JP2510092Y2 - 磁気ヘッドキャリッジ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は磁気ヘッドキャリッジ装置に係り、特に磁気
ディスクの両面にこれを挟持するように添接する上下の
磁気ヘッドを有する磁気ヘッドキャリッジ装置に関す
る。

第８図はこの種の磁気ヘッドキャリッジ装置を示す。
１は上側のヘッドアーム、２はヘッドキャリッジ、3,4
は夫々磁気ヘッド、５は板ばね部材である。ヘッドアー
ム１の基部には板ばね部材５が張り出して固定してあ
り、この板ばね部材５の先端がヘッドキャリッジ２に固
定してある。磁気ディスク６は矢印Ａ方向に回転し、磁
気ヘッド3,4が磁気ディスク６の上下面にこれを挟むよ
うに添接して磁気記録再生が行なわれる。

記録再生時、磁気ヘッド３は磁気ディスク６に対して
ステックスリップの動きとなり、磁気ヘッド３がヘッド
アーム１と共に板ばね部材５の捩りを伴って矢印Ｂ方向
に微振動し易い。磁気ヘッド３が微振動を起こすと記録
再生特性が低下してしまうため、上記の微振動が起きな
いようにする必要がある。

また、磁気ディスク６を装着脱する度毎にヘッドロー
ド機構（図示せず）が動作し、ヘッドアーム１を上方に
回動させる。このとき、ヘッドアーム１はその幅方向上
一方側のみを係止して回動せしめられるため、矩形状の
板ばね部材５が第９図に示すように捩られる。ヘッドア
ーム１が上方に回動した状態に長く放置されたり、上記
の捩りが多数回繰り返えされたりすると、板ばね部材５
に捩り変形が永久変形として残ることがある。この板ば
ね部材５に永久変形が残ると、これが磁気ディスク６に
添接した磁気ヘッド３の姿勢に悪影響を及ぼし、記録再
生特性が低下してしまうため、板ばね部材５が永久変形
した場合でも磁気ヘッド３が正常な姿勢で磁気ディスク
６に添接するようにする必要がある。

従来の技術 第10図は特開昭61−222061号に示されている従来の磁
気ヘッドキャリッジ装置を示す。この装置は上記の微振
動及び永久変形に対する一応の対策が施されたものであ
る。図中、10はヘッドアーム、11はヘッドキャリッジ、
12,13は磁気ヘッド、14は板ばね部材、15はばね部材、1
6は磁気ディスクである。

17は張り出し部であり、ヘッドアーム10の基部側に張
り出して形成してある。板ばね部材14は、張り出し部17
の下面に密着した状態でヘッドアーム10の基部に固定し
てあり、先端がヘッドキャリッジベース11の台部18にね
じ止めしてある。

台部18は、上記張り出し部17に対向する位置まで延在
形成されており、こゝに延在台部19を有する。

延在台部19は、第11図に併せて示すように、板ばね部
材14を長さｌに亘って且つ全幅に亘って支持しており、
その一部は板ばね部材14のうち張り出し部17に密着して
いる部分を全幅に亘って帯状に支持している。

板ばね部材14側からみると、延り出し部17に密着して
いる部分が全幅に亘って延在台部19に当接して支持され
ている。

これにより、記録再生時のヘッドアーム10及び磁気ヘ
ッド12の矢印Ｂ方向の微振動が抑制される。

考案が解決しようとする問題点 しかし、板ばね部材14が変形して曲面状になってしま
うと、微振動抑制効果が低減してしまう。即ち、第12図
に示すように、変形した板ばね部材14Aはその一部が延
在台部19より浮いた状態となり、支持状態が不安定とな
り、ヘッドアーム10は矢印Ｂ方向に微振動を起こし易く
なる。

またヘッドアーム10及び磁気ヘッド12の姿勢が不安定
となり、磁気ヘッド12が矢印Ｂ方向に傾斜してしまう。

また延在台部19は上記のように支持を行なうものであ
り、その上面は高精度の平面度が要求される。しかし、
延在台部19の上面は比較的広く、これを高精度の平面度
に仕上げることはむずかしく、延在台部が第13図中、19
Aで示すように凸状の曲面となることもある。この場合
には、板ばね部材14は幅方向上中央部だけを支持された
状態となり、磁気ヘッド12は矢印Ｂ方向に微振動を起こ
し易くなり、且つ傾斜し易くなる。

本考案は上記問題点を解決した磁気ヘッドキャリッジ
装置を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は、各々磁気ディスクの上側及び下側に添接し
て情報の書き込み及び／又は読み出しを行う上側及び下
側磁気ヘッドと、上記下側磁気ヘッドが取り付けられ、
且つ上記磁気ディスクの半径方向に移動自在に設けられ
たキャリッジベースと、上記上側磁気ヘッドが取り付け
られたヘッドアームとを有し、該ヘッドアームの基部側
が板ばね部材を介して上記キャリッジベースの基部側に
突出して形成してある取付台部に取り付けられた磁気ヘ
ッドキャリッジ装置において、 該ヘッドアームの基部側を、張り出し部を有する形状
とし、且つ該張り出し部の下面に上記板ばね部材が密着
する構成とし、 上記取付台部より上記キャリッジベースの先端の方向
に所定寸法離れた部位であって、該板ばね部材のうち上
記張り出し部に密着している部分の下面の上記磁気ディ
スクの回転方向上両端の近傍に対向する部位に、頂部が
上記取付台部と実質上同じ高さに位置して且つ突状を有
する一対の支持部を上記キャリッジベースにこれと一体
的に設けてなり、 磁気記録再生時、上記板ばね部材が上記密着部分の上
記両端近傍のみを、上記一対の支持部によって線状又は
点状に接触されて支持され、 且つ上記板ばね部材の下側であって上記一対の支持部
と上記取付台部との間に、空間を有し、 該空間は、上記一対の支持部間に第１の開口を有し、
且つ上記磁気ディスク回転方向上両端のうち少なくとも
一方側に第２の開口を有する構成としたものである。

作用 板ばね部材のうちのヘッドアームの張り出し部への密
着部の両端近傍を、線状又は点状に支持することは、板
ばね部材の捩れ変形による影響をもっもと受けにくい状
態で支持するように作用する。

一対の支持部と取付台部との間について、板ばね部材
の下側を空間とした構成は、板ばね部材がたとえ変形し
た場合であっても、その影響が板ばね部材の支持部への
接触支持状態に影響が及ばないように作用する。

上記一対の支持部をキャリッジベースにこれと一体的
に形成した構成は、部品点数を増やさないように作用す
る。

空間を、一対の支持部間に第１の開口を有し、且つ磁
気ディスク回転方向上両端のうち少なくとも一方側に第
２の開口を有する構成とした構成は、第１の開口より空
間を通って第２の開口に到る部分を、磁気ヘッドから出
て磁気ヘッドキャリッジ装置の外部にまで延びている接
続手段の配線経路の一部に利用されるように作用する。

実施例 第１図、第２図は夫々本考案の磁気ヘッドキャリッジ
装置の一実施例を示す。各図中、20は合成樹脂製のヘッ
ドアーム、21は合成樹脂製のヘッドキャリッジベース、
22は上側磁気ヘッド、23は下側磁気ヘッド、24は矩形状
の板ばね部材、25はヘッドアーム20を下方向へ回動付勢
するばね部材、26は磁気ディスクである。

27は張り出し部であり、ヘッドアーム20の厚み方向上
上側半分をヘッドアーム20の基部側に張り出して形成し
てある。

板ばね部材24は、ヘッドアーム20の基部側にインサー
ト成形されてヘッドアーム20と一体化されており、符号
24−１で示す部分は張り出し部27の下面に密着してい
る。

28は取付台部であり、ヘッドキャリッジベース21の基
部に形成してある。

30,31は本考案の要部をなす支持部であり、ヘッドキ
ャリッジベース21に一体的に形成してある。

この支持部30,31は、取付台部28よりヘッドキャリッ
ジベース21の先端側に寸法ａ離間した位置で且つヘッド
キャリッジベース21の先端側よりみて左右に離間した位
置に配されている。ヘッドアーム20を基準にみると、支
持部30,31は、張り出し部27に対向するように配されて
いる。

各支持部30,31の頂部は半円柱状の突部30a,31aとされ
ており、この半円柱状突部30a,31aはヘッドキャリッジ
ベース21の幅方向上（磁気ディスク26の回転方向上）整
列している。

各支持部30,31は、取付台部28と同一高さＨとしてあ
る。

ヘッドアーム20は、板ばね部材24の先端側を台部28上
にワッシャ33を介してねじ32によりめじ止め固定してあ
る。このように取り付けられたヘッドアーム20は、ばね
部材25によりばね付勢されて、第３図に併せて示すよう
に、板ばね部材24のうち上記密着部24−１の下面の幅方
向上両端側を支持部30,31により支持される。

支持部30,31により両端側を支持されることにより、
ヘッドアーム10は第11図に示すように全幅に亘って支持
された場合と同程度に安定に支持され、記録再生時にヘ
ッドアーム10（磁気ヘッド22）には矢印Ｂ方向の力を受
けるも同方向に微振動は発生しない。

第４図はヘッドアーム20の昇降の繰り返し等により板
ばね部材24が捩れ変形し、密着部が符号24−1Aで示すよ
うに永久変形してしまった場合を示す。

この場合にも、ばね部材25によりばね付勢されて、密
着部24−1Aの幅方向上両端側だけが支持部30,31により
支持されることにより、ヘッドアーム10は密着部24−1A
の凸状変形部24−1Bによる影響を受けずに、第３図の場
合と同様に安定に支持される。これにより、記録再生時
に、磁気ヘッド22に矢印Ｂ方向の微振動は発生しない。

また、ヘッドアーム10は変形密着部24−1Aの影響を受
けずに第４図に示すように幅方向両側を同じ高さとされ
て支持される。これにより、磁気ヘッド22の姿勢は傾斜
せずに水平とされ、磁気ディスク26の上面に正常に添接
する。

ここで、板ばね部材24と支持部30,31との接触部分
は、幅方向上両端側に限られ、且つ幅方向に延在する線
状であり長さ方向には実質上長さを有しない。即ち、板
ばね部材24と支持部材30,31との接触は、幅方向上両端
側に限られ且つ幅方向に延在する線状である。これによ
り支持に対する変形密着部24−1Aの影響は最小となる。

また、支持部30,31の突部30a,30bは円柱側面状であ
り、重要な部分は先端部分に限られるため、従来のよう
に平面全体を高精度とする場合に比べて突部30a,30aの
高精度化は容易である、従って、磁気ヘッド22の姿勢は
精度良く水平とされる。

以上により、板ばね部材24が変形しない場合は勿論、
変形してしまった場合にも、記録再生時、磁気ヘッド22
は磁気ディスク26を安定に添接した状態を維持し、記録
再生特性は良好である。

第５図は本考案の磁気ヘッドキャリッジ装置の別の実
施例を示す。この実施例は、支持部40,41を除いて、上
記実施例と同じ構成であり、対応する部分には同一符号
付し、その説明は省略する。

支持部40,41は支持部30,31と同じ部位に設けてあり、
頂部に半球状突部40a,41aを有する。

板ばね部材24に捩れ変形が起きていない場合には、ヘ
ッドアーム20は第６図に示すように支持され、板ばね部
材24が捩れ変形した場合には、ヘッドアーム20は第７図
に示すように支持される。即ち、板ばね部材24のうち密
着部24−１の下面の幅方向上両端近傍を点接触で支持さ
れる。

これにより、板ばね部材24の変形の有無に拘らず、ヘ
ッドアーム20は矢印Ｂ方向の微振動を起こさないように
安定に支持され、且つ磁気ヘッド22は水平姿勢とされ、
記録再生特性は良好となる。

また本実施例では、点接触であるため、上記の線接触
に比べて、ヘッドアーム20は板ばね部材24の捩れ変形に
よる影響を更に受けにくい状態で支持される。

なお、上記の半円柱状突部30a,30bの代わりに、三角
柱状突部であってもよく、半球状突部40a,40bの代わり
に円錐状突部であってもよく、同様の効果が得られる。

なお、第２図より分かるように板ばね部材24のうち、
取付台部28と支持部30,31との間の部分24−２の下方は
空間50となっており、上記部分24−２は、非接触な状態
にある。この部分の変形はヘッドアーム20の支持に影響
を及ぼさない。また非接触部分24−２より先端側を支持
部30,31により支持されているため、このの非接触部分2
4−２は変形しにくい。

上記の空間50は、磁気ディスクの回転方向上、両端側
に、第２の開口50a,50bを有する。また、空間50は、支
持部30,31の間の部分に第１の開口51を有する。

また、第１図及び第２図中、第１の開口51より空間50
を通って第２の開口50a又は50bに到る部分が下側磁気ヘ
ッド23より引き出される接続手段としてのリード線を配
線する経路52に利用される。即ち、下側磁気ヘッド23よ
り引き出されたリード線（図示せず）は、ヘッドキャリ
ッジベース21上に沿って配線され、第１の開口51を通り
過ぎ、この後、空間50内で曲げられて、上記の第２開口
50a又は50bを通ってヘッドキャリッジベース21の側方に
引き出される。

考案の効果 以上説明した様に、本考案によれば、板ばね部材を全
幅に亘って支持するのではなく、その両端近傍だけに接
触して支接する構成とし、且つ面による接触ではなく、
線状又は点状に接触する構成であるため、板ばね部材が
変形しない状態においては勿論、変形した場合にも、そ
の変形により影響を受けずにヘッドアームを安定に支持
することが出来、且つ上側磁気ヘッドの姿勢を水平とし
得、然して板ばね部材の変形に強い構造を実現出来る。

また、一対の支持部と取付台部との間については板ば
ね部材の下側が空間となっているため、板ばね部材が変
形した場合であっても、その変形分は上記空間内に収ま
り、変形の影響が支持部への接触支持状態に影響が及ば
ないようにすることが出来、よって信頼性の向上を図る
ことが出来る。

また、一対の支持部がキャリッジベースと一体的に形
成してあるため、部品点数を少なくし得、また組立工数
も少なく出来る。

また、第１の開口より空間を通って第２の開口に到る
部分を、磁気ヘッドから出て磁気ヘッドキャリッジ装置
の外部にまで延びている接続手段の配線経路の一部に利
用することによって、接続手段が第１の開口を通って空
間内に入り、空間内で側方に曲げられ、第２の開口から
キャリッジ側方に導き出す構成と出来るため、接続手段
が第１の開口より磁気ヘッド側に繰り出されることを防
止出来、これによって磁気ヘッドキャリッジ装置が前進
したときに、接続手段が装着されている磁気ディスクカ
ートリッジと擦れてしまうことを確実に防止することが
出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の磁気ヘッドキャリッジ装置の一実施例
の分解斜視図、 第２図はその側面図、 第３図は第２図中のIII−III線に沿う断面矢視図、 第４図は板ばね部材が変形した場合の支持状態を示す
図、 第５図は本考案の磁気ヘッドキャリッジ装置の別の実施
例の分解斜視図、 第６図はこの実施例におけるヘッドアームの支持状態を
示す、第３図に対応する図、 第７図は第５図の実施例における板ばね部材が変形した
場合の支持状態を示す図、 第８図は磁気ヘッドキャリッジ装置の基本構成を示す
図、 第９図は板ばね部材が捩り変形する状況を示す図、 第10図は従来の磁気ヘッドキャリッジ装置の１例を示す
図、 第11図は第10図中XI−XI線に沿う断面矢視図、 第12図は板ばね部材が捩れ変形した場合の支持状態を示
す図、 第13図は延在台部の上面が凸状曲面となってしまった場
合の支持状態を示す図である。 20…ヘッドアーム、21…ヘッドキャリッジベース、22…
上側磁気ヘッド、23…下側磁気ヘッド、24…板ばね部
材、24−１…密着部、24−1A…変形した密着部、24−1B
…凸状変形部、24−２…非接触部、25…ばね部材、26…
磁気ディスク、27…張り出し部、28…取付台部、30,31,
40,41…支持部、30a,31a…半円柱状突部、40a,41a…半
球状突部、50…空間、51…第１の開口、50a,50b…第２
の開口、52…配線経路。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−158022（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−963（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−304463（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−111065（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−94465（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−126462（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】各々磁気ディスクの上側及び下側に添接し
   て情報の書き込み及び／又は読み出しを行う上側及び下
   側磁気ヘッドと、上記下側磁気ヘッドが取り付けられ、
   且つ上記磁気ディスクの半径方向に移動自在に設けられ
   たキャリッジベースと、上記上側磁気ヘッドが取り付け
   られたヘッドアームとを有し、該ヘッドアームの基部側
   が板ばね部材を介して上記キャリッジベースの基部側に
   突出して形成してある取付台部に取り付けられた磁気ヘ
   ッドキャリッジ装置において、 該ヘッドアームの基部側を、張り出し部を有する形状と
   し、且つ該張り出し部の下面に上記板ばね部材が密着す
   る構成とし、 上記取付台部より上記キャリッジベースの先端の方向に
   所定寸法離れた部位であって、該板ばね部材のうち上記
   張り出し部に密着している部分の下面の上記磁気ディス
   クの回転方向上両端の近傍に対向する部位に、頂部が上
   記取付台部と実質上同じ高さに位置して且つ突状を有す
   る一対の支持部を上記キャリッジベースにこれと一体的
   に設けてなり、 磁気記録再生時、上記板ばね部材が上記密着部分の上記
   両端近傍のみを、上記一対の支持部によって線状又は点
   状に接触されて支持され、 且つ上記板ばね部材の下側であって上記一対の支持部と
   上記取付台部との間に、空間を有し、 該空間は、上記一対の支持部間に第１の開口を有し、且
   つ上記磁気ディスク回転方向上両端のうち少なくとも一
   方側に第２の開口を有する構成の磁気ヘッドキャリッジ
   装置。