JP2510488Y2 - 除放体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、液状の芳香剤、殺虫
剤、防虫剤等を徐々に蒸散させるようにした除放体に関
するものである。

【０００２】

【従来技術とその問題点】この種の除放体としては、出
願人が実開平３−７０１４１号公報で開示した、液体香
料を袋体に充填させたものがある。この考案は、袋体の
表裏を密接させると共にその側縁を開口部に向けて容器
内に配置し、空気との接触を当初上半分で行い、香料の
減少に伴って袋が痩せた段階で下半分をも空気と接触さ
せ、蒸散面積を拡大して芳香量の増大を図らんとしても
のである。

【０００３】しかしながら、この芳香剤は、多数の袋を
容器に装填すると共に強制的に換気させる空気と接触さ
せる構成を採用しているため、設置場所が固定され、そ
の移動が不可能であった。しかも、香料の減り具合を外
観することはできず、容器から袋を取り出して香料の有
無を確認しなければならないことになる。

【０００４】

【技術的課題】本考案は、液状の芳香剤、殺虫剤、防虫
剤等を徐々に蒸散させるようにした除放体において、持
ち運びを可能にし除放剤の量を外観できるようにするこ
とを課題としたものである。

【０００５】

【技術的手段】この技術的課題を解決するための技術的
手段は、 （イ）透明又は半透明の気体通過性素材からなる袋体に
液状の除放剤を充填し、 （ロ）これを側壁に打抜き図柄を形成した容器に収納す
ること、である。この場合、袋体の内側全面又は一部に
除放剤に対する耐久性の弱い素材層を設けることができ
る。

【０００６】

【技術的手段の作用】袋体を透明又は半透明に構成する
と、液状除放剤の量を外観することができ、特に光にか
ざした場合には、その残量を確実に視認することができ
る。袋体に充填する除放剤としては、芳香液の他、殺虫
液、防虫液であって、徐々に芳香成分や有効成分が蒸散
する性質の液体を用いる。また、気体通過性の透明又は
半透明の袋としては、ポリエチレンフィルムやこの外側
に和紙や布をラミネートさせたシートを好適に使用する
ことができる。

【０００７】液状の除放剤を充填させた袋を側壁に打抜
き図柄を形成した容器に収納すると、袋はこの容器によ
って保護され、その持ち運びが容易となる。また、打抜
き部において袋及び除放剤の残量を視認することがで
き、これらを図柄の一部に取り込むことができる。

【０００８】袋体の内側に液状の除放剤に対し耐久性の
弱い素材層を設けると、袋に除放剤を充填した当初はこ
の素材層に浸透した成分が蒸散して蒸散量が抑制され
る。この素材層は、袋体の内側全面又は一部に設けるこ
とによって、除放剤の当初の蒸散量を調整することがで
きる。

【０００９】経時的に素材層が液状の除放剤によって侵
されると、徐々に蒸散量が増大し、やがて素材層が破壊
されると蒸散が抑制されなくなる。しかしながら、この
頃には除放剤も減少してそれ自体の蒸散量が減少してく
るため、全体として平坦化することができる。

【００１０】液状の除放剤に対する耐久性の弱い素材層
としては、液体や気体透過性のある樹脂を使用するが、
ポリプロピレン、アクリル、塩化ビニル、ポリカーボネ
ート等の樹脂を好適に使用できる。耐久性は除放剤の成
分と樹脂との相溶関係によって設計され、例えばフルー
ツ系の香料では、テルペン系やエステル系の成分が使用
されるため、この成分との相溶度や耐久希望期間等を考
慮して樹脂の種類、肉厚、除放剤の充填量等を決定する
ことになる。

【００１１】

【本考案の効果】除放体の持ち運びを可能にし除放剤の
量を外観できる結果、液体であっても従来の含浸タイプ
と同様に取り扱うことができる利点があり、また、装飾
品や装身具としても利用することが可能となる従って、
芳香液、殺虫液、防虫液等の液状の除放剤の利用範囲を
拡大できる利点がある。

【００１２】

【実施例】次に、上記の技術的手段の具体例を図面を参
酌して説明する。図１は、芳香剤１の表面図である。容
器２は、ボール紙で袋状に形成した物であり、表裏両面
にウイスキーボトル形の窓３を打抜いている。

【００１３】液体香料１０は、ポリエチレンフィルム６
の外側に和紙７を積層した半透明のシート体を積層し、
周縁をヒートシールして形成した袋５内に充填し、この
袋５を容器１内に収納している。香料の種類によって発
散香気量が異なるため、袋の厚みを変化させることによ
って外部への芳香量を調整する。窓３から容器１を光線
にかざすと、ウイスキーボトル内に液体香料を視認する
ことができ、香料の減り具合が窓３の形状に融合して図
柄を構成する。

【００１４】容器２の打抜き図柄は、任意の形状のもの
を使用することかできる。表裏の図柄は必ずしも一致さ
せる必要はなく、例えば、正面に花の図柄裏面に矩形の
図柄を打ち抜いても良い。また、袋５は着色したものを
使用することができ、更には袋の表面に模様を印刷して
も良い。この印刷模様は、同時に香料の蒸散面積を減少
させる働きをすることになる。

【００１５】ポリエチレンフィルム６の内側にポリプロ
ピレン樹脂層８を積層すると、香料によってポリプロピ
レン樹脂層８に伸びが生じて凹凸状にシワが発生し（図
３参照）、このシワの屈曲部から亀裂が徐々に発生し、
やがて樹脂層８が破壊されていく。破壊の進行によって
液体香料１０が徐々に樹脂層８の外側に移行し、香料の
蒸散量が増大するのである。

【００１６】この樹脂層８を着色したもので構成するよ
うにしても良い。この場合には、着色図柄が崩れた段階
で香料の蒸散量が多くなり、香料の残り量が少なくなっ
たことを認識することができる。また、異なる香料を異
なる構成の袋に充填して一つの容器に収納することもで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】芳香剤の正面図

【図２】図１の縦断面図

【図３】他の実施例における袋の要部断面図

【符号の説明】

２ 容器、 ３ 窓、 ５ 袋、 ６ ポリエチレンフ
ィルム、 ７ 和紙、８ ポリプロピレン樹脂層

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明又は半透明の気体通過性素材からな
   る袋体に液状の除放剤を充填し、これを側壁に打抜き図
   柄を形成した容器に収納した除放体。
2. 【請求項２】 袋体の内側全面又は一部に耐除放剤性の
   弱い素材層を形成した請求項１に記載の除放体。