JP2514701Y2 - 転削工具 - Google Patents

転削工具

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JP2514701Y2
JP2514701Y2 JP2664891U JP2664891U JP2514701Y2 JP 2514701 Y2 JP2514701 Y2 JP 2514701Y2 JP 2664891 U JP2664891 U JP 2664891U JP 2664891 U JP2664891 U JP 2664891U JP 2514701 Y2 JP2514701 Y2 JP 2514701Y2
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豊 高橋
貢 田澤
裕二 新城
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、例えば正面フライス
等、被削材の平面切削に用いられる転削工具に係り、詳
しくは切削に伴って生成される切屑を逐次処理できる転
削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】被削材の平面加工に用いられ、切削に伴
って生成される切屑を周囲に飛散させることなく処理で
きる転削工具として、近年、図5ないし図7に示す正面
フライスが知られている。
【0003】これらの図において、符号2は工具本体で
ある。この工具本体2は中心孔4を有する略円筒体であ
り、その先端外周部には複数の凹溝6が周方向等間隔を
おいて形成されている。そして、これら凹溝6には、平
板状をなす切刃チップ8が、その正面切刃8a及び外周
切刃8bを工具本体2の先端面及び外周面から突出させ
た状態で、クランプネジ10で締め込まれる楔部材12
により着脱自在に装着されている。また、工具本体2の
先端外周部の各チップ8のすくい面8cと対向する位置
には、壁面略円弧状をなすチップポケット14が形成さ
れている。
【0004】また、工具本体2は、その中心孔4がアー
バ16の嵌合軸18と嵌合された状態で締付ボルト20
によって軸方向に締め込まれ、これにより、工具本体2
はアーバ16を介して工作機械の主軸22と着脱自在に
連結されている。なお、アーバ16と主軸22の間、及
びアーバ16と工具本体2の間には、主軸22の回転を
工具本体2に伝達するためのキー24、26が介在され
ている。
【0005】アーバ16の嵌合軸18基端側に形成され
た支持軸28には、ラジアル軸受30が嵌装されて止め
輪32で係止されている。そして、この軸受30の外輪
にはカバー34が嵌装されている。このカバー34は、
軸受30の外輪の反対側に嵌合されたキャップ36とボ
ルト38で連結されて、工具本体2に対して回転自在に
支持されている。
【0006】前記カバー34は、アーバ16に軸受30
を介して支持された略円筒状の支持カバー40と、この
支持カバー40の先端側内周面に嵌装された同じく略円
筒状の可動カバー42とからなるものである。
【0007】支持カバー40の先端は、工具本体2の先
端側まで延長されて工具本体2の外周面をほぼ覆うよう
になっている。また、支持カバー40の周面を周方向に
3等分する位置には、工具本体2の軸線方向に延びる長
穴が形成されている。そして、可動カバー42は、長穴
44に挿通されたボルト46で支持カバー40と連結さ
れ、これにより、可動カバー42は工具本体2の軸線方
向に移動自在とされている。
【0008】前記各カバー40、42の内周面と工具本
体2の外周面との間には切屑収納室48が形成されてい
る。そして、この切屑収納室48は、カバー34の基端
側に形成された縮径部50によってカバー34の軸受3
0に臨む側と仕切られている。
【0009】また、カバー34の外周面には、支持カバ
ー40及び可動カバー42を貫く排出口52が形成さ
れ、この排出口52には排出管54が嵌合されている。
この排出管54の外周には、図示されない吸引機の吸引
ホース56が嵌装されており、これにより切屑収納室4
8は前記吸引機と連通し、また、カバー34は吸引ホー
ス56に拘束されてその回転が阻止されている。
【0010】さらに、工具本体2の先端面には切屑案内
部材58が、工具本体2と略面一をなすように埋め込ま
れ、皿ねじ60によって固定されている。この切屑案内
部材58は、薄いリング状をなす取付部62の周縁に、
工具本体の径方向外方に延びる案内部64を周方向等間
隔に形成してなるものであり、案内部64の外径は工具
本体2の外径と同一に定められている。
【0011】各案内部64の先端には、チップポケット
14に嵌まり込む突起部66が形成され、該突起部のチ
ップ8のすくい面8cと対向する端面66aと、チップ8
のすくい面8cとの間には、すくい面8cに沿って生成さ
れる切屑をチップポケット14内に誘導する隙間tが形
成されている。また、突起部66には、前記端面66a
及び上面66bに向かって開口する溝部66cが形成され
ている。
【0012】以上のように構成された正面フライスにあ
っては、外周切刃8bが所定の切込量より僅かに長く可
動カバー42の先端から露出するように、可動カバー4
2の位置が調整された上で、工具本体2がアーバ16を
介して主軸22に装着される。そして、この後、排出口
52と連結された吸引機により切屑収納室48内の空気
が吸引されつつ、工具本体2が軸線回りに回転せしめら
れると共に軸線と直交する方向に送り出され、これに伴
って工具本体2の先端面及び外周面からそれぞれ突出さ
れた切刃8a、8bが被削材を切削してゆく。
【0013】
【考案が解決しようとする課題】上述の如き従来の転削
工具では、工具本体との間に切屑収納室を形成するカバ
ーは、その先端面が工具本体の先端部近傍に位置し、し
かも切刃よりも径方向外周側へ膨らんでいるため、工具
の切込み量を大きめにした場合、該カバーが被削材と干
渉を起こし易いという問題があった。また、切込み量に
応じて可動カバーの位置を上下に調整しなければならな
いため、その作業が煩雑であるという問題もあった。さ
らに、カバーが大きいために工具全体が大型形状となる
ため、取り扱いに不便をきたすことがあり、カバーの小
形化が望まれていた。さらにまた、上述の如き転削工具
では、被削材の平面切削を多段階に行い該被削材を工具
軸線方向に順次掘り下げてゆく掘り下げ加工を行う場
合、カバーが被削材の端部(切り残し部分)に当たってし
まうため、各切削段階における被削材の端部をそろえる
ことができず、掘り下げ加工を行うことができないとい
う問題もあった。
【0014】本考案は、上記の如き課題を解決して、カ
バーを用いることなく切り屑を排除することが可能な工
具を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この考案は、中心孔に挿
入された駆動軸の軸線回りに回転せしめられ、基端側よ
り先端側が大径とされた工具本体の大径部の外周近傍
に、該工具本体を前記軸線とほば平行な方向に貫通しか
つ工具本体の先端側で閉鎖され基端側が開口された中空
状の切り屑収納部を設け、該切り屑収納部の近傍に前記
工具本体の外周および先端から突出する切刃を設け、前
記切り屑収納部の先端側を囲んで前記工具本体の一部を
なす壁面および前記切り屑収納部の外周側を囲んで前記
工具本体の一部をなす壁面と前記切刃との間に、前記切
り屑収納部へ切削屑を案内するスリットをそれぞれ設
け、前記切り屑収納部と前記中心孔との間に、前記駆動
軸から供給される空気を各切り屑収納部へ導く空気孔が
設けられたものである。
【0016】
【作用】上記構成の転削工具にあっては、工具本体の先
端外周部に装着された切刃チップの切刃と切り屑収納部
との間にスリットが設けられているので、切削により生
じた切削屑が切り屑収納部内へ案内される。また切り屑
収納部には、中心孔側から空気が供給される。
【0017】
【実施例】以下に図1ないし図4を参照して、本考案の
一実施例を説明する。なお、図中従来例と共通の構成部
分には同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0018】符号70は工具本体である。この工具本体
70は中心孔72を有する略円筒体であり、その先端外
周部には複数の凹部74が周方向等間隔をおいて形成さ
れている。そして、これら凹部74には、平板状をなす
切刃チップ8が、その正面切刃8a及び外周切刃8bを工
具本体2の先端面及び外周面から突出させた状態で、ク
ランプネジ10を締め付けることによりそれぞれ固定さ
れている。前記中心孔72には、主軸22(または必要
に応じて主軸に取り付けられるアーバなどの保持具)が
挿入され、主軸22の先端にボルト20をねじ込むこと
により固定されている。前記主軸22の内部には、空気
供給孔76が設けられており、この空気供給孔76は主
軸22の先端で開口されている。また前記中心孔72の
一部には、リング状の溝部78が形成されており、この
溝部78の位置で前記中心孔72の内部空間と前記空気
供給孔76とが連通するようになっている。なお前記空
気供給孔76は主軸22内を貫通し、ロータリージョイ
ントなどの接続具(図示略)を介して外部の空気源に接
続されている。
【0019】一方、前記工具本体は、基端部(図1の上
端側)が小径部70a、先端部(図1の下端側)が大径
部70b,中間がテーパ部70cとなった回転体状をな
し、全体として、一般の(切り屑吸引式でない)工具に
略類似した外観を持っている。一方、前記大径部70b
の外周側であって前記チップ8の取り付け箇所近傍位置
には、それぞれ、回転中心軸と平行な方向に向けて中空
状の切り屑収納部80が形成されている。またこれらの
切り屑収納部80の先端側の面を区画している壁部82
(その下面は工具本体の下面と面一となっている)と、
同じく外周を区画している壁部84(その外周面は工具
本体の外周面と面一となっている)の先端は、前記チッ
プ8のすくい面8cとほぼ平行に配置され、これとの間
にそれぞれスリット86および88を形成している。こ
れらのスリット86,88は、いずれも、前記チップ8
の刃先8a,8bの切削により生じた切削屑を前記切り
屑収納部80内へ案内すべく、想定される最大切込み量
に相当する大きさの切り屑を支障なく通過させ得るよう
に切刃との間隔が設定されている。なお前記壁部82,
84は、いずれも工具本体70の一部をなしており、例
えば、工具本体70の大径部70bを基端部からエンド
ミルなどによって加工することにより形成されている。
【0020】前記工具本体70の小径部70a(および
テーパ部70c)の外周には、前記大径部70cとほぼ
等しい外形寸法を有する円筒状をなすカバー90が設け
られている。このカバー90は吸引ダクト56を介して
真空源(図示略)に接続されていて、工具本体70の外
周との間に、前記各切り屑収納部80に連通された空間
を形成するようになっている。なお前記カバー90の支
持は、従来例のごとく主軸22またはこれと一体に回転
するアーバなどの部材に回転可能に支持させる方式、ま
たは、工作機械の本体フレームのような回転しない部材
に支持させる方式のいずれであってもよい。
【0021】さらに、前記切り屑収納部80と前記中心
孔72の溝部78との間には、工具本体70を半径方向
に貫通する空気孔94が形成されており、この空気孔9
4により、前記中心孔72と各切り屑収納部80とがそ
れぞれ連通されるようになっている。すなわち、前記空
気供給孔76から供給された空気は、前記溝部78によ
って各空気孔94〜切り屑収納部80へ均一に分配され
るようになっている。
【0022】上記構成の転削工具は、工具本体70の中
心孔78に軸22を挿入してボルト20を締め付けるこ
とにより工作機械に取り付けられる。また主軸22に設
けられた空気供給孔76は、溝部78に連通しているか
ら、この溝部78を介してすべての空気孔94〜切り屑
収納部80が連通される。
【0023】一方、被削材をその被加工面が主軸の軸線
と直交するように図示しない機械テーブル上に固定す
る。さらに、吸引ホース56によって真空圧を作用させ
つつ、主軸22によって工具本体2を回転させるととも
に、主軸22若しくは機械テーブルを軸線方向と直交す
る方向に移動させることにより、工具先端側に露出する
切刃8a、8bで被削材の被切削部を切削することができ
る。
【0024】以上のようにして切削加工を行う場合、切
り屑収納部90切屑収納室の内部には、吸引ホース56
から空気が吸引されるために負圧が発生する。これに伴
い、カバー68の先端面と工具本体2の先端部の隙間か
ら空気が吸引されるとともに、チップ8のすくい面8c
と、突起部76のすくい面8cに対向する端面76aとの
隙間から、すくい面8cに沿って空気が吸引される。
【0025】そして、切削に伴い、チップ8の切刃8
a、8bで生成される切屑は、チップ8のすくい面8aに
案内されながら、スリット86,88を介して切り屑収
納部80内へ導かれる。このとき、空気孔94を介して
切り屑収納部80へ導入された空気は、チップ8へ吹き
付けられることによりこれを冷却すると共に、切り屑収
納部80内で切り屑に当たることにより、これを不連続
状態に破壊し、さらに、切り屑収納部80中で気体(供
給された空気)と固体(切り屑)との混相流となって切
り屑収納部の上方へ吹き上げられる。また吹き上げられ
た切り屑は、ダクト56の負圧により、カバー90を経
由してダクト56へ吸い込まれる。なお、空気孔94か
ら供給される空気量とダクト56から排気される空気量
とのバランスは、排気量が上回るように設定されている
から、スリット86,88を介して、周囲に飛散しよう
とする切り屑を吸引することができる。このとき、この
正面フライスでは、カバー90が切刃より上側の位置に
存在していて、その先端部がチップ8の外周切刃8bを
覆っていないため、工具の切込み量を大きめにしても、
カバー90が被削材と干渉を起こすことがない。また、
前述の図5ないし図7に示される正面フライスのよう
に、切込み量に応じて可動カバーの位置を調整する作業
を必要とせず、さらに、カバーの外径が小さいため、工
具全体も小形になっている。
【0026】なお、工具本体に取り付けられるチップの
形状が上記実施例に限定されるものでないのはもちろん
である。また上記実施例では切り屑収納部へカバー内の
負圧を作用させて切り屑を吸引するようにしたが、カバ
ーを省略して、切り屑収納部へ負圧を作用させることを
止め、単に空気孔から供給される空気によって切り屑収
納部内の切り屑を吹き飛ばすことによっても、被切削箇
所から切り屑を排除する効果を期待することができる。
【0027】
【考案の効果】以上説明したように、この考案によれ
ば、工具本体の大径部の外周近傍に、該工具本体を前記
軸線と平行な方向に貫通しかつ工具本体の先端側で閉鎖
され基端側が開口された中空状の切り屑収納部を設け、
該切り屑収納部の近傍に前記工具本体の外周および先端
から突出する切刃を設け、前記切り屑収納部の先端側を
囲む壁面および前記切り屑収納部の外周側を囲む壁面と
前記切刃との間に、前記切り屑収納部へ切削屑を案内す
るスリットがそれぞれ設けられているので、切削に際
し、前記スリットを介して切り屑を切り屑収納部へ案内
することができる。また前記切り屑収納部は、中心孔に
連通されているので、駆動軸を通じて供給される空気の
作用により、切り屑収納部内の切り屑を被切削箇所から
離れた位置へ吹き飛ばすことができる。さらに前記切り
屑収納部を囲んでいる壁部は工具本体と一体に形成され
ているので、部品点数を削減することができるという効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例に係る転削工具の軸方向断面
図である。
【図2】図1の転削工具のチップ取り付け部を先端外周
部の拡大図である。
【図3】図1の転削工具の下面図である。
【図4】図1の転削工具の上面図である。
【図5】転削工具の一従来例の軸方向断面図である。
【図6】図5の転削工具の下面図である。
【図7】図5の転削工具の工具本体の先端外周部の拡大
図である。
【符号の説明】
2 工具本体 8 切刃チップ 8a 切刃 8b 切刃 8c チップのすくい面 56 吸引ホース 70 工具本体 70a 小径部 70b 大径部 70c テーパ部 72 中心孔 76 空気供給孔 78 溝部 80 切り屑収納部 82 壁部 84 壁部 86 スリット 88 スリット 90 カバー 94 空気孔

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心孔に挿入された駆動軸の軸線回りに
    回転せしめられ、基端側より先端側が大径とされた工具
    本体の大径部の外周近傍に、該工具本体を前記軸線とほ
    ば平行な方向に貫通しかつ工具本体の先端側で閉鎖され
    基端側が開口された中空状の切り屑収納部を設け、該切
    り屑収納部の近傍に前記工具本体の外周および先端から
    突出する切刃を設け、前記切り屑収納部の先端側を囲ん
    で前記工具本体の一部をなす壁面および前記切り屑収納
    部の外周側を囲んで前記工具本体の一部をなす壁面と前
    記切刃との間に、前記切り屑収納部へ切削屑を案内する
    スリットをそれぞれ設け、前記切り屑収納部と前記中心
    孔との間に、前記駆動軸から供給される空気を各切り屑
    収納部へ導く空気孔を設けたことを特徴とする転削工
    具。
JP2664891U 1991-03-27 1991-03-27 転削工具 Expired - Lifetime JP2514701Y2 (ja)

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JP2664891U JP2514701Y2 (ja) 1991-03-27 1991-03-27 転削工具

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JPH04115517U JPH04115517U (ja) 1992-10-14
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4552602B2 (ja) * 2004-11-05 2010-09-29 トヨタ自動車株式会社 切削工具
JP5650981B2 (ja) * 2010-10-22 2015-01-07 住友電工ハードメタル株式会社 転削工具とそれを用いた工作機械

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Effective date: 19960618