JP2513467B2 - ポリオレフイン系湿式不織布 - Google Patents

ポリオレフイン系湿式不織布

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JP2513467B2
JP2513467B2 JP61115488A JP11548886A JP2513467B2 JP 2513467 B2 JP2513467 B2 JP 2513467B2 JP 61115488 A JP61115488 A JP 61115488A JP 11548886 A JP11548886 A JP 11548886A JP 2513467 B2 JP2513467 B2 JP 2513467B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリオレフィン系湿式不織布に関し、更に
詳しくは、親水性及び保液性に優れ、且つ、引張り強度
等の機械的性質にも優れた、密閉型電池の保液性セパレ
ーター等の電気材料や、吸液性の衛生材料、あるいはワ
イピングクロス等の親水性や吸液、保液性を必要とする
分野に広汎に利用される耐水性及び耐薬品性を備えたポ
リオレフィン系湿式不織布に関する。
[従来の技術] ポリオレフィン系合成パルプ(以下、単に「合成パル
プ」と言う)は、良好なフィブリル構造を有し、且つ、
加熱融着等の補助的結合手段を採用することで、良好な
合成紙が得られるため、近年その利用が増加している。
これらの、合成パルプは、本質的に疎水性であるため
抄紙工程における水中分散性や、製紙後の湿潤性を改良
する方法が多く認められ、例えば特開昭58-109685号
や、特開昭59-59910号等には、親水性材料であるポリビ
ニルアルコールを利用して、水分散性を向上せしめた
り、保水性を高めたりする方法が開示され、特開昭49-1
18916号や特開昭58-203118号等には、親水性ポリマーを
利用して、水分散性や機械的特性を向上せしめる方法が
開示されている。
又、合成パルプではないが、ポリオレフィン系繊維を
単に親水性にするものとして、例えば特開昭60-194113
号はポリオレフィン系樹脂と親水性の樹脂とを溶融ブレ
ンドする方法が示され、その他には、ポリオレフィンで
はない一般的な繊維や布帛を親水化するものとして、特
開昭60-246869号や特開昭58-81679号などには、グラフ
ト共重合を利用した繊維の親水化処理方法が開示されて
いる。
それ以外のものとして、例えば電池用セパレーターに
は、毛細管現象を利用した平均繊維径が5μ以下の極細
ガラス繊維からなる親水性のマット等が知られている。
[発明が解決しようとする問題点] 前記の特開昭58-203118号の合成パルプを親水化処理
したものは、水分散性に優れ、通常の製紙方法により品
質の良い紙が得られる有用なものと考えられる。
しかし、これらのものは、抄紙後に加熱融着等の圧密
化を行なわなければ紙としての実用強度が得られるもの
ではなき、圧密化を行なうことで親水性を残存したとし
ても保液性が奪われ、保液性を必要とする用途には利用
できないものであった。
又、前記の特開昭59-59910号には、低密度の綿毛状体
が開示されているが、このものは十分な保液性を有する
ものの、それ自体には保形性等の機械的特性が全く無い
ものであり、電池用セパレーターやワイピングクロス等
の強度を必要とする用途には適用できないものであっ
た。
前記特開昭60-246869号のグラフト共重合による繊維
の親水化処理は、幹ポリマーとしての繊維にラジカルの
生成が容易と考えられるアクリル、ポリアミド、ポリビ
ニルアルコール、あるいはポリエステルなどの繊維には
適用が可能であっても、本発明のようなポリオレフィン
系繊維にラジカルを生成せしめることは実質的に不可能
か、又は、極めて困難であり、現実性が低いものと考え
られる。
また、電池用セパレーター等に利用される極細ガラス
繊維からなるマットは、吸水速度が遅く、且つ、機械的
性質にも劣るために、汎用性が無いと共に、セパレータ
ー用基材としても満足のできるものではなかった。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、2以上の官能基を有する多官能単量体を少
なくとも1種類含む親水性の処理剤を該パルプ重量に対
して2乃至30重量%付着重合せしめたポリオレフィン系
合成パルプを少なくとも50重量%含むように抄紙した湿
式不織布であって、該不織布の目付が50乃至400g/m
2で、見掛け密度が0.05乃至0.3g/cm3であることを特徴
とするポリオレフィン系湿式不織布に関する。
[作用] 本発明は、ポリオレフィン系合成パルプを主体とする
湿式不織布であって、従来の湿式不織布では得られなか
った低密度でありながら、十分な機械的特性を有し、更
に、親水性及び保液性に優れ、しかも従来よりも格段に
優れた耐水、耐薬品性の湿式不織布を得ることを目的と
する。
このために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、合
成パルプに、2以上の官能基を有する多官能単量体を少
なくとも1種含む親水性の処理剤を付着重合せしめ、該
パルプを抄紙した場合には、従来のように圧密化を行な
わなくても、十分な機械的強度と優れた親水、保液作用
が得られ、しかも、このものは耐水、耐薬品性をも併せ
もつことを見出し、本発明を完成したものである。
本発明に利用する合成パルプは、通常利用されている
ものでよく、特別なものを全く必要としないが、保液性
を向上させるためにはフィブリル化度の大きいものを利
用することが望ましい。
これらのポリオレフィン系合成パルプは、繊細なフィ
ブリル構造を有するため、単なる繊維状物とは異なり、
親水化処理により保液性を一層向上せしめる作用を有す
るとともに、耐薬品性や耐電気的特性に優れるもので、
本発明の湿式不織布の骨格を形成し、恒久的な形状保持
性能を与えるものである。従って、本発明の湿式不織布
中に、少なくとも50重量%以上存在することが必要で、
50重量%未満の場合には、不織布としての実用強度のあ
るものが得られないか、あるいは、形状を保持できたと
しても保液性や耐薬品性に劣るものしか得られないため
不適当である。
次に、多官能単量体及び多官能単量体を少なくとも1
種含む親水性処理剤について説明する。
多官能単量体としては、二重結合を少なくとも2以上
有し、ラジカルあるいはイオン重合により3次元架橋を
形成するジエン系単量体や、一定のセグメントの両端に
ビニル基等を有する単量体、あるいは縮合により3次元
架橋を形成する3以上のカルボキシル基等を有する単量
体が知られている。これらのものは、全て本発明の多官
能単量体として利用することが可能であるが、親水性の
得易さや反応の容易性、あるいは、耐久性等の点からポ
リアルキレンオキシドセグメントを含み、両端にアクリ
ルあるいはメタクリル等のビニル基を有する単量体を利
用することが有利であり、特に、アルキレンオキシドセ
グメントを有し、その平均セグメント数が2乃至30、最
適には4乃至15のものを含む単量体は、親水、保液性及
び機械的性質と、耐薬品性とのバランスにも優れ、最良
のものと言うことができる。この理由は、前記平均セグ
メント数が2未満の場合は、水に対する溶解性に劣り単
量体を合成パルプに付着重合せしめる時の作業性が悪
く、また重合後においては架橋密度が過大になり、この
結果、親水保液作用及び抄紙時のパルプ間結合に障害と
なり、又、これとは逆に、セグメントが30を越えるよう
な場合には、架橋密度が低いために、合成パルプから親
水化処理剤が離脱したり、水や薬品により侵されるので
耐薬品性に劣るものとなる。
親水化処理剤は、上記の多官能単量体100%、又はそ
の他の親水性単量体と混合されて使用される。混合され
る親水性単量体としては、周知の親水性単量体であるア
クリル酸、アクリルアマイド、イタコン酸、ビニリピロ
リドン、マレイン酸等のビニル基を有し末端にカルボキ
シル基やアミド基を有するものが好適であり、特にアク
リル酸又は、メタクリル酸は親水性に優れ且つ耐酸性も
優秀であるので、酸電池用保液性セパレーター等に本発
明の不織布を適用する場合には有利である。
従って、これらの親水性単量体は、利用目的に応じて
適宜選択することが可能であり、前記のセパレーターに
は、カルボキシル基を有する単量体を利用した場合、耐
酸性以外にも、例えば、電極や電解液から発生するナト
リウムイオンやアンチモン等の陽イオン性不純物に対す
る吸着する作用があるため更に有利である。
これらの多官能単量体を含む親水性処理剤は、合成パ
ルプ表面で、重合付着せしめられて、3次元架橋構造体
となり、合成パルプを親水性にする作用を示すととも
に、その、親水性を恒久的なものとする。その理由は、
前記したように、合成パルプの有するフィブリル構造と
フィブリル構造に起因する複雑且つ非常に大きな表面積
および表面状態により、例えば摩擦等の機械的影響を受
けても親水性処理剤が合成パルプから離脱することは全
くなく、又、本質的に親水性処理剤は3次元架橋構造体
であるため、薬品等の化学的影響に対しても極めて堅牢
なためと考えられる。
親水性処理剤は、合成パルプを親水化するという作用
以外に、もう1つの重要な作用を有する。それは、従来
の合成パルプは抄紙後にヒートロール等により圧密化
し、しかも、必要ならば部分的に加熱融着せしめること
で、はじめて実用的な強度が得られるものであり、本発
明のように、密度が0.3g/cm3未満と言う低密度のもの
は、保形性が全くないか、あるいは、強度に乏しく、実
用的価値のないものであったが、本発明の親水性処理剤
で処理した合成パルプは、水中分散性、製品の均質性に
優れることは勿論、圧密化を行わず抄紙後にドライヤー
等の適当な乾燥手段で乾燥するのみで、単位目付(g/
m2)当たり、0.5g/cm巾以上、最適条件においては1g/cm
巾以上の実用強度が得られるものであり、このことも、
親水性処理剤の極めて重要な作用である。
この理由は明らかではないが、合成パルプの特徴であ
る微細なフィブリルを、重合された親水性処理剤が補強
作用を示し、その結果として、フィブリル間の絡合強度
を高めるためか、あるいは、重合された親水性処理剤そ
のものに相亙自着作用または接着作用があるためと考え
られる。
上述の、親水化作用と強度補強作用を得るためには、
前記親水性処理剤の合成パルプに対する付着率は極めて
重要な因子である。
以下、図面を参照して更に説明すると、第1図はポリ
エチレングリコールジメタクリレート100%からなる親
水性処理剤の付着率と吸水速度の関係の一例を示す図で
あり、合成パルプに対し、処理剤を4乃至10重量%付着
せしめた時に、最良の吸水速度が得られることを示す説
明図である。又、図示はしていないが、親水性処理剤の
種類を変化せしめた場合、最良点は第1図と若干異なる
が、一般的には5乃至15重量%の範囲に存在すると考え
られる。第2図は、親水性処理剤の付着率と引張強度の
関係の一例を示す図であるが、引張強度は、親水性処理
剤の付着率にほぼ比較して約30重量%まで増加し、それ
以上の付着率においては、やや強度増加率が減少する。
又、図示はしないが、親水性処理剤の付着率が30重量%
以上となると、強度は増加するものの製品の剛性が高ま
り、屈曲により折れる等の欠点が生じる危険があるので
好ましくない。
上記のことから、親水性処理剤の付着率は2乃至30重
量%、最適には5乃至15重量%であることが必要で、親
水性処理剤の付着率が2%未満の場合には、親水性及び
機械特性の両者が不足して実用性がなく、又、30重量%
を越える場合には、吸水速度が低下するとともに、保液
性も低下し、又、得られた不織布は剛直で可撓性に乏し
いために好ましくない。
次に、合成パルプに親水性処理剤を重合付着せしめる
方法について簡単に述べると、合成パルプを処理剤に浸
漬して、余剰分を除去した後、重合する方法、スプレー
等で処理剤を合成パルプに散布した後、重合する方法等
の種々の方法が考えられるが、何れの場合も、本発明に
おいては親水性処理剤は少なくとも単量体の60%以上、
ほぼ100%が重合して有効に利用されるため、所定必要
量を付着せしめることが重要である。特に、処理剤が必
要以上に付着している場合は、合成パルプの表面以外で
も独立した重合物が生成し、目詰まりや遊離不純物の原
因となったり、乾燥時におけるドライヤーへの付着が生
じたりして、製品の品位を低下するので好ましくない。
又、重合方法も、周知の蒸熱加圧下で重合せしめる方
法、紫外線や電子線あるいは高周波等を利用して単量体
を重合せしめる方法等、任意の方法で良く、又、パーサ
ルフェート系や、パーオキサイド系、アゾビスイソブチ
ルニトリル、あるいは、酸性亜硫酸ソーダ等の重合開始
剤やセリウム塩等のレドックス系触媒を添加すること
も、生産条件に応じて適宜選択することができる。
これらの親水性処理剤中に無機充填剤を添加すること
も、電池セパレーターのような緻密性を必要とする用途
には好適である。これらの無機充填剤は不織布の緻密性
を高め、保液力を確保し、且つ、耐電圧や耐熱、耐薬品
性を高めることを可能とする。又、必要に応じて、親水
処理された合成パルプに、微細なガラス繊維や、合成繊
維を混合して抄紙することも可能であり、特に繊維径が
5μm以下のガラス繊維を5乃至30重量%混合すると、
保液性や吸水速度を更に向上せしめることができるので
好適である。
次に、湿式不織布の製造方法を簡単に述べると、親水
化された合成パルプを少なくとも50重量%以上と、必要
に応じて混合されるガラス繊維や合成繊維等は、周知の
傾斜短網式や丸網式等の1乃至多層の抄紙機により、水
中に分散され、余剰の水分が除去されて、スクリーン上
に集積され、次いで加熱乾燥されて、本発明の湿式不織
布となる。本発明に用いる親水化された合成パルプは水
分散性、集積性、乾燥性等の湿式抄造に必要な特性を全
て具備するために、既存の湿式抄造装置に全て適用する
ことが可能であり、特殊な設備は全く必要としない。
本発明の不織布は、目付が50乃至400g/m2で、密度が
0.05乃至0.3g/cm3となる様に作成される。この理由は、
親水、吸液性材料として実用価値のある目付の範囲が50
乃至400g/m2であり、目付が50g/m2未満の場合は、保液
性および強度等の機械的性質に劣り、400g/m2を越える
場合は、厚手の板状体となって可撓性に劣り、しかも、
均一生産が困難となるため好ましくない。又、湿式不織
布の見掛け密度が0.05g/cm3未満の場合は、保液性はあ
るが機械的性質に劣り、反対に0.3g/cm3を越えるような
場合には、機械的性質には優れるが保液性に劣るので好
ましくない。
これらの本発明による湿式不織布は、吸水速度が、10
cm/10min以上、保液率が200%以上で、機械的強度が0.5
g/cm巾/(g/m2)以上という優れた品質を示し、特に、
不織布の目付が100乃至300g/m2で、見掛け密度が0.1乃
至0.25g/cm3の範囲のものに関しては、吸水速度が15cm/
10min以上で、重力10G下の保液率が300重量%以上で、
しかも強度が1g/cm/(g/cm2)という優れた値を有す
る。
尚、本発明の説明で使用する吸水速度、保液率および
引張強度は以下の条件で測定した。
本発明の湿式不織布の保液性及び吸水速度は、主とし
て、そのミクロフィブリルな構造に起因する。このた
め、周知の高吸収性高分子を利用した保液材が、含水す
ることにより膨潤したり、あるいは、ヌルヌルした感じ
を与えるといった現象は、本発明の湿式不織布には存在
しない。
このことは、本発明の湿式不織布が、基材の膨潤等を
回避すべき例えば電池セパレーター等に好適であること
をより確実なものとする。ミクロフィブリルに起因し
た、毛細管現象、網目構造や、親水化処理剤による水に
対する親和力により、基材としての不織布に何等の化学
変化が生じないで十分な保液力が得られることは、反対
に、このものから脱水の必要性が生じた場合の脱水の容
易さをも得られるため、更に有利な側面を有する。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する
が本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 合成パルプ100重量部に対し適量の過硫酸アンモン触
媒を加えたエチレングリコールセグメント数15のポリエ
チレングリコールジアクリレート単量体水溶液を2乃至
30重量部付着せしめたのち、蒸煮釜にて100℃、1時間
の加熱重合を行って、第1表に示した付着率で重合体が
付着した親水性の合成パルプを得た。
次いで、このものを、25cm角の試験用抄紙機にて、目
付200g/m2、厚み1mmになるように抄紙して、本発明によ
る湿式不織布を得た。
得られた不織布について、引張強度、吸水速度、保液
性、耐久性等を測定し、その結果を第1表に示す。
これらの本発明による湿式不織布は、第1表に示す優
れた性能を有し、親水、保液材として実用価値の非常に
高いものであった。
又、これらとの比較のため、親水性処理剤のないも
の、処理剤の量を本発明の範囲以外に更に変化させたも
の、及び、ポリオレフィン系湿式用複合繊維に、実施例
1と同量の親水性処理剤を付与したものについて実験を
行い、その結果を第1表に示したが、これらのものは、
強度が全くなかったり、あるいは、保液性や、耐久性に
明らかに劣るものであり、全く実用価値のないものであ
った。
尚、耐久性の測定は、耐水性は煮沸10時間後、耐酸性
は80℃に加温した40%硫酸中で1ヶ月放置した後、機械
的耐性はICI型ピリングテスターで1時間後の各々の吸
水速度を測定し、保持率75%以上を○、40%以上を△、
40%未満を×として表示した。
[実施例2] 実施例1の実験番号3に示すものと同一配合により、
得られる不織布の見掛け密度のみを変化せしめて、本発
明による例と比較のための例を作成し、実施例1と同一
の試験を行い、その結果を第2表に示す。
本発明による見掛け密度が0.05乃至0.3g/cm2のもの
は、表示の通り良好な性能を示したが、比較例のもの
は、保形性や親水性等に劣り、実用的なものは得られな
かった。
[実施例3] エチレングリコールセグメント数の影響を調べるた
め、各種セグメント数のポリエチレングリコールジアク
リレート単量体を、合成パルプに対し、10重量部付着す
るようにして実施例1と同じ条件で重合を行い、目付15
0g/m2、厚み0.8mmの不織布を作成した。
その結果を第3表に示すが、セグメント数が1未満の
ものは、重合時における水希釈性が悪いため作業性に劣
り、このため均一に合成パルプに付着せず、塊状物が生
じて不適当であり、又、セグメント数が30以上のもの
は、表に示すように親水性、保液性に乏しく、又、耐久
性に劣るものであった。
本発明によるものは実施例1乃至2に示したものと同
じく、耐久性保液材料として最適なものであった。
[実施例4] 親水性処理剤として、多官能単量体以外の単量体の影
響を調べるために、合成パルプに実施例1と同一条件で
第4表に示す配合の親水性処理剤を合成パルプに対し約
10重量%付着重合せしめて、実施例1と、同一目付、同
一厚みの湿式不織布を作成し、得られた不織布について
評価を行った。その結果を第4表に示すが、カルボキシ
ル基を有する単量体を全単量体中10乃至50重量%含む親
水性処理剤が、親水性、保液性に優れ、しかも、強度向
上作用にも優れることが判明した。
[実施例5] 本発明による不織布の電池用セパレーターとしての適
性を判断するため、セグメント数12のポリエチレングリ
コールセグメントをもったジメタクリレート単量体80重
量%、アクリル酸20重量%を混合した親水性処理剤を、
実施例1と同一条件で合成パルプに対し約12重量部重合
付着せしめた親水性合成パルプを作成し、該親水性合成
パルプ80部と平均繊維径1.2μmのガラス繊維20部を混
合抄紙して、目付230g/m2、厚み1.2mmの本発明の湿式不
織布を利用した電池用セパレーター基材を得た。
このセパレーター基材を、電圧4V、容量3.8Ahの密閉
型酸電池に利用して、充放電テストを繰り返す試験を行
い、電気的性能を調べた結果を第5表に示す。
尚、放電試験は、放電電流平均13Aで、終止電圧が2.8
Vになるまでの時間を測定した。
又、これとの比較のため、従来より電池用セパレータ
ー基材として利用されている、ガラス繊維100%からな
るもの、及び、ガラス繊維とアクリル繊維を混合したも
のについて同一の試験を行い、その結果も第5表に示し
た。
これらの結果、本発明による湿式不織布を利用した基
材は、従来のものよりも保液性に優れ、且つ、長寿命
で、自己放電が少ないという長所を有し、しかも、従来
のものよりも格段に安価に作成できるという経済的メリ
ットをも有するものであった。
[効果] 本発明のポリオレフィン系湿式不織布は、従来にない
低密度の製品を、湿式抄造法という高速量産化に適した
製造方法により得られるものであり、極めて高い経済性
を有し、しかも、生産性および品質の均一性にも優れ
る。そして、ポリオレフィン系合成パルプという品質の
安定した安価な原料を、主たる構成とするために、従来
よりも格段に高品質で、しかも安価な製品を提供するこ
とを可能とする。
又、本発明のポリオレフィン系湿式不織布は、合成パ
ルプと、親水性重合体とで、構成されるため、不純物質
の存在が皆無であり、極めて安全性が高く、親水性や、
保液性を必要とする衛生材料等に適用することが可能で
あり、又、合成パルプと架橋重合体は共に非常に優れた
耐久性を備えるので、耐酸性や、耐薬品性の必要な例え
ば、電池用セパレーター等に最適なものと言うことがで
きる。このように、本発明のポリオレフィン系湿式不織
布は、極めて広範な用途に適用できると言う優れた汎用
性も有する。
そして、本発明のポリオレフィン系湿式不織布を構成
する合成パルプは、本質的に熱可塑性であるため、熱シ
ール性や、熱融着性を有し、この結果、例えば電池電極
を挟んで熱シールを行ったり、他の素材と積層して熱融
着したりすることができるので、これらの加工性にも多
くの長所を有する。
従って、本発明のポリオレフィン系湿式不織布は、親
水性、保液性、基材強度の向上等の本質的な目的を全て
満足し、且つ、耐薬品性等の諸耐性にも優れ、しかも、
生産性、安全性、経済性及び汎用性を具備した従来には
無い新規なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は親水性処理剤の付着率と、吸水速度の関係の一
例を示す図であり、第2図は親水性処理剤の付着率と、
引張強度の関係の一例を示す図である。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2以上の官能基を有する多官能単量体を少
    なくとも1種類含む親水性の処理剤を該パルプ重量に対
    して2乃至30重量%付着重合せしめたポリオレフィン系
    合成パルプを少なくとも50重量%含むように抄紙した湿
    式不織布であって、該不織布の目付が50乃至400g/m
    2で、見掛け密度が0.05乃至0.3g/cm3であることを特徴
    とするポリオレフィン系湿式不織布。
  2. 【請求項2】多官能架橋型単量体が、ポリアルキレンオ
    キシドセグメントを含み、その平均セグメント数が2乃
    至30である特許請求の範囲第1項記載のポリオレフィン
    系湿式不織布。
  3. 【請求項3】多官能架橋型単量体の、平均アルキレンオ
    キシドセグメント数が4乃至15でのジアクリレート、及
    び/又は、ジメタクリレートである特許請求の範囲第2
    項記載のポリオレフィン系湿式不織布。
  4. 【請求項4】親水性の単量体が、ポリアルキレンオキシ
    ドセグメントを含む多官能単量体50乃至90重量%と、カ
    ルボキシル基を有するビニル系単量体50乃至10重量%の
    混合体である特許請求の範囲第1項記載のポリオレフィ
    ン系湿式不織布。
  5. 【請求項5】湿式不織布の重力10G下の水保液率が、300
    重量%以上である特許請求の範囲第1項記載のポリオレ
    フィン系湿式不織布。
  6. 【請求項6】湿式不織布の吸水速度が15cm/10min以上で
    ある特許請求の範囲第1項記載のポリオレフィン系湿式
    不織布。
  7. 【請求項7】湿式不織布の引張強度が単位目付(g/m2
    当たり1g/cm巾以上である特許請求の範囲第1項記載の
    ポリオレフィン系湿式不織布。
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