JP2510464B2 - 軟質金属の研削加工法 - Google Patents
軟質金属の研削加工法Info
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Description
造船重機産業など、多くの分野で不可欠な鉄鋼材料、非
鉄材料の除去加工方法に関し、特に比較的軟質の此の種
材料の高能率で高品質な新しい加工法を提供しようとす
るものである。
金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チ
タン合金等の非鉄材料や、鉄鋼材料でも軟鋼、軟鋳鋼、
ステンレス鋼等HRC35程度以下の軟質材料の除去加
工は、バイト、エンドミル、カッター等の切削工具を用
いる切削加工によって行われていた。稀れには、要求さ
れる高い加工精度を満たすため、研削加工の行われるこ
ともあったが、この場合でも用いられる砥石は炭化珪素
系乃至はアルミナ系のものによる通常研削で、ダイヤモ
ンドやCBNの所謂超砥粒ホイールによる研削加工は採
用されていなかった。
HRC35以下の軟質金属の除去加工において常に問題
となるのが切り屑処理である。すなわち、一般的に金属
材料の切り屑は塑性流動に基づく流れ型となるが、軟質
金属の場合、発生する切り屑自体が軟らかいため切り屑
が分断、微細化されにくく連続した流れ型切り屑となり
易い。従来の切削工具にはこれら連続した切り屑を分
断、微細化する処置が施されている。その最も代表的な
ものがチップブレーカーと呼ばれる刃先処理である。と
ころが最近の被加工部品は除去加工の前段階である鍛造
や鋳造技術が進み、除去加工での加工代が激減した。す
なわち、従来は半径で2〜5mmが普通であった加工代
が、1mm以下のものも多くなってきた。このような加
工代の小さい被加工材の切り屑はチップブレーカーをも
ってしても分断、微細化することが困難となっている。
また、幅が狭く深い溝の切削加工なども取り代に関係な
く切り屑処理が難しい加工であった。これら軟質金属の
切削加工における最大の問題点は、上述した切り屑処理
がうまくいかず、切り屑除去や工具切れ刃の折損のため
加工ラインが停止することである。すなわち、切り屑の
工具や被加工材への巻き付きによる加工の停止、加工面
の品位の劣化や工具切れ刃のチッピングによるびびり、
表面粗さ不良、寸法精度不良などが発生し加工ラインの
停止に至る。これら問題点のため切削加工を含む加工ラ
インでは自動化、無人化、高精度化が困難であった。
るため切り屑も小さく、切り屑による工具損傷により加
工ラインの停止が発生する危険性は極めて低い。従っ
て、加工の自動化、無人化には最適な除去加工方法であ
る。しかし、現在軟質金属の研削加工で用いられている
アルミナ系砥粒や炭化ケイ素系砥粒を用いた在来砥石に
よる加工では、砥石の加工能力が低いために切削加工並
みの能率では加工できず、加工能率における問題があっ
た。例えば、軟鋼の単純な丸棒の最大加工能力を比較す
る。加工能率は材料除去率Z(mm3/min)で表す
ことができる。すなわち、材料除去率Z=切り込み深さ
a(mm)×被加工材速度Vw(mm/min)×被加
工材1回転当たりの送り量f(mm/rev)である。
超硬合金のバイトを用いた切削加工における加工条件
は、a=2、Vw=100000、f=0.5でZ=1
00000となる。アルミナ砥石による研削加工では、
a=0.02、Vw=15000、f=10で、Z=3
000、すなわち研削加工は切削加工の約1/30の能
率でしかなく、在来砥石を用いた研削加工では切削加工
の代替は困難であった。研削加工能率を向上させるため
に、砥石として研削能力が格段に優れるダイヤモンドホ
イールやCBNホイール等の超砥粒ホイールを用いる方
法も考えられる。しかし、従来の研削技術では超砥粒ホ
イールにより軟質金属を研削加工すると、加工能率を高
めようとすると目づまりが生じ要求される加工精度や加
工品位が得られなかったり、低い加工能率でもホイール
摩耗が大きいため経済的な加工ができないなど、軟質金
属の研削加工への超砥粒ホイールを適用することは不可
能であった。
ンで高能率、高精度に加工するためには、加工能率が切
削加工に匹敵する研削加工法を開発する必要がある。硬
度がHRC35以下の軟質金属の加工においてこれら目
的を達成するために、超砥粒ホイール特にCBNホイー
ルを用いて80m/s以上のホイール周速度で使用する
技術を開発した。CBNホイールは砥粒に高い硬度と強
度および熱安定性を持ったCBN砥粒を用いているため
に高速加工で良好な研削性能を有すると共に高強度なホ
イール構造を持ち80m/sをはるかに超える高周速度
域でも安全に使用できる特性を持っている。80m/s
以上のホイール周速度のCBNホイールで研削加工する
ことにより、切削加工に匹敵する加工能率で、高精度な
研削加工をすることができる。また、高性能なCBN砥
粒を高速で切れ刃として使用するため、ホイール摩耗も
極めて小さく、十分長いホイール寿命が得られる。
で、直径250mm幅5mmのメタルボンドCBNホイ
ールで、炭素軟鋼(S25C,HRC22)を種々のホ
イール周速度で研削試験を行った結果を示すものであ
る。加工能力は比材料除去率Z’(工具単位当りの材料
除去率)=切込み深さa(mm)×被加工材速度Vw
(mm/s)で表わされ、ホイール周速度と目づまりな
く良好に加工できる加工能力の関係は、図よりホイール
周速度が80m/s以上で驚異的に大となることが明か
である。尚上記研削試験における研削方式は円筒プラン
ジ研削、使用研削液はエマルジョン10%溶液である。
ルの寿命を示す研削比の関係を比較試験した結果を示す
もので、図よりホイール周速度が80m/s以上で高い
研削比が得られることがわかる。尚この試験の条件は下
記である。CBNホイール(直径150mm、幅1.5
mm、粒度#80/100、ボンド電着)被加工材(S
UJ2,HRC28)研削方式(平面溝研削)研削液
(エマルジョン15%溶液)比材料除去率Z’は下記で
ある。 ホイール周速度20〜60m/s:5mm3/mm・s ホイール周速度80m/s以上:100mm3/mm・s
なかったCBNホイールが高速化することにより使用で
きるようになった理由は次の通りである。軟質金属を従
来の研削技術でCBNホイールを用い加工して、目づま
りが発生して所期の加工結果が得られなかったりホイー
ル摩耗が極めて大きくなったりするのは、この加工で発
生する研削加工としては比較的長い流れ型切れ屑を排出
できなかったり、この切り屑によりボンド材料が削り取
られたりするためである。ところで、一般的にホイール
周速度を高くすると研削熱の発生量も多くなることが知
られている。特に本発明のように極めて高周速度の領域
では発熱量も極めて多くなっている。発生した研削熱は
切り屑、被加工材、研削液、ホイールに分配されるが、
切り屑への流入割合が最も大きいとされている。CBN
ホイールを用いた80m/s以上の高速研削では研削熱
の増加分の内、切り屑への流入割合が極めて大きくなる
と考えられる。それは高速研削で加工した被加工材の加
工後の表面品位は極めて良好で、何等の熱損傷も受けて
いなかったことからも推察できる。すなわち、高速で発
生する軟質の長い切り屑が、流入した熱により高温とな
る。それが研削液で急激に冷されることにより極めて脆
弱となり切り屑が細かく分断されやすくなる。このため
切り屑は排出され易くなり、目づまりもボンド材料の摩
耗も発生しなくなる、すなわち、良好な加工性と長いホ
イール寿命が得られるものと考えられる。
が直径で0.3mmのHRC28のベアリング鋼鍛造材
を、ビトリファイドCBNホイールAにより下記条件で
1パスで研削加工した。この時の加工サイクルタイム
(ローディングツーローディング)は24sで切削加工
に比べ遜色がなく、得られた加工精度は表面粗さ1.6
μmRz、真円度、円筒度とも1μmで秀れたものであ
った。
除去率Z、および加工能力を示す比材料除去率Z’は表
1に示す通りで、従来の加工法に充分に対抗し得る。
り代が直径で0.5mmでHRC23の炭素鋼(S48
C)をメタルボンドCBNホイールBにより下記条件で
研削加工した。加工精度等は下記の通り秀れており、加
工能率等は表2の通りで、従来のものよりむしろ勝って
いる。
Ti−6Al−4Vをダイヤモンドホイールにて加工し
た場合の研削比を表3に示す。従来のホイール周速度
(20〜40m/s)では9〜31であった研削比がホ
イール周速度を100m/sとすることにより研削比が
290と9〜32倍の研削比が得られ、十分経済的なコ
ストで加工できるようになった。即ち、非鉄金属の研削
加工においては、ダイヤモンドホイールの使用により同
様な加工結果を得ることもできる。
粒度が#16/18〜 #325/400、集中度が5
0〜250、ボンドがメタルボンド、ビトリファイドボ
ンド、電着、レジンボンドのものを用いることが望まし
い。超砥粒ホイールでは従来、粒度はメッシュサイズは
#30/40〜 #325/400、ミクロンサイズは
36・54〜0・1/2μmまでの広い範囲で、集中度
は25〜230の範囲が使用されてきた。本加工方法は
高能率加工を伴うものであることは前述した通りで、良
好な表面粗さを求めるために用いられるミクロンサイズ
は必要としない。もしミクロンサイズを用いた場合、切
り屑の収容が不可能となり高能率加工ができなくなるば
かりかホイール摩耗が増大し研削比が極端に低くなる。
従来表面粗さが粗くなることや研削抵抗が増大するため
に用いられなかった#16/18〜#20/30の粗粒
がこの技術を用いることにより研削抵抗の低減、砥粒切
り込み深さの低減による表面粗さの改善により可能とな
る。50未満の集中度は砥粒一個にかかる応力が大きく
なりすぎ大破砕型の砥粒摩耗を引き起こす。その結果、
結合材と被加工材との接触が起こり、研削抵抗の増大、
被加工材の研削焼け発生などにより良好に加工できな
い。
用いたホイールにより、80m/s以上の高周速でHR
C35以下の軟鋼、軟鋳鋼、ステンレス鋼、非鉄金属材
料などの軟質金属を研削することができる。この研削は
この種材料に対する新しい除去加工法であり、在来の方
法に比らべ高能率、高精度でかつホイールの摩耗も少な
くて、低コストとなる特長を有する。したがって、自動
車産業、電気産業、造船重機産業などの多くの分野にお
けるこの種材料部品の加工の自動化無人化を促進し、産
業の発達に寄与する。
を試験した結果を示す図。
した結果を示す図。
ホイールの位置を示す模式図。
ホイールの位置を示す模式図。
Claims (3)
- 【請求項1】 超砥粒ホイールにより、軟質金属を80
m/s以上のホイール周速度で研削することを特徴とす
る軟質金属の研削加工法。 - 【請求項2】 超砥粒はダイヤモンドまたはCBNであ
り、軟質金属は硬度がHRC35以下の鉄銅材料または
非鉄材料であることを特徴とする請求項1記載の軟質金
属の研削加工法。 - 【請求項3】 メタルボンド、ビトリファイドボンド、
電着、レジンボンドの何れかでボンドされる超砥粒は、
粒度が#16/18〜 #325/400、集中度が5
0〜250であることを特徴とする請求項1または2記
載の軟質金属の研削加工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5145612A JP2510464B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | 軟質金属の研削加工法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5145612A JP2510464B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | 軟質金属の研削加工法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06328353A JPH06328353A (ja) | 1994-11-29 |
JP2510464B2 true JP2510464B2 (ja) | 1996-06-26 |
Family
ID=15389067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5145612A Expired - Fee Related JP2510464B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | 軟質金属の研削加工法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2510464B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-24 JP JP5145612A patent/JP2510464B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
DIAMOND AND CBN GRINDING WHEELS STANDARD PROGRAMME * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06328353A (ja) | 1994-11-29 |
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