JP2513947B2 - エレベ―タかごの防音装置 - Google Patents

エレベ―タかごの防音装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレベータかごの防音装
置に関するもので、特に、300m/min 以上の高速で走
行するエレベータかごの防音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昇降路内をエレベータかごが上昇すると
き、昇降路断面積がエレベータかごの大きさに対して十
分大きくない場合には、エレベータかごの回りに空気流
の乱れが増大して渦流音が発生する。特に、300m/mi
n 以上の高速になるとその傾向は顕著となる。この渦流
音を低減するために、例えば、エレベータかごに整流板
を取付けるものがあるが、それだけで十分な防音効果を
期待できる場合は少ない。そこで、特開昭49−575
45号公報には、エレベータかご内に防音手段を設ける
技術が開示されている。
【0003】図5は従来のエレベータかごの防音装置を
示す縦断面図である。図において、1はエレベータか
ご、13は穴付き照明カバー、14はこの穴付き照明カ
バー13に形成された穴、15はこの穴14の上部に取
付けられたカバー、16はグラスウール等からなる吸音
材である。前記穴14の総面積はその総平面積の0.2
〜0.8倍である。前記穴付き照明カバー13と照明空
間17とにより一般建築物に使用される多孔質吸音構造
を有している。
【0004】上記のように構成された従来のエレベータ
かごの防音装置は、特に、エレベータかご内の上下方向
のモードに対して吸音効果を発揮する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭49
−57545号公報に掲載のエレベータかごの防音装置
は、上記のように照明空間17に構成されており、外観
部分である照明カバー13に穴14が形成されているた
めにかご室内の美観を損ね、照明装置の意匠設計自由度
を小さくしていた。また、照明空間17の容積が大きく
なってスペース上の不具合をきたすことがあり、更に、
吸音材16の総面積が小さいため、吸音効果は十分とは
言えなかった。
【0006】そこで、本発明は、照明装置の美観を損ね
たり、その意匠設計を制約することなく、また、照明空
間を大きくすることなく、十分な防音効果を得ることが
できるエレベータかごの防音装置の提供を課題とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかるエレベ
ータかごの防音装置は、エレベータかごの底板の上方に
所定距離を隔てて通気性のある床板を配設し、前記底板
と床板との間に床板との間隔を調整する間隔調整板を取
付けたものである。請求項2にかかるエレベータかごの
防音装置は、請求項1に記載の間隔調整板の上面及び/
または下面に吸音材を貼着したものである。請求項3に
かかるエレベータかごの防音装置は、請求項1または請
求項2に記載の底板の上方に配設された床板を取外し可
能としたものである。
【0008】
【作用】請求項1においては、照明装置とは関係なく、
エレベータかごの底板の上方に所定距離を隔てて底面全
体に通気性のある床板を配設したことによって前記底板
と床板の間に背面空気層を形成し、この空間内で吸音処
理を可能とする。そのため、照明装置の美観、その意匠
設計、照明空間に何ら影響を与えることなく、所要の吸
音効果を得ることが可能である。また、底板と床板との
間に取付けられた間隔調整板をエレベータかご内騒音の
周波数分布に対応する位置に設定することにより、騒音
レベルの大きい周波数或いは不快感を及ぼす周波数に対
する吸音を主体とした効率の良い防音が可能である。請
求項2においては、請求項1に記載の間隔調整板の上面
及び/または下面に吸音材を貼着したものであるから、
吸音効果を更に高めることができる。請求項3において
は、請求項1または請求項2に記載の底板の上方に配設
された床板を取外し可能としたものであるから、エレベ
ータ設置後でも簡単に底板と床板との間に取付けられた
間隔調整板の取付位置を調整でき、更に、底板と床板と
の間の落下物の除去が容易である。
【0009】
【実施例】〈第一実施例〉まず、本発明の第一実施例を
図1に基づいて説明する。図1は本発明の第一実施例に
よるエレベータかごの防音装置を示す斜視図である。図
において、1はエレベータかごで、通気性を有する絨毯
等の敷物からなる多孔シート2とその下面に隣接する複
数個の任意形状の穴3が穿設された穿設平板4とが底板
5から所定距離を隔てた上方に一体に配設されている。
前記穿設平板4はパンチングメタル等からなり、その穴
の総開口面積は床面積の0.2〜0.8倍に形成されて
いる。この多孔シート2と穿設平板4とによって底板5
との間に背面空気層10を形成している。更に、多孔シ
ート2及び穿設平板4と底板5の間には多孔シート2及
び穿設平板4との空間距離を調整するための間隔調整板
6が配設されている。7は前記間隔調整板6を、底板5
上に多孔シート2及び穿設平板4を支持するH綱からな
る支持部材8に取付けるための取付金具で、支持部材8
の縁部に上下方向に穿設された長穴9の内部で取付金具
7の位置を上下動させることによって背面空気層10の
距離を調整できるようになっている。
【0010】次に、上記のように構成された本実施例の
エレベータかごの防音装置の作用を説明する。エレベー
タかご1が昇降するときにエレベータかご1の内部で発
生する残響音は、二重底上部の多孔シート2及び穿設平
板4と間隔調整板6との間の背面空気層10の吸音効果
によってエレベータかご1内の残響音が低減される。ま
た、エレベータかご1の外部で発生した騒音がエレベー
タかご1内へ伝達する騒音の低減にも効果をもつ。
【0011】ここで、背面空気層10の大きさを変えた
ときの周波数と吸音率との関係を図2により説明する。
図2は本発明の第一実施例によるエレベータかごの防音
装置における背面空気層の大きさを変えたときの周波数
と吸音率との関係を示す特性図である。図から支持部材
8に取付けられている取付金具7を長穴9に沿って下
げ、取付金具7に載置される間隔調整板6を下げて、背
面空気層10の距離を大きくするに従い、多孔シート2
における吸音率のピークは低周波側に移動することが分
る。このことから、取付金具7の取付け高さを調整し、
背面空気層10の距離をエレベータかご1内騒音の周波
数分布に対応して設定することにより、騒音レベルの大
きい周波数或いは不快感を及ぼす周波数に対する吸音を
主体とした効率の良い防音が可能となる。
【0012】例えば、エレベータかご1内の騒音が周波
数250Hzでピークを描くような分布を示す場合には、
この250Hzで吸音率がピークとなる分布曲線、即ち、
背面空気層10の距離が100mmである分布曲線となる
ように間隔調整板6を設定すればよい。或いは、ピーク
を示さなくても耳ざわりな不快感を及ぼす周波数に対し
て重点的に吸音したいときには、その周波数に対応して
吸音率が最大となるような分布曲線を選定して間隔調整
板6の位置を設定すればよい。即ち、このようにして、
限られた一定の吸音面積において最大の吸音効果を発揮
させることが可能である。
【0013】このように、上記実施例のエレベータかご
の防音装置は、エレベータかご1の底板5の上方に所定
距離を隔てて多孔シート2及び穿設平板4からなる床板
を配設し、前記底板5と床板との間に床板との間隔を調
整する間隔調整板6を取付けたものである。
【0014】したがって、上記実施例によれば、多孔シ
ート2及び穿設平板4はエレベータかご1の底板5の上
方に所定距離を隔てて配設され、かつ、その面積は床面
全体を占めるため、所要の吸音効果を得ることが可能で
ある。また、背面空気層10の距離をエレベータかご1
内騒音の周波数分布に対応して設定することにより、所
望の周波数に対する吸音を主体とした効率の良い防音が
可能である。なお、防音装置の取付位置は照明装置とは
関係がないため、照明装置の美観を損ねたり、その意匠
設計の自由度を狭めることがなく、また、照明空間17
を大きくする必要もない。
【0015】〈第二実施例〉次に、本発明の第二実施例
を図3に基づいて説明する。図3は本発明の第二実施例
によるエレベータかごの防音装置を示す斜視図である。
図中、図1と同一符号は第一実施例の構成部分と同一ま
たは相当する部分である。図において、11は多孔シー
ト2及び穿設平板4と底板5との間に配設された背面空
気層10の距離を調整するための金網等の通気性を有す
る間隔調整板、12は間隔調整板11の上面に載置され
たグラスウール、ロックウール、発泡ウレタン等からな
る吸音材である。この第二実施例では、特に、間隔調整
板11の上面に載置された吸音材12と二重の背面空気
層10とによって、更に吸音効果を高めることができ
る。
【0016】〈第三実施例〉更に、本発明の第三実施例
を図4に基づいて説明する。図4は本発明の第三実施例
によるエレベータかごの防音装置を示す斜視図である。
第三実施例のエレベータかごの防音装置は、第一実施例
または第二実施例の多孔シート2及び穿設平板4を4分
割し、取外し可能としたものである。これにより、エレ
ベータ設置後も、多孔シート2及び穿設平板4を取外し
て、背面空気層10の距離を調整することができる。ま
た、間隔調整板6或いは吸音材12の上に落下した埃、
水等を簡単に除去でき、更に、取付金具7に載置されて
いる間隔調整板6または間隔調整板11と吸音材12と
を取外すことによって、底板5上の落下物も簡単に除去
できる。なお、前記各間隔調整板と吸音材12は、取付
金具7を図1及び図3の位置に対して上下対象の向きに
設置し、ボルト及びナットを各間隔調整板と吸音材12
の上側に取付け、各間隔調整板と吸音材12の縁部に取
付金具7の逃し用の切欠きを設けることにより、上方に
取外すことが可能となる。
【0017】ところで、上記各実施例の多孔シート2及
び穿設平板4からなる床板は、エレベータかご1内の荷
重に対する所要の強度と所要の吸音性を有すれば、一体
物としてもよい。また、上記第二実施例の吸音材12
は、間隔調整板11の上面に載置しているが、本発明を
実施する場合には、これに限定されるものではなく、接
着剤、両面テープ等を使用して間隔調整板11の下面
に、或いは、上下両面に取付けてもよい。なお、上記第
三実施例の多孔シート2及び穿設平板4は、4割して取
外し可能としているが、多孔シート2が絨毯等の敷物の
場合には折曲して除去し、穿設平板4を一端を支点とし
て全体的に上方に回動できれば、分割しなくても間隔調
整板6の位置調整及び落下物の除去を行なうことができ
る。
【0018】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明のエレベ
ータかごの防音装置は、エレベータかごの底板の上方に
所定距離を隔てて通気性のある床板を配設し、前記底板
と床板との間に床板との間隔を調整する間隔調整板を取
付けたものである。したがって、照明装置とは関係な
く、通気性のある床板と間隔調整板によって底面全体の
吸音面積を占める背面空気層を形成しているので、照明
装置の美観、その意匠設計、照明空間に何ら影響を与え
ずに、エレベータかご内で残響する騒音に対し所要の吸
音効果を得ることができる。また、底板と床板との間の
距離をエレベータかご内騒音の周波数分布に対応して設
定することにより、騒音レベルの大きい周波数或いは不
快感を及ぼす周波数に対する吸音を主体とした効率の良
い防音が可能である。
【0019】更に、請求項2の発明のエレベータかごの
防音装置は、請求項1に記載の間隔調整板の上面及び/
または下面に吸音材を貼着したものであるから、特に、
吸音効果を更に高めることができる。そして、請求項3
の発明のエレベータかごの防音装置は、請求項1または
請求項2に記載の底板の上方に配設された床板を取外し
可能としたものであるから、エレベータ設置後でも簡単
に底板と床板との間の間隔調整板の取付位置を調整で
き、更に、底板と床板との間の落下物の除去が容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第一実施例によるエレベータか
ごの防音装置を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の第一実施例によるエレベータか
ごの防音装置における背面空気層の大きさを変えたとき
の周波数と吸音率との関係を示す特性図である。
【図3】図3は本発明の第二実施例によるエレベータか
ごの防音装置を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の第三実施例によるエレベータか
ごの防音装置を示す斜視図である。
【図5】図5は従来のエレベータかごの防音装置を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1 エレベータかご 2 多孔シート 4 穿設平板 5 底板 6,11 間隔調整板 12 吸音材

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレベータかごの底板の上方に所定距離
    を隔てて配設された通気性のある床板と、 前記底板と床板との間に、床板との間隔を調整可能に取
    付けられた間隔調整板とを具備することを特徴とするエ
    レベータかごの防音装置。
  2. 【請求項2】 前記間隔調整板の上面及び/または下面
    に、吸音材を貼着したことを特徴とする請求項1に記載
    のエレベータかごの防音装置。
  3. 【請求項3】 前記底板の上方に配設された床板は、取
    外し可能としたことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のエレベータかごの防音装置。
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