記捩りバネに作用するトルクが所定値以下に制限され、捩れバネへの過負荷が防止される。
上記捩りバネは、通常運転時に生じる10[N・m]程度の負荷トルク域では、捩り動作によってベルト張力変動を吸収することができる。しかしながら、上記捩りバネは、エンジン始動時やアイドリングストップ後の再始動時等に生じる30[N・m]近い大きい負荷トルク域では、上記トルクリミッタにより捩り動作が規制されるので、該大きな負荷トルクが直接ベルトに作用し、ベルトに大きな負荷が作用する。
近年、燃費低減、排気ガスの低減のため、アイドリングストップ車両が増加する傾向にあり、この場合、自動車使用期間中のエンジン始動回数(再始動を含む)が格段に多くなり、ベルトの耐久性に一層の注意を払う必要がある。
そこで、本発明は、エンジン始動時等による大きな負荷トルクが作用しても、該負荷トルクの吸収を可能とし、もって上述した課題を解決した補機伝動装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、エンジン出力軸(2)からのトルクが伝達され、補機(例えばオルタネータ)(6)を駆動する補機伝動装置(7)において、
前記エンジン出力軸(2)に連動する入力部材(10)と、
前記補機(6)に連動する出力部材(15)と、
前記入力部材(10)と前記出力部材(15)との間に介在し、前記入力部材からのトルクに応じて捩り変形しつつ前記出力部材(15)に伝達するコイルばね(13)と、
前記入力部材(10)と前記出力部材(15)との間に介在し、前記入力部材(10)から前記出力部材(15)に伝達する正伝動に対してトルクを伝達し、前記出力部材(15)から前記入力部材(10)への負伝動に対して前記出力部材(15)を空転する一方向クラッチ(16)と、
前記コイルばね(13)の捩り動作に伴う径方向変形が所定量以上になると、前記コイルばね(13)に接触して変形する衝撃吸収部材(17)と、を備える、
ことを特徴とする補機伝動装置にある。
前記エンジン出力軸(2)に連動する入力部材(10)と、
前記補機(6)に連動する出力部材(15)と、
前記入力部材(10)と前記出力部材(15)との間に介在し、前記入力部材からのトルクに応じて捩り変形しつつ前記出力部材(15)に伝達するコイルばね(13)と、
前記入力部材(10)と前記出力部材(15)との間に介在し、前記入力部材(10)から前記出力部材(15)に伝達する正伝動に対してトルクを伝達し、前記出力部材(15)から前記入力部材(10)への負伝動に対して前記出力部材(15)を空転する一方向クラッチ(16)と、
前記コイルばね(13)の捩り動作に伴う径方向変形が所定量以上になると、前記コイルばね(13)に接触して変形する衝撃吸収部材(17)と、を備える、
ことを特徴とする補機伝動装置にある。
例えば図2を参照して、前記コイルばね(13)と前記一方向クラッチ(16)は、伝動方向直列に、かつ前記コイルばね(13)が前記一方向クラッチ(16)に対して伝動上流側に配置されてなる。
例えば図1,図2,図3を参照して、前記入力部材は、前記エンジン出力軸(2)からベルト(9)を介してトルク伝達されるプーリ体(10)であり、
該プーリ体(10)は、軸方向一方が開口した中空部(18)を有し、該中空部内に、前記コイルばね(13)、前記一方向クラッチ(16)、前記出力部材(15)及び前記衝撃吸収部材(17)を配置してなる。
該プーリ体(10)は、軸方向一方が開口した中空部(18)を有し、該中空部内に、前記コイルばね(13)、前記一方向クラッチ(16)、前記出力部材(15)及び前記衝撃吸収部材(17)を配置してなる。
例えば図2〜図5を参照して、前記プーリ体(10)の前記中空部(18)閉塞側の側壁(20)に、前記コイルばね(13)の一端を回転方向一体に係合し、該コイルばねの他端を前記一方向クラッチ(16)の入力側であるばね保持部材(11)に回転方向一体に係合し、
前記衝撃吸収部材(17)は、前記中空部(18)の内周面に位置決めされ、自然状態の前記コイルばね(13)の外周面に所定の間隙を介在して該コイルばね(13)を囲むように配置され、前記コイルばね(13)に作用する負荷トルクにより、該コイルばねが前記所定の間隙以上に拡径すると、前記コイルばねの外周面が前記衝撃吸収部材に接触して該衝撃吸収部材を変形してなる。
前記衝撃吸収部材(17)は、前記中空部(18)の内周面に位置決めされ、自然状態の前記コイルばね(13)の外周面に所定の間隙を介在して該コイルばね(13)を囲むように配置され、前記コイルばね(13)に作用する負荷トルクにより、該コイルばねが前記所定の間隙以上に拡径すると、前記コイルばねの外周面が前記衝撃吸収部材に接触して該衝撃吸収部材を変形してなる。
例えば図4,図5,図8を参照して、前記プーリ体(10)と一体のばね保持部材(11)(20’)に形成された周方向溝(26)(26’)と、
前記一方向クラッチの入力側と一体のばね保持部材(12)(12’)に形成された周方向溝(37)(37’)と、を備え、
前記両周方向溝は、前記コイルばね(13)(13’)の一端又は他端を係合する部分が深く、前記コイルばねに沿うように徐々に浅くなる傾斜底面を有する。
前記一方向クラッチの入力側と一体のばね保持部材(12)(12’)に形成された周方向溝(37)(37’)と、を備え、
前記両周方向溝は、前記コイルばね(13)(13’)の一端又は他端を係合する部分が深く、前記コイルばねに沿うように徐々に浅くなる傾斜底面を有する。
例えば図5,図6を参照して、前記一方向クラッチは、前記ばね保持部材(12)の前記コイルばねと係合する部分(37)の反対側の側面に形成された軸方向に突出する傾斜係合部(41)と、前記出力部材(15)に一体に設けられた軸方向に突出する傾斜係合部(49)とを有するラチェット(16)であり、
前記両傾斜係合部(41)(49)は、前記コイルばね(13)の圧縮力により互に係合するように付勢されてなる。
前記両傾斜係合部(41)(49)は、前記コイルばね(13)の圧縮力により互に係合するように付勢されてなる。
例えば図2,図4,図5を参照して、前記出力部材(15)の外周面の間と僅かな隙間を在し、かつ前記コイルばね(13)の内周面との間に僅かな隙間を在して円筒部(27)(39)を配置してなる。
例えば図2,図7を参照して、前記衝撃吸収部材(17)は、2つ割された円筒形状のウレタンである。
前記補機は、前記出力部材に連結されるオルタネータ(6)である。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
本発明によると、入力部材から出力部材に伝達する正伝動の場合、エンジン出力軸からの入力部材の回転が出力部材に伝達され、オルタネータ等の補機を駆動するが、エンジン減速により出力部材の回転が入力部材より高くなると、一方向クラッチにより出力部材の回転は空転し、ベルト等の伝動装置に負荷が作用することを抑制する。
通常の運転状態にあって、エンジン回転軸の角速度変動に起因するベルト張力等の変動は、コイルばねが捩り変形することにより吸収されるので、ベルト張力等の伝動装置の負荷トルクが平滑化されて(例えば、ベルト張力ピークがキャンセルされて)、燃費の向上を図ることができる。
エンジン始動時、アイドリングストップからの再始動時等、エンジンからの大きな負荷トルクが入力部材に作用すると、コイルばねは、該トルクに対応して所定量以上に径方向に変化しようとするが、衝撃吸収部材に接触して該径方向変化が規制されると共に衝撃吸収部材が変形して、コイルばねの過度の変形を阻止して該コイルばね早期破損を防止し、かつ上記衝撃吸収部材による大きな負荷トルクの吸収により、ベルト等の伝動装置に衝撃的な負荷トルクが作用することを防止して耐久性を向上することができる。
コイルばねを一方向クラッチに対して伝動上流側に配置したので、例えばアイドリングストップ後に直ちにエンジンを再始動する場合、出力部材が空転状態にあっても、エンジン出力は、入力部材からコイルばねを介して一方向クラッチに伝達されるので、一方向クラッチの係合と同時にコイルばねが変形して、負荷トルク変動をその捩り変形で吸収し、更に大きな負荷トルクは、衝撃吸収部材で吸収することができる。
入力部材であるプーリ体の中空部に、コイルばね、一方向クラッチ、出力部材及び衝撃吸収部材を配置するので、コンパクトな構成として、オルタネータ等の補機の配置及びベルト駆動装置の配置が容易となる。
プーリ体と一方向クラッチの入力側であるばね保持部材との間に、回転方向を係合してコイルばねを配置し、また衝撃吸収部材は、プーリ体の中空部内周面に軽圧入等により位置決めされ、コイルばね外周面との間に所定の間隙を在して配置したので、コイルばねが、小さなトルク変化により上記所定の間隙以下の拡径である場合、その捩り変形により吸収し、大きなトルク変化により上記所定の間隙以上に拡径すると、衝撃吸収部材に接触して該衝撃吸収部材により吸収される。これにより、コイルばねは、通常運転時の小さいトルク変動の吸収と、エンジン始動時等の大きなトルク変動における衝撃吸収部材の作動とに共用することができ、かつ上記所定の間隙を調整することにより、上記作動の切割りを容易に設定することができる。
コイルばねは、一端又は他端を係合する部分が深く、コイルばねに沿って徐々に浅くなる傾斜底面を有する周方向溝により両端部を保持されているので、負荷トルクが作用しても安定した姿勢で保持される。
一方向クラッチは、軸方向に突出する傾斜係合部からなるラチェットからなり、かつ該ラチェットを前記コイルばねの圧縮力により係合する方向に付勢するので、ラチェットをコンパクトに構成すると共に、コイルばねを、上記捩り変形によるトルク変動の吸収と、上記圧縮変形によるラチェットの付勢に共用することができる。
コイルばねの内周側に臨んで円筒部を配置したので、コイルばねが上記変形により傾くことを防止して、該コイルばねを正規な状態に保持して作動の確実性を図ることができる。
衝撃吸収部材は、ウレタンからなるので、比較的安価な材料で充分な耐久性を有し、コイルばねの拡径に伴い変形して、入力トルク変動に伴うエネルギーを吸収することができる。また、上記ウレタンは、2つ割りされた円筒形状からなるので、例えばプーリ体中空部の内周面に軽圧入等により容易にかつ正確に位置決めして配置することができる。
補機としてオルタネータに適用すると好適である。
以下、図面に沿って本発明の実施の形態について説明する。図1は、エンジン出力軸の回転を補機に伝達するベルト伝動装置を示し、該ベルト伝動装置は、エンジン1の出力軸2に固定されたクランクプーリ3と、補機の例として、冷却ファンに連結されるファンプーリ5と、オルタネータ6に連結されるプーリ装置7と、これら各プーリに巻掛けられたベルト9とを有する。エンジン出力軸2の回転は、クランクプーリ3からベルト9を介してファンプーリ5及びプーリ装置7に伝達される。
プーリ装置7は、図2に示すように、入力部材となるプーリ体10と、該プーリ体に連結する入力側のばね保持部材11と、出力側のばね保持部材12と、これら両ばね保持部材11,12の間に介在するコイルばね13と、出力部材15と、上記出力側保持部材12と出力部材15との間に介在する一方向クラッチであるラチェット16と、衝撃吸収部材17(図2にハッチングで表記)とを有する。プーリ体10は、図3に示すように、一方に開口する大径の中空部18を有し、外周部に多数のV字状溝19が形成され、該V字状溝19に上述したベルト9が巻付けられる。上記中空部18の閉塞側端部の側壁20にはその内面に周方向3箇所に凸部21(図3(a)にハッチングで表記)が形成され、中央に上記出力部材15が貫通する孔22が形成されている。
上記入力側のばね保持部材11は、図4に示すように、合成樹脂からなる円板状部材からなり、その一側面に周方向3箇所に凸部25(図4(b)にハッチングで表記)が形成され、その他側面に一端が深く、上記入力側ばね保持部材11の回転方向Aに向って浅くなるような傾斜底面を有する周方向溝26(図4(c)にハッチングで表記)が形成されている。また、上記ばね保持部材11の中央部にはコイルばね13方向に突出する円筒部27が形成され、該円筒部を含む中央部の貫通孔にすべり軸受30(図2参照)を介在して前記出力部材15に回転自在に支持されている。上記3箇所の凸部25は、前記プーリ体10の3箇所の凸部21に係合して一体に回転し、また上記周方向溝26にはコイルばね13の一端が係合する。即ち、コイルばね13の一端の先端が周方向溝26の深い側の端面26aに係合して該コイルばねを一体に回転し、該コイルばね13は、周方向溝26の浅くなる傾斜底面に沿って上記回転方向Aに延びる。
上記出力側のばね保持部材12は、図5に示すように、合成樹脂からなる円板状部材からなり、その一側面には一端が深く、出力側ばね保持部材12の回転方向とは反対の方向B(同図では、周縁に沿う反時計回りの方向)に向って浅くなる傾斜底面を有する周方向溝37(図5(b)にハッチングで表記)が形成され、かつその中央部にコイルばね13方向に突出する円筒部39が形成されており、該円筒部の孔を含む中央部に貫通孔40が形成されている。該ばね保持部材12の他側面にはテーパ状に軸方向に突出する傾斜係合部41(図5(c)にハッチングで表記)が周方向に4箇所形成されている。該入力側ばね保持部材12は、出力部材15に回転自在に支持されており、上記周方向溝37には上記コイルばね13の他端が係合する。即ち、コイルばね13の他端の先端が周方向溝37の深い側の端面37aに係合してコイルばね13と一体に回転し、該コイルばね13は、周方向溝37の浅くなる傾斜底面に沿って方向Bに延びる。
上記出力部材15は、図6に示すようにスリーブ状の中空軸部材からなり、孔部45の一方側にはオルタネータのロータ軸が結合し得る雌ネジ45aが形成され、孔部45の他方側は、オルタネータの取付けのための6角レンチ用の6角孔45bとなっている。軸部材の中央部分はフランジ46となっており、該フランジ46の一方側面にはテーパ状に軸方向に突出する傾斜係合部49(図6(b)にハッチングで表記)が周方向に4個形成されている。該傾斜係合部49は、前記出力側のばね保持部材12の傾斜係合部41と協働して、ばね保持部材12の回転数が出力部材15の回転数以上の場合(プーリ体10から出力部材15にトルク伝達する正伝動状態)、方向Bとは反対方向の回転がばね保持部材12から出力部材15に伝達され、出力部材15の回転数がばね保持部材12の回転数より大きい場合(出力部材15からプーリ体10へ向かう負伝動状態)、出力部材15がばね保持部材12に対して空転(オーバーラン)する上記ラチェット16を構成する。
出力部材15の一方の軸側は、上記すべり軸受30用の支持面50となっており、軸外周面51は、上記入力側のばね保持部材11の貫通孔29と僅かな隙間を有し、また出力側のばね保持部材12の貫通孔40と接触しないような関係となっている。出力部材15の他方側の軸部は大径の円筒部52となって深溝玉軸受53(図2参照)が装着され、プーリ体10を回転自在に支持している。
前記コイルばね13は、一端を入力側のばね保持部材11に係合し、他端を出力側のばね保持部材12に係合して、両ばね保持部材11,12の間に所定量圧縮して配置され、上記ラチェット16を構成する両傾斜係合部41,49が係合するように付勢している。更に、該コイルばね13は、入力側のばね保持部材11の周方向溝26に一端を係合して、また出力側のばね保持部材12の周方向溝37に他端を係合して捩り連結されており、入力側のばね保持部材11の回転方向Aの回転により、その入力トルクに応じた捩り変形をしてベルト張力変動(トルク変動)を吸収しつつ出力側のばね保持部材12に伝達する。このため、上記コイルばね13は、図2に示すように、断面円形よりもトルク容量が増える断面矩形の例えば5巻のコイルばねからなり、上記捩りコイルばねとしてのばね定数は、トルクにより捩れても、捩れ破損を生じない範囲で、かつ通常運転時のトルク変動を吸収するよう、例えば、10[N・m]以下のトルク変動を吸収するよう設定されている。また、上記コイルばね13は、上記ラチェット16の空転時、両傾斜係合部41,49の相対移動により圧縮するが、該圧縮コイルばねとしてのばね定数は、上記空転時のコイルばねの圧縮変形による損失を小さくするため、小さい方が望ましい。
上記コイルばね13は、負荷トルクにより捩り変形する際、拡径方向に変形する。前記衝撃吸収部材17は、硬度が例えばショアA90〜95のウレタンからなり、図7に示すように、円筒形状からなる。該衝撃吸収部材17の外径は、プーリ体10の中空部18内周面の径より若干大きく、軽圧入されてプーリ体10の中空部18内周面に固定される。該衝撃吸収部材17の内径は、自然状態のコイルばね13の外径より所定量大きく、コイルばね13の外周を囲むように配置されている。上述したように、コイルばね13が大きな負荷トルクにより所定量以上拡径方向に変形すると、上記衝撃吸収部材17に当接し、コイルばね13に作用する負荷トルクに応じて衝撃吸収部材17は、押圧されて変形し、エネルギーを弾性的に吸収する。
上記コイルばね13の外径寸法と、衝撃吸収部材17の内径寸法との差である間隙量は、コイルばね13の捩り変形による負荷トルクの吸収と、始動時等のそれより大きな衝撃的負荷の吸収とで定まる。間隙量が大き過ぎると(所定値以上)、コイルばね13に許容トルクを超えるトルクが入力されても、衝撃吸収部材17に接触しないため、コイルばね13に過大な負荷が作用する。反対に、間隙量が小さ過ぎると(所定値以下)、コイルばね13は、ベルト張力変動を十分に吸収する前に衝撃吸収部材17に接触して捩り動作が制御される。上記間隙量は、例えば10[N・m]を超えるトルクがコイルばね13に入力された時に、上記衝撃吸収部材17の内周面にコイルばね13の拡径した外周面が接触するように設定されている。
上記衝撃吸収部材17は、図7に示すように、2つ割された円筒形状のウレタンからなる。ウレタン分割片55,55は、分割して容易にプーリ体10の中空部18内周面に、コイルばね15の外周を囲って配置することができる。なお、衝撃吸収部材17として、ウレタンを例に挙げたが、他の材質のゴム、合成樹脂等の弾性材料から形成してもよい。
ついで、上述したプーリ装置(補機伝動装置)の作用について述べる。エンジン出力軸2の回転は、クランクプーリ3及びベルト9を介してプーリ装置7のプーリ体10に伝達される。エンジン1が増速回転にあって、プーリ体10の回転数が出力部材15(即ちオルタネータ6)の回転数以上の場合(入力側から出力側への正伝動時)、プーリ体10の回転は、入力側ばね保持部材11、コイルばね13、出力側ばね保持部材12に伝達される。この状態では、出力側ばね保持部材12の傾斜係合部41と出力部材15の傾斜係合部49の立上り面41a,49a同士が係合したラチェット16の係合状態にあり、上記出力側ばね保持部材12の回転は、ラチェット16を介して出力部材15に伝達され、オルタネータ6に伝達される。
エンジン1が減速状態にあり、プーリ体10の回転数に対して出力部材15の回転数が大きい場合(出力側から入力側への負伝動時)、プーリ体10の回転は、同様に出力側ばね保持部材12に伝達される。この状態では、オルタネータ6の慣性により出力部材15の回転数が出力側ばね保持部材12の回転数より大きいので、両傾斜係合部41,49は、その傾斜面に沿って相対移動し、コイルばね13を圧縮変形しつつ出力側ばね保持部材12を軸方向に移動してラチェット16を解除する。これにより、出力部材15は、空転(オーバーラン)して、オルタネータ6の回転がプーリ体10を通してベルト9に作用することはなく、ベルト9及びエンジン1に負荷を作用することはない。
エンジン1の回転により車両を走行する通常運転時では、一般に、プーリ体からコイルばね13に作用するトルクは10[N・m]以下であり、コイルばね13は、負荷トルクに応じて捩り変形してベルト張力変動を吸収しつつ出力側ばね保持部材12を介して出力部材15にトルクを伝達する。これにより、ベルト張力が平滑化されるので、エンジントルクが無駄に消費されることを抑制し、燃費の向上を図ることができる。
エンジンの始動時、アイドリングストップした後の再始動時、急加速時等、一般に30[N・m]近い大きな負荷トルクがプーリ装置7に作用する。この状態では、プーリ体10の回転(トルク)は、入力側ばね保持部材11からコイルばね13を介して出力側ばね保持部材12及びラチェット16を介して出力部材15に伝達する。上記大きな負荷トルクは、コイルばね13を捩り変形すると共に拡径方向に変形する。該拡径方向の変形が所定値に達すると、ウレタンからなる衝撃吸収部材17に接触し、上記負荷トルクに応じてコイルばねの更なる拡径方向変化により該衝撃吸収部材17を変形する。これにより、所定値以上の負荷トルクは、衝撃吸収部材17の拡径変形により弾性的に受け止められ、最終的にはその大部分が衝撃吸収部材17の変形に伴う熱エネルギーとなる。これにより、始動時、再始動時等の大きな負荷トルクは、衝撃吸収部材17により吸収され、ベルトに作用する衝撃的張力を低減し、ベルトの寿命を長期化を図ることができる。
上記大きな負荷トルクが作用する場合、一般に正伝動状態にあってラチェット16は係合している。アイドリングストップ後直ちに再始動する際、ラチェット16が解除された負伝動状態となっている場合も考えられる。この場合でも、コイルばね13がラチェット16に対して伝動上流側にあるため、再始動に伴う大きなトルクは、コイルばね13を介してラチェット16に伝達され、ラチェット16の係合と同時にコイルばね13の拡径動作により衝撃吸収部材17が変形して、上記大きなトルクに伴う衝撃は、直ちに吸収される。
コイルばね13は、通常運転時、エンジン始動時等に関わらず、トルク伝達するときに傾く可能性があるが、上記入力側ばね保持部材11及び出力側ばね保持部材12の円筒部27,39が僅かな隙間を介して、コイルばね13の内周面に臨んで配置されているため、コイルばね13は、傾くことが阻止されて適正な姿勢を保持される。
ついで、図8に沿って一部変形した実施の形態について説明する。本実施の形態は、コイルばねの連結に係るものであり、この部分のみを説明する。コイルばね13’の一端部60及び他端部61は、図8(a)に示すように、コイル巻径部62から外径方向に立上っている。プーリ体10’は、その側壁20’に周方向溝26’(図8(b)にハッチングで表記)が形成され、該周方向溝26’は、コイルばね13’の略一巻分の長さであり、上記一端部60を係合する立上り部63が一番深く、他端に向けて徐々に浅くなり、コイルばね13’に沿うような底面を有する。出力側ばね保持部材12’も同様に、コイルばね13の略一巻分の長さを有する周方向溝37’(図8(c)にハッチングで表記)を有し、該周方向溝37’は、上記コイルばね13’の他端部61を係合する立上り部65が一番深く、他端に向って徐々に浅くなり、コイルばね13’に沿うような底面を有する。
本実施の形態は、先の実施の形態の入力側ばね保持部材11を不要とし、プーリ体10’の側壁20’をばね保持部材として、該側壁20’と出力側ばね保持部材12’との間にコイルばね13’が保持される。出力側ばね保持部材12’の円筒部39’が軸方向に長く形成され、コイルばね13’の内周面の略々全長を支える。
なお、上述した実施の形態は、一方向クラッチとして軸方向に突出する傾斜係合部からなるラチェットを用いたが、これに限らず、スプラグ、ボール、ローラ等による一方向クラッチ、又はコイルばねの巻締め方向、巻解き方向の回転によるバネ式の一方向クラッチでもよい。また、コイルばねは、トルクにより拡径する方向に変形する巻き方向になっているが、トルクにより縮径方向に変形する巻方向のトルクばねを用い、該コイルばねの内周側に衝撃吸収部材を配置してもよい。また、補機として、オルタネータを適用しているが、他の補機でもよく、更にエアコンプレッサ、パワステ等のエンジンで駆動される機器も補機と定義する。補機駆動としてベルトが好適であるが、ギヤ、チェーン等の他の伝動装置でもよい。
1 エンジン
2 エンジン出力軸
6 補機(オルタネータ)
7 補機伝動装置(プーリ装置)
10 入力部材(プーリ体)
11 (入力側)ばね保持部材
12 (出力側)ばね保持部材
13 コイルばね
15 出力部材
16 一方向クラッチ(ラチェット)
17 衝撃吸収部材
18 中空部
20,20’ 側壁
26,26’ 周方向溝
27,39 円筒部
37,37’ 周方向溝
41,49’ 傾斜係合部
2 エンジン出力軸
6 補機(オルタネータ)
7 補機伝動装置(プーリ装置)
10 入力部材(プーリ体)
11 (入力側)ばね保持部材
12 (出力側)ばね保持部材
13 コイルばね
15 出力部材
16 一方向クラッチ(ラチェット)
17 衝撃吸収部材
18 中空部
20,20’ 側壁
26,26’ 周方向溝
27,39 円筒部
37,37’ 周方向溝
41,49’ 傾斜係合部
Claims (9)
- エンジン出力軸からのトルクが伝達され、補機を駆動する補機伝動装置において、
前記エンジン出力軸に連動する入力部材と、
前記補機に連動する出力部材と、
前記入力部材と前記出力部材との間に介在し、前記入力部材からのトルクに応じて捩り変形しつつ前記出力部材に伝達するコイルばねと、
前記入力部材と前記出力部材との間に介在し、前記入力部材から前記出力部材に伝達する正伝動に対してトルクを伝達し、前記出力部材から前記入力部材への負伝動に対して前記出力部材を空転する一方向クラッチと、
前記コイルばねの捩り動作に伴う径方向変形が所定量以上になると、前記コイルばねに接触して変形する衝撃吸収部材と、を備える、
ことを特徴とする補機伝動装置。 - 前記コイルばねと前記一方向クラッチは、伝動方向直列に、かつ前記コイルばねが前記一方向クラッチに対して伝動上流側に配置されてなる、
請求項1記載の補機伝動装置。 - 前記入力部材は、前記エンジン出力軸からベルトを介してトルク伝達されるプーリ体であり、
該プーリ体は、軸方向一方が開口した中空部を有し、該中空部内に、前記コイルばね、前記一方向クラッチ、前記出力部材及び前記衝撃吸収部材を配置してなる、
請求項1又は2記載の補機伝動装置。 - 前記プーリ体の前記中空部閉塞側の側壁に、前記コイルばねの一端を回転方向一体に係合し、該コイルばねの他端を前記一方向クラッチの入力側であるばね保持部材に回転方向一体に係合し、
前記衝撃吸収部材は、前記中空部の内周面に位置決めされ、自然状態の前記コイルばねの外周面に所定の間隙を介在して該コイルばねを囲むように配置され、前記コイルばねに作用する負荷トルクにより、該コイルばねが前記所定の間隙以上に拡径すると、前記コイルばねの外周面が前記衝撃吸収部材に接触して該衝撃吸収部材を変形してなる、
請求項3記載の補機伝動装置。 - 前記プーリ体と一体のばね保持部材に形成された周方向溝と、
前記一方向クラッチと一体のばね保持部材に形成された周方向溝と、を備え、
前記両周方向溝は、前記コイルばねの一端又は他端を係合する部分が深く、前記コイルばねに沿うように徐々に浅くなる傾斜底面を有する、
請求項4記載の補機伝動装置。 - 前記一方向クラッチは、前記ばね保持部材の前記コイルばねと係合する部分の反対側の側面に形成された軸方向に突出する傾斜係合部と、前記出力部材に一体に設けられた軸方向に突出する傾斜係合部とを有するラチェットであり、
前記両傾斜係合部は、前記コイルばねの圧縮力により互に係合するように付勢されてなる、
請求項4記載の補機伝動装置。 - 前記出力部材の外周面の間と僅かな隙間を在し、かつ前記コイルばねの内周面との間に僅かな隙間を在して円筒部を配置してなる、
請求項3ないし5のいずれか1項記載の補機伝動装置。 - 前記衝撃吸収部材は、2つ割された円筒形状のウレタンである、
請求項1ないし7のいずれか1項記載の補機伝動装置。 - 前記補機は、前記出力部材に連結されるオルタネータである、
請求項1ないし8のいずれか1項記載の補機伝動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018018331A JP2019135404A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 補機伝動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018018331A JP2019135404A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 補機伝動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019135404A true JP2019135404A (ja) | 2019-08-15 |
Family
ID=67623680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018018331A Pending JP2019135404A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 補機伝動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019135404A (ja) |
-
2018
- 2018-02-05 JP JP2018018331A patent/JP2019135404A/ja active Pending
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RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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