JP2514612B2 - 低臭気性樹脂組成物 - Google Patents

低臭気性樹脂組成物

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JP2514612B2 JP17414087A JP17414087A JP2514612B2 JP 2514612 B2 JP2514612 B2 JP 2514612B2 JP 17414087 A JP17414087 A JP 17414087A JP 17414087 A JP17414087 A JP 17414087A JP 2514612 B2 JP2514612 B2 JP 2514612B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性に優れた低臭気性樹脂組成物に関す
る。
(従来の技術) 不飽和ポリエステル樹脂は、従来からコイル含浸用や
注形用として広く使用されている。この樹脂は、不飽和
ポリエステルに重合性単量体を混合してラジカル重合開
始剤で硬化反応を進めるが、硬化には熱硬化型あるいは
紫外線硬化型がある。
しかし、重合性単量体として一般に使用されているス
チレンは、比較的沸点が低くてワニスの状態でも加熱硬
化中でも揮発し、そのうえ臭気が強く作業性が著しく劣
り、また悪臭による大気汚染や環境公害をおこす恐れが
ある。これを改良したものに、不飽和ポリエステルの重
合性単量体として、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステルあるいはジアリルフタレートを用いた低臭気性
樹脂組成物が実用化され、脱臭設備のない作業場等で使
用されている。この組成物は、ワニス状態や硬化時でも
臭気がほとんどなく揮発しにくい利点をもっている。し
かしながら、耐熱性が悪く、特に耐熱区分のH種以上に
耐え得ることが不可能であり、かつスチレン系のものに
比較して高価であるという欠点があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記の欠点を解消するためになされたもの
で、耐熱性に優れ、低臭気で作業性がよく、かつ安価な
低臭気性樹脂組成物を提供することを目的としている。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記の目的達成するため鋭意検討を行
ない、トリス(2−ハイドロオキシエチル)イソシアヌ
レートの3官能性アルコール成分を用いて耐熱性を向上
させるとともに、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステルおよびジアリルフタレートを用いることによって
臭気性が改良されることを見いだし、本発明を完成させ
たものである。すなわち、本発明は、 (A)(a)ポリエチレンテレフタレート、(b)トリ
ス(2−ハイドロオキシエチル)イソシアヌレート及び
(c)植物油脂肪酸からなる不飽和ポリエステルと、
(B)アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル
と、(C)ジアリルフタレートとを必須成分としてなる
ことを特徴とする低臭気性樹脂組成物である。そして、
ポリエチレンテレフタレートが全塩基酸当量の5〜50
%、トリス(2−ハイドロオキシエチル)イソシアヌレ
ートが全多価アルコール当量の10〜60%、植物油脂肪酸
が全塩基酸当量の5〜30%である低臭気性樹脂組成物で
ある。
本発明に用いる(A)不飽和ポリエステルの第一成分
である(a)ポリエチレンテレフタレートは、テレフタ
ール酸とエチレングリコールとの重縮合反応等によって
得られるもので、次の構造式を有する線状のポリエステ
ルである。
ポリエチレンテレフタレートは、鉛、亜鉛等の金属酸
化物、アルキルチタン化合物等の触媒によるエステル交
換によって得られるテレフタール酸とエチレングリコー
ルをそれぞれ塩基酸、多価アルコール成分として使用す
る。ポリエチレンテレフタレートの配合割合は、後述す
る(c)植物油脂肪酸を含む全塩基酸当量の5〜50%の
割合となるように配合することが好ましい。配合量が5
%未満では、耐熱性が劣り、また経済的でない。50%を
超えると高粘度又は重合性単量体に溶解しなくなり好ま
しくない。より好ましくは上記全塩基酸当量の10〜30%
である。
不飽和ポリエステルの第二成分である(b)トリス
(2−ハイドロオキシエチル)イソシアヌレートは、次
の構造式を有する3官能性アルコールである。
トリス(2−ハイドロオキシエチル)イソシアヌレー
トの配合割合は、ポリエチレンテレフタレートのエステ
ル交換によって得られるエチレングリコールを含む全多
価アルコール当量の10〜60%であることが好ましい。配
合量が10%未満では耐熱性が悪く、また60%を超えると
高粘度又は重合性単量体に不溶となり好ましくない。よ
り好ましくは上記全多価アルコール当量の20〜50%の範
囲である。
不飽和ポリエステルの第三成分である(c)植物油脂
肪酸としては、大豆油、亜麻仁油、ヤシ油およびトール
油等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上混合し
て用いる。植物油脂肪酸の配合割合としては、ポリエチ
レンテレフタレートのエステル交換で得られるテレフタ
ール酸を含む全塩基酸当量の5〜30%であることが好ま
しい。配合量が5%未満では高粘度又は重合性単量体に
不溶となり、また硬化物が脆くなり、30%を超えると耐
熱性が悪くなり好ましくない。より好ましくは上記全塩
基酸当量の10〜20%の範囲内である。上述したこれらの
各成分から(A)不飽和ポリエステルを得ることができ
るが、必要に応じて不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、多
価アルコール、変性用樹脂等を配合することができる。
不飽和多塩基酸としては、フマル酸、マレイン酸、イ
タコン酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。飽和多
塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和ジ
カルボン酸が挙げられる。多価アルコールとしてはエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水
素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレン
オキサイド付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール
等が挙げられる。また変性樹脂としては、イソシアネー
ト化合物、エポキシ化合物、シクロペンタジエン化油、
エポキシ化油、石油樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられ
る。更にその他の成分として充填剤、防錆剤、平滑剤、
顔料等を添加配合することもできる。
本発明に用いる(B)アクリル酸エステル又はメタア
クリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独もし
くは2種以上の混合系として使用する。
本発明に用いる(C)ジアリルフタレートとしては、
一般に使用されているものが使用できる。
本発明の低臭気性樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエ
ステル、(B)アクリル酸エステル又はメタクリル酸エ
ステル(C)ジアリルフタレートを必須成分とし、必要
に応じてその他の成分を配合して調製することができ
る。こうして得られた低臭気性樹脂組成物は過酸化物と
硬化促進剤とによって、レドックス硬化、紫外線硬化、
遠赤外線硬化等の方法によって硬化させることができ
る。ここで使用される過酸化物としては、過酸化ベンゾ
イル、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャ
リーブチルパーベンゾエート、ラウロイルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。ま
た硬化促進剤としては、コバルト、マンガン、ジルコニ
ウム、鉛などの金属石鹸、第3級アミン等が挙げられ
る。また重合防止剤として周知のキノン類やフェノール
誘導体が挙げられる。
本発明の低臭気性樹脂組成物は、コイル含浸や、注形
用として広く使用することができる。
(作用) トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの
3官能性により、架橋密度が上がって耐熱性が向上し、
またアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルおよ
びジアリルフタレートを用いたことによって、低臭気性
に改良され、その結合の結果、低臭気性と耐熱性を併せ
有し、しかも安価な樹脂組成物が得られるものである。
(実施例) 次に本発明を実施例によって説明するが本発明は下記
の実施例によって限定されるものではない。以下の実施
例および比較例において、「部」とは「重量部」を意味
する。
実施例 1 ポリエチレンテレフタレート134部、トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート224部、およびテト
ラブチルチタネート0.11部を250℃で2時間エステル交
換反応を行い冷却する。次いで大豆油脂肪酸179部、無
水マレイン酸134部、およびエチレングリコール80部を
添加し、195℃で反応させて不飽和ポリエステルを得
た。これにハイドロキノン0.3部、トリス(2−ヒドロ
キシメタアクリレート375部、およびジアリルフタレー
ト375部を混合希釈し、さらに6%ナフテン酸コバルト
溶液1.5部を添加して低臭気性樹脂組成物を製造した。
実施例 2 ポリエチレンテレフタレート141部、トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート94部、およびリサー
ジ(PbO)0.1部を加えて250℃で2時間半エステル交換
反応させて冷却する。次いで大豆油脂肪酸123部、無水
マレイン酸112部、無水フタル酸93部、エチレングリコ
ール71部、およびプロピレングリコール86部を配合して
195℃で反応させて不飽和ポリエステルを調製した。こ
れにハイドロキノン0.3部、2−ヒドロキシメタアクリ
レート468部、およびジアリルフタレート312部を混合、
希釈し、さらに6%ナフテン酸コバルト溶液1.5部を添
加して低臭気性樹脂組成物を製造した。
実施例 3 ポリエチレンテレフタレート312部、トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート165部、グリセリン1
9部、およびテトラブチルチタネート0.15部を250℃で2
時間エステル交換反応を行い、冷却する。次いでヤシ油
脂肪酸71部、亜麻仁油脂肪酸71部、および無水マレイン
酸112部を配合し195℃で反応させて不飽和ポリエステル
を調製した。これにハイドロキノン0.4部、および2−
ヒドロキシメタアクリレート750部を混合して希釈し、
さらに6%のナフテン酸コバルト溶液1.6部を添加して
低臭気性樹脂組成物を製造した。
実施例 4 ポリエチレンテレフタレート266部、トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート190部、およびテト
ライソプロピルチタネート0.13部を250℃で2時間エス
テル交換反応を行い冷却する。次いで大豆油脂肪酸166
部、無水マレイン酸88部、エチレングリコール27部、お
よびプロピレングリコール18部を配合して195℃で反応
させ不飽和ポリエステルを調製した。これにハイドロキ
ノン0.3部、2−ヒドロキシメタアクリレート300部、お
よびジアリルフタレート440部を混合し希釈して、さら
に6%のナフテン酸コバルト溶液1.8部を添加して低臭
気性樹脂組成物を製造した。
比較例 無水フタール酸124部、無水マレイン酸190部、亜麻仁
油脂肪酸103部、およびプロピレングリコール272部を配
合して160℃で1時間、次いで195℃で反応させて不飽和
ポリエステルを調製した。これにハイドロキノン0.5
部、および2−ヒドロキシメタアクリレート820部を混
合し希釈して、さらに6%のナフテン酸コバルト溶液2.
5部を添加して低臭気性樹脂組成物を製造した。
実施例1〜4および比較例で製造した低臭気性樹脂組
成物に、第1表に示す過酸化物を添加し、ゲル化時間、
表面乾燥性、およびツイストペアー法による耐熱温度指
数を試験したので、その結果を第1表に示した。本発明
の顕著な効果が認められた。
[発明の効果] 以上の説明および第1表から明らかなように、本発明
の低臭気性樹脂組成物は、耐熱性に優れ、低臭気性で作
業性がよく、また、大気汚染等の必配がなく、乾燥性が
よく、比較的安価なもので、コイル含浸や注形等に好適
なものである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)ポリエチレンテレフタレー
    ト、(b)トリス(2−ハイドロオキシエチル)イソシ
    アヌレート及び(c)植物油脂肪酸からなる不飽和ポリ
    エステルと、(B)アクリル酸エステル又はメタクリル
    酸エステルと、(C)ジアリルフタレートとを必須成分
    としてなることを特徴とする低臭気性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリエチレンテレフタレートが、全塩基酸
    当量の5〜50%である特許請求の範囲第1項記載の低臭
    気性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】トリス(2−ハイドロオキシエチル)イソ
    シアヌレートが、全多価アルコール当量の10〜60%であ
    る特許請求の範囲第1項又は第2項記載の低臭気性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】植物油脂肪酸が、全塩基酸当量の5〜30%
    である特許請求の範囲第1項ないし第3項いずれか記載
    の低臭気性樹脂組成物。
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