JP2512748B2 - ボイラ炉壁の取合構造 - Google Patents

ボイラ炉壁の取合構造

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はボイラ壁の構造に係り、特に温度差による熱
応力を低減することに好適な、天井壁と垂直壁の貫通部
分の取合構造に関するものである。
第5図はボイラの炉壁の概略構造を示すもので、ボイ
ラ炉壁上部は、前後に天井壁入口管寄せ13、天井壁出口
管寄せ2を有する天井壁1が前後垂直壁管12,3の狭小隙
間を貫通する構造になつている。尚、図中10はベントハ
ウスケーシング、11はバツクステーである。
この構造では、貫通部の熱伸び差に対しては管軸方向
はそれぞれスライドできるため吸収できるが、炉幅方向
に対しては、第6図に示すように、天井壁管1は貫通部
近くに天井壁出口管寄せ2があること、前後垂直壁管1
2,3は貫通部より下方がメンブレンバー4によつて連結
されたメンブレン壁であること、更に貫通部はガスシー
ル用耐火材8で一体化されていることなどからわかるよ
うに、高い剛性にて固定されており、炉幅方向の熱伸び
差発生に対する対策に関しては十分な配慮がなされてい
なかつた。
〔発明が解決しようとする問題点〕 上述のように、従来のボイラ壁構造では、前後垂直壁
管を天井壁管が貫通する取合部は、ボイラ性能上及び構
造,配置上管と管との隙間がほとんどなく、しかも天井
壁管1は貫通部近くで管寄せに接続され、前後垂直壁管
3,12は貫通部下は管がメンブレンバー4で溶接された一
体型メンブレン壁であり、貫通部において幅方向の熱伸
び差に対しては、天井壁入口出口管寄せ2,13、垂直壁管
3,12はメンブレン壁により拘束され、貫通部において管
どおしが干渉し、管の曲げ剛性の小さい前後垂直壁管3,
12が曲がり、メンブレンバー4止端部に過大な曲げ応力
が発生する。高頻度の起動停止及び負荷運用ボイラにお
いては、この熱応力が繰り返され、疲労亀裂が発生,進
行し、管内流体の漏洩が起きる可能性がある。
管内流体経路構成上及び炉の構成上、各壁間の温度差
を無くすことは困難であり、温度差があつても熱応力を
低減させ、かつ炉内ガスシールのできる構造が必要とな
る。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、管内流体
温度差のある従来のボイラ炉壁において、天井壁管が垂
直壁管を貫通する部分の垂直壁管に発生する熱応力を低
減させるとともに、ガスシールを確実に行える炉壁の取
合構造の提供を目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、天井壁管が貫通
する垂直壁管の貫通部下からバツクステー間のメンブレ
ンバーを切離してフイン付管構造とし、その周囲に炉内
ガスシール用スキンケーシングを設けたことを特徴とし
ている。
〔作用〕
上記構造とすることにより、天井壁管の垂直壁管貫通
部の炉幅方向熱伸び差による垂直壁管のメンブレンバー
止端部の曲げ応力は、切離されたメンブレンバーによる
曲げ剛性の低下により低減され、疲労亀裂の発生が防止
される。またこの部分におけるガスシールはスキンケー
シングにより確実になされる。
〔実施例〕
本発明を実施するに好適なボイラ構造は、前述した第
5図に示すようなものであり、前後の垂直壁管3,12、天
井壁管1、メンブレンバー4、入口出口管寄せ2,13、ペ
ントハウスケーシング10、バツクステー11等を備えてい
る。天井壁管1はその前後の両端部がそれぞれ管寄せ2,
13に接続され、垂直壁管3,12の狭小隙間を貫通して取合
を構成し、またペントハウスケーシング10は天井壁管1
の上部に部屋を形成しその内にシールエアーを入れて炉
内圧とバランスさせ、天井壁管1の隙間からペントハウ
スへの炉内ガスの流入を防止しているものである。
第1図は上記ボイラの取合部(第5図のイ部)を拡大
して示す本発明実施例の構造図であり、第2図は実施例
の要部拡大図、第3図はこの部分の第2図におけるA−
A視図である。
実施例において、天井壁管1は後垂直壁管3の間を狭
小隙間で貫通し、後垂直壁管3はバツクステー11より下
方ではメンブレンバー4により連結されているが、バツ
クステー11より上方の天井壁管1貫通部までの間は、メ
ンブレンバーが切り離され、第3図に示すようなフイン
付5付管として形成されている。
フイン付管部を含む貫通部の周囲は従来と同様に耐火
材8にて覆われるが、耐火材8と後垂直壁管3との間の
管隙間には繊維質耐火材9が充填されている。
また天井壁管1との貫通部からバツクステー11の間の
前記フイン付管部の外面にはスキンケーシング7が設け
られている。尚図中6はパツドプレートである。
上記の構成によれば、垂直壁管のメンブレンが分離さ
れ、垂直壁管3がフイン付管に形成されることにより、
管と直角方向(炉幅方向)の曲げ剛性が小さくなる。メ
ンブレンバーを分離したことによる炉内ガスの外部への
漏れは、スキンケーシング7により阻止している。また
フイン付管部分の管隙間に繊維質耐火材を充填すること
により、前記曲げ剛性を小さく維持するとともに、ペン
トハウス内への炉内ガスの流入を防止している。
第4図は本発明の他の実施例を示すもので、先に説明
した後垂直壁管3と天井壁管1との関係を前垂直壁管12
と天井壁管1にも適用した例である。
本発明における垂直壁管と天井壁管との貫通部構造
は、前後の垂直壁管で全く同様であるから、本発明はい
ずれか一方、又は両方の貫通部に適宜採用することがで
きる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、温度差を有す
る天井壁管の垂直壁管貫通取合部の拘束力が低減され、
特に垂直壁の炉幅方向の曲げ剛性が数10%に低減される
ため、ボイラ起動,停止に伴う垂直壁管メンブレンバー
止端部の繰り返し熱応力に対する疲労寿命を数倍増大さ
せることができ、高頻度の起動停止が可能なボイラを提
供できる。またメンブレンバーを分離したことによる炉
内ガスシールは別途設けたケーシングにより防止するこ
とができ、シール機能が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例の取合構造を示す断面図、第2図
は実施例の要部拡大断面図、第3図は第2図のA−A視
図、第4図は本発明の他の実施例の断面図、第5図は本
発明を適用し得るボイラの全体概略構成の説明図、第6
図は従来の天井壁管と垂直壁管との取合構造説明図であ
る。 1……天井壁管、3,12……垂直壁管、4……メンブレン
バー、5……フイン、7……スキンケーシング。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管内流体温度差のある炉壁取合で、メンブ
    レンバーにより連結された天井壁管が、メンブレンバー
    により連結された垂直壁管の間を狭小隙間で貫通する取
    合構造部において、垂直壁の最上段バツクステーと天井
    壁間のメンブレンバーを切離して垂直壁管をフイン付管
    に形成し、このフイン付管部分の周囲に炉内ガスシール
    用ケーシングを設けたことを特徴とするボイラ炉壁の取
    合構造。
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