JP2512181Y2 - ヒ―トシ―ル密封缶の形状 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、のり、茶、インスタントコーヒー等のごと
く、水分や酸素と接触させない包装を要求するものの包
装用密封缶であって、缶内の圧力の変動にも耐え、且つ
イージーピール性のある密封用缶の形状に関する。

［従来の技術］ 従来、食品を長期間保存のためには金属製の缶詰等が
よく利用されている。この場合の密封方法として、缶胴
と蓋とを二重巻締めする方法が一般的である。この缶詰
は長期保存、酸素バリアー性には優れているが開封には
缶切りが必要であって、この点が問題となる場合もあ
る。

この対策として、イージーオープン機能を持たせたプ
ルトップの蓋のある缶詰も開発されている。この缶は開
封するのには把手をひくことにより予め定められた必要
な大きさの口を開くことができるが、この際に蓋のスコ
アエッジ部で手にけがをするという問題があり、安全
で、密封性の良い缶の開発が望まれていた。

一方、これとは別に缶に蓋材としてアルミニウム箔と
プラスチックの複合材をヒートシールした包装が市場に
も出ている。この場合、内容物の品質を維持するため酸
素吸収剤や除湿剤を入れる、あるいは窒素ガス等により
置換などをしていることが多い。このような缶詰は缶内
が減圧になっているため、あるいは気温の変化や高地に
持参するときなど内外の気圧差によってヒートシールが
破れ易く、簡易な密封包装として軽量性、イージーピー
ル性などには優れてはいるが、未だ改善すべき点が残さ
れていた。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は、アルミニウム箔複合材をヒートシールした
簡易な密封包装でありながら、酸素吸収剤や除湿剤を入
れた減圧状態、又は大幅な気温の上昇、高所へ持参した
場合の内外部の圧力差によるシールの破れが起こらない
ヒートシールで軽量でイージーピール性のある密封する
缶の形状を開発した。

［課題を解決するための手段］ 従来のヒートシールした缶の上部は、第２図に示すご
とく、直立した缶胴の頂部に缶トップがあり、これに蓋
をヒートシールしているが、シールされる缶トップ部分
のアールが小さく、したがってヒートシールされる面積
は小さくならざるを得なかった。このため缶内と外界の
圧力差が生じたときは、当然シール部は内側に引っ張ら
れるが、シール面積が小さいためこの抵抗力は小さく、
リークの発生率は当然高くならざるを得なかった。

この欠点を改良するために種々検討を行ない、本考案
を完成させるに至った。

すなわち本考案は、金属またはプラスチックからなる
筒状缶胴の上端部の３〜15mmを内側に傾斜させ、アルミ
ニウム箔複合材からなる蓋材を該傾斜面を含め少なくと
も幅3mmにわたりヒートシールすることを特徴とするイ
ージーピール性ヒートシール密封缶の形状、及び蓋の部
分を平かまたは若干凹ませた請求項１記載のイージーピ
ール性ヒートシール密封缶の形状に関するものである。

以下、図面を参照して本考案を更に詳細に説明する。

第１図において、金属又はプラスチックからなる缶に
おいて、缶胴の上部は内方に傾斜しており、その先端は
従来と同じく小さなアールを持つ缶トップまたは切断の
まま（断面を処理することは必要である。）であっても
良い。

この傾斜面の長さは、缶のサイズ、包装する内要物や
減圧または予想される差圧により異なるが、通常は3mm
位以上、好ましくは5mm以上あれば良い。缶の構造をこ
のようにすると接着面を缶トップのみであったものから
缶胴部の一部もシール可能となり、従来のシール面が１
〜2mmであったものが3mm以上、缶のサイズにもよるが10
〜15mmのごとくシール面積を一挙に増加させることがで
きるので、シール強度を大幅に増強できる。

この場合、傾斜角度は缶の容積とも関係するので１°
〜20°、好ましくは５°〜10°位あれば充分である。ま
た、シールされる蓋の部分を若干凹ませておけば、缶の
表面からシール部分が突出していないことになるので積
み重ねる等の作業の場合に引っ掛けて剥離させることも
防止できる。

このように缶上部が缶底部よりわずかに小さく出来て
いるので積み重ねる場合に傾斜部に缶底部の巻締め部が
はまり込むので従来の缶より安定性ある積み重ねができ
る。

さらに、この傾斜はヒートシール工程において、シー
ルヘッドに缶が付いて持ちあがり、次の缶のシールが出
来なくなるトラブルを防止できるので、ヒートシール工
程の高速度化も可能となり、量産する場合に効果があ
る。

なお、蓋材としては通常使用されているプラスチック
とアルミニウム箔の複合材、例えば二軸延伸したフィル
ム／アルミニウム箔／ホットメルト等の構成でよく、ピ
ール性のコントロールはホットメルト樹脂を選ぶことに
より調整できる。

このように本考案によれば安価なアルミニウム箔複合
材を使うことによっても、水分、酸素、光等の影響を完
全に遮断できる包装が可能である。

以下、実施例により更に具体的に説明する ［実施例］ 蓋材として二軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ
m/アルミニウム箔40μm/エチレン酢酸ビニル共重合体70
μｍのアルミニウム箔複合材を用い、傾斜角７°、傾面
長5mm、75mmφの第１図に示すようなエポキシ樹脂コー
ト缶に接着させた。

ヒートシール条件は200℃、70Kg/缶、1.5秒である。

これと全く同一条件で第２図に示すような通常の75mm
φエポキシ樹脂コート缶に接着を行ない、ヒートシール
の強度の比較を行なった。

結果を第１表に示す。

手によって蓋の剥離を行なってみたところ、強度に差
はあるが両者共イージーピール性は良好であった。

［効果］ ヒートシール方法を用いる密封缶であって、上部を内
方に傾斜させる本考案提案の缶の形状は、ヒートシール
後の缶の内外の圧力差に充分耐える密封性を与え、ヒー
トシール時にシールヘッドについて持ち上がらず生産性
を落す欠陥がないばかりでなく、アルミニウム箔複合材
を用いるので安価であり、更にイージーピール性を持つ
優れた包装を可能とした。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例で（１）は蓋をヒートシール
した断面図であり、（２）は内圧が高いとき、（３）は
内圧が減圧になったときの概念図である。（４）は缶胴
の傾斜角を示す。 第２図の（１）は従来缶に蓋をヒートシールした断面図
であり、（２）は内圧が高いとき、（３）は内圧が減圧
になったときの概念図である。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金属またはプラスチックからなる筒状缶胴
   の上端部の３〜15mmを内側に傾斜させ、アルミニウム箔
   複合材からなる蓋材を該傾斜面を含め少なくとも幅3mm
   にわたりヒートシールすることを特徴とするイージーピ
   ール性ヒートシール密封缶の形状。
2. 【請求項２】蓋の部分を平かまたは若干凹ませた請求項
   １記載のイージーピール性ヒートシール密封缶の形状。