JP2510109B2 - 酵素固定用繊維状担体の製法 - Google Patents
酵素固定用繊維状担体の製法Info
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- JP2510109B2 JP2510109B2 JP4062771A JP6277192A JP2510109B2 JP 2510109 B2 JP2510109 B2 JP 2510109B2 JP 4062771 A JP4062771 A JP 4062771A JP 6277192 A JP6277192 A JP 6277192A JP 2510109 B2 JP2510109 B2 JP 2510109B2
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- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】バオイリアクターにおける酵素及
び酵母固定用担体。血液中の老廃物等の吸着分離用フィ
ルター及び老廃物分解酵素固定用担体。飲料水中のウィ
ルス除去用フィルター。 【０００２】 【従来の技術】ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）等の合
成繊維を用いた酵素等固定用織維状担体では、酵素等固
定化の際、水溶液中の電解質濃度（イオン強度）の影響
を大きく受けてしまい、実用面で問題がある。また、そ
れら繊維を超細繊化し、比表面積の拡大をはかり、酵素
等の固定を試みているが、基本的な問題は解決されてい
ない。絹を出発原料とし、酵素を固定化することも試み
られているが、そこでは、絹を天然繊維のまま使用する
のではなく、薬品（塩化カルシウム等）で溶解させた絹
フィブロイン溶液に酵素等を懸濁させ、その混合液をゲ
ル化させることにより酵素包含フィルムを成形すること
を基本としている。このような包含法による酵素固定
は、酵素基質間の接触がゲルにより妨害されるため、充
分な反応が達成されず、バイオリアクターとして使用す
るには、問題がある。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】酵素等を直接固定用担
体表面に固定する。固定により、酵素のコンフォメーシ
ョンを変化させ、失活させることなく、かつ、多量の酵
素の固定を可能にする。 【０００４】 【課題を解決するための手段】野蚕絹糸のうち、ヤママ
ユガ科（Ｓａｔｕｒｎｉｉｄａｅ）に属するサクサン
（Ａｎｔｈｅｒａｅａ ｐｅｒｎｙｉ）、テンサン（Ａ
ｎｔｈｅｒａｅａ ｙａｍａｍａｉ）、ムガサン（Ａｎ
−ｔｈｅｒａｅａ ａｓｓａｍａ）等から得られるもの
は、そのフィブロイン繊維中に多くの極性アミノ酸を含
有しているため、他の絹繊維に比べ、イオン的結合に関
与する末端アミノ基、カルボキシル基が多い。しかし、
未処理のままで酵素を固定しようとしても、繊維中のミ
クロボイドの径の大きさは、酵素を固定するために充分
でなく、酵素固定用担体として機能しない。そこで、繊
維をアルカリ洗浄（水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム
等の水溶液）し、ミクロボイド周辺を積極的に溶解さ
せ、酵素固定に最適な穴径を作り、そこにイオン的に酵
素を固定することで、強固な繊維と酵素の結合が得られ
ることを発見し、本発明に至った。さらに、絹フィブロ
インは酵素との相互作用において、酵素反応を妨害する
ことのないことが一般に知られており、また、絹繊維に
は、アルカリ水溶液で洗浄されることにより、繊維がミ
クロフィブリル化し、飛躍的に比表面積の増大する性質
のあることがわかっている。これらの絹フィブロイン繊
維のもつ特異な性質とアルカリ洗浄処理によるミクロボ
イド径の調整から、酵素を失活させることなく、かつ、
多量に直接固定用担体表面に固定することを可能にする
繊維状固定担体の製造方法を発見した。 【０００５】 【作用】繊維をアルカリ洗浄することで、繊維内部のミ
クロボイド周辺が溶解され、酵素固定のために最適な穴
が形成されると同時に、絹繊維がミクロフィブリル化す
るため、繊維表面積が飛躍的に増加する。このため酵素
は、繊維表面に形成された穴に強固にイオン結合される
と同時に、多量の酵素が固定される。 【０００６】 【実施例１】精練した野蚕糸（サクサン糸）を４％水酸
化ナトリウム水溶液に室温で２４時間浸漬後、水洗し
た。それをグルコースオキシターゼ（ＧＯＤ）濃度１０
０ｍｇ／５０ｍｌの酢酸バッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ
４．３７）に浸漬し、室温で１時間撹はんし、ＧＯＤ固
定繊維を得た。ペルオキシターゼにより繊維単位重量当
りの活性量を測定したところ、繊維１ｇ当り３００〜４
００Ｕの活性のあることがわかった。 【０００７】 【実施例２】上記実施例１と同様な方法で、ＧＯＤを固
定させた繊維をクエン酸ブッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ
５．５）中に室温で２４時間放置した後、実施例１と同
様な方法で活性量を測定したところ２００Ｕ／ｇの依然
として高い活性量が維持されていることを確認した。 【０００８】 【比較例１】精練した家蚕糸（Ｂｏｍｂｙｘ ｍｏｒｉ
糸）を４％水酸化ナトリウム水溶液に室温で２４時間浸
漬後、水洗した。それをグルコースオキシターゼ（ＧＯ
Ｄ）濃度１００ｍｇ／５０ｍｌの酢酸バッフアー（０．
１Ｍ，ｐＨ４．３７）に浸漬し、室温で１時間撹はん
し、ＧＯＤ固定繊維を得た。ペルオキシターゼにより繊
維単位重量当りの活性量を測定したところ、繊維１ｇ当
り２０〜３０Ｕの活性のあることがわかった。 【０００９】 【比較例２】精練した野蚕糸（サクサン糸）をグルコー
スオキシターゼ（ＧＯＤ）濃度１００ｍｇ／５０ｍｌの
酢酸バッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ４．３７）に浸漬し、
室温で１時間撹はんし、ＧＯＤ固定繊維を得た。ペルオ
キシターゼにより繊維単位重量当りの活性量を測定した
ところ、繊維１ｇ当り１０〜２０Ｕの活性のあることが
わかった。 【００１０】 【発明＜考案＞の効果】本発明による酵素固定用担体
は、繊維状であるため、大きな表面積をもつバイオリア
クター用成形物（フィルター、チューブ等）が容易にで
きる。また、逆に繊維を成形物に加工した後、アルカリ
洗浄しても、同様の効果が期待できる。単純なアルカリ
水溶液による洗浄で、酵素固定効果が期待できる。複雑
な化学反応を必要としないため、末反応物による弊害が
なく、人工臓器等のフィルター等に容易に適応可能であ
る。原料である野蚕絹糸を精練した後、単純なアルカリ
処理を行うだけで、機能が期待されるため、製造原価を
安くできる。
び酵母固定用担体。血液中の老廃物等の吸着分離用フィ
ルター及び老廃物分解酵素固定用担体。飲料水中のウィ
ルス除去用フィルター。 【０００２】 【従来の技術】ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）等の合
成繊維を用いた酵素等固定用織維状担体では、酵素等固
定化の際、水溶液中の電解質濃度（イオン強度）の影響
を大きく受けてしまい、実用面で問題がある。また、そ
れら繊維を超細繊化し、比表面積の拡大をはかり、酵素
等の固定を試みているが、基本的な問題は解決されてい
ない。絹を出発原料とし、酵素を固定化することも試み
られているが、そこでは、絹を天然繊維のまま使用する
のではなく、薬品（塩化カルシウム等）で溶解させた絹
フィブロイン溶液に酵素等を懸濁させ、その混合液をゲ
ル化させることにより酵素包含フィルムを成形すること
を基本としている。このような包含法による酵素固定
は、酵素基質間の接触がゲルにより妨害されるため、充
分な反応が達成されず、バイオリアクターとして使用す
るには、問題がある。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】酵素等を直接固定用担
体表面に固定する。固定により、酵素のコンフォメーシ
ョンを変化させ、失活させることなく、かつ、多量の酵
素の固定を可能にする。 【０００４】 【課題を解決するための手段】野蚕絹糸のうち、ヤママ
ユガ科（Ｓａｔｕｒｎｉｉｄａｅ）に属するサクサン
（Ａｎｔｈｅｒａｅａ ｐｅｒｎｙｉ）、テンサン（Ａ
ｎｔｈｅｒａｅａ ｙａｍａｍａｉ）、ムガサン（Ａｎ
−ｔｈｅｒａｅａ ａｓｓａｍａ）等から得られるもの
は、そのフィブロイン繊維中に多くの極性アミノ酸を含
有しているため、他の絹繊維に比べ、イオン的結合に関
与する末端アミノ基、カルボキシル基が多い。しかし、
未処理のままで酵素を固定しようとしても、繊維中のミ
クロボイドの径の大きさは、酵素を固定するために充分
でなく、酵素固定用担体として機能しない。そこで、繊
維をアルカリ洗浄（水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム
等の水溶液）し、ミクロボイド周辺を積極的に溶解さ
せ、酵素固定に最適な穴径を作り、そこにイオン的に酵
素を固定することで、強固な繊維と酵素の結合が得られ
ることを発見し、本発明に至った。さらに、絹フィブロ
インは酵素との相互作用において、酵素反応を妨害する
ことのないことが一般に知られており、また、絹繊維に
は、アルカリ水溶液で洗浄されることにより、繊維がミ
クロフィブリル化し、飛躍的に比表面積の増大する性質
のあることがわかっている。これらの絹フィブロイン繊
維のもつ特異な性質とアルカリ洗浄処理によるミクロボ
イド径の調整から、酵素を失活させることなく、かつ、
多量に直接固定用担体表面に固定することを可能にする
繊維状固定担体の製造方法を発見した。 【０００５】 【作用】繊維をアルカリ洗浄することで、繊維内部のミ
クロボイド周辺が溶解され、酵素固定のために最適な穴
が形成されると同時に、絹繊維がミクロフィブリル化す
るため、繊維表面積が飛躍的に増加する。このため酵素
は、繊維表面に形成された穴に強固にイオン結合される
と同時に、多量の酵素が固定される。 【０００６】 【実施例１】精練した野蚕糸（サクサン糸）を４％水酸
化ナトリウム水溶液に室温で２４時間浸漬後、水洗し
た。それをグルコースオキシターゼ（ＧＯＤ）濃度１０
０ｍｇ／５０ｍｌの酢酸バッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ
４．３７）に浸漬し、室温で１時間撹はんし、ＧＯＤ固
定繊維を得た。ペルオキシターゼにより繊維単位重量当
りの活性量を測定したところ、繊維１ｇ当り３００〜４
００Ｕの活性のあることがわかった。 【０００７】 【実施例２】上記実施例１と同様な方法で、ＧＯＤを固
定させた繊維をクエン酸ブッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ
５．５）中に室温で２４時間放置した後、実施例１と同
様な方法で活性量を測定したところ２００Ｕ／ｇの依然
として高い活性量が維持されていることを確認した。 【０００８】 【比較例１】精練した家蚕糸（Ｂｏｍｂｙｘ ｍｏｒｉ
糸）を４％水酸化ナトリウム水溶液に室温で２４時間浸
漬後、水洗した。それをグルコースオキシターゼ（ＧＯ
Ｄ）濃度１００ｍｇ／５０ｍｌの酢酸バッフアー（０．
１Ｍ，ｐＨ４．３７）に浸漬し、室温で１時間撹はん
し、ＧＯＤ固定繊維を得た。ペルオキシターゼにより繊
維単位重量当りの活性量を測定したところ、繊維１ｇ当
り２０〜３０Ｕの活性のあることがわかった。 【０００９】 【比較例２】精練した野蚕糸（サクサン糸）をグルコー
スオキシターゼ（ＧＯＤ）濃度１００ｍｇ／５０ｍｌの
酢酸バッフアー（０．１Ｍ，ｐＨ４．３７）に浸漬し、
室温で１時間撹はんし、ＧＯＤ固定繊維を得た。ペルオ
キシターゼにより繊維単位重量当りの活性量を測定した
ところ、繊維１ｇ当り１０〜２０Ｕの活性のあることが
わかった。 【００１０】 【発明＜考案＞の効果】本発明による酵素固定用担体
は、繊維状であるため、大きな表面積をもつバイオリア
クター用成形物（フィルター、チューブ等）が容易にで
きる。また、逆に繊維を成形物に加工した後、アルカリ
洗浄しても、同様の効果が期待できる。単純なアルカリ
水溶液による洗浄で、酵素固定効果が期待できる。複雑
な化学反応を必要としないため、末反応物による弊害が
なく、人工臓器等のフィルター等に容易に適応可能であ
る。原料である野蚕絹糸を精練した後、単純なアルカリ
処理を行うだけで、機能が期待されるため、製造原価を
安くできる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】セリシンを完全に除去した精練済み
の野蚕絹糸をアルカリで部分的に溶解し、これに酵素を
吸着固定させることを特徴とする酵素固定用繊維状担体
の製造方法
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4062771A JP2510109B2 (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 酵素固定用繊維状担体の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4062771A JP2510109B2 (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 酵素固定用繊維状担体の製法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05214675A JPH05214675A (ja) | 1993-08-24 |
| JP2510109B2 true JP2510109B2 (ja) | 1996-06-26 |
Family
ID=13209982
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4062771A Expired - Lifetime JP2510109B2 (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 酵素固定用繊維状担体の製法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2510109B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009174111A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-08-06 | Ist Corp | 分枝状タンパク質繊維及びその製造方法、並びに綿状体、分枝状タンパク質繊維紡績糸、分枝状タンパク質繊維含有紡績糸、布帛、不織布 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5839934B2 (ja) * | 1977-08-12 | 1983-09-02 | 繁三郎 水島 | 捲縮絹糸及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-02-03 JP JP4062771A patent/JP2510109B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05214675A (ja) | 1993-08-24 |
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